ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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ようやく、こいつらが登場です!


突入戦

「それで、これからどうするの?」

 

と言ったのは、ツユカの説教が終わり立ち上がったレコンである

 

レコンの言葉を聞いて、リーファは両手を腰に当てながら世界樹を見上げて

 

「私達五人で、世界樹を攻略するわよ」

 

と告げた

 

「へー……そっかぁ…………って、ええぇ!?」

 

リーファの言葉を聞いて、レコンは驚愕した

 

そんなレコンを無視して、キリトは視線を胸ポケットに向けて

 

「ユイ、何か分かったか?」

 

と問い掛けた

 

すると、ユイは胸ポケットから飛び出してキリトの目の前に止まると

 

「はい、パパ。あのNPCガーディアンですが、一体一体は大したことはありません。ですが、ポップのペースが異常です。パパの最終到達時には、一秒間に十二体出現してました」

 

と説明した

 

その説明を聞いて、キリトは顎に手を当てながら

 

「数の多さで、実質的に攻略不可能になってるわけか……」

 

と呟いた

 

すると、ユイが腰に手を当てて

 

「異常なのは、パパも一緒ですよ? 瞬間的な突破力なら群を抜いてます」

 

と言った

 

レコンはそんなユイを見ながら、どこか感心した様子で

 

「うわぁ……プライベートピクシーだぁ」

 

と呟いている

 

キリトは少し黙考すると、全員を見回して

 

「ごめん。もう一回だけ、俺の我が儘に付き合ってくれ。このお礼は必ず、精神的にする」

 

と言って、頭を下げた

 

すると、ツユカとユーヤが

 

「一回と言わず、何回だって付き合ってやるよ」

 

「たまには、こういう無茶も悪くない」

 

とと言いながら、獰猛な笑みを浮かべて

 

「もちろん、あたし達も付き合うからね!」

 

「リーファちゃんのためなら、何でも!」

 

リーファはレコンの肩に腕を回しながら言い、レコンは顔を真っ赤にしながらそう宣言した

 

「ありがとう。それで配置なんだが、俺が前に出るから、皆は後ろから支援してくれ」

 

キリトがそう言うと、ツユカとユーヤの二人が

 

「それなんだが、あたし達は前に出るからな」

 

「確かに魔法も使えるが、申し訳程度でな。リーファやレコンほど得意ではないんだ」

 

と言った

 

ツユカとユーヤの説明を聞いて、キリトは少し考えてから頷いて

 

「分かった。だけど、無茶はしないでくれよ」

 

と言った

 

ツユカとユーヤが頷くと、全員で世界樹を見上げて

 

「行くぞ、世界樹の攻略に!」

 

「「「「おう!」」」」

 

キリトの宣言に全員は斉唱で応えた

 

そして、全員でドアを押し開けて内部に突撃した

 

「リーファ、レコン。支援(バフ)と回復を頼む!」

 

「「了解!」」

 

キリトの要請に二人は応えると、呪文の詠唱を始めた

 

二人の周囲を複雑な魔法陣が包み込み、二人はキリト達に支援魔法を発動した

 

キリト達はそれを確認すると、急速上昇を始めた

 

それに合わせるように、周囲の壁の窓から次々とNPCガーディアンが出現してきた

 

「来るぞ!」

 

「了解!」

 

「承知!」

 

キリト、ツユカ、ユーヤの三人は武器を構えて突撃した

 

そんな三人に対して、NPCガーディアンの群れが殺到した

 

「邪魔だ!」

 

「どけぇ!」

 

「斬り捨てる!」

 

キリト達は殺到してきたNPCガーディアン達を次々と倒すが、NPCガーディアンの攻撃が当たり、HPが減った

 

リーファとレコンはそれを確認すると、待機状態にしていた回復魔法を発動させた

 

発動した回復魔法によりキリト達のHPは回復するが、それと同時にNPCガーディアンの鏡のような顔が怪しく光りリーファ達に対して突撃した

 

「ちょっ! なんでこっちに来るの!?」

 

「多分、外のモンスター達とは戦闘アルゴリズムが違うのよ!」

 

NPCガーディアンが突撃してきたのを見てレコンが驚いていると、リーファが叫ぶように言ってから迎撃の魔法を発動した

 

だが、突撃してくるNPCガーディアンの数が多過ぎて捌ききれない

 

「くっ……こうなったら、あたしが!」

 

捌ききれないと判断したのか、リーファは腰の愛刀に手を持っていった

 

すると、レコンが真剣な表情で

 

「ねぇ、リーファちゃん……これって、大事なことなんだよね?」

 

と聞いてきた

 

「うん……今この時だけは、ゲームであってもゲームじゃないんだよ」

 

この時リーファは気付かなかったが、レコンに言った言葉はかつて、茅場晶彦が言った言葉だった

 

その言葉を聞いて、レコンは真剣な表情で殺到してくるNPCガーディアンを睨みつけて

 

「僕が行く!」

 

と言うと、左手で飛行操作しながら右手で短刀を抜いた

 

「レコン!?」

 

リーファが驚愕するが、レコンは構わず上昇した

 

そして、リーファに突撃しようとしたNPCガーディアンを斬り捨てるとリーファを肩越しに見てから短刀を投げ捨てて呪文の詠唱を始めた

 

すると、かなりの数のNPCガーディアンがレコンに対して突撃していくが、レコンは器用に避けながら上昇していった

 

「この呪文は……確か、闇魔法?」

 

リーファはレコンの唱えているスペルを聞いて、頭の中で照合した

 

その間にも、レコンは上昇していきレコンの周囲には先ほどとは比較にならない程に複雑な魔法陣が展開されていた

 

「レコン!?」

 

「なにを!?」

 

レコンのしていることに只ならぬ気配を感じて、ツユカとユーヤの二人も視線を向けた

 

その直後

 

「ベルファヒム……ニーザボール!!」

 

レコンの詠唱が終わり、空間を震わせる程の巨大な爆発が起きた

 

その巨大な爆発により、NPCガーディアンによって形成されていた壁に巨大な穴が空けられていた

 

「自爆……魔法……?」

 

「あのバカ……っ! 禁呪をっ!」

 

「レコン……っ!」

 

自爆したレコンのリメインライトは、すぐに消えた

 

恐らく、セーブポイントへと戻ったのだろう

 

彼が使った自爆魔法は、通常よりも強大なデスペナルティが科せられるのでプレイヤー達の間では禁呪扱いされている

 

キリトはレコンが開けた大穴を睨みつけると、剣を構えて

 

「レコンの犠牲、無駄にはしない!」

 

と言うと、その大穴目掛けて突撃した

 

キリトに続いて、ツユカとユーヤの二人も突撃した

 

だが、そんな三人の行く手を阻むようにNPCガーディアンの群れが壁となった

 

「邪魔だぁ!」

 

「どけぇ!」

 

「このぉ!」

 

三人は悪態を突きながら、NPCガーディアンを次々と葬っていった

 

だが、数に押されて押し戻されてそうこうしている間に、穴が塞がってしまった

 

しかも、三人はNPCガーディアンの攻撃によってHPが減っていく

 

「皆!」

 

リーファは顔を青ざめながらも、回復魔法を発動させて三人を回復させた

 

それにより、三人のHPは回復したが、気付けばリーファはNPCガーディアンによって囲まれていた

 

「こんなの……無理だよ……っ」

 

リーファが絶望と共に呟いた

 

その直後だった

 

「「「「「オオオオォォォ!!」」」」」

 

まるで万雷が如く雄叫びが聞こえて、リーファの周囲に集まっていたNPCガーディアンに対してお揃いの装備を纏った集団が切りかかった

 

目深に被った面当てで顔は見えないが、リーファの視界に表示されている名前から全員がシルフの有力プレイヤーと分かった

 

その時、背後から遠雷のような鳴き声が響き渡り、リーファは視線をそちらに向けた

 

大きな扉から現れたのは、十体程の巨大な飛龍だった

 

テイミングされた証に、頭部や翼の前側や胴体等に金属製の鎧が装備されており、頭から伸びている手綱を背中の鞍に跨がっている猫妖精(ケットシー)が握っている

 

その十体程の飛龍の群れが、猫妖精の秘奥戦力

 

ドラグーン隊だというのは、リーファも気づいた

 

ALOが始まって一年が経つというのに、スクリーンショットすら流出していない極秘戦力だ

 

まさかの光景に、リーファが固まっていると

 

「リーファ、遅くなってすまない!」

 

「遅くなって、ごめんネー!」

 

サクヤとアリシャ・ルーの二人が現れて、リーファに近づいてきた

 

「サクヤ! アリシャさん!」

 

鍛冶妖精(レプラコーン)の鍛冶匠衆を総動員して、今まで掛かってしまったよ」

 

「彼から預かったお金を含めて、シルフもケットシーも金庫はスッカラカンだヨ!」

 

リーファが名前を呼ぶと、サクヤとアリシャ・ルーの二人は笑いながらそう言った

 

「来てくれて、ありがとう……」

 

リーファが涙を浮かべながら感謝していると、二人は首を振って

 

「来たのは、我々だけじゃない」

 

「さあ、おいでヨ! アルン最強と名高きギルド! 黄昏の風!」

 

アリシャ・ルーが告げた直後、扉が開き約二十人程のプレイヤー達が現れた

 

全員種族はバラバラだが、共通でオレンジ色のスカーフをどこかに身に付けていた

 

真ん中に居るサラマンダーのプレイヤーが、背中から戦斧を抜くと高々と掲げて

 

「行くぞ、黄昏の風! 全員、突撃!」

 

「「「「「オオオオォォォ!!」」」」」

 

裂帛の気合いと共に、全員はキリト並のスピードで上昇を始めた

 

サクヤとアリシャはそれを確認すると、上を見上げて

 

「シルフ隊! フェンリルストーム、用意!」

 

「ドラグーン隊! ファイヤーブレス、用意!」

 

と告げると、シルフ隊は剣を構え、ドラグーン隊は口内部に炎を溜めた

 

「「放てぇ!」」

 

二人の領主の号令の直後、シルフ隊とドラグーン隊はそれぞれ攻撃を放った

 

シルフ隊とドラグーン隊が放った攻撃は、見事に次々とNPCガーディアンの群れを葬っていった

 

そして、空いた穴に対して黄昏の風は切り込んでいき穴を広げていった

 

リーファは黄昏の風の全員が、とてつもない技量を持っていることに気づいた

 

しかも、連携もかなりのものだ

 

そのことに感嘆していると、リーファの近くに二人のシルフが近づいてきて

 

「リーファ、ボケーッとしてる暇はないぜ!」

 

「突撃すっぞ!」

 

と言った

 

「シュンさん、ソンサクさん!」

 

リーファの近くに現れた二人は、愛刀を抜くとリーファに対して頷いた

 

リーファは頷き返すと、腰の愛刀を抜いた

 

シュンはそれを確認すると、サクヤに視線を向けて

 

「サクヤさん、俺達はあの三人の援護に向かいます!」

 

「行け! シルフの双頭龍の力を見せつけてこい!」

 

サクヤはシュンにそう返しながら、自身に迫っていたNPCガーディアンを斬り捨てた

 

「了解!」

 

「リーファ、付いて来い!」

 

「はい!」

 

シュンとソンサクの二人に先導されて、リーファはキリト達へと近づいた

 

なお、道は黄昏の風が既に空けていたので楽ではあった

 

だが、リーファは

 

(全員、お兄ちゃん並の技量だ!)

 

と気づいていた

 

全員、武器も種族もバラバラだが、視線を合わせるだけで見事な連携を行っている

 

一見無秩序なようで、足並みも揃っていないように見える

 

だが、長柄の武器の使い手が敵に一撃当ててバランスを崩しては片手剣使いや短刀使い、片手昆使いがトドメを刺している

 

そして、黄昏の風とリーファ達はキリトと同じ高度へと達した

 

「お前ら、大丈夫か!?」

 

「兄貴!」

 

「なんとか、大丈夫です!」

 

ソンサクからの問い掛けに、ツユカとユーヤは叫ぶように返答した

 

キリトは無言で頷くことにより、返答している

 

「しっかし、この数は鬼畜だな! おい、なんとかならないか黄昏の風!?」

 

シュンがそう言うと、キリトは驚いた表情で視線を戦斧使いに向けた

 

「黄昏の風って、まさか!?」

 

キリトが驚いていると、戦斧使いはニヤリと笑みを浮かべながら

 

「キリト、てめぇの切り札が頼りだ! 時間なら稼いでやる!」

 

と言った

 

それを聞いたキリトは少し考えると、決意を込めた様子で

 

「10秒頼む!」

 

と言うと、後ろに下がった

 

「フィリア、アイ、エリス、ノエル! キリトのカバーだ! 他は円形防衛陣! 一匹も通すな!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

戦斧使いの指示に従い、短刀使いと片手直剣使い二人、戦斧使いがキリトの居た場所に滑り込み他のメンバーは、キリトを中心に円形を描くように布陣した

 

そして、戦斧使いの指示通り、展開しているメンバーはNPCガーディアンを一体たりとて通さない

 

そして、キリトが宣言したきっかり十秒後

 

「良いぞ!」

 

キリトがそう言うと、空いていた左手にはオレンジ色の剣が握られていた

 

「黄昏の風、突撃すっぞ!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

戦斧使いの号令の直後、黄昏の風メンバーはキリトと共に上昇を始めた

 

「ツユカ!」

 

「ああ! 兄貴! あたし達は上に行く! リーファ!」

 

「うん!」

 

ユーヤが声を掛けると、ツユカは威勢良く言ってからリーファに視線を向けた

 

リーファは頷くと、ツユカとユーヤの二人と一緒にキリト達の後を追った

 

「行け!」

 

「一体でも多く、斬り捨ててやるよ!」

 

シュンとソンサクの二人は肩越しに見送りながら、迫ってきたNPCガーディアンを斬り捨てた

 

「オオオオォォォ!!」

 

キリトは鬼気迫る表情で二刀を振るい、次々とNPCガーディアンを葬っていく

 

そんなキリトを、NPCガーディアンは遠距離から仕留めようとするが

 

「させっかよ!」

 

「邪魔じゃ!」

 

「……させん!」

 

それを、戦斧使い、薙刀使い、短刀使いが斬り捨てた

 

その間に、キリトは二本の剣を重ねて前に突き出したまま突進した

 

それはまるで流星のように、NPCガーディアンの群れを突き破っていく

 

「行って……キリト君……」

 

「オオオオォォォ!!」

 

リーファはキリトを見上げながら応援し、キリトはそのままNPCガーディアンの群れを突破して天井に突き刺さった

 

アリシャとサクヤの二人はそれを確認すると、片手を上げて

 

「全軍、後退!」

 

「後退戦闘だヨ!」

 

と号令を下した

 

その号令を聞いて、シュンやソンサク達も満身創痍ながら降下していき、リーファ達も降下しようとした

 

だが、それをNPCガーディアンが阻んだ

 

「くっ……」

 

そのことに、リーファが歯噛みしていると

 

「こっちじゃ!」

 

という声が聞こえた

 

リーファが声のした方に視線を向けると、先ほどの薙刀使いが手を振っていた

 

「来るのじゃ!」

 

その言葉にリーファが迷っていると、ツユカとユーヤがリーファの肩を叩いて

 

「行け、リーファ!」

 

「ここは、俺達が食い止める!」

 

と言った

 

二人の言葉を聞いて、リーファは覚悟を決めた

 

「二人とも、お願い!」

 

リーファはそう言うと、薙刀使いの方へ向かった

 

すると、ツユカとユーヤの二人は顔を見合わせて

 

「あたしは、紅の戦姫。ツユカ!」

 

「俺は蒼き剣使い、ユーヤ!」

 

二人は名乗りを上げると、武器を突きつけて

 

「「この先に行きたければ、命を賭けてかかってこい!」」

 

と叫んだ

 

「良いのじゃ!」

 

リーファが到着するのを確認すると、薙刀使いは叫んだ

 

「全員、キリトに続け!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

戦斧使いの号令の直後、全員がまるで矢のようになり急速上昇

 

キリトの空けた穴を通った

 

そして、キリトに追いつくと、キリトは剣を天井の門に当たる部分に突き刺していた

 

「くそっ! なんで開かないんだ!」

 

キリトが焦りを含んだ声で言うと、ユイがキリトの胸ポケットから出てきて、門に触れた

 

「パパ! この門は特殊なイベントによって開くのではありません!」

 

「どういうことだ?」

 

ユイの説明の意味が分からなかったのか、キリトは首を傾げた

 

「つまりこの門は、管理者権限でロックされてます!」

 

ユイの言葉を聞いて、全員は目を見開いた

 

「クリアさせる気が無いってのかよ!」

 

戦斧使いが苛立たし気に、戦斧を叩き付けた

 

すると、キリトが何かに気付いた様子でコートのポケットから銀色のカードを取り出して

 

「ユイ! これを使え!」

 

「っ! はい!」

 

キリトの意図に気付いたのか、ユイは銀色のカードに触れた

 

すると、一瞬ユイが光った

 

ユイはすぐに門に触れると、キリトに視線を向けて

 

「転移をします! 捕まってください!」

 

と言いながら、その小さな手を伸ばした

 

キリトがその手に触れると、黄昏の風メンバーやリーファもキリトに触れた

 

その直後、キリト達の姿が光となって消えた

 

 

 

そして、少年少女達はこのゲームで行われていたことを知ることになる

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