ソードアート・オンライン 黄昏の剣士   作:京勇樹

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死銃

「ヨシアキ君、なかなか映らないねぇ」

 

そう言ったのは、ウンディーネを選択したアスナである

ウンディーネの証の水色の髪が腰辺りまで伸びており、どこか神秘的な雰囲気の美少女となっている

尚、ウンディーネを選択した理由はSAOを思い出したからだ

SAOは魔法が存在してなかったので、何回も魔法があったら助けられたのに。という場面があった

特にアスナは攻略組の指揮を担当していたので、それは多かった

しかし、一番の理由はキリトが前に突出するからである

要するに、愛ゆえにである

そんなアスナだが、やはりSAOでの血が騒ぐのか

後方支援系を得意とするウンディーネで、時折レイピアを抜いてキリトと二人で大暴れすることがあるのだ

それが原因で、アスナ本人にとっては大変不本意だが

バーサーク・ヒーラー

という二つ名を頂戴してしまったのだ

それならまだ、SAO時代の閃光のアスナという二つ名のほうが遥かにマシだ

というのが、アスナの談である

最近、アルゴと協力して二つ名を変更させようと画策中

 

「だな。あいつの性格なら、最初から飛ばして倒しまくると思ってたんだが」

 

とアスナの言葉に同意したのは、わざわざ持ち込んできた揺り椅子に座ってお茶を飲んでたキリトだ

以前とは髪型が変わり、今はリアルに近い髪型となっている

髪型を変えた理由は、アスナとキリトの娘たるユイが

 

『今の髪型、乗りづらいです』

 

と言ったためだ

つまりは、子供への愛ゆえだ

 

「いやぁ、どうかな……あいつ、普段はバカな癖に、ゲームとなると頭使うからな……もしかしたら、隠蔽(ハイド)からの不意討ちしてるかもな?」

 

と言ったのは、スツールに座っている大柄なサラマンダー

黄昏の風のサブリーダーのサジだ

リアルでは学生だが、ALOでは酒飲みキャラを演じている

そのために、リアル、ALO共に酒飲みキャラのクラインと一緒にALO中を回り、酒を集めまくった

 

「ですよ! お兄ちゃんなら、不意討ちしまくりです!」

 

と興奮気味に言ったのは、ピクシー姿で飛んでいるユイだ

 

「やりそうだね。しかも、銃のゲームなのに剣で」

 

「あの世界だと、ナイフか、光剣ですね」

 

楽しそうに同意したのは、スプリガンのフィリア

それに続いて言ったのは、シルフのエリスだ

二人のその言葉に、その場に居た全員が笑った

先に上げた人物の他に、鍛治師のリズベットとテイマーのシリカ

キリトの妹のリーファに、友人のツユカとその恋人のユーヤ

エリスの近くには、ケイト、ノエル、アネット、ルチア、べティ、カーラ、トトナ、シノ、エクレール、エヴェイユ、ティール、フブキ、ホタル、プリエル

更に、サジの隣にはクライン

スツールの向こう側で、何故かバーテンの服装のヒデとムッツ

リズベットの隣に、同じ鍛治師のユウ

サジに寄り添うように、ショウコ

ソファーに寝転がっているアイとかなり大所帯だ

そんな彼らが居るのは、世界樹の街

イグシティのある大きな貸し部屋だった

この貸し部屋は黄昏の風が月更新で借りており、時々、攻略会議や情報交換の場として使っている

なお、居ないメンバー

エギルは経営している店が忙しい時間帯になるために、その営業に

ミズキは家族旅行に出掛けており、現在海外

ミナミは両親が不在のために、妹と家で過ごしている

となっている

そして、今居るメンバーが見ているのは、普段は遥か下のアルンを見渡せる窓に映っている映像

Mトモだ

そのMトモは今、ヨシアキが出ているGGOの最強プレイヤー決定戦

BOB本戦を映している

彼らがヨシアキが出ていることを知ったのは、リーファがMトモ電子新聞を定期購読していたからだ

そのMトモ電子新聞では、GGOの最強プレイヤー決定戦が特集として掲載されていたのだ

そして、本戦出場プレイヤーの中にヨシアキの名前を見つけたのだ

それをキリトに教えたところ、暇だった仲間達が全員集まったのである

 

「だけど問題は、あのバカの姿を知らないことだな」

 

サジの言葉に、全員が頷いた

リーファが見ていた新聞には、名前は掲載されていても、写真は掲載されていなかったのだ

だから、今の少女みたいな見た目のヨシアキを知らない

幸いにも、戦闘中の映像には対戦中の二人の名前が表示されている

故に、もし名前が表示されたら、そのどちらかがヨシアキなのだが、そのヨシアキの名前が中々出ない

全員が今か今かと見ていた

その時

ユイが何かを思い出したように、アスナに近寄り

 

「ママ、一つ質問が有るんです」

 

とアスナに問い掛けた

 

「なあに、ユイちゃん?」

 

そんなユイに、アスナは笑顔を向けた

 

「ママは、鬼嫁なのですか?」

 

ユイがその質問をした瞬間、その場に居た全員は音をたてて固まった

キリトに至っては、飲んでた茶を噴き出した

アスナは再起動を果すと、キリトを見た

キリトは飲んでたカップを置いた

それを見たアスナは、微笑みを浮かべて

 

「ねえ、ユイちゃん。それ言ってたのは、誰かな?」

 

と問い掛けながら、左手を高速で動かしている

キリトはこの時、ドアの方に一歩踏み出していた

他のメンバーは、キリトからドア、アスナからキリトの間に居たのは逃げた

 

「パパです!」

 

ダッ! ⬅ドアを開けて、キリトが逃げ出した音

ゴッ! ⬅細剣を抜きながら、アスナがキリトを追いかけた音

 

キリトの命懸けの逃走が始まった

しかし、足の早さでアスナに勝てる訳がなく

 

「待って! 待って! アスナ! あれは、たまたまテレビを見てたら問い掛けられて、例えで言っただけで!? あ、待ってお願い! 無言で刺さないで!?」

 

と、キリトの悲鳴が響き渡った

 

「アスナのあの剣、アタシの最高傑作の一つなんだけどなぁ……」

 

キリトの悲鳴を聞いて、リズベットはそう呟きながら茶を啜った

訳が分からないのか、ユイはキョロキョロとしていたが、それをフィリアは優しく撫でた

古い付き合いのメンバーは慣れたもので、キリトの惨状はスルーだ

なお、仲間内でアスナは抜刀妻と呼ばれている

すると、ある一つの戦闘映像を見ていたサジが

 

「お、あいつ凄い避けかたしたな」

 

と指差した

するとシリカが、見えづらかったからかサジが指差した映像を拡大した

拡大された映像を見て、全員は軽く驚いていた

なにせ、飛んでくる銃弾を白地を基調とした防具を着けたプレイヤーがワイヤーアクションで避けていたからだ

するとユイが

 

「GGOには、特定の職業(ジョブ)というのは存在しません。変わりに、多種多様なスキルが存在し、それを取得することでその人専用の戦闘スタイルが構成されます」

 

と説明した

ユイの説明を聞いて、全員は納得したように頷いた

そしてユイの説明を聞いてる間に、さっきのプレイヤーが相手を轟音を伴って銃撃

倒した

 

「しかし、銃での戦いか……物心付いた頃から刀を握っていたしな……よく分からん」

 

と言ったのは、ユーヤである

ユーヤの実家は古くから続く剣術の家柄で、ユーヤ自身もその影響で刀の扱いに精通している

それに同意するように、フブキも頷いた

フブキの実家は剣道場を営んでいて、かなり若いが師範代を勤めている

二人はALOでは魔法剣士として活躍しているが、もっぱら刀での戦闘が中心だ

 

「まあ、日本じゃあ実銃なんて中々見ないからなあ」

 

と同意するように言ったのは、ツユカだ

ツユカは槍での戦いを中心としており、遠距離の相手を苦手としている

そして、アスナがキリトを引きずって戻ってきた

その時だった

画面に映っていたあのプレイヤーが、突然倒れた

 

「なんだ?」

 

「んー? ………あ、あいつの体、なんかスパークしてない?」

 

クラインが疑問の声を上げると、アイが倒れたプレイヤーを指差した

確かによく見れば、青白いエフェクトが走っている

それに気付いたクラインは、渋面を浮かべて

 

「まるで、風の弱体化魔法(デバフ)みたいだな。俺ぁ、あれ苦手なんだよな」

 

と愚直った

それを聞いて、リズベットが

 

「あんた、あれだけじゃなくって、弱体化魔法(デバフ)全部ダメじゃない。抗魔法(レジスト)スキル上げなさいよね」

 

と言った

すると、クラインは

 

「魔の字が付くのを、侍は取っちゃならねえ!」

 

と力説した

それに全員が呆れていると、画面が拡大された

そして端に映ったのは、ボロボロのギリーマントを着たプレイヤーだった

その滑るような足取りはまるで、幽霊を彷彿させる姿だった

その姿に、全員が言い知れぬ不安を覚えた

そして、倒れているプレイヤーの間近に来るとそのプレイヤーは懐から一丁の拳銃を取り出した

それを見て、全員は疑問を覚えた

なにせ、そのプレイヤーの背中には、一丁の巨大なライフルがあったからだ

どう見ても、そのライフルの方が攻撃力は高いはずだ

そのプレイヤーは拳銃のスライドを引くと、右手で狙いを定めてから左手の人差し指と中指を自身の額に当てると下に下ろして、今度は右肩に当ててから左に動かした

それは所謂、十字を切るという仕草だった

プリエルもよくやる、キリスト教の信者等がやるものだ

 

「なに、パフォーマンス?」

 

「もしくは、あいつが敬虔なキリスト教の信者なのかのう?」

 

リズベットの言葉にヒデはそう言った

その直後、そのプレイヤーは大きく身を反らした

 

「……なんだ?」

 

とムッツが首を傾げた直後、一発の銃弾がさっきまで頭が有った場所を通過した

つまり、銃撃に気づいて避けたのである

 

「今のが、弾道予測線か」

 

「だと思います」

 

キリトの言葉にユイが返答した

その直後、ギリーマントは倒れていたプレイヤーを撃った

しかし、撃ったのは一発だけ

しかも、大したダメージは無しだ

何がしたいのか、全く分からなかった

そうこうしている内に、スタン効果が切れて、倒れていたプレイヤーは落とした銃を拾って相手に向けた

それを見て、誰もが逆転を予期した

しかし、銃声は鳴らなかった

なぜならば、そのプレイヤーが向けた銃を落としたからだ

しかも、胸元を両手で掻き抱きながら、苦しそうに悶えている

 

「なんだ………?」

 

サジが僅かに腰を上げた直後、そのプレイヤーのアバターは回線切断という文字を残して消えた

全員が訳が分からず固まっていると、ギリーマントのプレイヤーがカメラに向かって拳銃を構えた

そのプレイヤーからのプレッシャーも相まって、本当に銃撃されそうな感じだった

全員が身構えた

すると、そのギリーマントのプレイヤーは

 

「まだ、終わりじゃ、ない……終わって、ない……この銃と俺の名前は、死銃(デス・ガン)……この本物の力で、全てを終わらせる……イッツ・ショウ・タイム……!」

 

と言った

これが、ヨシアキが関わっている事件を知る切っ掛けになる

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