題名は、僕と戦極姫と召喚獣です!
そのために、亀更新になりそうですが、許してください!
がんばって書きますので!
ヨシアキ達は、迷宮区から出て森を歩いていた
「しかし、疲れたのう……」
「そうだな……」
「………そうだな」
「まあまあ、帰ったらご飯作るから、皆頑張って!」
ヨシアキの言葉を聞いたムッツ、ヒデ、サジの3人は頷いて、歩く速度を速めた
すると
「……待て」
ムッツが手を挙げた
「どうしたの?」
「…モンスターが居る」
「どこ?」
ヨシアキが聞くと、ムッツは無言で指差した
ヨシアキは指の先の茂みを、無言で見つめた
(それほど大きくないな……)
とヨシアキが見ていると、自動でモンスターにカーソルが重なって名前が浮かび上がった
ヨシアキ達はその名前を見て、息をのんだ
「ラグーラビットじゃと!?」
「おいおい、S級のレアモンスターじゃねーか!」
「……初めて見た!」
「僕もだよ……」
すると、ムッツが両手にダガーを構えて走ろうとするが
「待って、ムッツ。ラグーラビットは、既存のモンスターの中じゃ最速のモンスターだよ。接近戦は無理だよ」
ヨシアキが片手で制した
「だったらどうするのじゃ?」
「僕に任せてよ」
ヒデが聞くと、ヨシアキは微笑んで左手を腰に伸ばした
そして、腰のベルトからピック状の剣を抜いて構えた
すると、オレンジ色のエフェクトフラッシュが剣に帯びて
次の瞬間
ヨシアキの限界まで鍛えた投剣スキルと、レベルによって上げられた速さによって、まるで飛矢のごとく投剣はラグーラビットに向けて飛んでいき………
甲高い鳴き声の直後に、砕けるエフェクトがきらめいた
ヨシアキは急いで右手を振って、新規獲得アイテム欄を開いた
そして、一番上には
<ラグーラビットの肉>の文字が新しく刻まれていた
それを見たヨシアキは、左手の親指を立てた
すると
「「「よっしゃーーー!(やったのじゃ!)」」」
と、3人は大喜びした
ラグーラビットは獲得経験値が高いわけでもなく、取り立てて強いわけでもない
その肉が大変美味なのだ
この隔絶された世界、<ソードアート・オンライン>は娯楽がほとんど無い
そして、数少ない娯楽が食事なのだ
ラグーラビットの肉はその中でも、最高ランクの食材に位置づけられている
ただ、その入手困難度ゆえにほとんどのプレイヤーは手に入られなくて、もし売りに出したら10万コルもくだらない
と、言われてるのだ
「よし! それじゃあ、まずは今日手に入れたアイテムを売りに行こうか!」
ヨシアキが言うと全員頷いて
「それじゃあ、売るのはエギル殿の店かのう」
「うん、それじゃあ、早く行くために、転移結晶を使おうっか」
と言って、ヨシアキは腰のパックから青い結晶を取り出した
この魔法の要素がほとんど排除された世界での、唯一のマジックアイテム
それが、結晶アイテムだ
色によって効果が変わり、青は瞬間転移、ピンクはHP回復、緑は解毒、という様になっている
ヨシアキは近くの仲間が全員、転移結晶を出したのを確認すると
「転移! アルゲード!」
と、声高に叫んだ
すると沢山の鈴が鳴ったような美しい音色と共に、ヨシアキの手の中の青い結晶が砕けた
同時にヨシアキ達の体が青い光に包まれた
そして、ヨシアキ達が着いたのは
第50層主街区<アルゲード>の中央広場、転移門の前だった
ヨシアキ達の背後には、高さ5メートルはある金属製のゲートがそびえ立っていて、ゲートの内部は蜃気楼の様に揺らいでいる
ヨシアキ達の周囲には、数多くのプレイヤー達が歩いている
今からダンジョンに向かう者、帰ってきて眠る者
そして、広場から四方八方に伸びている道に出ている店で、武器やアイテムを買っているもの達がひしめいている
ヨシアキは、そんなアルゲードが好きだった
理由は、かつて、友人達と行った歓楽街に雰囲気が似ているからだ
そして、このアルゲードを一言で表すと
猥雑《わいざつ》の一言に尽きる
この町は複雑に道が入り組んでおり、道に迷ったプレイヤーが数日間出てこれなくなる
という話がキリがないのである
まあ、路上に居るNPCにお金を払えば、道案内をしてくれるが
閑話休題
ヨシアキ達は、目的地に向けて歩き出した
すると、目的地の入り口に、見慣れた服装を着た二人の男達が立っていた
「あれは、KOBの団員じゃねーか」
KOBとは、血盟騎士団の略称である
血盟騎士団は、SAOでは最強ギルドとして名高い
理由としては、全員がハイクラスのプレイヤーであるのと、リーダーがとてつもないカリスマ性を有しているのだ
「うーん、あれは多分護衛だね……まぁ、どうせ行くし」
とヨシアキは、そのまま進み
「はい、ごめんなさいよ~」
と、2人の騎士を押しのけて中に入った。すると
「っだよ、マジかよ~!」
と、鷲頭の黒人。エギルがサメザメと泣いていた
そして、店内にはヨシアキ達にとって見慣れた姿があった
「やっほ、キリトにアスナちゃん」
ヨシアキは店内に居た2人、キリトとアスナに挨拶した
「あ、ヨシアキさん!」
「ヨシアキか」
「で、エギルさんはどうしたの?」
ヨシアキは、サメザメと泣いてるエギルに視線を向けた
「キリトがよう……ラグーラビットの肉を手に入れたんだよう……」
エギルは俯いたまま、呟いた
「あ、キリトもなんだ。実は僕達もなんだ」
ヨシアキはアイテムウィンドウを開いて、キリトたちに見せた
「うわっ! 本当だ!」
「運が良いな」
「……で、ヨシアキ達はなんだ?」
エギルは涙目で、顔を向けた
「あ、うん。まずはアイテムを売りたいのと、ついでだし……キリトにアスナちゃん、それにエギルさん。一緒にご飯食べない?」
「え?」
「は?」
「マジか!?」
「うん、大勢で食べたほうが楽しいしね」
ヨシアキの言葉に、3人は数瞬考えると
「俺はいいぜ」
「俺もだ!」
「うーん、それじゃあ、私も行こうかな~」
と、アスナが言った瞬間だった
「アスナ様! この様なスラム街に来るだけじゃ飽き足らず、このような身元不明者の家に行こうなどと!」
入り口に立っていた護衛の一人、痩せこけた男がわめいた
「言葉を控えなさい、クラディール! 彼は私の知り合いだし、それに貴方よりもレベルは10は上よ!」
「なっ! この私が、こんなどこぞの馬の骨に劣るなど………そうか、てめぇ! ビーターだな! そこのお前も!!」
クラディールはヨシアキとキリトの2人を見ながら、わめいた
「そうだよ」
「……ああ」
ヨシアキとキリトの二人が返事をすると
「アスナ様! こいつらは、自分さえ良ければ他の奴はどうなっても良いという人でなし共ですぞ!」
クラディールがヨシアキとキリトの2人を指差しながら、わめくと
クラディールの首筋に、刃が突きつけられた
「お主、今の発言を取り消せ」
「どうやら、てめぇはアスナの信者かなにかのようだが、てめぇよりは数百倍マシだぜ?」
「………俺達のギルドリーダーを侮辱するな!」
3人は怒りを露に、刃を突きつけている
「ぎ、ギルドリーダーだと!?」
「そうよ、クラディール。ギルド<黄昏の風>は知ってるでしょ?」
「な、攻略系何でも屋ギルドの黄昏の風!? このビーターが!?」
彼が言っているビーターとは
それは、ベータ版テスターとチートをしているチーターをかけて生まれた言葉で、ベータ版テスター上がりのプレイヤーにとっての蔑称となっている
そして、ヨシアキとキリトの2人は、そのベータ版テスター上がりなのだ
「ともかく。私はここから直接、彼らのギルドホームと私の家がある61層<セルムブルグ>に向かいます! ですから、護衛はここで結構です」
「やれやれ、俺の店でイザコザは勘弁してくれよ? あ、ヨシアキ。これでどうだ?」
鑑定が終わったのだろう
エギルは、ウィンドウをヨシアキに見せながら、ため息を吐いた
「あ、うん。十分です」
ヨシアキは金額を確認すると、ボタンを押して、金とトレードした
すると、エギルは別のウインドウを出して操作した
そうすると、店内の棚が収納され、照明も暗くなった
「はいはい。今日は店じまいだ」
エギルは操作し終わると、手を叩いた
「ともかく、副団長として命じます。今日の護衛はここで十分です」
アスナはそう言うと、護衛の2人を置いて歩き出した
「おいおい、いいのか?」
少し歩くと、アスナの横を歩いていたキリトが問い掛けた
「いいのよ。ギルドの方針だかなんだか知らないけど護衛はやり過ぎよ。確かに以前、少し嫌な事はあったけどね」
アスナは辟易した様子で、キリトに言った
この時ヨシアキは、今から、2年前のこのデスゲーム
ソードアート・オンラインが始まった日の事を思い出していた
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
2022年 11月6日
アインクラッド第1層 東の草原
「ぜりゃぁぁ! ってあれ!? たったった、うぉ!?」
奇声を上げながら倒れたのは、逆立った赤髪が特徴の偉丈夫の男である
「ははっ、そうじゃないよ。1、2、3じゃあできないよ」
笑いながら忠告しているのは、ポニーテールにした茶髪に優男と言っていい顔のヨシアキだ
「うーむ、なかなか難しいな」
赤髪偉丈夫の男、サジは立ち上がりながら頭を掻いている
どうしてこんな状況になっているのか
それは、今から約4時間程前のことだ
「また来たんだ……この世界に」
ヨシアキは、自分であって自分じゃない手を見ながら呟いた
そしてヨシアキは、武器屋に行こうと走り出した
すると
「おい! そこのあんた」
と、肩を掴まれた
ヨシアキはいぶかしむように振り向いた
そこには、赤髪の偉丈夫が居た
「なんですか?」
「その迷いの無い動き。あんた、ベータ版のテスターだろ?」
「うん。そうだけど………」
「だったら、俺にコツを教えてくれ!」
男は、両手を合わせて頭を下げた
「別にいいですよ」
「おお! あんがと! 俺の名前はサジだ。よろしくな」
「僕の名前はヨシアキと言います。こちらこそ、よろしくお願いします」
そうして、2人は大きな門をくぐって外に出た
そして、時は戻って
「それじゃあ、手本を見せるから見ててください」
そう言うと、ヨシアキは腰から片手剣を抜いて構えた
すると、剣をオレンジ色のエフェクトフラッシュが包み込んだ
その瞬間
「ふっ!」
ヨシアキは短い呼気と共に、剣を振った
すると、剣の一撃が当たりイノシシのHPが一気に黄色まで減った
「とまぁ、こんな感じだね。技が発動すると後はシステムが勝手に当ててくれるから」
ヨシアキは、剣を肩に当てながら言った
「そうは言ってもなー………よっし、やってみっか!」
サジは数瞬眼を瞑ると、膝を叩いて立ち上がった
そして、右手に持っていた剣を肩の高さで構えると
オレンジ色のエフェクトフラッシュが刀身を包んで
「おらぁ!」
サジが剣を振るうと見事に剣が当たり、イノシシは消滅した
「お見事! まぁ、今のモンスターは大体スライム程度なんだけどね」
「あー、やっぱりか」
「で、感想は?」
「ああ、こいつは面白れぇ!」
サジは剣を目の前に持ち上げながら、獰猛な笑みを浮かべた
「それは良かったよ」
「しかし、未だに信じられないぜ。この光景がゲームなんてよ」
草原に座り込むサジと立っているヨシアキの視界には、悠久の草原に赤く染まる空が見えている
その景色は現実と遜色無い
誰がゲームと信じられるだろうか
「そうだね、僕も最初は信じられなかったよ」
「技術の進歩様々だな」
サジはそう言うと、勢いをつけて立ち上がった
「さてっと、俺はそろそろ1回落ちるが……あんたはどうすんだ?」
「僕はもう少し居るよ」
「そうか。あ、フレンド登録しないか? こまめに連絡取りたいしな」
「うん、いいよ」
そう言うと2人はウィンドウを操作して、お互いをフレンド登録した
「さてと、俺はログアウトするか」
サジはそう言いながら、再びウィンドウを操作し始めた
が
「あれ? ログアウトボタンがねぇぞ?」
「え? なに言ってるの?」
「いや、マジだって。あんたも見てみろよ」
サジに言われて、ヨシアキもウインドウを開いた
そして、ログアウトボタンの位置を見た
しかし
「本当だ。無い」
本来、ログアウトボタンがあるべき場所には、ただただ空白のみ
「なんだこりゃ? バグか?」
「そうかもね、サービス開始したばっかりだから、なんらかのバグが出てもおかしくないよ」
そう言いながらヨシアキは、草原に座り込んだ
「こりゃ、サービス回線は飽和状態かもな。ログアウトが出来ないなんて、致命的だぜ?」
「そうだね」
そしてしばらくの間、ヨシアキはサジにいろいろとレクチャーして時を過ごすが………
「いくらなんでも、遅すぎるぜ」
「そうだね。アーガスらしくないな……」
このゲーム<ソードアート・オンライン>の開発元
アーガス社は、顧客へのサービスをモットーとしており、それが理由でわずか数年でトップ企業にまで上り詰めたのだ
「なぁ、ログアウトって、他には方法はないのか?」
「うーん……ないね。さっきのログアウトボタンのみだよ」
「マジかよ………どうすっかな。今日は母さん居ないから、俺がメシを作らないといけないのに」
「あ、君も料理するんだ」
「ああ、必要に迫られてな………」
ヨシアキからの質問に、サジは目を細めて遠くを見つめた
「なんかわからないけど、お疲れ」
ヨシアキは労りからか、優しく肩に手を置いた
この時、2人はまだ気付いてなかった
今ログインしているゲーム<ソードアート・オンライン>が
文字通り、命を賭けたデスゲームになっていたことに………