翌日、アスナはリズベットの案内で絶剣が辻デュエルする場所に来ていた
そこに見えたのは、かなりの人だかりだった
「あれ?」
「そうよ」
アスナの問い掛けにリズベットは頷いた
その直後、人だかりが一気に賑わった
「おお、また勝った!」
「これで、二十人抜きだぞ!?」
どうやら、絶剣が勝ったらしい
その歓声を聞いて、アスナは
「どんな人なんだろう?」
と思った
すると
「はい、またボクの勝ちだね!」
と可愛らしい声が聞こえて、アスナは初めて絶剣の姿を視認した
それは、インプにしては小柄な可愛らしい少女だった
「ちょっと、リズ! 絶剣って、女の子なの!?」
「あれ、言ってなかった? そうよ?」
アスナが抗議すると、リズベットはキョトンとしながらそう言った
すると、その絶剣は新たな挑戦者と戦い始めた
その動きは、凄まじいの一言だった
剣筋もだが、体の動きが他のプレイヤーとは段違いだった
なんと、SSを紙一重で回避した
そして、SS使用による技後硬直で隙だらけになった相手に基本的だがSSを叩き込んで勝利した
「どう、アスナ?」
「確かに、強い……」
リズベットからの問い掛けに、アスナは端的にだがそう答えた
特に、体の動きはアスナでも凄いと思えた程だ
そして絶剣は、ゆっくりと着地すると
「どうもどうも! 次の挑戦者は居ませんかぁ!?」
と回りながら問い掛けた
それに、殆どが尻込みしていると
「ほら、アスナ。行きなさいよ」
とリズベットがアスナの背中を押した
いきなり押されたために、アスナは絶剣の前に出てしまった
それを見て、絶剣は
「お、次はお姉さん? いいよ?」
と微笑んだ
戦うつもりの無かったアスナは、一瞬押したリズベットを恨めしげに見てから
「私が行きます」
と言って、絶剣の前に立った
絶剣は笑みを浮かべたまま頷くと
「OK、いいよ。ルールはどうする? アリアリ?」
とアスナに問い掛けた
アリアリというのは、羽と魔法の使用に関してである
アスナは一瞬で
「ナシナシで」
と答えて、腰に愛剣を装備した
それを聞いて、絶剣は
「ん、了解。あ、アイテムは好きに使っていいよ。ボクは使うつもりは無いから」
と言いながら、背中の羽を消した
なぜ、魔法と羽を使わないのか
それは、絶剣の剣と体の動きが高かったからだ
アスナは今のメンバーの中ではかなりの魔法使いだが、本職はやはり剣なのだ
だから、剣のみで戦うことにしたのだ
するとアスナの目の前に、ウィンドウが開いた
そこには
《ユウキからデュエルを申し込まれました。承諾しますか?》
と書かれていた
それを見て、アスナは
(あの子、ユウキって言うのね)
と思いながら、承諾を示す○ボタンを押した
すると二人の間で、カウントダウンが始まった
それを見ながら、アスナと絶剣
ユウキは、それぞれ剣を抜いた
アスナは、リズベット作の幻想級の細剣
それに対してユウキは、細剣と見違いそうな細い片手直剣だった
(戦闘スタイルは、私と同じような速さ重視……)
アスナがそう思っている間にも、カウントダウンは進む
そして、0になった
それと同時に、アスナは一気に肉薄
剣を突きだした
しかしその一撃を、ユウキはまるで独楽のように体を回転させて回避
その勢いのまま、アスナの頭を狙って横凪ぎに剣を振るった
その一撃を、アスナは伏せるように回避
ユウキの胸部を狙い、細剣を突きだした
しかし、その一撃もユウキは引き戻した剣でパリイした
アスナはその一撃の力を利用して、バックステップ
距離を取った
この間、僅か二秒
あっという間の攻防に、観衆は沸き立つような歓声を上げた
しかし、その声は二人の耳には入っていなかった
すると、ユウキが
「アスナ、強いね……」
と呟いた
それを聞いたアスナは
「ユウキこそ」
と答えた
次の瞬間、二人は同時に飛び出して激突した
今度は、ユウキが先手を取った
ユウキは剣を袈裟懸けに振り下ろした
アスナはそれを、最低限の軌道変更と体の動きで回避した
その直後、アスナは拳をユウキの体に叩き込んだ
実はアスナは、滅多に使わないが体術スキルを修得していたのだ
しかし、熟練度はキリトやヨシアキ、ケイト程ではないので補助にしか使えない
だが、アスナにはそれで十分だった
アスナの拳撃を受けて、ユウキの体は僅かに硬直
その隙を突いて、アスナはSSリニアーを叩き込んだ
リニアーは細剣用SSの本当に最初のSSだが、アスナはそのリニアーに全幅の信頼を覚えていた
そして、アスナの放ったリニアーはユウキに直撃
ユウキのHPを、この試合が始まって初めて減らした
その直後、今度はユウキがSSを発動した
それは、片手直剣用SS
範囲攻撃、ホリゾンタルだった
流石に回避が間に合わず、アスナは直撃
互いに、HPを約三割程が減った
そして離れると、少しの間二人は止まった
緊張感からか、観衆の誰もが黙った
その時、ユウキが動いた
ユウキは最初のアスナと何ら変わらない速さでアスナに肉薄
SSを発動した
まず放たれたのは、右からの高速五連突き
そんなSS、アスナは知らない
(まさか、これが!?)
アスナが驚愕している間にも、SSは続く
今度は、左からだった
それまで受けたら、アスナのHPは間違いなく尽きる
だからアスナは、自身のOSSを発動した
五連突き、スターリィ・ティアーズ
それにより迎撃し、直撃は避けられた
しかし、僅かに当たってアスナのHPは危険域に入った
しかしまだ、ユウキのOSSは止まらない
トドメと言わんばかりに、剣が引き絞るように引かれた
狙いは、アスナの胸部
(間違いない……これが、11連撃の!)
驚愕しているアスナを他所に、最後の突きがアスナの胸部に放たれた