「先天性、白血病……」
「はい……木綿季君と蘭子は幼い頃から投薬治療を受けてきました……しかし、今から五年前に容態が悪化……ここに入院しています」
明日奈が呟くと、医師はそう言った
蘭子というのは、恐らくは姉だろう
実は先の攻略の時、木綿季は一度明日奈を姉ちゃんと呼んだことがあったのだ
そこから明日奈は、ユウキにはお姉さんが居るのかな?
と思っていた
「それで、お姉さんは……」
「蘭子君は……その時に亡くなりました」
明日奈の問い掛けに、医師はそう答えた
それを聞いて、明日奈は
(そうか……あれは、反射的に……)
と思った
その時
『あ、アスナ……本当に来てくれたんだ』
とユウキの声が聞こえた
「ユウキ!」
『凄いなあ、アバターそっくりなんだ……先生、隣の部屋のやつ、使わせてほしいな』
「……分かった」
ユウキの頼みを聞いて、医師は奥の部屋に続くドアを開けて
「この奥に、アミュスフィアがあります。使ってください」
と言った
それを聞いて、明日奈は
「ありがとうございます」
と言って、その部屋に入った
そして、置いてあったアミュスフィアにソフトと自分のメモリーカードを挿入
装着した
そして
「リンク・スタート!!」
と妖精の世界に飛んだ
そして妖精のアスナとなり、アスナは動き出した
今居たのは、22層のログハウスだった
アスナはログハウスから飛び出すと、ユウキと出会った巨木の場所に向かった
そして、到着すると
「やっぱり、来てくれたね。アスナ……」
とユウキが出迎えた
「ユウキ……」
「先生から聞いたよね……僕が重病患者だって」
ユウキの問い掛けに、アスナは頷いた
すると、ユウキは
「僕だけじゃないんだ……スリーピング・ナイツのメンバーは全員がそうなんだ」
と言った
そして、なぜ姿を消したのか語った
スリーピング・ナイツというのは、重病患者専用VR空間に集まったメンバーで編成されていた
最初のリーダーは、ユウキの姉のランで、メンバーは約10人居たらしい
しかし、一人また一人と病気で死亡
リーダーだったランも亡くなり、ユウキがリーダーを引き継いだ
しかし、今のメンバーの内二人が余命を宣告された
残り、半年も無かった
そこでユウキが発案したのが、スリーピング・ナイツの解散
そして、その解散前に自分達が居たという足跡を残すことだった
その舞台に選んだのが、ALOの階層攻略だった
1パーティーだけなら、黒鉄宮にその名前が刻まれるから
「だからね、アスナ……もう、会わないほうが……」
とユウキが言った
その時、アスナがユウキを抱き締めた
「アスナ……?」
「ユウキ……そんな寂しいこと言わないで……最後まで、一緒に居ようよ」
ユウキが困惑気に呼ぶと、アスナはそう言った
しかし、ユウキは
「だけど、僕達が居ても、何も……」
と呟いた
そこに
「違うよ、ユウキ」
と第三者の声が聞こえた
アスナとユウキが振り向くと、そこに居たのはヨシアキだった
「ヨシアキ君……」
「たまたま一人で居たら、アスナちゃんがログインしてることに気づいてね。もしかしたらって」
アスナが名前を呼ぶと、ヨシアキはそう言った
そして、ユウキに歩み寄り
「改めて、僕はギルド黄昏の風のリーダーのヨシアキ。よろしくね、ユウキ」
と自己紹介した
そして
「あのね、ユウキ……ユウキっていう存在は、僕達全員の中に居る」
と言った
それを聞いて、ユウキは
「どういう、こと?」
と問い掛けた
すると、ヨシアキは
「ユウキ……君は正しく、流星みたいな存在だ……そして君のことを、君に関わった全員が覚えてる……その全員が覚えてる限り、ユウキという存在は消えない……ひいては、君達が居たという証拠になる……スリーピング・ナイツ……眠れる騎士達が居たという証拠に……」
と言った
そして
「確かに、先はもう長くないかもしれない……だけどさ、最後まで頑張ろうよ。もしかしたら、奇跡が起きるかもしれない……飛びっきりの奇跡が」
と言った
「奇跡……」
「そう、奇跡……病気が治るっていう奇跡が……」
ヨシアキはそう言うと、ユウキの頭に手を置いて
「だからさ、一緒に走ろうよ。人生っていう道をさ」
と言った
すると、それに追随してアスナが
「ほら、一緒に居よう……ユウキ」
と言って、手を差し伸べた
それを見てユウキは、涙を流しながら
「うん……うん……」
と頷いて、アスナに抱き付いたのだった