二人は同時に、仮想の世界に行くためのキーワードを唱えた
そして最早見慣れた起動シークエンスが表示され、後は《アルヴヘイム・オンラインにようこそ》
という文章が表示されて、最後のログアウト地点に出る
そのはずだった
だが、上の文章が途中まで表示された時に一瞬ノイズが走り、その直後にガラスが割れるように表示が砕け散った
そして二人を、奇妙な浮遊感が襲った
「うわぁぁぁぁ!?」
「な、なんだぁぁぁぁ!?」
二人は悲鳴を上げながら、落下していった
そして数秒後、何処かの空の上に二人が現れた
それを確認した二人は、反射的に態勢を整えながら羽根を展開した
そのおかげで、なんとか地面に激突することは避けられた
そして二人は、ゆっくりと着地
周囲を見回した
「ここは……」
「どこかの……中立域かな?」
そこは、森林地帯だった
「ユウキ、見覚えは?」
「ボクは無いや……ヨシアキも?」
ユウキの問い掛けに、ヨシアキは首を左右に振って答えた
つまり、知らない場所だと言うことだ
そこで二人は、上を見上げた
そして、今居る場所が分かった
「ここは……」
「ニブルヘイムだ!」
そこは、ALOの中では高難易度フィールド
ニブルヘイムだった
気づかなかった理由は、以前とフィールドの状況が様変わりしていたからだ
以前は雪と氷、闇に覆われていたニブルヘイム
しかし、昨年末に起きた[
ただし、見た目が変わっても難易度は変わらず
邪神モンスターは、以前よりも穏やかになったタイプたる動物タイプに変わった
しかし、中には非常に好戦的なタイプも居る
そのタイプに見つかれば、幾ら二人とは言っても倒されてしまう
だから二人は、邪神モンスターに見つからないようにニブルヘイムを脱出しなければならない
「さぁて……これは、難しいぞぉ……」
「ボクも、ニブルヘイムは初めて来たよ……邪神モンスターって、そんなに強いの?」
ニブルヘイムに初めて来たユウキは、そうヨシアキに問い掛けた
すると、ヨシアキは
「フルレイドの部隊が半壊する可能性がある……って言えば、分かる?」
と言った
それを聞いたユウキは
「そんなに……?」
と驚愕していた
その後二人は、どうやって脱出するか考えるために、近くにあった朽ちた巨城跡に入った
そこで、脱出ルートを決めるためだ
「うん……ここなら、大丈夫そうかな?」
「だね……外からは見えないし」
二人は入念に壁が崩れてないか確認してから、その部屋に入った
どうやら、城内の鍛練場だったらしい
壁には、錆びた剣や槍
更に、朽ちた杖等が転がっていた
二人はその部屋の一角に腰を降ろし、会議をしようとした
その時だった
『……答えよ……』
と女性の声が聞こえた
それを聞いた二人は、一気に戦闘態勢に入った
そして、見つけた
鍛練場の奥
そこに、一人の女性が居た
全身に紫色のピッチリとしたスーツを纏い、その両手に紅い槍を持った美女が
二人はその女性に、視線を合わせた
そして表示された名前は《SKASAHA》
「……スカ……サハ……って、スカサハ!?」
「あの伝説の!?」
スカサハ
ケルト神話に出てくる伝説の大英勇、クーフーリンを鍛え上げたとされる女傑である
しかも、スカサハが居るのは影の国
あの世とこの世の狭間と言われる国で、スカサハはその国の女王であり、冥府に繋がる門の門番でもある
「我に答えよ……汝らは、我が試練を受けに来た者か?」
スカサハがそう言った直後、スカサハの頭上に?が浮かんだ
クエストの証拠だ
「ユウキ……ニブルヘイムでこんなクエストがあるって、知ってた?」
「ボクも知らなかった……」
ヨシアキの問い掛けに、ユウキは首を振った
二人が小声で会話していると、スカサハは
「我に勝てば、我が秘伝とこの槍を授けよう」
と両手に持っていた槍を掲げた
スカサハが持っていたとされるは、伝説の魔槍〈ゲイ・ボルク〉
個人相手に突き放てば、因果逆転
多人数相手に投げれば、無数に別れて流星雨の如く降り注ぐ
それが、ゲイ・ボルクだ
流石にその能力は使えないだろうが、ヨシアキは欲しくなった
一人のゲーマーとして
「ユウキ……」
「欲しいんでしょ? やろうよ」
ヨシアキの呼び掛けに、ユウキはそう答えた
それを聞いたヨシアキは
「やります!」
と言った
すると、スカサハが構えて
「条件は一つだ……我に勝ってみせよ」
と言った
そして、ヨシアキとユウキの視界に〈クエスト・スタート!〉
と表示されたのだった