ボクのお姉ちゃんはIS   作:衛人操縦士訓練生

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 お ま た せ


 いや、本当に遅くなりました。多分コレエタってんじゃね? とか思った方もいると思います。
 少しづつですけど頑張ってお話を進めていきますので、これからもよろしくです。


わりといそがしい感応者の一日 下

 お兄ちゃんに貸してもらった白式を展開したボクは、アリーナの真ん中で式お姉ちゃんとこれからどうしようかってお話しをしていた。

 

「さっきの鬼ごっこで体は温まってるし、変則機動から始めよっか!」

 

≪今3番から貰ったアスカの最新データと白式を同期してるから少し待って…………いいよ。ついでにアスカに合わせてハイパーセンサーの感度を上げたから、3番の時と同じ感じでいけるはず≫

 

 白式のハイパーセンサーに小さいノイズが走ったけどすぐに治まって、ほんのちょっとだけ遅かった反応がちょうど良くなった。

 

「うん、イイ感じだよ、ありがとね。じゃあ飛ぶよ!」

 

≪うん≫

 

 飛び上がるのと一緒にでっかいスラスターを思いっきり吹かすと、思ってたよりも勢いが強くてびっくりした。でもこれなら急な方向転換とか緊急回避とかもかなりやりやすいかも。

 

「まずは軽く瞬時加速(イグニッション・ブースト)からいくよ!」

 

≪わかった≫

 

 白式のスラスターは打鉄参式と違って非固定浮遊部位(アンロックユニット)だから、PICでスラスターノズルの向きをズラせば体は前を向いてるのに真横に急加速も出来るみたい。でもお兄ちゃんにはまだムリな動きだと思うけどね。

 

「あっ、そういえば白式の武器って剣だけなんだっけか」

 

 お兄ちゃんがセシリアさんと試合をした時に、近接ブレードしかないみたいなこと言ってたよね?

 

≪そう、この機体は『雪片弐型』しか武装を積んでいない≫

 

「打鉄参式はベクターキャノンがあるけどアリーナじゃ使えないから、ほとんど同じ感じだね。ここまで似たようなISなのって、何か理由でもあるのかな?」

 

≪今こそワタシの出番だな!? 話は聞かせてもらった!!≫

 

「!」

 

 突然大きな声で話し掛けられて少しびっくりしたよ……。えーと、説明好きなお姉ちゃんの1人だったっけ。たしかお姉ちゃんたちの間で呼ばれてた名前があったような……。

 

≪出たなキバヤシもどき!≫

 

 ……もどき? ま、いっか。それよりも教えてくれるみたいだし、黙ってよっと。

 

≪余計な前置きはいいからさっさとしやがれってんだ≫

≪うむ、それでは説明しよう! 白式とは、元々オリムライチカがISを扱えると判明した時点でお母様が造り上げた機体なのだ! そして白式を提供された倉持技研の研究者達が、自分達で白式を再現しようとしたモノが打鉄参式なのである! ……まあ結果は酷いモノだったのだがな! 白式と同等以上の機動力を再現しようとしたがあらゆる出力が高すぎてロクに扱えない! 同じく同等以上の火力を再現しようとしたがワンオフアビリティーまでは再現出来ずに、テンションの上がった頭のおかしい研究者が開発したベクターキャノンとかいうロマン武器を積む事になったのだ! んだもんで誰も扱えないピーキーな機体で、(サン)姉様が明日香と繋がって適切なリミッター掛けるまで放置されてたのさ! それで割を食った奴も居るんだが、今ンとこ問題ないだろう! 以上、説明終わりっ!!≫

 

 つまり、どっちも同じこんせぷとのISってことでいいのかな? ならボク専用になる前の打鉄参式の形が白式に似てたのも納得かな。それにしてもボクが(サン)お姉ちゃんと繋がって初めて動けるようになるなんて――

 

「運命感じちゃうよね!」

 

≪え、あ、ま、まあ、そうですねっ≫

≪おー、3番の姉貴が動揺するなんて、流石明日香だな≫

 

 だってそれ以外考えられないよ。もちろん(サン)お姉ちゃんだけじゃなくて、お姉ちゃんたち全員も、だけどね……っと、これ以上待たせちゃ式お姉ちゃんに悪いから戻んないと。

 

「さあ、今度こそ一緒に飛ぶよ!」

 

≪うん、一緒に気持ち良くなろう≫

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 今回はアリーナの中にお兄ちゃんたちが居たから音速は出せなかったけど、コレでもかってくらい飛び回って、へろへろになって動けなくなる前にお兄ちゃんに白式を返した後、休憩をはさんでからみんなでPICを使ったISの基本操縦の特訓をした。でもセシリアさんの説明は長くて分かり辛くて、セージカの演説を聞いてる気分になるし、箒さんの説明は『こう、クイッと』とか『ここはガッと』とか、分かる人にしか分からない感じだったんだけど、結局はお姉ちゃんたちの言った事をボクがみんなに言って解決したんだ。

 

 お兄ちゃんはとっても呑み込みが早くて、今日の特訓でスラスターに頼らないPICでの回避運動が形だけだけど出来るようになって、セシリアさんは雫お姉ちゃん曰く、『下地は十分に出来上がってるから、後はそれを鍛えていくだけ』らしいから、お兄ちゃんと一緒に回避運動の特訓をして、箒さんは元々剣道で体を鍛えていたからか、基礎的なISの動きはほとんどマスター出来ちゃったんだよね。

 

 それでアリーナの使用時間ギリギリまで特訓をしてから、みんなと一緒に食堂で晩ご飯を食べて部屋に戻った後、ボクはお兄ちゃんと一緒に千冬先生の部屋に向かった。あ、箒さんとセシリアさんは何かやる事があるって言ってたから一緒じゃないよ。

 

「ホントに俺も一緒に行っても良かったのか?」

「うん。お姉ちゃんたちがお兄ちゃんと一緒に行くべきだー、って言ってたからね」

 

 言いづらそうにしてたけど、お姉ちゃんたちはみんな揃って『行けば分かる』としか言わないし、そこまで隠し通すことじゃないんだと思ったから理由は聞かなかったんだよね。

 

 話をしてたら千冬先生の部屋の前に着いたから、ドアを叩く。確か、こうだっけ?

 

「ノックしてもしもお~~~し」

「…………(明日香の変なノリは今に始まった事じゃないし、ツッコまない方がいいんだろうな……)」

 

≪おい、このネタを教えたの誰だ≫

≪私だ≫

≪オマエノシワザダタノカ≫

 

 ……居ないのかな? 部屋の中からは千冬先生っぽい気配があるんだけど……。

 

「千冬姉ー、居ないのかー?」

 

 あ、何か落とす音が聞こえた。もしかして慌ててる?

 

「居るみたいだけど、何か忙しそうだね。手伝ってあげようよ」

「ん、そうだな……って勝手に入っていいのか?」

「もう開けちゃったよ」

 

 鍵も掛かってないし、せっかくの土曜日の夜に忙しそうにしてるのも大変だろうから、手伝うって理由なら許してくれるでしょ。

 

 開けたドアの先では、ジャージ姿でゴミ袋にゴミを投げ込んでる千冬先生が居た。

 

「こんばんは、千冬先生」

「あ、ああ……」

「千冬姉……」

 

 うなだれる千冬先生と、ちょっと残念な人を見る目のお兄ちゃん。ん……そうか!

 

「千冬先生って家事が出来ないんだね!」

「うっ……!」

「おおう……」

 

≪さすが明日香! おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!≫

≪そこにシビれる! あこがれるゥ!≫

≪憧れてどうすんだよッ!?≫

 

 お姉ちゃんたちが『行けば分かる』って言ってた意味が分かったよ。なら、ボクとお兄ちゃんが出来る事は……。

 

 あぁ!?

 

「もう! 燃えるゴミと燃えないゴミと缶、ビン、ペットボトルはちゃんと分別しないとダメだよ!」

「あ、ああ」

 

≪ぬへへ、怒られてやんのー≫

≪(私生活)だらしねぇな≫

≪その点明日香ってすげぇよな、家事は完璧だもん≫

 

 モノクルを人差し指で軽く2回叩いてお姉ちゃんたちの声に応えて、いつの間にか正座をして申し訳なさそうにしてる千冬先生を無視して部屋を見回すと、色々とダメダメなモノが目に入った。

 

「うわっ、しかもスーツも脱ぎっぱなし! お兄ちゃん!」

「おう、任せろ!」

 

 呼ぶだけでこれから何をするのか察してくれて助かるなぁ。さってと、いっちょやるぞぉ……の前に。

 

(サン)お姉ちゃん、『お願い』」

 

≪はい、私もですね!≫

 

 人手は多い方が早く終わるからね。でも式お姉ちゃんは体がおっきいから、頼むに頼めないんだけど。

 

「ほら、千冬先生も!」

「……分かった」

 

 色んなお話とかお礼とかは、部屋をキレイにしてからだね。

 

 それにしても…………。

 

「ここまで部屋を汚せるのって、ある意味才能だよね」

「くっ……」

 

≪さす明日。おれたちに(ry≫

≪最強も形無しやね≫

 

「い、言わないでやってくれ……。千冬姉は家事が出来な……苦手なんだよ」

「い、一夏ぁ……」

 

≪トドメ刺しよった!≫

≪まあ、実の弟にまでドストレートに言われちゃあな≫

 

 うん、出来ないなら仕方ないよね。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「よし、これでおしまい!」

 

 掃除を始めてから大体1時間。10袋にもなったゴミ袋の口を縛ってから部屋を見回すと、掃除前とは比べ物にならないくらいキレイになった部屋が目に入った。

 

『いやぁ、なんだか部屋が広く感じますね』

 

 よくよく見なくてもボクたちが使ってる部屋より広いのに、部屋が狭く感じてたのって…………うん、考えない方がいいかも。

 

「お兄ちゃん、白式を貸して?」

「ん、分かった」

「ありがと」

 

 受け取ってそのまま窓を開けて式お姉ちゃんに話し掛けようとしたら、式お姉ちゃんの方から話し掛けてきた。

 

≪……大体分かってる。動いてもいい?≫

 

「うん、『いいよ』」

 

 式お姉ちゃんは自由に動けるようになると同時に白式を起動して窓の外に浮かぶと、両手を差し出してきた。

 

「じゃあよろしく! 白式の指は尖ってるから、ゴミ袋を切らないように気を付けてね!」

 

≪ん≫

 

 そう言って指にゴミ袋を掛けていく。ゴミ袋の数が10袋で済んで良かったよ。まあそれ以上だった時は一緒に捨てに行けばいいだけの話だけどね。

 

「ゴミ捨て場の場所は分かる? ボクも付いて行く?」

 

≪場所は確認済み、アスカが付いてくる必要はない。行ってくる≫

 

「うん、いってらっしゃい」

 

≪オ、オカンや……。ここにオカンがおるで!!≫

≪新たな属性の開拓ね! 流石私達の明日香よ!≫

≪『明日香マジオカン!』≫

 

「そんなに褒めても何も出ないよ?」

 

 PICの飛行で音もなくゴミ捨てに行った式お姉ちゃんを見送って、掃除中あんまり話せなかったお姉ちゃんたちの声にちゃんと声で返す。

 

 だけど、ちょっと疲れちゃったな……。ゴミ屋敷って程じゃないけど、ビールの空き缶とか食べかけのおつまみ、脱ぎっぱなしのスーツやジャージでごちゃごちゃしててなかなか手ごわかったよ。

 

「ふぅ……」

「あー、その、なんだ……。か、感謝する。私はどうにも家事が、な……」

 

 ばつが悪そうな表情でお礼を言ってくる千冬先生。お兄ちゃんと同じ表情をしてるのを見ると、姉弟だってはっきりわかるね。

 

「あのね、別に毎日掃除する必要なんか無いんだよ。飲んだり食べたりしたのをちゃんと捨てたり、スーツだったらちゃんとハンガーに掛けたり、ジャージとかだったら洗濯物の籠に入れるだけでも、全然綺麗になるんだよ?」

「そうそう、キッチリしなくてもいいんだ。月1回で良ければ俺がやるし」

「それは分かるが、いやしかし……」

 

 別に素直に頷いてもいいと思うんだけど、何で悩んでるんだろ?

 

『あー、なんつーか、嫌なワケじゃねぇんだけど、素直に頷くのは大人(笑)としてのプライドが云々ってヤツか』

 

 うーん、分かるような、分からないような。考えるのも面倒だし、今日みたいに押しかけて掃除でいいんじゃないかな?

 

「いつ掃除するかなんて別に決めなくてもいいと思うよ? それよりも疲れちゃったから少し休もうよ」

「そうだな……あ、すぐそこに自販機あったし何か買ってくるよ」

「礼にもならんかもしれんが、私が出そう」

 

 千冬先生は財布を取り出そうとしたお兄ちゃんを止めて、自分の財布からお金を渡す。

 

「白式はすぐに戻ってくるだろうし、明日香はここで千冬姉と待っててくれ。んじゃ行ってくる!」

「いってらっしゃーい」

 

 今度はお兄ちゃんを見送ってからソファに座ると、すっごく眠くなってきた。

 

 あれ? そんなに疲れてなかったハズなんだけどな……。

 

「午前は実験、午後はISの訓練と忙しかったのに、掃除までさせてしまったのだから無理もない。そのまま眠りなさい」

「うん……おやすみ、なさい……」

 

 教室じゃ聞いた事がないとってもやさしそうな千冬先生の声が聞こえてきて、それがなんだかとっても心地よくて、ボクはその声に感覚を預けるように意識を手放した。




 この小説を書き始めた当初はノープロットで書いていたのですが、さすがにプロット無しはアカンのでは? と思って、簡単なプロットを作りました。

 その中で今後の展開を考えてた結果いくつか却下された展開があるのですが、勿体無いなぁと思うので、いつになるかは分からないんですけど、番外編的な形で書いてみようかなと思います。

 却下された展開
①シリアスなんて無かった!? 明日香まさかのアイドルデビュー! 愛の奴隷と書いてアイドルと読むキン!(懐)

②自重なんてくだらねぇ!? スーパーIS大戦勃発! ネタに塗れたロマン機体が戦場を駆ける!(壊)
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