ボクのお姉ちゃんはIS   作:衛人操縦士訓練生

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初めてだらけの……

 白お姉ちゃんの居た所から飛び始めてから、30分くらい経ったのかな? 物凄いスピードで飛んでるのに、道路を走ってる車のナンバープレートまで見えちゃうなんて……。

 

「ISって凄いね!!」

 

≪当たり前に決まってるでしょう? 私達はハイテク技術の塊なんだから!≫

≪ハイテクっておま、古すぎクソワロタw≫

≪こら! 明日香の前で汚い言葉を使うんじゃないよ!≫

≪フヒヒ、サーセン≫

≪こらぁっ!≫

 

「あはははっ! 楽しーね!」

 

≪もう……楽しいのは分かるけど、はしゃぎ過ぎちゃ駄目よ? IS学園に着くまでは絶対安心とは言えないんだから≫

≪そうですわ。コアネットワークに顔を出さない危険なコアも居るんですから、気を付けるに越したことはありませんわ≫

 

「分かってるってば! でも、空を飛ぶのが気持ちいいんだもん!」

 

≪ふふっ、良いじゃないですか。私を身に纏ってるんですから、心配は要りませんよ≫

≪ですけど……≫

≪何かあったとしても、私が戦闘を行いますから。それに、私達を保護しようと動いてる組織があるみたいですし≫

≪はーい! 私のマスターが向かってるからね!≫

≪ね?≫

 

「危ない事はお姉ちゃんたちに任せてれば大丈夫って分かってるから、ボクは安心できるんだよ。ありがとね!」

 

≪もうっ、急にそんな事言われたら……恥ずかしいではありませんの≫

≪嬉しい事言ってくれるじゃないの≫

≪明日香は私達の大事な弟だからな! 姉が弟を守るのは当然さ!≫

 

 悲しい時、嬉しい時、悔しい時、楽しい時、いつもお姉ちゃんたちが居てくれたから、ボクは独りぼっちじゃなかったから……。お姉ちゃんたちがボクに勇気をくれたから、ボクはこうして笑っていられるんだよ!

 

「皆はボクの自慢のお姉ちゃんたちだもんね!」

 

 誰にも言わないけど、たとえ人じゃなくたってボクの大好きなお姉ちゃんだもん。だからボクは笑うんだ。お姉ちゃんたちにも笑っていてほしいから!

 

≪明日香さん、もう30分程でIS学園ですよ≫

 

「ホント!? やっとお姉ちゃんたちに会えるんだね!」

 

≪ですがその前に、厄介なのも現れてしまいましたね≫

≪邪悪な思想に染まってしまった、危険なコア……!≫

≪私達がサポート致します! お姉様は戦闘に集中して下さいまし!≫

≪任せます!≫

 

 ボクの前には、初めて襲われた時と同じようなISが居た。(サン)お姉ちゃんの体を通して頭に流れてくる情報を見ると……。

 

「えーと、コレ何て読むの? うち、てつ?」

 

≪第二世代量産型IS、打鉄(うちがね)です。特に目立ったカスタムはされて無いですね≫

 

「打鉄……。昔のお侍さんの鎧みたいだね!」

 

≪武士、ではなくって? ですがそのISコアと操縦者には、武士道の欠片も無いようですわね≫

≪卑劣極まりない悪鬼め! 我等の弟を利用しようなんざ、100年早いわ!≫

≪私が居る限り、明日香さんには危害を加える事を許しません!≫

 

「さあ、お姉さんの所へいらっしゃい? 悪い様にはしないから、ね?」

 

 何この人……? 背中に鳥肌が立つくらい、胸の辺りがざわざわする。この人もボクを襲おうとした人たちと同じ感じがする!

 

≪明日香タソ、私の言葉を繰り返すヨロシ≫

 

「う、うん……。や、『やめて! ボクに乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!!』ってえぇ!?」

 

≪あ、あ、明日香に何て事言わせるの!!??≫

≪ついカッとなってやった、今は満足している≫

≪よくやった、褒めて遣わす。今年のネタキタァッ!!≫

≪あ、な、た、た、ち!!≫

 

「何ですってぇ!? 優しくしてみりゃ馬鹿にしやがって!!」

「わ、お、怒った!」

 

 こういうのを煽り耐性皆無って言うんだっけ。

 

≪そりゃ怒るに決まってんだろ≫

≪まあ、そのおかげで少しは戦いやすくなるんじゃない?≫

≪怪我の功名、と言うヤツですナ≫

≪『お前が言うなっ!』≫

 

「あの男の操縦者が出て来てからは散々だ! 男がISに関わるなんて、許せる筈無いだろ! クソガキ、お前もそうだ! 手始めにお前を甚振った後、殺してやる!!」

 

 えぇ!? 何なのその滅茶苦茶な理由!? ボク何もしてないでしょ!

 

≪問答無用みたいですね。明日香さん、戦闘に入ります。舌を噛まない様に、口は閉じておいて下さいね≫

 

「わ、分かった……うぁ!?」

 

 返事をした瞬間に引っ張られる感じがしたと思ったら、打鉄を身に着けた女の人の真後ろに居た。

 

「ど、何処に行ったガキ……後ろっ!?」

 

 今度は声を上げないように口を閉じて歯を食いしばると、また引っ張られる感じがする。また女の人の真後ろ?

 

「馬鹿にすんのもいい加減にしろぉ!」

 

 女の人が刀を手に出して、ボクに向かって振り下ろしてきた。何故だか物凄くゆっくりに見えるし、全然怖くない。3回目の引っ張られる感じ。今度は女の人の真上。もう慣れたよ。

 

「馬鹿の1つ覚えみたいに後ろに……居ない!?」

 

≪明日香さん、利き手を前に出して下さい≫

 

 声は出さずに言われた通り左手を前に向ける。

 

≪高周波ブレード、展開≫

 

 ボクの左手に、女の人が持ってる刀よりも少し大きい刀が出てくる。この武器ってどこから出てるんだろう?

 

≪さあ、振りかぶって!≫

 

 剣道みたいに両手で持って、振り上げる。大上段の構えってヤツ? 次に動くと、女の人の真後ろに居た。

 

「今だっ!」

「なっ!? キャアァァァァ!?」

 

 手とかに当てるのはいくらなんでも駄目だと思ったから、肩の所に浮いてるヤツを切る。バターみたいに柔らかい! 女の人の反応が遅いから、反対のも切っちゃお。

 

≪流石です。ですが、ショルダーアーマーではなく、本体を切っても良かったんですよ?≫

 

「えぇ……? 人は切りたくないよ……。だって切られたら痛いでしょ?」

 

≪お姉様、諦めて下さいまし。これが明日香なのですから≫

≪そうそう、お人好しなのが明日香の魅力の一つなんだからさ≫

≪……なるほど、また1つ明日香さんについて知る事が出来ました。感謝します≫

 

「な、何なんだよお前はぁ!? ISを動かしたのってこれが初めてなんだろ!?」

 

≪明日香さん、私の言葉を繰り返して下さい。大丈夫、変な事を言わせるつもりはありませんから≫

 

「うん。『何か勘違いをしているようですが、ボクはISを動かしているのではありません。ISと一心同体になっているのです。貴方みたいな三流操縦士と一緒にしないで下さい』。これでいいんだね?」

「な、な、ふざけるなっ! 何が一心同体だ! ISは道具に決まってるだろうが! ISに心なんてある筈無いだろ、馬鹿め!」

 

 ……は?

 

「……今、何て言ったの?」

「あ? お前こそ何か勘違いしてるみたいだから、何度でも言ってやるよ。ISは道具! 男よりも優れた女の道具であればいいんだよ! そんな道具に心なんか必要無いだろ。違うか?」

 

 この人は何て言った? ISは道具? 権力の為の道具? ボクのお姉ちゃんたちが…………要らない?

 

「許さない……!!」

 

≪あ、明日香!? 落ち着いて!?≫

≪あー、まあ、あれだ。私達の事を貶されたりするとこうなるワケだ≫

≪俺達的には嬉しいけど、短所っちゃあ短所だよな≫

≪……分かりました。明日香さん、切るならここを≫

 

 手首と足首?

 

「分かった。……遅い」

「あ、あ、ああああああ!!??」

 

 近付いても反応しないから、(サン)お姉ちゃんの言った通りにISの大きな手と足を切り落とす。……何でそんな顔をするの? まるでおばけを見たような顔だね。

 

「あはっ!」

「ヒッ!?」

 

 頭の中に入ってきた情報を見て分かったけど、ISにはシールドエネルギーっていうのがあるみたいだし、生身は傷つかないんでしょ? なら、ボクとお姉ちゃんの強さを、もっともっと思い知らせてあげないとね!

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 どんな手段を使ったのかは不明であるが『刈内明日香』君が倉持技研へ侵入、ISを強奪しIS学園の方向へ向かっているという報告を得て進路上に待機していると、今度は所属不明IS同士の戦闘が海上で発生したとの報告が入り、件の彼だと判断した私はIS学園の教師2人を連れて現場に向かった。

 現場に到着する頃には戦闘が終わっていて、間に合わなかったかと私は後悔の念に駆られた。しかし、その場に居たのは撃墜された彼ではなく、逆に襲撃者を撃墜した彼だった。

 

「やったね、(サン)お姉ちゃん!」

 

 様子がおかしい。通信手段であるオープン・チャネルやプライベート・チャネルを使っている訳でも無いのに、虚空に向かって話し掛けている。……まさかこれが感応ってヤツなの? 様子を窺っていると、彼が笑顔で私を見た。彼の嗤った顔を見た瞬間悪寒が走り無意識に後ろに下がると、数舜前に私が居た場所を彼が手に持った近接用ブレードで薙ぎ払っていた。

 

「お姉さんも、ボクの敵だね。……え、違う? だってこの人も武器持ってるよ? だったら倒さなきゃ! IS学園に行かなきゃいけないんだよ?」

「ま、待って! 私はIS学園の生徒よ! 貴方を迎えに来たの!!」

 

 私の言葉を聞いて少し大人しくなった彼は、確認する様に聞いてくる。

 

「IS学園の……? ……あっ、(きり)お姉ちゃん!?」

「き、霧?」

「あ、えと、その……ごめんなさい! 迎えに来てくれたのに、そこの人と同じ敵だと思って切りかかっちゃって……」

 

 ……ふう、誤解は解けたみたいね。手に持ったブレードを消して、申し訳なさそうに近寄ってくる。可愛い……じゃなくて、とにかく保護しないと。ついでに海面に浮かんでいる所属不明のIS操縦者も……っ!?

 

「か、刈内君……」

「明日香でいいよっ」

「私は更識楯無(さらしきたてなし)よ、気軽に名前で呼んでね。それで明日香君……そこに浮かんでいるのって……」

「ああ、その人? 変な事言ってたから切ったんだ! だってISに心は要らないって言ってたんだよ? おかしいよね、ISはボクのお姉ちゃんなのにね!」

 

 この子はやっぱりISと……! それにしても、この女性の状態は酷いわね。涙と鼻水と海水で顔はぐちゃぐちゃ、ISは破壊されつくして待機状態にすら戻れていない。壊れた様な空しい笑い声がどれだけ一方的な戦いだったかを物語ってる。……ホント、彼が止まってくれて良かったわ。

 

「さあ、IS学園に行きましょう? そこの女性の回収、お願いします」

「うん!」

「分かりました」

 

 元気に笑う彼と、一瞬だけ垣間見えた狂気に嗤う彼。詳しい身辺事情を調べてみないと分からないけど、この二面性には何かある筈。……とりあえず、ISを物扱いするのは止めるべきね。

 

 まあ今は無事明日香君を保護出来た事を喜びましょうか。

 

「ようこそ、IS学園へ!」

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