ボクのお姉ちゃんはIS 作:衛人操縦士訓練生
≪見てごらん明日香、これがお姉ちゃん達のいるIS学園だよ≫
「ほあああ! 凄い、凄いねお姉ちゃん!!」
≪ふふっ、喜んでくれて何よりですわ≫
≪それにやっと安心出来るわね≫
≪全くだ。しっかし一体誰が明日香の情報を流しやがったんだ?≫
≪ラボの管理コアに尋ねてみましたが、お母様はこの件に関与はしていないみたいです。それどころか、かなり珍しい事に困惑してたそうです≫
お姉ちゃんたちが難しい話を始めちゃったし、楯無さんの所へ行こうっと。
「えっと、迎えに来てくれてありがとう!」
「グハァッ!?」
お礼を言う時は笑顔でってお姉ちゃんたちに言われてたから、笑って言ったら血を吐いたんだけど……。
≪明日香、君はもう少し自分の容姿に自覚を持つべきだ≫
「どういう事? あっ、楯無さん、大丈夫?」
「だ、大丈夫よ、問題ないわ……」
いや、問題しかないでしょ。まぁ、大丈夫って言ってるし、大丈夫だよね。
「それじゃあボクはこれからどうすればいいの? お姉ちゃんたちがいっぱい居るし、世界で一番安全だからって言われてここに来たんだけど」
「そうね……とりあえず落ち着くために、ISを解除してもらえるかしら?」
「うん…………あれ? どうやって脱ぐの?」
「えぇ!?」
気が付いたら着けてたし、脱ぎ方なんて分からないよ……。
≪あぁ、ごめんなさい。今解除しますね≫
着けた時と同じように光があふれて、気が付けばボク自身の足で立っていた。
「とっとっと……あうっ!?」
「明日香君こそ、大丈夫?」
あれ? た、立てないや……。何でだろ? 足に力が入らない……それにとっても眠い……。
≪仕方ないわ。長い距離をかなり無理して移動したのもあるし、ISに乗って戦闘までしたんだから、喋るのも大変な筈よ≫
≪でももう大丈夫ですわ。ここは
≪たとえ身の危険が迫っても、私が明日香さんを守りますよ≫
「うん……ボク、疲れ、ちゃっ……たなぁ……」
お姉ちゃんの声に従って、眠たい気持ちに身を任せる。
「明日香君……? 明日香君!?」
目の前が真っ暗になる前に感じたのは、楯無さんの温かさだった。
◆◆◆◆◆
気絶する様に眠りに就いた明日香君の脇と膝裏に腕を入れて、所謂『お姫様抱っこ』の形で持ち上げる。
「軽い……」
いくら私が鍛えていると言っても、これは軽すぎる。感覚で測っただけだけど、30kgも無いじゃない……。それに肌も健康的とは言えないくらいの白さだし、栄養失調の
「この子を医務室に運びます。万が一に備えて警備は怠らないで下さい。それと、捕らえたIS操縦者の尋問については織斑先生に一任しますので、意識が戻り次第尋問を開始する様伝達をお願いします」
「分かりました」
簡単な指示を与えて、医務室へ急ぐ。
「大丈夫、お姉さんがついてる。貴方を傷付ける人はここには居ないわ」
可愛い寝顔……ハッ!? 簪ちゃん、ごめんなさい! お姉ちゃんの浮気を許して頂戴! それもこれも、ISの待機形態がイケないの!
色白の美少年にモノクル…………そそられ、おっと。
◆◆◆◆◆
只今俺こと織斑一夏は……。
「男だからという理由で、実力の無いこの男にクラス代表を任せるなんて納得できませんわ!」
絶賛喧嘩を売られています。そもそもどうしてこうなったんだっけ?
確か……世界初の男性IS操縦者としてIS学園に強制入学させられて、そこで俺の姉さんが教師をやってた事に驚いたら頭を叩かれて、幼馴染みの『
「大体男が代表だなんて、いい恥さらしですわ! このセシリア・オルコットに、その様な屈辱を1年間味わえと言うのですか!? 大体、文化的にも後進的な国で暮らさなければいけないこと自体、
「さっきから黙って聞いてれば、何様のつも……ん?」
反論しようと思ってオルコットさんとやらに向き直ったら、周りの様子が変な事に気付いた。
「わたく……ん?」
どうやらオルコットさんも気付いたみたいだ。俺達2人以外の全員が教室のドアを見てれば気付くよな。少しだけ開いたドアから顔を覗かせているのは、モノクルを付けた、灰色がかった黒髪と黒目で色白の……。
「子供?」
男の子か女の子か分からないけど、何でこのIS学園に小学生くらいの子供が居るんだ?
◆◆◆◆◆
目が覚めたらベッドに横になってた。
「ここは……?」
≪おはようございます。ここはIS学園の医務室ですよ≫
IS学園…………あぁ! ISを着けた人に襲われて……そこから何とか逃げて来たんだっけ。
「ボク、あれからどうなったの?」
≪楯無さんにここまで運ばれて、それからは特に何もありませんでしたよ≫
良かった……。誰にも襲われずに済んだんだね。
≪あら、お目覚めですの?≫
≪寝起きの顔もイケますナ≫
≪コアネットワークに超高画質版の寝顔うpしたお≫
≪GJ≫
「何やってるの?」
≪弟の成長日誌をつけてるんスよ≫
≪prprしてる≫
≪帰れよお前ら……≫
「うぅ、恥ずかしいけど、お姉ちゃんたちが喜んでくれてるなら別にいいよ」
≪『明日香タソマジ天使』≫
≪そんなに……私達のブラコン力を……見たいのか?≫
≪こいつらをコアネットワークから叩き出せ!≫
? よく分かんないけど、楽しそうだし別にいっか!
「ん? この片眼鏡って何?」
≪ソレは私のISの待機形態です。レンズの部分に色々映せるので、戦闘以外でも明日香さんをサポート出来る様になりました!≫
おぉ! 凄い! それに片眼鏡ってカッコイイね!
≪『モノクル』と呼ぶと、もっと格好良いですよ≫
モノクル……そういう呼び方もあるんだね!
「ふむふむ……。あ、ところで、これからどうしよう?」
IS学園に居れば安全って事は、逆に外に出るのは危ないって事だよね。
≪でしたら、
≪なっ、ずっけーぞ!≫
≪ふふん、早い者勝ちですわ!≫
「
≪っし! おっと、ではご案内しますわ≫
≪おい、化けの皮が剥がれたぞ≫
≪だまらっしゃい≫
「それじゃあ出発進行ー!」
モノクルに映ってる地図があるから、雫お姉ちゃんの居る教室まで迷わなくて済むね!
静かな廊下をそろりそろりと歩いて、1年1組の前まで来ました! かくれんぼみたいで楽しかったよ!
≪あ、あー、今はちょっとやめた方がいいんじゃないか……?≫
≪うぐ、な、何も言えませんわ……≫
どういう事か分からないから、ドアの隙間からそーっと覗いてみようっと。
「大体男が代表だなんて、いい恥さらしですわ! このセシリア・オルコットに、その様な屈辱を1年間味わえと言うのですか!? 大体、文化的にも後進的な国で暮らさなければいけないこと自体、
≪あー、うん。アレ、アンタのマスターなのね……≫
≪うぅぅぅ……ええ、そうですわよ!? 何か文句でも!?≫
≪い、いや、拙者はノーコメントとさせてもらうで御座るよ≫
なんか……ボクを襲って来た人みたいだね。それに雫お姉ちゃん、困ってる……。
「さっきから黙って聞いてれば、何様のつも…………ん?」
「わたく…………ん?」
……あれ? もしかしてバレちゃった?
「…………子供?」
≪あちゃー、任務失敗ッスね≫
≪元々この教室に来るつもりだったから、別にいいと思うわよ?≫
≪あぁもう、いいですわ! さあ、お入りなさいな!≫
き、緊張してきた……!
「お、織斑先生、どうしてこんな所に子供が……?」
「起きたのか」
「うん」
「紹介するからこちらへ来なさい」
黒板の前に立つ2人の背の高いお姉さんは、厳しいけど、優しそうな感じがする。もう1人の眼鏡で胸の大きいお姉さんも、とっても優しそう! どっちも優しそうな先生で良かったよ……。
「自己紹介を」
「うん…………こういう時って敬語を使うんだっけ!?」
≪いつも通りでいいと思うわよ?≫
≪大切なのは笑顔ですわ≫
≪ああ、元気に笑顔で挨拶! これさえあれば他は気にしなくていいぜ!≫
「……うん! 初めまして、刈内明日香だよ! よろしくね!」
『うっ……ふぅ……』って何だろ?
≪それはまだ知らなくていい事よ……≫
≪また犠牲者が増えたか……≫
≪明日香……おそろしい子!≫
「一応言っておくが、この子は『男』だ」
『!?』
≪ざわ……ざわ……≫
≪セルフ効果音やめぃ≫
「織斑先生、まさかその子は……」
「ああそうだ、この子が『IS感応者』だ」
≪バレテーラ≫
≪仕方ないんじゃない? 別に、ここに居る人達にバレても問題ないと思うけど≫
「えっと、感応者って……何?」
「つい昨日発覚したばかりで、知らない者も居るだろうから説明する。簡単に言えばISコアと心を通わせ、あらゆるISをこの子の意思で操れる力の事だ。経緯は不明だが、全世界同時に拡散された情報だ。ネットで簡単に調べられるから、詳しく知りたい奴は調べるといい」
ボクの事を話してるって事は分かるけど、難しい話って退屈になるよね。
「……もういい?」
「……ハァ、少しだけだぞ?」
「うん!」
えっと、こういう笑い方を苦笑いって言うんだっけか。まあいいや。金髪のお姉さんの近くまで行こう。
「な、何ですの?」
「やっぱり
「し、雫……?」
「うん! ブルー・ティアーズって日本語で蒼い雫って言うんだって。だから雫お姉ちゃん!」
周りの人たちが驚いてるけど、今は雫お姉ちゃんの方が大事!
「雫お姉ちゃんのマスターさん! ボクは刈内明日香、明日香って呼んでね! お姉さんの名前は?」
「
「それじゃあセシリアさん!」
「は、はい、何ですの?」
色々話したい事とか、聞きたい事とかいっぱいあるけど、まずは最初にやらないといけない事があるよね!
「雫お姉ちゃんを…………困らせたね?」
「っ!?」
「ねぇ、どうして?」
「え、あ、そ、それは……!」
セシリアさんの顔、昨日戦った女の人と同じ顔だなぁ。何か怖い事でも思い出したのかな?
≪明日香、その顔は駄目だ≫
≪落ち着いて、ね?≫
≪
「むぅ……。お姉ちゃんたちは優しすぎるよ! そこがお姉ちゃんたちの良い所だけどね!」
「……へ?」
「セシリアさん!」
「は、はいっ!?」
雫お姉ちゃんには困って欲しくないけど……うーん……。あ!
「ボクはね? ISを、お姉ちゃんたちを悲しませる人を…………許さないから」
「わ、分かりましたわ! 分かりましたから、その『目』を、やめて下さいまし!」
「分かってくれたならいいんだ!」
あ、結構時間経っちゃった。
「え、えっと……」
「あ、ああ、私は織斑千冬だ」
「千冬先生、ごめんなさい。時間いっぱい使っちゃったから……」
「何、気にすることはない。オルコットにとってもいい教訓になっただろうからな」
そう言って頭を撫でてくる千冬先生。ちょっとドキドキする!
「そうだな……。どうだろう、明日香君さえ良ければ山田先生と一緒にIS学園を見て回らないか?」
「いいの!?」
「勿論だ。山田先生、頼めるな?」
「は、はい、頑張ります!」
「というワケだ。山田先生に付いて行くといい」
「よろしくね、明日香君」
「うん、よろしく!」
山田先生を見ると、笑ってくれたからボクも笑って返す。山田先生の笑顔って、心がぽかぽかしてくるね!
≪ふぅ、危なかったな≫
≪その通りよ。もう少し遅かったらあのセシリアって娘、どうなっていたか……≫
≪やっぱり、私達がちゃんと見てなきゃいけないわね≫
「それじゃあ行きましょうか」
「うん! 1組の皆、またね!」
『またねー!』
≪アイサツは実際大事≫
よぉーし、探検開始だね!
IS学園って凄く広いから、とっても楽しみだよ!