ボクのお姉ちゃんはIS 作:衛人操縦士訓練生
しばらくして着替えを持ってきてくれた真耶先生に大浴場まで案内してもらって、でっかい温泉を独り占めしちゃった! 頭を痛そうに擦ってたけど、どうしたんだろ? 早とちりでしたーとか言ってたっけ。あと着替えがピッタリのサイズだったけど、どこから持ってきたんだろ?
≪知らなくても良い事というのは、意外と多いものだ≫
≪似合ってるならそれでいいのよ≫
「うん、分かった」
お風呂から上がったら戻るように言われてた医務室に行くと、楯無さんが居た。
「楯無さん、こんにちは!」
「ええ、こんにちは。……写真撮れば良かった」
「写真?」
「い、いえ、何でも無いわ!」
別に写真くらいなら撮ってもいいのにね。
「ところで、どうかしたの? もしかしてボクに何か用?」
「あら、察しが良くて助かるわ。ちょっとお話聞かせてもらいたいのだけれど、いいかしら?」
≪明日香の力についてだろうね≫
≪私達と話せる力の事よ≫
なるほど……。
「ボクの力が、どうかしたの?」
「分かりやすく言うとね、その力は世界中で明日香君1人しか使えない力なのよ。私達は明日香君の力がどれくらい凄いのか知りたいから、少しお話を聞かせてもらいたいの。もし嫌なら明日か明後日にで「いいよ!」も……あら、即答」
「他の人達は嫌だけど、楯無さんか真耶先生か千冬先生ならいいよ!」
「嬉しい事言ってくれるじゃないの」
≪おい、何でオレと一字一句同じ事言ってんだよ≫
≪こまけぇこたぁいいんだよ!≫
うんうん、細かい事は気にしなくていいんだよ!
「それじゃあ付いて来てくれるかな?」
「いいともー!」
≪……おい≫
≪えぇ、バッチリよ≫
≪何分耐久にする?≫
≪無限ループ安定。拘り無し≫
≪…………よし、上げたぞ≫
≪『GJ』≫
……? あっ、楯無さんが待ってるし行かなきゃ。
少し歩いて着いたのは……アリーナ?
「どうして、って顔してるわね。まあ簡単な話よ。ぶっちゃけ難しいお話をするより、実際に目で見て、体験した方がとっても楽でしょう?」
「うん! 分っかりやすい! ……だけどここで何するの?」
楯無さんはニヤリって笑って扇子を広げた。何で扇子に『実験』って書かれてるんだろう?
「ここに打鉄とラファール・リヴァイヴが2機ずつあるわ。このISとお話出来る?」
「うん、ちょっと待っててね」
楯無さんの後ろにあるISに近付くと、話し掛けてきたのは……。
≪やっと会えましたね、明日香君≫
≪いやぁ、私は運がいいわね!≫
≪待ってたよー≫
≪な、生明日香タソキター!!≫
っていつもお話ししてるから、別に何も無いよね。
「こうして直接会うのは初めてだね! こんにちは!」
≪≪こんにちは≫!≫
≪こんちゃー≫
≪こ、こ、こんちは……≫
≪おい、そこのラファール2人、ちゃんと挨拶しろよ≫
「ちゃんと挨拶返してくれただけでも十分だよ!」
現実には挨拶しても返してくれない人ばっかりだもん。
≪はぁ、明日香こそ甘すぎるぜ。仕方ない、明日香がいいって言ってるから、見逃してやるよ≫
≪あんがとねー≫
≪ど、どうも≫
「そろそろいいかしら?」
「うん!」
危ない危ない、またお話に夢中になって忘れる所だったよ。
「それでね、明日香君にはこのIS達を動かしてもらいたいの」
「動かす?」
「そう、明日香君の力はISとお話出来るだけじゃなくて、ISと一緒に空を飛んだりも出来るのよ」
「空……! 昨日みたいにお姉ちゃんたちと空を飛べるの!?」
う~、なんかワクワクしてきた! 昨日は
「そうよ、早速だけど飛んでもらうわ。イケる?」
「うん! イケるイケる!」
「イイ返事ね! 今私達の居るピットから出たら、アリーナの中限定で好きに飛んで大丈夫だから、存分に楽しんで頂戴」
「それだけでいいの!?」
「このIS4機には、データを取る為の細工が施してあるの。だから明日香君は好きに動いてもらっていいのよ」
楯無さんってとってもイイ人だね!
「それと、明日香君のデータも取りたいから、このISスーツを着てね。女子小学生用だけど、サイズと見た目的には問題無くて、出来るだけ男の子っぽいのを選んだから」
そう言って渡される黒いISスーツ。
「カッコイイ……ありがとう! 着替えるね!」
そうと決まればササッと着替えよう!
≪ISスーツを着る時は、下着も脱ぐんですからね≫
「はーい」
ぽいぽいっと。
「ブッ!? な、な、なはぁっ!?」
「……どしたの? 大丈夫?」
鼻血垂らしながら顔を手で隠してるけど……見えてるよね。ま、いいや。スーツ着ようっと。
「んっしょ」
んー、何だろ……黒くてテカテカ……あぁ!
「ラバースーツみたいだね!」
「!?!?!?」
「ねえ、ホントに大丈夫? 顔が危ないよ?」
「お、お姉さんには……刺激が強すぎて……ブフォッ」
そういえば真耶先生の持ってきてくれた服にハンカチとティッシュ入ってたっけ。ついでにちゃんと畳んでっと。
「はい、ティッシュ」
「あ、あじがどぉ。…………ふぅ」
「それじゃあ行ってくるね!」
「い、行ってらっしゃい……」
よし! 準備運動をしてから行こう!
≪ではまず私と明日香さんが出ますので、後に続いて下さいね≫
≪『分かりました』≫
「準備運動完了! さあ、みんな!」
≪≪≪はい!≫≫≫
≪はいよー≫
≪バ、バッチ来い!≫
気付いたけど、打鉄のお姉ちゃんたちは真面目でカッコイイ感じで、ラファールのお姉ちゃんたちは面白くて楽しい感じなんだね。
「よぉし……
≪私の名前と同じ『
「分かった! 一緒に飛ぼう!」
≪一緒に飛びましょう!≫
「≪打鉄参式!!≫」
初めて
「あったかい……」
≪ふふっ、さあ、行きましょう?≫
「うん!」
あったかい光に手を引かれるように意識が浮き上がって、ハッとしたら全身がISに包まれてた。
「あれ、形が変わってる!」
≪はい、元々は超高機動型の特殊カスタムされた打鉄だったんですけど、明日香さんには似合わなかったので、勝手ですが専用機化して機体を再構成しました。どうです? 格好良いでしょう?≫
≪カッコヨイダロー≫
海外の映画みたいな黒いパワードスーツで、首には赤いマフラーが巻かれてて……えっと、忍者みたい!
「ヒーローみたいでカッコイイ!! お姉ちゃん、ありがとう!」
≪喜んでくれて何よりです≫
≪ねーねー、早く飛ぼうよー≫
≪ISの姿ではしゃぐ明日香タソ…………デュフ≫
≪実際に動けばもっと楽しいだろうから、早く行きましょうよ≫
≪一緒に飛ぶのが楽しみだわ!≫
お姉ちゃんたちも待ってるみたいだし、そろそろ行こう! このカタパルトに乗るんだね!
≪位置につきましたね。陸上選手みたいに片足を下げて、両手を広げて地面について下さい≫
「よーいで腰を上げて、ドンで飛び出すんだね?」
≪その通りです。では……位置について、よーい……ドン!≫
「っ!」
右足で地面を蹴ると、物凄いスピードでアリーナに飛び出した。頭の中の情報からハイパーセンサーの事を知って、感覚で後ろを見ると、4人のお姉ちゃんたちもちゃんと付いて来てるのが見えた。透明人間が動かしてるみたいでちょっと面白い。やっぱりISって凄いね!
「速い、けど……」
≪分かっていますよ。まだまだアゲていきますよ!≫
ボクたちは縦に並んでアリーナの壁を這うように飛びながら、段々とスピードを上げていく。コレ何だろう? 空気の……壁?
≪音速の壁です。数字で言えば時速約1225km、マッハ1の壁です。マッハの使い方は間違っていますが、分かりやすいので別にいいでしょう≫
≪さすがはお姉様です。訓練機故、基本カスタムが出来ない私達には超えづらい壁を、いとも簡単に超えるのですね≫
≪スリップストリームだ!≫
≪そんな事言ってる内に音速突破しちゃったよー≫
≪
「あっ、音が……」
無くなった……?
≪超音速状態に突入しました。私達自身が、発する音よりも速く動いてるって事です≫
アリーナの壁をぐるぐる回ってるだけなのに……! 何だろう……音を、世界を置き去りにする感じ……!!
「き、気持ち…………イイ!!!」
≪30秒後、超音速飛行から通常飛行に戻ります≫
≪『はい!』≫
「うん!」
一瞬にも永遠にも感じられる30秒が過ぎて、少しづつスピードを緩めていく。元の世界に戻ると、全部がとっても遅く感じる。
≪一旦止まりましょう≫
≪超音速状態……私達訓練機には少し厳しい世界でした≫
≪一歩間違えれば壁に衝突してバラバラになる所だったわね!≫
≪でも楽しかったねー≫
≪ほぼイキかけました≫
≪『おい』≫
「あははっ! それじゃあ次は乗り換えやろうよ!」
地面に足をつけて、元の感覚に戻しながら次にやってみたい事を言うと、みんなもやってみたそうだった。
≪乗り換え……イイですね≫
≪じゃあ私から!≫
≪その次私ねー≫
≪3番目は私です≫
≪くっ、拙者が最後でござるか!≫
「じゃあ一番上まで行くから、受け止めてね!」
≪任せて!≫
あ、思い出した! クラウチングスタートだ!
さっきと同じスタートポーズで今度は真上に飛び上がると、下からは打鉄のお姉ちゃんがドリルの溝みたいに回りながら近付いて来るのが見えた。
≪装甲、解放≫
空気の漏れる音と一緒にボクの着ているISの装甲が開いて、空中に投げ出される。気分はまるでスカイダイビング!
「お姉ちゃん!」
≪明日香!≫
抱きしめられるように光に包まれると、ボクは打鉄を着ていた。
「やったね! 成功だよ!」
≪こんなの朝飯前よ!≫
「えーと、えーと、あった!
ハイパーセンサーの時と同じように、頭の中の情報に面白い動きが無いか探してみたら、色々出てきたからやってみたいな!
あぁ、ISって楽しいな! ずっと飛んでいたいくらいだよ!