ボクのお姉ちゃんはIS   作:衛人操縦士訓練生

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状態異常:混乱

 明日香君が目の前で着替え始めた時は、私の頭がおかしくなったんじゃないかと思ったけど、そんな事は無かったわ。しかもラバースーツ発言。何なのこの子!? まさか私の妄想の集合体じゃないわよね……。

 

「よーいで腰を上げて、ドンで飛び出すんだね?」

 

 どうしてクラウチングスタートなのかしら? スタートの為に上げたお尻が……あっ、鼻血がまた……。

 

「っ!」

「なっ!? 消えた!?」

 

 あ、ありのまま、今起こった事を話すわ! 『ボ』という空気を蹴ったような音がしたと思ったら、いつの間にか明日香君の姿が消えていた。

 

「ッ! 動いた……!」

 

 しかもその事に驚いていたら、操縦者が居ないのにも関わらず用意した訓練機全てが、先にアリーナに飛び出た明日香君を追いかけるように出て行った。やっぱり彼の力は触れていなくても影響するのね。

 

 

 

 ピットを後にしてアリーナの管制室に行くと、既に織斑先生と山田先生他数名の教師がモニターに映るデータと睨めっこをしていて、私に気付いた織斑先生が少しだけ申し訳なさそうに私に話し掛けてきた。

 

「更識、お前には厄介な役回りをさせたな」

「いえ、彼が素直に協力してくれたので楽でしたよ。でも、少し嫌な気分になりますね」

「……我々は善意に付け込んでいるワケだからな」

 

 ええ、ホントに……。全力で楽しそうに飛ぶ明日香君が眩しいわ……。ん、何かヤバくない?

 

「き、機体名称打鉄参式、他4機……お、音速を超えます!?」

「は!?」

 

 モニターを監視していた山田先生の言葉に思わず耳を疑い、私を含めその場に居た全員がメインモニターに映るアリーナの状況を見て、言葉を失った。

 

『…………』

 

 なぁにこれぇ。広い筈のアリーナが狭く感じるくらい激しく飛び回ってたと思ったら、今度はアリーナの壁面に沿って周回をしている…………だけなら良かったのに、何でソニックブームが発生してるのよ!? しかも極小規模の竜巻が発生してるじゃない! あぁ、実験場所が一番広いアリーナで良かったわ……。

 

「ど、どういう事ですか!?」

「わ、分かりません! でも、これはかなり危険な状態です! 操縦をコンマ以下のタイミングでもミスしたら壁に激突して、明日香君ごとバラバラになっちゃいます!」

「明日香君……!」

 

 止めようにも超音速状態じゃ声は届かないし、下手にアリーナに入ったらISを纏っていてもどうなるか分からないし……ああもう! 何でそんなことになってるのよ!?

 

「き、気持ち…………イイ!!!」

 

 ノイズだらけの中に聞こえた恍惚とした声に、今度こそ私達は頭の中が真っ白になった。でもね、一言。一言だけ言わせて頂戴……。

 

「な、な、な、何で感じてるのよッッッ!!!!????」

「言うな馬鹿者!!」

「っだい゛!?」

 

 こ、これがあの出席簿アタックの威力……! 一瞬意識が飛んだわ!

 

「今の彼の発言は聞かなかった事にする。いいな?」

「アッハイ」

 

 逆らったら何が起こるか試してみたいけど、ロクな事にならないのは目に見えてるわね。

 

「あ、げ、減速し始めました! …………超音速状態から戻りました!」

「ふむ、次からはキャノンボール用のコースで飛ばせる必要があるな」

「え゛!? 収拾つくんですかねぇ……」

 

「あははっ! それじゃあ次は乗り換えやろうよ!」

 

 やっと安心だと気を抜いてたらこれよ。あの子は一体何をするつもりなの?

 

「じゃあ一番上まで行くから、受け止めてね!」

 

 あ、またクラウチング……。嫌な予感しかしないのだけれど!? ほら、飛んだ! あ、あ!

 

「あぁ!? 空中でISと分離するとか何考えてんの!!」

「更識、落ち着け」

「ですけど織斑先生!」

「見ろ」

 

 ……あら、打鉄が螺旋機動で近付いて……合体!

 

「ってオイ!」

「落ち着けと言ってるだろう!」

「織斑先生こそちょっとビクッってなってましたよね!」

「山田先生……いや、山田君、そこへ直ろうか」

「そんな事してる場合じゃありません! 見て下さい!」

 

 近くに居た別の先生に怒られてしまった……。でも真面目にやってたらもたないんです! …………ふぅ。どれどれ?

 

「ファッ!?」

「あ、あれって特殊無反動旋回(アブソリュート・ターン)!? 明日香君ってISの実働時間って一時間にもなってない筈ですよね!?」

「あれが……彼の力の一端でしかないのか……」

 

 ホント、末恐ろしいわ……。って思ってる間にまた空中解除してるし。あ、今度はラファールなのね。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)無反動旋回(ゼロリアクト・ターン)の組み合わせ……」

 

 ちょ、まさしく変態機動じゃないのよ……。また乗り換え……もう驚かなくなってきたわよ……。

 

「今度は三次元躍動旋回(クロス・グリッド・ターン)……もうワケが分かりません……」

 

 それは私……どころかこの場の全員が言いたい台詞よ! ほら、こうしてる間にもまた解除と合体……。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)を小刻みに吹かしてるみたいですけど……まさか……ねぇ」

「そのまさかだろう。彼は個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)をやろうとしてるようだ」

「何でやろうとしてるのよ。っていうか何でそんな難しい技知ってるの……?」

「彼はISと会話出来るようだからな。そこから知り得たのだろう」

 

 なんかもう……滅茶苦茶ね。あんな体にとてつもない負担が掛か……る……っ!?

 

「織斑先生! 実験を中止して下さい!!」

「何を……あぁ、拙いな。彼はまだ小学生だ、動けるとしても体がもたない。実験は中止! データ採取は明日以降に持ち越しとする! 更識は彼を迎えに行け」

『はい!』

 

 すぐに思い当たった織斑先生は私と周りの教師達に指示を出して、今もアリーナで五重螺旋を描いて飛び回る明日香君にも声を掛ける。

 

「明日香君、それ以上は君の体が壊れてしまうので、実験は終了だ。今から更識……では分かりにくいな。楯無が迎えに行く。ピットに戻って大人しく待っていてくれ」

「もう? …………はぁい。千冬先生が言うなら仕方ないよね」

 

 彼の中では私と織斑先生と山田先生の発言力がかなり強いみたいね。素直に言うことを聞いてくれて安心したわ。

 

「それじゃあ迎えに行ってきます」

「ああ、それにもう夕食の時間だ。そのまま彼と食堂に行くといい」

「分かりました」

 

 

 

 走ってピットに向かうと、明日香君は意識があるもののグッタリしていた。その彼を5機のISが心配そうに取り囲んでいるってのがシュールね。そうじゃなくって!

 

「ちょっとちょっと、大丈夫!?」

 

 私に気付いて退けてくれたのはありがたいけど……。

 

「あなた達もいくら楽しいからって言っても、限度があるでしょう? 大事な弟ならちゃんと止めてあげる事も必要なのよ? 分かってる?」

「楯無さん、それ以上お姉ちゃんたちを責めないで」

「だけど明日香君、これはあなたの為なのよ?」

「うん、分かってる。でもお姉ちゃんたちはちゃんと反省してるから、ね」

 

 この姉達にして、この弟あり……って感じね。

 

「それじゃあ打鉄とラファールは、運ばれてきた時と同じ場所に戻って頂戴。打鉄参式のあなたは……付いて来て構わないわ」

 

 私の指示に従って動く無人のISって言うと、ちょっと思う所が無いワケじゃ無いわね。

 

「明日香君は着替える前に汗掻いちゃってるだろうから、シャワーして……って一人で大丈夫?」

「うぅん……駄目みたい……。体中が痛くって……」

 

 そ、そそ、それなら仕方無いわね! わ、私がっ! やるしかっ! 無いわよねっ!?

 

「あの、楯無さん」

「な、何かしら!?」

「シャワーに……連れてってくれませんか?」

 

 私は雷に打たれた。こkっこkkっここれは同意のサインね!? くっ、目線的に上目使いになっててしかもずっとタメ口だったのにここに来ての敬語!! KE☆I☆GO!!

 

「え? うん、大丈夫だよ。楯無さんは何もしないって信じてるから」

 

 ……………………。危なかったわ! もう少しで流される所だった……。

 

「ええ、お姉さんに任せなさい! たかがシャワーよ。五分も掛からないわ」

 

 昨日と同じようにお姫様抱っこで抱えて、更衣室の隣にあるシャワールームに向かって行く。さあ、勝負よ! 欲なんかに絶対負けないわ!

 

 

 

 

 

 

 

 長く苦しい戦いだった……。鎖骨が、腰が、お尻が、全身が私を誘惑するの……。あぁ、簪ちゃん。私……()ったわ。

 

「ありがとう、楯無さん。とっても気持ち良かったよ」

「そう言ってもらえて嬉しいわ……」

 

 ああ、しっとりと髪の毛が濡れてて、朗らかな笑い方じゃない慈愛に満ちた笑みを浮かべて、私に抱き上げられている明日香君が……私を刺激する……。もうやめて! とっくに私の忍耐力(ライフ)はゼロよ! もう耐えられないの! ……ん? 今私の肩を叩いたのは……?

 

「!!」

 

 打鉄参式が私の肩に手を置いて、じっと見つめてる……。手を出したら、私の命が……危険が危ない!?

 

「そ、そういえばっ! 食堂に行きましょう! お腹空いたでしょ!?」

「うん!」

 

 良かった……手が離れた……。

 

「何が食べたい?」

「えっと……ハンバーグ!」

「いいわね~! それじゃあ食堂までダッシュで行くわよ! しっかり掴まってなさい!」

「うん!」

 

 この後滅茶苦茶食事した。




 シャワーシーンを書いたらどこをどう間違ったのか、R-18な展開になってしまったのでカットしました。
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