ボクのお姉ちゃんはIS   作:衛人操縦士訓練生

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長い一日の終わり

 とっても高級感(?)を感じる広い食堂で楯無さんと一緒に晩御飯を食べて、食器を返す時に料理を作ってくれた人たちにお礼を言ってから食堂を出る。周りに居た人たちは遠くから見てくるだけだったから、今度はボクから話し掛けてみようかな?

 

「そうそう、明日香君の寝泊りする部屋の事なんだけどね? 明日香君の他に2人居るんだけど……」

「大丈夫だよ。ボクはどこでも寝れるからね」

「な、何か含みを感じるけれど……まぁいいわ。ここがその部屋よ」

 

 IS学園の寮に連れて来られて、『1025』って書かれた部屋の前で止まった。ところで……。

 

「何でボクはずっと抱っこされてるの? もう歩けるよ?」

「駄目よ! 大丈夫って言っても、明日香君が思ってる以上に明日香君の体は疲れてるんだから、このままお姉さんに抱っこされてなさい!」

「う、うん……」

 

 な、何だか……変な事を思い出すなぁ……。

 

≪ねぇ、この楯無って人……≫

≪もしかしなくても……≫

≪影響受けてるわね≫

 

「影響って?」

 

≪ああ! それって淫乱ピンク?≫

≪でもコイツ水色だぜ?≫

≪オイ、流そうとしてんのに邪魔すんなよ≫

≪そ、そうだったのか。済まねぇな≫

≪いいってことよ≫

 

 結局影響って何なんだろ?

 

≪明日香さん、楯無さんに2歩程下がるように言ってください≫

 

「うん、楯無さん。(サン)お姉ちゃんが、2歩下がってだって」

「え? ……分かったわ」

 

 中から色々言い争ってる声がする。なるほど、飛び出してぶつかるのを防ぐ為なんだね!

 

「うわぁぁぁ!?」

 

 あ、お兄さんが出てきた。危なかったね、あと5秒遅れてたらぶつかってたよ。

 

「こんばんは、お兄さん!」

「へぁ!? こ、こんばんは……じゃなくて! 助けてください!?」

「どうしたのかしら?」

 

 すっごく困ってるみたいだけど……まるで殺人犯に追いかけられてるみたいな?

 

「あ、えと、山田先生に部屋の鍵渡されて、入ったら箒がいて、シャワーしてたみたいで、モロに見てはいないんですけど、危うく木刀で真っ二つにされそうになったというか、なってるというか……」

「支離滅裂なようで纏まってるわね。もしかしてそんなに焦ってなかったり?」

「んな馬鹿な事言わないでください! こっちはいっぱいいっぱいなんですよ!」

「一夏ぁ!!」

「ひぃっ!?」

 

 今度は袴のお姉さんが出てきた。うわ、すっごい怒ってるよ。

 

「痴話喧嘩するのもいいけど、私の話を聞いてもらってもいいかしら?」

「痴話っ!?」

「そもそも、お前は誰だっ!!」

 

 指を突き付けてくる袴のお姉さん。お姉ちゃんたちに向いてるワケじゃないけど、いっぱい良くしてくれた楯無さんに向かってそんな態度をとるなんて……。

 

「私? 私は……」

「楯無さんにその指を向けるな」

「何だと?」

「楯無さんに、その指を、向けるなって言ってるの。聞こえなかった?」

「あ、明日香君……?」

「お前には関係ないだろう! 私は一夏が縋り付いているこの女に用があるのだ!」

 

 ……へぇ、そんな事言うんだ。

 

≪あ~あ、オレ知~らね≫

≪これは……いくら『妹』だといっても擁護出来ないわ≫

≪っていうか、ISの私達が絡んでないのに珍しいわね≫

≪『おぉ!』≫

≪珍しいついでに、結果がどうなるのかを見てみましょうか。ISを展開する事態にはならないでしょうしね≫

≪『異議無し』≫

 

 お姉ちゃんたちも駄目って言わないし…………いいよね?

 

「ボクの恩人に、その木刀も、向けるの?」

「さっきから何なんだ! 昼間もそうだったが、そもそもここはお前のような子供が来る場所では無いぞ!」

「話を聞かないんだね。…………やれ」

「なっ、ガッ!?」

 

≪まだ13.57秒しか経ってないぞ! フラグ回収早すぎぃ!≫

 

 傍に居た(サン)お姉ちゃんを動かして、袴のお姉さんの首を持って壁に押し付ける。聞き分けのない子は体に覚えさせるのが一番だって、お母さんもいってたし、ね。

 

「ねぇ、お姉さんが誰に向かってお前呼ばわりしたか分かってる? ねぇ、お姉さんが誰に向かって汚い言葉を使ったか分かってる? ねぇ? ねぇ! ねぇ!!!」

「が、か……ハッ」

「やめなさい明日香君!!」

 

≪明日香さん!! 私の体の権限を返して下さい! これ以上は危険です!≫

 

「やめろっ!!」

 

 お兄さんが(サン)お姉ちゃんに体当たりをして弾き飛ばす。…………あれ? 上手く動かせないな。

 

「かはっ! はあっ、はあっ、はあっ!?」

「それ以上は、見過ごせない。どんなに酷い事を言ったって、箒は俺の幼馴染みなんだ」

「だから……ナニ?」

「これ以上箒を傷付けるなら、いくら君が小さい子供だって言っても許せない。君にとってその……楯無さんが悪く言われて許せないように、俺にとっては箒が傷付けられるのが許せない。分かってくれるか?」

 

 初めてだ……。お姉ちゃんたち以外に、ボクの目を見てハッキリ言いたい事を言ってくるなんて……。

 

「お兄さんにとって大事な人が、そこの袴のお姉さん……」

「そうだ」

「…………ボクは刈内明日香。お兄さん、名前は?」

「お、俺か? 俺は一夏! 織斑一夏だ!」

 

≪あぁ、分かったわ。何でこいつがISを起動出来たのか≫

≪うん、納得≫

 

 一夏さん……ううん。

 

「うん、よろしく、お兄ちゃん!」

「ああ、よろしくな、明日香。箒!」

「な、なんだ……?」

「楯無さんと明日香に謝るんだ。どんな理由があったって、初対面の人に向かって汚い言葉を使うのは駄目だ」

「う、ぐ……」

 

 こういう表情を苦虫を噛み潰したような表情って言うんだよね。

 

「お姉さん、名前は?」

「わ、私は篠ノ之箒だ……」

「箒さん、ごめんなさい」

「え、あ?」

「ほら、明日香は謝ったぞ。箒は何も言わないのか?」

 

 箒さんは少しだけ目線を彷徨わせた後、立ち上がって頭を下げてきた。

 

「す、すまなかった……。頭に血が上り過ぎていた」

「……ボクは楯無さんに謝ってもらえれば、それでいいよ」

「私も特に気にしてないわ。言うとしたら、私は2年生だって事かしらね」

「えっ!? あ、す、すいませんでした!」

 

 へぇ、楯無さんって2年生だったんだ。あ、(サン)お姉ちゃんがモノクルに戻った。おかえりー。

 

「じゃあ、ちょっと頼まれ事してもらおうかしら」

「な、何でしょうか……」

「この子、明日香君をあなた達の部屋に泊めて欲しいのよ」

「「はい!?」」

 

 幼馴染みってこんなに息ピッタリなんだね……。リアクションが全部一緒だよ。

 

「男の子同士だから仲良く出来ると思うし、女の子と2人きりってのも心配なのよね」

「楯無さんと一緒じゃ駄目なんですか?」

「私は、ほら……我慢出来なくなっちゃいそうだし」

「あ、あはは……すいません……」

 

≪コイツ、シレッと本音零しやがった……!≫

≪寧ろ我慢出来なくなるって暴露してるあたり、変態度高ぇよな≫

 

「楯無さんは変態さんなの?」

「「「!?」」」

 

≪なぁ、今更な感じしかしないけどさ≫

≪何だよ……≫

≪もう、手遅れだよな≫

≪やめて差し上げろよ……! 楯無って奴が可哀そうだろ!≫

 

「だ、誰が……まさか、コア……?」

「うん」

「ぐぬぬ……! あ、明日香君は、変態な私の事……嫌い?」

「えっと……嫌いにはならないよ……?」

「ッシャァ!!」

「「え゛!?」」

 

 変態さんって、ちょっと変わってる人の事だよね? 楯無さんは明るくて優しいから、ちょっと変な所があっても好きだな。お姉ちゃんたち程じゃないけど。お姉ちゃんたち程じゃないけど!

 

≪そうだった、明日香の守備範囲ってかなり≫

≪それ以上いけない≫

 

「というワケで! 織斑君と篠ノ之さん、明日香君は任せたわよ!!」

「は、はぁ……」

 

 流れるようにお兄ちゃんに渡されるボク。え? 降ろさないの!?

 

「万が一手を出したり傷付けたりすれば…………織斑先生の制裁が待ってるわ! じゃ!!」

「楯無さーん! おやすみー!」

「おやすみ!」

 

 猛スピードで走り去っていく楯無さん。廊下を曲がる瞬間、ボクたちに手を振って消える。……あ、叩かれた音がした。

 

「あー……部屋に戻ろうか……」

「そ、そうだな……」

 

 寮の部屋は見たことも無いぐらい綺麗で広かった。

 

「凄い! トイレとシャワーも付いてる! ベッドもでっかくてふかふか! 机もある!」

「確かに凄いよな! ホテルでもここまでの部屋はなかなかないぜ!」

「う、むぅ……」

 

 箒さんがいごこち悪そうにしてる。出来れば仲良くしたいんだけどな……。

 

「箒さん! ベッドがふかふかで跳ねるよ!」

「あ、あぁ、そうか…………。なぁ、お前……明日香は私の事……」

「仲良くなりたいと思ってるよ」

「そ、そうなのか……?」

「箒さんだって嫌な事をされたら怒るでしょ? だけど、ちゃんとごめんなさいって謝ったらそれでおしまい……じゃ駄目なの?」

 

≪この切り替えの早さな≫

≪あぁ、(わたくし)のマスターにも、その数分の1でもあればいいのに……≫

≪君のマスター、モロに見ちゃったからねぇ。っていうか、そうなるとこの二人はどうなるの?≫

≪無意識に抑えてた……とか?≫

≪いや、ちょっと待て。今日ISに乗って、体が動かなくなるまで飛び回ってたよな。そのせいじゃね?≫

≪もしかして今の明日香の状態って……!!≫

 

「あぇ?」

 

 急に体の力が抜けて動けなくなっちゃった。やっぱり飛び過ぎたのがいけなかったのかな?

 

≪明日香君!≫

 

「明日香、大丈夫か?」

「うぉぇぁい」

 

 あれ? 喋れない?

 

「ど、どうしたんだ……?」

「わ、分からない……けど、とりあえずちゃんと寝かせよう。もう片方のベッドは箒が使ってくれ。俺は明日香と一緒に寝るからさ」

「分かった」

 

 手足を投げ出したままだったボクをちゃんとした寝姿に整えてくれる。

 

「あぃぁぉう」

「どういたしまして。んじゃ、シャワーしてくるから、先に寝てていいからな」

 

 そう言って着替えを持ってシャワールームに入ってくお兄ちゃん。

 

「明日香……その、さっきは本当にすまなかった。出来れば、明日からは私とも仲良くしてくれると……嬉しい」

「ぅん」

「あ、ありがとう…………おやすみ!」

 

 間仕切りを引いて、電気を消して寝始めるけど……お兄ちゃん、困るんじゃないかなぁ?

 

≪明日には体調良くなってるといいけど……≫

≪ゆっくり休めよ?≫

≪おやすみなさーい≫

 

「おぁぅぃー」

 

 こんなにふかふかのベッドだと、すぐに……眠れ……ちゃうね……。

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