ゆっくり虐待日記   作:かまぼこあき

12 / 17
※2018/11/22 改稿

 第九話と第十話は以前は同じ話でしたが、分けて改稿しました。


第十話、過去中編

 

 レミィと石田が一緒に暮らし始めて一年という年月が過ぎた。人によって一年を早く感じたり遅く感じる人がいるが、少なくとも石田はとても長い夢を見ているように感じる程、充実した日々を送っていた。

 そんな日々を過ごせたのもレミィが居たからだ。レミィが居たお陰で石田の世界はがらりと変わり、友達も少ないけど何人か出来た。レミィは石田の全てだった。

 石田はそんな幸せな日常がずっと続くものだと思っていた。いや錯覚していたのだ。

 現実は甘くはなかった。

 

 ある日、石田とレミィ、そして志水は少し遠くの山まで遊びに来ていた。いつもなら近くの山や公園で遊ぶが、今日は気まぐれで来ていたのだ。

 

「なあ本当にこっちで合ってるのか?」

 

 志水は不安そうに前方を歩く石田に聞く。慣れない土地の所為か、石田達は迷子になっていた。

 

「行くときにパンくずを落してたからこっちであってる筈……」

 

「いやヘンゼルとグレーテルかよ……」

 

 屈んで落ちてるパンくずを確認する石田に、志水は呆れた表情でそう言った。

 

「こっちだ……」

 

 石田に言われてレミィと志水はその後を追う。今はまだ明るいが、いつ暗くなっても可笑しくはない。それを分かっている石田達の足取りは自然と速くなる。

 

「おにいさん?」

 

 急に立ち止まった石田に志水とレミィは不思議に思い互いに顔を合わせる。

 

「どうしたの?」

 

 レミィは固まる石田の肩に止まって、志水は石田の横に立って前方の道を見た。

 そこにはゆっくり、れいむとまりさが這ってきていた。それもご丁寧にパンくずを食べながらだ。

 そこでレミィと志水はなんで石田が固まっているのかを理解した。

 

「うんめ! これまじうんめ!」

 

 れいむとまりさは石田達に気づかずにパンくずを食べる。まるでパンくずが線路でゆっくりが汽車のようだ。

 

「お前ら何してるんだよ!」

 

 見ていた志水がれいむとまりさを怒鳴りつけた。

 れいむとまりさはパンくずを食べるのを止め、声が聞こえた頭上を見上げる。 

 

「ゆゆ、どうしてにんげんさんがいるのおおおおおおお!?」

 

 志水はあまりゆっくりに詳しくはなかったが、物凄い形相で驚いているこの赤いリボンをつけたゆっくりをれいむ。黒い帽子を被ったゆっくりをまりさと推測した。

 

「なあ、れいむ。どっちに行けば、町に出られるんだ?」

 

「そんなことしらないよっ! このぐずども! あmゆげぇっ」

 

 れいむが話している途中にレミィは光の如く空中から飛来し、れいむの身体を木の枝で貫いた。

 レミィは普段こんな事は絶対にしないが、自分のご主人様である石田が落したパンくずをほとんど食べた挙句、ぐず呼ばわりしたれいむの事が許せなかったのである。

 

「れ、れいむー!」

 

 まりさはれいむの死骸を必死に舐め始める。れいむは見事に真ん中、中枢餡を貫かれおり即死だった。

 

「流石に殺すことはないだろ……」

 

「あっ、ごめんなさい。つい……」

 

「まあいいけど……」

 

 志水はレミィの事を簡単に許した。実は志水もれいむとまりさに少し殺意を抱いていたのだ。

 

「レミリア……」

 

「あ、おにいさん。ごめんなさい……」

 

 いつの間にか隣にいた石田にレミィは謝る。さっきのようにではなく、何処かびくびくしているレミィに志水は訝しく思う。

 レミィは以前に今と同じような状況に陥り、ゆっくりを殺してしまった事があった。その時に石田に怒られたのにも関わらずまたやってしまったため、怒られるとびくびくしているのだ。

 

「別にいいよ……」

 

「え?」

 

 予想外な石田の言葉にレミィは声を漏らす。

 石田はレミィの横を通り過ぎると突然素手で地面に穴を掘っていく。

 

「何してるんだ?」

 

 レミィは石田の行動を理解出来ず、何をしているか聞こうとしたが先に志水が口を開いた。

 

「ゆっくりだってな……一生懸命生きている生物なんだよ。だから無闇に殺したりしたらいけないんだよ……」

 

 悲しそうな表情で石田はそう言うと俯いて、ひたすらに穴を掘る。爪の間に土が詰まり痛いのを我慢してでも石田は掘り続ける。

 穴が掘れたられいむを埋める。それが石田の思う償いだった。

 

「よ、よくも……」

 

 急に喋りだしたまりさ。志水とレミィの視線はそちらに注目する。

 まりさの表情は俯いてわからないが、志水はなんだか嫌な予感がしていた。

 

「よくもれいむを! ゆるさないのぜ!」

 

 ついに怒りを露わにしたまりさは近くにあった太い木の棒を咥えると穴を掘っている石田に飛び掛かった。

 しかし石田はそれに気づかない。志水は咄嗟に身体を動かし、石田の前で仁王立ちをする。石田を庇おうとしているのだ。

 

「しんでゆぐほぉ!」

 

 木の枝が志水に接触する寸前、突然まりさは違う方向へと吹っ飛んで木にぶつかって気絶した。

 

「レミィ……すまん……」

 

 志水は助かったとレミィに礼を言う。

 まりさが吹っ飛んだのはレミィが体当たりを繰り出したからだった。

 

「死んだんじゃないだろうな?」

 

「そ、そこまではやってないけれど……」

 

 志水はさっきまりさが咥えていた木の枝でまりさを突いて生死を確認する。まりさは意識こそ無いが、ぴくぴくしており死んでいない事が分かって、レミィは安息の息を吐いた。

 

「よし出来た!」

 

 志水とレミィがそんな事をしているとは知らず、大人のゆっくりが余裕で入る位の穴を掘り終えた石田はれいむの死骸を持つ。

 

「殺しちゃってごめんな……」

 

 石田はれいむを穴に入れると埋め、手を合わせて黙祷する。その石田の様子に志水とレミィは若干引いていた。

 

「それする必要ある?」

 

 志水は聞くが、黙祷している石田は喋らない。志水はどうしても虫以下の存在であるゆっくりを供養する意味が分からなかった。

 

「さてと、どっちに行こうか?」

 

「えぇ……」

 

 石田は立ち上がると手足についた砂を払ってそう言った。それに志水はさっきまでの自分の質問はどうなったのかと困惑の声を漏らした。

 

「はぁ……こうなったら適当に進むしかないだろ」

 

 志水は溜息を吐くと平然とそう答えた。

 石田は少し考える素振りを見せると言われた通り適当に歩き始めた。 

 

「おにいさんそっちから来たんだよ!」

 

 パンくずがある方向へと歩いていく石田にレミィは訴える。 

 

「あっマジで?」

 

「しっかりしてくれよ……」

 

 全く気付いていなかった石田の天然に志水は頭を抱えた。

 

「あのゆっくり達はこっちから来たからこっちに行こう!」

 

 志水はそう言って、れいむ達が来ていた方向の道を指さした。 

 そして石田とレミィと志水は再び森の中を彷徨うのであった。

 




次は、過去後編かな……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。