すいません。
名前でも変えてみようかな・・・
※2018/09/15
改稿
2000文字くらい増えました。
―山の中―
あれから石田は無事、祖父が所有している山まで来ていた。
辺りは緑が生い茂り、都会と比べると空気がより美味しい。小川が流れる音や蝉の鳴
き声が五月蠅く、如何にも山の中といった感じだ。
「お腹空いたなぁ~」
石田は転がっている石を蹴って、そう言った。
あの後石田は祖父に何か奢ってもらう予定だったのだが、無慈悲にも晩飯まで我慢し
ろと言われた。石田とレミリアが山の中にいる理由はその晩飯までの時間潰しなのだ。
「おにいさん、何するの?」
「うーん、そうだな。……取り敢えず当初の予定通りゆっくりと遊ぼうかな」
レミリアの質問に石田は笑顔でそう返した。
ゆっくりと遊んでいれば日頃の鬱憤を解消でき、空腹感も忘れる。正に一石二鳥と石
田は考えたのだ。
「さーてゆっくりは何処かな?」
石田がゆっくりを探し出した、その時だった。
ゆーーー!みんなおさのところにきてね!―――
ゆっくりの声だ。
石田は思わず、ニヤリと笑みを浮かべる。石田の脳内にはもう既に空腹感はなく、ど
うやって遊ぶかでいっぱいだった。
「レミリア行くぞ!」
石田は興味津津でゆっくりの声が聞こえた方向へ走っていく。その足の速さは無意識
に通常の走りの三倍の速度を保っていた。
「おにいさん、まってーー!」
勿論そんな速さにレミリアが追いつく事は出来ず、ただ後ろから制止の声を石田に浴
びせながらついて行くしかなかった。
―――――――――
石田はゆっくりの声が聞こえた所に辿り着いていた。木陰に身を潜め、顔を覗かせゆ
っくり達の様子を窺う。
ゆっくりの数は大体三十匹。それも一つの村でどうやら、集まって何かしているよう
だ。
「おにいさーん、やっと追いついた……」
追いついたレミリアは石田の肩に乗ると息を整える。
「静かにしろよ? 絶対だぞ?」
石田は肩に乗るレミリアに念入りにそう言った。
レミリア種はゆっくりでも他種のゆっくりを食べる。つまりは捕食者。もしレミリア
が姿を見せるとゆっくり達は本能に従い逃げる可能性があるのだ。
「みんなきいてね!」
小さい切り株の上に乗った長れいむがそう叫ぶ。すると他のゆっくりは勿論、石田やレ
ミリアも長れいむに注目する。
「おさはこれからえんせいっにいくよ!そこにはたくさんのあまあまや、とってもおお
きなおうちがあるっていわれてるよ!」
長れいむはこれから町に遠征に行くらしい。それを聞いたゆっくり達は盛り上がる。
それとは反対に石田はそんなゆっくり達を呆れた目で見ていた。
町に野生のゆっくりが行くとほぼ、いや絶対死ぬのだ。それも大半は街に着く前に食
べられるか、事故で死ぬ。逆に街に辿り着いたものは人間に殺されるのがオチだ。
しかし何故人間に殺されるのだろう? 普通の人はそう疑問を抱くだろう。この答え
は案外簡単だ。
野生のゆっくりは人間にあまり会ったこと無く、仮に会っていても田舎なので年寄り
だ。だから本当の人間の強さも知らないし賢さも知らない。
そういうゆっくりは、大抵人間に会うと罵倒する。
ゆっくりはゆっくり出来ていない生物を見下す傾向があり、何を言いたいのかという
とゆっくりは母ゆっくりに人間はゆっくりできてない可哀想な生き物と教えられている
のだ。だから、人間を倒し人間によって駆除される。
これが、遠征に行こうとする野生ゆっくりの末路だ。
「れいむもいきたいよ!はやくつれていってね!すぐでいいよ!」
子れいむがそう言うと釣られて他の子ゆっくりも同じようなことを言い、終いにはほ
とんどのゆっくりが同じような事を口走っていた。
その状況に焦ったのか、長であるれいむが続きを話す。
「けどそのばしょは、くそにんげんたちがひとりじめししているからたたかってとりも
どさないといけないよ!そうするとおちびちゃんたちがきけんだからここでおちびちゃ
んをおいていかないといけないよ!」
「ならこのまりささまをつれていくのぜ!にんげんなんていちころなのぜ!」
長れいむの話を聞いて、子ゆっくり達は納得したのか黙り込んだ。しかし、親ゆっく
りたちは戦いと聞いてヒートアップしていた。
石田はその見るに堪えない会議に絶望への布石を落とそうとポケットからビニール袋
を取り出した。
「おにいさん、何をするんですか?」
「まあ、見とけ。レミリアはそこで待っててくれ……」
石田はレミリアにそう言い残すとゆっくり達の所に走って行く。
「おい、糞饅頭。その必要は無いぞ」
「ゆ、くそにんげん。あまあまをひとりじめしないでね。びょうっどうっでいいよ!」
石田に気付いた長れいむは石田をくそにんげん呼ばわりした挙句、食べ物を平等と訴
えた。それによってゆっくり達は石田に注目する。
「ゆ?くしょにんげんだよ!」
「ほんとうなのじぇ!あまあまをおいていくのじぇ!」
子れいむと子まりさがそう言い。
「くそにんげん!まりささまのすぴあのえじきになりたくなかったらさっさとあまあま
をよこすのぜ!」
尖った木の棒を持った親まりさがそう言った。
ゆっくり達に侮辱された石田はもはや怒りを通り過ぎて呆れ、疑問に思う。
ゆっくり達は自分と人間の力の差をどうして理解できないのだろう?
まだ会ったばかりであまり深く話していないため、知力の差に気付かないのは仕方な
い。しかし、単純の力の差をわからないのは可笑しい。ゆっくりと人間。体格差は一目
了然だ。人間の方が圧倒的だろう。
それが分からないのはやはり餡子脳だからだろうか?
いや、考えるだけ無駄か……
そう結論付けた石田は息を吸うと一拍置いてから話し始めた。
「……そうだ。平等にするためにここに来た」
そう言うと石田はさっき手にしたビニール袋から飴を取り出し、ゆっくり達の前に撒
き散らす。
すると一匹のアリスが戸惑う事無く一つのアメを舐めた。
「ゆ、あまあまよ!なんてとかいはなあじなのかしら。」
アリスはそう言うとその飴を口の中に入れ、味わい始める。そんなアリスのゆっくり
とした表情を目撃したゆっくり達は飴に駆け寄った。
「それをよこすんだぜ!」
「これはれいむのだよ!」
少ない飴を求めて、ゆっくり同士の喧嘩が始まってしまう。石田が態とゆっくり全員
に飴を行き届かないように仕組んでいるのが原因だ。
「えぇい!それはまりさのなんだぜ!」
「ゆごぇっ!」
喧嘩は次第にヒートアップし、一匹のまりさが子れいむを踏み潰し飴を奪った。それ
が切っ掛けで他のゆっくりも攻撃し始める。
このゆっくり達はさっきまで共存して生きてきた。時には辛い事もあっただろうが、
皆で乗り越えてきた筈だ。それなのに今は飴を求めて殺し合っている。知り合いだろう
が、友達だろうが、家族だろうが、飴を持っていれば容赦はしない。所詮は飴数個で潰
れでしまう村の絆だったという事だろう。
石田はその光景を笑いながら見ていた。
―――――――――
数分が経つとゆっくりの数が僅か十匹に減っていた。それも残っているのは全て成体
ゆっくりだ。子ゆっくりはやはり大人のゆっくりには到底及ばず、全員無残に死んでし
まっていた。
「ゆふぅ~おいしいのぜ。おい、くそにんげんもっとまりささまにあまあまをよこすの
ぜ!」
「くそにんげん!あまあまをだすんだね!すぐでいいよ!」
あの尖った木の棒を持ったまりさと長れいむが石田に向かってそう言う。あまあまで
ある飴はもう少ししか残っていない。一体平等とは何だったのか、長れいむに問い質し
たいが、その気持ちを抑え石田はゆっくり達を無視する。
「むしするんじゃないのぜ! くらえっまりさすぴあ!」
石田の態度に苛立ったのか、まりさは木の棒を構えると突進する。
「ゆ?」
「なにやってるのぉ!さっさとくそにんげんからあまあまをうばってね!」
突然、時間が止まったかのように制止するまりさに長れいむは急かす。しかし、まり
さは再び突進する事無く、苦痛の表情を浮かべる。
「ゆ、ゆゆゆゆゆゆがあああああああああああ!」
穴という穴から汁を吹き出し、口から餡子を吐くまりさ。それでも暫く悶えると口か
ら大量の餡子を吐き、まりさは死んでしまった。
それを見ていたゆっくり達は唖然とする。
「なんでまりさがしんでるのぉー!」
一番最初に我に返ったのは長れいむのようでそう叫んだ。
死んだまりさは村一番の狩りの達人だったので、長れいむは余計に現実を信じられな
いのだろう。他のゆっくりも然りで未だに放心状態のゆっくりもいる。
しかし、それは飽くまで地獄への序章に過ぎない。その証拠に他のゆっくりも苦しみ
始めていた。
「ゆゆゆ?」
「ゆがががががが! いたいいいいいい!」
「ゆ、ゆがあああああああああああ!」
ゆっくり達はまりさと同じように断末魔を上げ、穴という穴から汁を吹き出して、餡
子を吐いて死んでいく。それは止まる事無く次々と死んでいき、その光景は長れいむに
とって正に地獄絵図だった。
「ゆごぉ……」
そして遂に最後のゆっくりが倒れた。
これで残るゆっくりは長れいむだけだ。
「ど、どうしてみんな死んでるのぉー!」
ゴミのように散らばっているゆっくりの死骸を見回し、未だに状況が理解出来ない長
れいむはそう叫んだ。
「くそにんげん! いったいなにをじたんだぁ!」
仲間が殺された怒りからか、長れいむは憤怒の表情を浮かべ、その怒りの矛先は石田
に向いた。
「簡単なことだ。おまえらゴミ饅頭が食ったアメには唐辛子が入っていたんだよ」
石田の言う通り、ゆっくり達にあげた飴の中には唐辛子の粉末が少し入っており、飴
の部分が消化されると、中から唐辛子の粉末が出てくると言う仕組みだ。
因みにこれは石田のお手製。
店などでこういった飴は一応売られているのだが、生憎そういった店の数は少なく、
もし売られていてもその飴はゆっくりに効き目があり過ぎたりする。
石田としてはゆっくりが死ぬ所をゆっくり見て楽しみたいので、自分で作っているの
だ。ゆっくり死んでいってね!
「ゆ……?」
石田から真相を聞いた長れいむは怒りが一気に冷め、血の気が引いた。
「と、とうがらしさん?」
長れいむは親から唐辛子は毒だと教えられていた。何故なら赤い唐辛子をあまあまと
勘違いして食べ、命を落とすゆっくりが多いからだ。
そのお陰で唐辛子が原因でまりさ達は死んだのだろうと長れいむは理解すると同時に
信じたくない事実まで理解してしまった。
そう、長れいむも飴を食べてしまっていたのだ。
「ゆげぇ……」
長れいむは飴を必死に吐こうとする。吐かなければ死んでしまうので妥当な行動だろ
う。
しかしその長れいむの必死の行動を見て、石田は嘲笑う。毒入りの飴を賭けて仲間同
士殺し合った挙句、自分だけ生き残ろうとするその姿が実に滑稽なのだ。
「ゆげぇえええええええ!」
漸く唐辛子が効いてきたようで長れいむは餡子を口から吐き出した。そして、次第に
弱っていき力尽きてしまった。
「いやー楽しかった!」
ゆっくりの死骸を見渡すと石田は満足そうにそう言った。
「おにいさん! 向こうにもゆっくりの村があったよー!」
「やったぜ!」
探す手間が省けたので石田は喜び、レミリアの頭を撫でた。
「今度はもっと暴力的にいこう。レミリア案内お願い!」
「りょうかい!」
石田は無意識で長れいむの死骸を踏みつけると飛んでいくレミリアの後を追った。
もしかしたらごじがあるかもしれないのじぇ。
つぎはいっしゅうかんっごくらいなのじぇ。