コネと運で生きて何が悪い!   作:ふじちゃん

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第3話

 

 

「ただいまーっと」

 

親父に言われた通り最近は中学生かというような早さで帰宅している俺。

 

「お帰り。今日はカレーね」

「母さんまたカレーかよ。少しはレパートリーを増やしてくれ」

「うるさいわね、大体アンタ最近は家に帰ってこなかったじゃない。カレーそんなに食べてないでしょ」

「夕飯を食わなくても週1でカレー出されて次の日の朝と昼もカレーなら飽きるんだよ」

「文句言わないの。お父さんなんて若い頃はもっと不味いカレー食べてたんだから」

 

正直それもどうかと思うが手慣れてないうちは仕方がないのか。

そんなどうでもいいことを思いながらテレビをつける。

 

「あ、そうそう。

さっき京介が玄関でナニカを隠すようにうずくまってたんだけど」

「思春期特有のアレだろ。少々ジャンルが悪いからって見せないようにしたんだよ」

「あーかもねぇ。どうせ掃除するときに見つけちゃうのに」

 

京介―――――――高坂家次男、現在高校2年生。

信条は平々凡々というとても現実を見た普通の弟である。

3兄妹の真ん中は恵まれない、なんてことをよく聞くが、彼は別に恵まれなかったわけではない。

ただ、俺ら(兄と妹)が出来過ぎるだけである。

本人から見たら十分恵まれてないのであろうが。

 

「母さんやっぱり確信犯だったのか。

高校生の純情な気持ちを踏みにじってやるな」

「え~でも特殊性癖とかあったら嫌だし早めに知っておかないと」

「建前が普通すぎるんだよ。面白がってるだけだろ」

「やっぱわかる?」

 

この母親、中々に侮れない存在である。

時として男兄弟の中ではこの母こそが親父よりも怖い時がある。

 

「さ~て、京介がちゃんと勉強してるか見てこよ~っと」

「どっちの勉強かはわからんけどな」

 

軽い足取りで、かつ足音を立てないように階段をのぼる彼女はまさに職人芸であった。

スリッパであそこまで音を立てないようにのぼることは俺にはできん。

 

 

 

 

 

「早かったな母さん。どうだった?」

「うん、勉強してたわ。・・・・・一応」

 

あいつ玄関でばれたのに即座に行動に移すとは、よほどの期待作だったんだな。

あとで貸してもらおう。

 

「信介はSMだもんねー。女の子としてはちょっと困っちゃうわ」

「ソフトだからセーフだよ、セーフ」

 

もはやこの母に隠し事は出来ないのでおおっぴらに話が出来る。

流石に親父と桐ちゃんがいれば自重するが。

 

「じゃ、夕飯まで自分の部屋にいるわ。出来たら呼んでね」

「はーい」

 

さて、夕飯までに色んな娘のスケジュール確認でもするかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夕食。

うちは7時頃に家にいなければ飯は食えんという謎の決まりがある。

まぁ門限に帰ってこないような奴に食わせるものは無いってことなんだろうが。

 

「「「「「・・・・・」」」」」

 

そして、基本誰も食事中には話さない。

恐怖の対象である親父が喋らないため威圧感があるのだ。

意図しているわけではないが、この威圧の中ぺらぺらと喋れるような人は母さんくらいなもんで、その母さんも今は静かにカレーを頬張っている。

 

「俺飯食ったらコンビニ行くけど、なんかいる物ある?」

 

と、唐突に京介が何でもない話しをしだした。

 

「ならハーゲンダッツの期間限定のをお願い」

 

これは母さん。

親父と桐ちゃんは特に入用のものはないのか、黙っている。

 

「俺はコーラ頼む」

「あいよ」

 

と、俺も京介に頼んだところで、急に方向転換。

 

「そういやさ、俺の友達が最近女の子向けのアニメにハマってるらしくてな。

たしか、ほしくずなんとかってやつ」

「なーに急に」

「いや、随分のめり込んでるから一回くらい見てみようかなって」

「やだぁ。確かそう言うのって“オタク”って言うんでしょ?あんたはそんなのにはまっちゃダメよ。ねぇお父さん」

 

どうやら母さんはそういうのに否定的らしい。特に興味がないだけかもしれんが。

話しを振られた親父は当然のように

 

「そうだな。自分から悪影響を受けに行くこともあるまい」

と、一蹴。

まぁ当然だな。こんな極道面がそんなものに賛成していたら吐き気と笑いが同時に襲ってくる。

 

「俺としては趣味にどうこう言う気はないけどな。そりゃあ世間からいい印象はないだろうけど」

「やっぱそうだよな」

 

京介も特に興味があるわけではないのか、それから話を広げようとはしなかった。

ん?

 

「桐ちゃんどうした?具合悪いか?」

 

見れば、桐ちゃんの指先は酷く震えていた。

目の焦点も合っていないように見える。

 

「どうしたの桐乃。大丈夫?」

 

母さんも心配している。

もしかしたらカレーに恐ろしいもんでも混ぜたのではなかろうか。

そうならすぐに病院だな、なんて考えながら返事を待つと

 

「・・・ごちそうさま!」

と、気分というより機嫌が悪そうに二階へと上がってしまった。

 

「・・・母さん、あとで桐乃を連れてきなさい」

 

あーあ、桐ちゃん親父に目をつけられちゃったか。

こうなると俺にはどうしようもないので放っていくしかない。

 

 

その後夕飯を食べ終えてまた自室へと戻ると、ふと思い出した。

 

「エロ本かりるの忘れてた」

 

あぶねーあぶねー。

 

 

『ガチャ』

 

扉を開けると自室の前でドアノブに手をかけたまま佇んでいる京介を発見した。

ちょうどいい、さっさと借りて戻ろう。

 

「きょうすけー。今日お前が買ってきたエロ本かし―――――」

 

部屋の中を見ると、四つん這いになって尻をコッチに向けている桐ちゃんが信じられないとでも言うような顔をしていた。

 

 

 

 

ここから、家族も友達も巻き込んだ一大ストーリーが幕を開けるとは、この時はまだ誰も予想できなかったのである。

「(やば、桐ちゃんの前でエロ本とか言っちゃったよ)」

 

 

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