『 京介視点 』
今日もいつもと変わらない平々凡々な一日だと思っていた俺に、これからの全てを変える出来事があった。
何でもない休日に、接触事故が多発する玄関・リビング・階段を繋ぐ扉で、妹とぶつかった。
幸い双方に怪我はなかったが、玄関には妹の持っていた荷物が散乱し、それを善意で拾おうとすればペットが悪い事をしたかのように手の甲を叩かれ拒まれた。
別に問題はない。冷戦ともいえる俺達兄妹でこんな事は些細なものだった。
問題―――――そう。
問題はこの後だった。
善意を拒まれたことでみっともなく拗ねた俺はリビングで時間を潰し二階へあがろうとした時、玄関にナニカが落ちている事に気が付き、手に取るとそれは我が家には縁もゆかりもないであろう小学生が変態チックな衣装を着て砲撃をブッ放しているDVD。
これもまだいい。いや、この時点で不可解ではあるがまだいいのだ。
中身が、とてつもなく問題だった。
それは男子高校生にとっては魅惑の代物であるR18。
しかも題名は『妹と恋しよっ!』である。
最初は兄貴が持ってるものだと思ったが、ここ数ヶ月毎日外に出ては夕飯ギリギリに帰ってくる人がこんなものを玄関に落とせば誰かがもっと早くに見つけているはずである。
なら次は俺が疑われる。これは当然俺のものではないので違う。
なら親父?まさか。
DVDを再生できない親父がこんなもの持っているはずがない。
母さんは欠片も興味はないだろう。
なら妹という事になるが、これも信じがたい事ではある。
完璧超人の名を欲しいままにするような妹がエロゲーなんぞ持っているはずがない。
というわけで夕飯時に探りを入れたら、酷く狼狽えたものが一人。
妹である。兄貴ならある意味安心できたのだが、まさかの妹。
だが確証がないため、コンビニに行くと見せかけて裏口から足音を立てないようにして二階に上がり勢いよく扉を開けるとそこには四つん這いの妹。
犯人はこれで確定したも同然である。あとは事情聴取だ、と意気込んだところで前回の話へと戻るわけだ。
「兄貴、俺はエロ本なんぞ買ってないぞ」
「嘘をつくな。母さんが玄関で見たって言ったぞ。
お前にどんな特殊性癖があろうとも気にしないがエロ本を買っていることは親父に報告させてもらうからな」
お袋め、余計なことを。
完全に勘違いされてるじゃないか!
「うぉぉぉぉい!!!
だからちげぇって!俺があの時持っていたのはこの」
「シンにぃ、ちょっとコイツと話があるから後にしてくれない?」
そんな俺に助け舟?を出したのは桐乃だった。
「ん?そうか、じゃあまた今度でいいわ」
兄貴はやけに大人しく部屋に引っ込んだ。
天災が吹き荒れてから数分、ようやく尋問開始である。
『 信介視点 』
あーあ。
完全に桐ちゃんに嫌われちゃったよ。
言っちゃったから気にしないなんてふっきって話を進めたがエロ本は借りられないしめっちゃ後悔したわ。
明日『庭園』で遊んで忘れよう。
「あ、もしもし。かなちゃん?明日泊まりで庭園行かない?え、コミケ準備?手伝うから来てよ、ね?」
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そんなこんなで二日後、俺は桐ちゃんに寝込みを襲われた。
「桐ちゃん、流石に兄妹でエッチは不味いよ。親父に怒られちまう」
「いや違うんだけど」
桐ちゃんは馬乗りになったまま軽蔑の眼でこちらを睨みつける。
やっぱりこの前のエロ本発言が不味かったのか・・・
「じゃあ何?俺すげー眠いんだけど」
「ちょっとあたしの部屋に来て。見せなきゃいけないものがあるから」
ふむ、見せたいものではなく見せなきゃいけない物・・・か。
桐ちゃんの頼みとあらば応えるしかない。
そこには京介も一緒で桐ちゃんの秘密を聞かされた。
簡潔に言うと桐ちゃんは所謂“オタク”というやつで、特に妹モノが好きなんだとか。
正直ふーんって感じだったが、それよりも
「俺が秘蔵のエロ本だったと思ってたブツはエロゲーだったのか」
「「そこ(かよ)(じゃないでしょ)!!!」」
激萎えである、この日の為に色々と貯め込んで・・・昨日発散したか。
「とにかく!アタシの趣味を知ってもらおうと思ったわけ、わかった?」
「はいはい、桐ちゃんは妹が大好きな変態さんね」
「ちょ!違うし!何言ってんの!?」
「いいからいいから。俺の友達にもオタクはいるから気にしないで。
中学生の頃リアルに学校で「・・・ハッ・・・・・フフフ」とかやってた奴知ってるから」
あの人はまだ元気だろうか。
「何その人、こっわ」
「面白い人だよ。過去の苦しみに悶えてる姿は爆笑ものだからね」
「シンにぃ悪趣味だよ」
どこが悪趣味か。
自業自得でもがいてるやつを見るのはとても面白いぞ。
ということで、この話は三人での秘密となった。
親父にばれたらと思うと隠してたこっちにまで被害が及びそうだからな。
あと、お兄ちゃんは妹を守るものだ。