キャラ崩壊、時間軸のズレなどありましたら、ご指摘ください。
柱の裏からトコトコ出てきたのは、ジブリールと同じ、天翼種の少女だった。ただ、光輪はジブリールのものより随分と複雑な幾何学模様で、まさしく人外の美しさだった。
「にゃはは〜、やっぱり空ちゃんは流石だにゃ〜。こんなに簡単にバレるとは思ってなかったにゃ」
頭に手を置いて、テヘッと舌を出す、愛嬌たっぷりの天翼種の少女──アズリール。─以前天翼種の持つ情報を賭けて『 』と行ったゲームで人類種と同等のステータスまで身体能力を制約され生活している、天翼種の『十八翼議会』の議長──『全翼代理』である。
突然の来訪者に四人はそれぞれの表情は様々だった。
予想が当たって満足気な空。
自分の最愛の兄の唇を、自分の目の前で奪った少女を半眼のまま睨む白。
状況に付いていけず、突然現れた天翼種にひたすらビビるステフ。
こちらも半眼で面倒くさい人が来た、とため息をつくジブリール。
「なんで“先輩“がここにいるのでございましょう?というか、この状況はなんでしょ──」
「“お姉ちゃん“にゃッ!」
ジト目のまま尋ねるジブリールに、思いっきり食い気味でアズリール。
しかしそんな面倒くさい“姉“をスルーして
「質問に答えて頂けますか、“先輩“♪」
「…うぅぅ〜、ジブにゃんがつれないにゃ〜。お姉ちゃんって呼んでくれたら、答えてあげなくもないにゃ〜♪」
あざとく泣き真似をしてから、上目遣いで条件を出してくるアズリール。
だが、ジブリールが冷めた目で見続けるとコホンと咳払いをして。
ま、まぁいいにゃ、と冷や汗を流しながら説明を始めた。
「じゃあ本題に入るにゃ。うちらが見つけた《答》として、エルキアを観察し学ぶ。そう議会で提案するって言ったの覚えてるかにゃ?その件に関して説明するのに、実際に見てみた方が確実だと思ったんだにゃ」
それを聞いたジブリールは、感嘆していた。声にこそ出さないが、空だけはその小さな表情の変化に気づいた。
それもそうだろう。天翼種、特にアズリールは本による知識ばかりを重要視する傾向があった。事実、近年の人類種のことなど、十分文献はあるだろうに。それが、自分の目で見て“学ぶ“と言っているのだ。
この姉は───自分の信じた大切な存在は、少しではあるが確実に成長している。
未知に触れる楽しみをわかってくれたのだろうか。それとも、既知を未知へと転ずる我がマスター達と触れ合ったことで変われたのか──そこまでは分からない、だがジブリールはアズリールの変化に喜びと興奮を覚えていた。
「という訳で、この国と空ちゃん達のこと、じっくり観察させてもらうにゃッ!!」
ズビシッ!と空を指さして言い放つアズリールに、待ったをかける者がいた。
「ちょ、ちょっと待ちなさいな!私を置いてかないでいただけますの!?」
「あ、ステフ、いたのか」
「あ、じゃないですわよ!なんで普通に忘れてるんですの!?というか、この方はどちら様なんですの!?それに、ソラたちの家の代わりにクレーターがある理由も全く聞けてないですわよぉ!!!」
「ステフ…質問おお、い……」
見事に忘れられていたステフだが、確かに彼女の言う通りだった。
「あー、確かにそうだな。こいつはアズリールつって、まぁ見たまんま天翼種だ。んでこっちがステフな」
よろしくにゃー♪と手をパタパタ振るアズリール。
「天翼種…の、一番偉…い…人」
なッ…と、目の前のアズリールという少女が天翼種の超要人など思ってもみなかったステフが固まる。
そんなことは気にした様子もなく空。
「それじゃあ、俺らのマイホームが壊れている、もとい、消え去ってる理由を聞いてもいいかね?アズリールくん」
「…………………………………」
先ほどまでの無邪気っぷりは何処へやら。無言のまま下を向いて、大量の汗を流すアズリール。誰がどう見ても怪しかった。
「そうだなぁ…教えてくれたら、ジブリールになんでも一つお願いを聞かせてもいいぞ?」
「わかったにゃ!」
即答だった。どんだけ妹のこと好きなんだよこの子。
「そんな!!?し、しかしですねマスター!?」
「ジブリール…これ、命令……」
──────。
「ままま、マスター!またです、ゾクゾクッと──胸が締めつけられるような感覚がッ!」
変態が、そこにいた。
「空ちゃん達の家は、厳密に言うと消えてないにゃ。ここじゃない別の空間にあるにゃ。」
「というと?」
「ジブにゃんの布教で増えた空ちゃん達のファンの中に、度を超えたファンがいるんだにゃ。」
「ほう…」
まんざらでもないように空。
「私の布教の賜物でごさいますね♪」
「うちは今飛べないから、ここまで空間転移で他の子に連れてきてもらったんだけど、その子が熱狂的なファンの一人でにゃ。たまたま見つけた空ちゃん達の家をじっくり見たいって、空間ごと持ってっちゃったにゃ」
………………。
思考が止まった。
アズリールが言った通りだとしたら、興味本位で俺たちの家もってかれたってか?
「だぁぁああぁ!どんなとんでも種族だよ!人の家勝手に持ってくとか、バカにも程があんだろぉ!」
「…むぅ………」
頭を抱える空と、不満気に頬をふくらませる白。
そんな横でにっこりとした笑顔でジブリール。
「先輩、その不届き者は何処に?今すぐ行ってお仕置きを…」
「まま、待つにゃ!!うちを迎えに来るとき元の状態でちゃんと返すって約束したにゃ!」
「だからって本人の確認取らずにごっそり持って行かせるのはどうかと思いますがねぇ!」
「……ゲーム…とか、家の中に…まだある、のに…」
黒い微笑みを浮かべるジブリールを、全力で止めたアズリールの言葉で空と白はさらに頭を抱えた。
そんな状況を見て、ステフは乾いた笑いを漏らすしかなかった。
──数分後。
落ち着きを取り戻した空が重い口を開く。
「まぁとりあえず、持ってかれたもんはしょうがない。返って来るなら今は良しとしよう。それで、見学っていっても、具体的に何がしたいんだ?」
空ちゃん優しいにゃー♪と抱き着こうとするアズリールを躱して、この後の行動を確認する。
ちなみに、躱されたアズリールは盛大にコケていた。
頭を打ったのか、オデコをすりすりさすりながらアズリール。
「とりあえず、エルキアで一番活気があるところに行ってみたいにゃ」
「それなら、市場ですわね」
市場は、東武連合やオーシェンドの統合で安定した資源や食料が調達できるようになったため、以前より段違いの賑わいを見せている場所となっていた。
「んじゃ、とりあえずそこ行くか」
「…んぅ…人混み、きら…い…」
「兄ちゃんだって嫌だよ…でもまぁ…」
せっかくジブリールの姉ちゃんが来てくれたんだし、もてなそうぜ、と目だけで伝える。白も多方理解した上でコクッと頷いた。
アズリールを案内するため、五人は城を出る道を歩き始めた。
───続く
またまたふわっと二話が出来上がりました。
なんかあれですね、所々に違和感がありますね。
アズリールの口調は特徴的だったので分かりやすいんですが、それでも五巻を何度も読み直して、アズリールのセリフに付箋を貼ってみたりしました。
それでもまだまだキャラが理解できていないところも多いと思うので、引き続きご指摘頂けると幸いです。
そして二話まで読んでいただいた方、ありがとうございました!
よろしければ、次回も読んでください!