不安な気持ちもありますが、頑張って書いていこうと思います。
とある国、ハイラル。
かつてこの国は、国王に仕えていたある一人の盗賊によってクーデターを起こされた。国王は殺され、命を狙われた王女は一人の部下と共に城を脱出。城の兵士は大半がやられてしまい、結果としてハイラルは支配されてしまった。その後、盗賊は聖地へと乗り込み“力のトライフォース”を入手。魔王としてこのハイラルに君臨する事となった。
それ以降、国中のあちこちに魔物が現れる事となり、一部の街は破壊され、ゴーストタウンと化した。城から脱出していた兵士や一部の住人達は、平和を取り戻そうとして反乱軍を結成、魔王が潜む城へ乗り込もうとした。しかしその反乱軍も、魔王に仕えし魔女達が率いる魔物軍団と、女性のみで結成された盗賊一味によって全滅させられてしまった。最後の希望であった王女も、この当時はまだ消息不明のまま。もうハイラルには平和は戻らないのだと、住人達は絶望のどん底へと突き落とされた。
しかし七年後、転機は訪れた。
“勇気のトライフォース”を宿した一人の勇者が、ハイラルへと降り立ったのだ。勇者は聖剣マスターソードであらゆる魔物達を倒していき、城へと乗り込んで魔王と激突。勇者と、“知恵のトライフォース”を宿していた王女、そして勇者によって目覚めた六賢者の協力もあり、魔王は封印される事となった。
王女は自分の所為でこのような事態になってしまった事、そして勇者にとてつもない重荷を背負わせてしまった事を後悔していた。そして全ての過ちを正す為に、王女は勇者を元いた過去の時代へと送り帰す事を決意。王女が持つ時の賢者としての力により、勇者は元いた過去の時代へと帰り、このハイラルから姿を消した。
こうして戦いは終結し、後に歴史に刻まれる事となった。
しかし、ハイラルに暮らしている住人のほとんどは、ある事実を未だ知らずにいた。
この戦いには、あるもう一人の戦士が関わっていた事に―――
「ふぁぁ…」
ある森の中。
黒いマントを身に纏った黒髪の青年が、大きな切り株の上に座って欠伸をしていた。
そんな彼の傍に、一本の大剣が地面に突き刺さっている。その近くには切り倒されたと思われる大木が横たわっている。どうやらこの青年、休み場所を作る為だけに木を切り倒してしまったようだ。
「ふぅ……よし、休憩終わりっと」
青年は軽く伸びてから立ち上がる。そして大剣を地面から抜き、腰の鞘に納める。
「さて…」
青年は周りをキョロキョロと見回す。
「本当に……ここ何処なんだ? この森、ここまで大きくはなかった筈なんだが…」
実はこの青年、この森の中から抜け出す事が出来なくなってしまっていた。
要するに迷子である。
「はぁ…いつになったら出られるんだろう…」
青年は溜め息をつき、森の中を歩き始める事にする。
その時…
「キシ、キシ、キシ」
「…ん?」
ある樹木の上から、髑髏のような背中を持った巨大蜘蛛が出現する。
「またスタルチュラか。全く」
青年はスタルチュラと呼ばれる蜘蛛を見て溜め息をつく。そして腰のホルスターからクロスボウを抜き取り、スタルチュラに向ける。
-ドシュウゥンッ-
「キシィッ!?」
そしてクロスボウから一本の矢が放たれ、スタルチュラを貫く。スタルチュラは地面に転がり落ち、跡形も無く消滅した。
「…はい終わり」
青年はクロスボウを腰に下げ、その場を去ろうとするが…
「「アォォォォンッ!!」」
「おっと」
青年の後方から、二匹の狼が飛び掛かって来た。しかし青年はしゃがんで回避した為、飛び掛かる攻撃は空振りに終わる。
「「グルルルルル…!!」」
「今度はウルフォスか?」
「バゥッ!!」
ウルフォスと呼ばれる二匹の狼は青年を威嚇し、一匹目が前足の爪を振るう。
「まず一匹」
「ギャワン!?」
青年は素早く大剣を抜き、ウルフォスの背中を縦に斬り裂く。斬られたウルフォスはその場に倒れ伏し、消滅する。
「そしてもう一匹」
「アォォンッ!!」
青年が大剣を構え、二匹目のウルフォスが飛び掛かる。
が…
-バシィィィンッ!!-
「キャウンッ!?」
ウルフォスの攻撃が、青年に届く事は無かった。突如、彼の纏っていたマントが大きな蝙蝠の翼へと変化し、ウルフォスを大きく弾き飛ばしたのだ。
「あぁ、起きてたのか」
「キキッ♪」
青年の声に蝙蝠の翼が反応し、蝙蝠の鳴き声を上げる。その鳴き声は何だか嬉しそうである。
「ガルルルルル…!!」
弾かれたウルフォスは立ち上がり、再び青年に向かって駆け出す。
「また来るか。だが残念、お前はもう…」
「アォンッ!!」
青年は大剣を納めた後、ウルフォスの振るった爪を回避すると同時に、ウルフォスの背中にクロスボウを向ける。
「お終いだ」
-ズドォォォンッ!!-
「ギャワンッ!!?」
黒い炎を纏った矢がウルフォスを貫く。矢はそのまま、その先にある巨大岩をも粉砕した。
「弾けろ」
青年がクロスボウをホルスターに納めた直後に、ウルフォスは地面に倒れて消滅した。
「ふぅ……サポートありがとな」
「キキッ」
「ってオイ、また寝るなよ」
蝙蝠の翼は鳴き声を上げた後、再びマントの状態へと戻る。
「やれやれ、仕方の無い奴…………ん?」
青年はある物に気付く。
「何だ?」
先程、青年が撃った矢で粉砕された岩の跡。
その中から何やら赤い光が点滅していた。
青年は何かと思い、点滅している赤い光へと近付く。そして、赤い光の正体が分かり、青年はそれを右手で拾い上げる。
「…宝石?」
青年が手にしたのは、赤い宝石だった。宝石は今も点滅しながら光を放っている。
「何でこんな物が…」
青年が疑問に思ったその時…
-キィィィィィィン-
「なっ!?」
突然、宝石が大きく光り出した。
そしてその光は、驚く青年をそのまま飲み込んでいくのだった。
ある世界、ミッドチルダ。
ハイラルとはまた違う、まるで未来都市のような世界。
現在この世界で、ある事件が起ころうとしていた。
『……』
とある高層ビルの屋上。
一人の影が、街全体を見渡していた。
影は一通り街を見渡した後、手すりの上に乗り、右手をかざす。すると影の前に、巨大な黒い魔法陣が出現する。
「フォッフォッフォ…」
「ギャッギャッギャッ」
「ケケケケケケ…」
「グォォォォォォッ!!」
魔法陣からは、剣と盾を持つ骸骨、剣と鎧を装備している蜥蜴もどき、ランタンを手に持った幽霊、そして一つ目の巨大な寄生虫など、様々な魔物が出現する。
それを見た影は、左手に持った剣を天に向ける。
『―――さぁ、始まりの時だ』
物語は、動き出す。
今回はこれまで。
次回から本格的に主人公とリリなのメンバーが関わってきます。