それではど~ぞ~。
第97管理外世界『地球』に向かう為の準備を完了した一同。
そんな中…
「…で、それで落ち着いたんですね」
「何とかな。どっかのアホ二名が途中で暴走した所為で、だいぶ時間がかかったがな」
「「ハイ、スミマセンデシタ」」
アヴェルは自分の服を見て溜め息をつく。その近くではやてとシャマルは頭にたんこぶを作っている。
「全く、別世界の服はよく分からん…」
現在、アヴェルの服装は大きく変わっていた。
白のTシャツの上に黒のカジュアルジャケット、黒のハーフパンツに茶色のブーツ。普段のボサボサ髪を隠す黒のニット帽という、主に黒色を基調とした服装だった。本人は慣れてなさそうにするも、周りから見るとかなりイケてたりする。
「大丈夫ですよ。これで怪しまれる事はありませんし、それにとてもかっこいいですよ」
「そんなものか…?」
フェイトからも賞賛を受けるも、やはり自覚が無いのかアヴェルはそれ程嬉しそうではない。
「まぁ、怪しまれないんならこれで良いか…」
怪しまれない為だという事で、アヴェルはひとまず納得する事にする。
その後、スバル達は地球について詳しく知る為に空中にモニターを表示する。
「えぇっと。第97管理外世界、文化レベルB…」
「魔法文化無し……って、魔法文化無いの!?」
「無いよ。うちの父さんも魔力はゼロだし」
ティアナは地球に魔法文化が存在しない事に驚くが、スバルはあっさり言ってのける。
「いや、だったら何でなのはさんや部隊長のような魔導師が…」
「まぁ、何て言うべきか……突然変異っていうか、たまたまって感じやな~」
「私達が魔法に出会ったのって、本当に偶然だったしね」
「「「「へぇ~…」」」」
(そんな世界から魔法使いが生まれるとは……世界は広いな…)
フォワードメンバーは声を揃える中、アヴェルも内心では驚いていた。
「はいこれ、リインちゃんのお洋服」
「ありがとうです~♪」
その隣では、リインがシャマルから洋服を貸して貰おうとしていた。それに気付いたティアナがシャマル達に質問する。
「あれ、シャマル先生何を…?」
「あぁこれ? はやてちゃんのお下がりよ♪」
「あ、いえ、そういう意味ではなく…」
「サイズが明らかにおかしくないかって事だよ」
アヴェルが説明を付け加える。
リインは手の平サイズの小ささである筈なのに、服の大きさが普通な時点で何かがおかしい。
「あぁ~、そういえばまだ見せた事ありませんでしたね」
「「「「「?」」」」」
フォワードメンバーとアヴェルは首を傾げる。
「システムスイッチ……アウトフレーム、フルサイズ!」
「「「「「!?」」」」」
突如リインの体が光り出してから、リインの体がみるみる巨大になっていき、通常の子供と同じサイズの大きさになる。
「でかっ!!」
「いや、それでも小さい方だけど…」
「普通の…」
「女の子サイズですね」
「…へぇ」
フォワードメンバーはそれぞれ違う反応を取り、アヴェルもただ素直に驚いている。
「リイン曹長、そっちの大きさの方が便利じゃないですか?」
「この姿だと、燃費が悪い上に魔力も無駄に消費してしまうんですよ。だから普段はコンパクトサイズの方が楽ちんで良いんです~」
「…本当、不思議だねぇ」
アヴェルは小声で呟く。
「主はやて、そろそろ…」
「ん、せやな。なのは隊長、フェイト隊長。私と副隊長はちょいと寄るところがあるけぇ」
「うん、分かった」
「先に現地入りしとくね」
「あ、それとアヴェルさんは皆と一緒に行動してぇな」
「んん、了解~」
はやての指示に、アヴェルも手をひらひら振って返事をする。
それから一同は転送ポートにより、近くにコテージのある大きな湖畔へと到着した。
「ほ~う、ここが…」
「「「「うわぁ~…」」」」
今まで地球を知らなかったアヴェルとフォワードメンバーは、目の前に広がる綺麗な景色を見て目を丸くする。
するとその時、一同の近くに一台の車がやって来る。
「…また見た事の無い乗り物だな」
もちろん車もハイラルには無いので、アヴェルは不思議そうに車を見つめる。
そして車の中から、ある金髪の女性が出てきた。
「なのは、フェイト!」
「アリサちゃん!」
「アリサ!」
なのはとフェイトの二人は、アリサと呼ばれる女性と順番にハイタッチする。
「本当、久しぶりね!」
「にゃはは、ごめんね。こっちも色々忙しくって」
「忙しいのはこっちだって一緒よ。私だって今は大学生なんだから」
彼女達が親しくしているのを見て、フォワードメンバーは訳の分からない表情になる。
「あ、紹介するね。こちらが今回の任務の民間人協力者で、私達の友人の…」
「アリサ・バニングスよ。よろしくね」
「「「「よろしくお願いします!」」」」
なのはとフェイトの友人と聞いて、四人はきちんと挨拶する。
「あ、そういえばはやては?」
「今は別行動。後で合流するって」
「そう……ん?」
アリサはアヴェルの存在に気付く。
「なのは、この人は?」
「こちらアヴェルさん。次元漂流者で、私達の協力者」
「よろしく」
アヴェルは軽く挨拶する。
「あぁ、はやてが連絡の時に言っていた傭兵さんね。よろしく、私の事はアリサで良いわ」
「俺の事も、アヴェルで構わない」
二人は握手を交わす。
「じゃあ、今から今回の任務について改めて説明するから、スバル達はこっちに集まってね」
「アヴェルさんはこれからどうしますか?」
「んん~…俺はひとまず待機するわ。この世界は歩いてても慣れそうにないし」
そこまでして海鳴市を観光したいとは思わないらしく、アヴェルはコテージで待機する方を選ぶ。
「まぁ、何か非常事態があった時にすぐ飛んでいくさ」
「じゃあしばらくコテージで休んでいなさいよ。結構快適に休めるわよ『ピリリリリリ!』っと、ちょっと待ってね」
携帯の着信音が鳴り、アリサは携帯を手に取る。
「はい、もしもし『あ、アリサちゃん!』あ、すずか。どうしたの?」
『さっき私の所にはやてちゃんが来たんだけど、ちょっと今大変な事に『みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?』あぁ、はやてちゃん大丈夫!?』
「ちょ、すずか!? はやてが一体どうしたの!?」
慌てて話す声と、何処かで聞いた断末魔。明らかに何かが起こっているのは確かだ。
「…何してんだ? 小さい機械なんか耳に当てて」
当然、携帯電話の存在も知らない為、アヴェルは首を傾げる反応しか出来ない。
「うん、何……分かった、取り敢えずそっちに行くから待ってなさい」
そう言って、アリサは携帯をパタンと閉じる。
「アリサちゃん、すずかちゃん達に何かあったの!?」
「あぁ~…さっきすずかの所に、はやてが来たらしいんだけどね」
アリサは言いにくそうに話す。
「すずかの話によると……何か小さな赤いトカゲが、火を吹いたり噛み付いてきたりとはやてが色々大変な目に遭ってるらしいわ」
「「それどんな状況!!?」」
「…!」
会話の内容にアヴェルが反応する。
「とにかく、私は一回すずかの屋敷に行くわ。はやてが大変な目に遭わされてるのは間違い無いっぽいから」
「そ、それなら私達も…」
「いや、俺が行こう」
突然、三人の会話にアヴェルが割って入る。
「え、アヴェルさん!?」
「でもどうして…」
「さっきアリサが言ってた、火を吹く赤いトカゲ」
「俺の知ってるモンスターかもしれない」
次回でいよいよ“アイツ”と遭遇です。
次回もお楽しみに。