今回、アヴェルが一部やらかします。
風呂から上がった後、なのは達の仕掛けたサーチにロストロギアの反応があった為、六課一同はすぐに出動。
しかしアヴェルはロストロギアの封印処理は出来ない為、コテージで待機する事に。
「あぁ~、暇だ暇だ暇だぁ~」
「キィキィッ」
「クワーッ」
アヴェルは現在、高町家で合流したノースやヴァルと共にコテージで時間を潰していた。しかしやる事が何も無い為、椅子に座ってジタバタしている。
「あんたねぇ、さっきから暇だ暇だってうるさいわよ」
アリサは呆れた表情で紅茶を飲む。
「うるせ~な~、本当に暇なんだからしょ~がね~だろ~?」
「駄々を捏ねるな!! 子供かあんた達は!!」
「まぁまぁ、落ち着いてアリサちゃん」
アリサが怒鳴りつけ、なのはの姉“高町美由希”がそれを抑える。
「どんなに暴れたって状況は変わらないんだしさ、もう諦めたらどうだい?」
「えぇ~…そう言われてもさぁ~…」
フェイトの使い魔“アルフ”に諭されたアヴェルは、椅子の上で頬杖をついて不貞腐れる。
「こんなのが傭兵だなんて、世の中って色々おかしいわ」
「失敬な、俺だってハヤテ達から連絡が来たらすぐ現場に向かうぞ。これでも傭兵としての仕事はちゃんとしてるんだからな」
「椅子にぐうたらと座ってる状態で言われても、まるで説得力無いわ!!」
アヴェルの頭に、アリサの突っ込みチョップがビシッと炸裂する。
「はぁ………ところで、すずかは何処行ったんだ?」
アヴェルは今、この場にすずかの姿が見当たらない事に気付く。
「すずかはエイミィと一緒に飲み物を買いに行ってるわ。多分もうすぐ戻って来ると思う」
アリサがそう言ったその時…
-ピリリリリッ!-
「ん、何かしら?」
着信音が鳴り、美由希が携帯を手に取る。
「はい、もしもし」
『美由希、聞こえるか!』
相手は高町士郎だった。
「父さん? どうしたの一体」
(だから何してんだろうな、あれ…)
アヴェルは不思議そうな表情で美由希が電話しているのを見るが、結局分からないのですぐに見るのをやめる。
「え、二人が!? …うん、分かった!!」
美由希はすぐに携帯を切る。
「皆大変!! すずかちゃんとエイミィさんが誘拐されたって!!」
「「「!?」」」
予想外の言葉に、アヴェル達はすぐに美由希の方を振り返った。
「くそ、面倒な事ばかり起こるな」
アヴェルはヴァルを腕に抱えつつ、ノースの翼で街の上空を滑空して移動していた。
士郎からの連絡によると、ついさっきコンビニに寄ろうとしていた際に、たまたま遠くにすずかとエイミィの二人を発見。しかし二人の下に突然一台の車が止まり、怪しい男達が二人を無理やり車の中に押し込み、そのまま何処かへ連れ去ってしまったという。
(ハヤテ達はロス何とかの封印やらで忙しそうだから、あいつ等の応援は期待出来ない。となれば居残り組の俺等がどうにかするしかないって訳か…)
アヴェルはモンスターの気配ならすぐに分かるのだが、相手は人間。モンスター特有の気配を放っている訳ではない為、この街中で探し出すには一苦労なのだ。
「チッ、人間ってのはこういう時に厄介だな…!!」
その時…
「! クワァックワァッ!」
アヴェルの腕に抱えられていたヴァルが、ある方向を見て鳴き始める。
「ヴァル、どうした?」
「クワァーッ!」
ヴァルは前足である方向を指差す。
「…まさか、居場所が分かるのか?」
「クワッ!」
ヴァルが頷く。
今は小さなトカゲの姿とはいえ、ヴァルだって立派なモンスターの一種。嗅覚は人間より優れているので、遠く離れていても匂いで分かる。アヴェルと出会う前のヴァルは月村家の屋敷にいたので、すずかの匂いを覚えていたのだ。
「よし…ヴァル、方向を教えてくれ!」
「クワァーッ!」
ヴァルが指差した方向に向いて、アヴェルは高速で滑空を始めた。
「ヒャッハー、やったぜ!!」
「こんな簡単に上手くいくとはな!!」
「「んん、ん~…!!」」
人気の無い、とある工場跡地。
そこに複数の男達が集まり、その中ですずかとエイミィが捕らえられていた。二人は両手を縄で縛られている上に口をガムテープで塞がれ、何も抵抗が出来ない。
「月村家の娘をこんな簡単に捕まえられるとは、俺達もついてるな」
サングラスをかけた金髪の男が、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべる。どうやらこいつがリーダー格のようだ。
「さて」
リーダーの男がすずかの口のガムテープを取る。
「あなた達の目的は何!?」
「もちろん、身代金だ。暴れても無駄だ、身代金をくれるまで解放するつもりはねぇからな」
顎をクイッと上げられたすずかは、男をキッと睨み付ける。
「お~お~そんなに睨んじゃって、怖い怖い」
「リーダー、この女はどうします?」
一人の部下がエイミィを指差す。
「その女は別に利用価値は無い。テメェ等の好きにして構わん」
「な!?」
「!? んん、ん…!!」
「だ、そうだ。俺達の好きにさせて貰うぜ」
「ゲヘヘヘ…」
部下達がエイミィをその場に押さえつける。エイミィも抵抗するが、男達の押さえつける力が強くて逃げられない。
「そら、よ!!」
-ビリィッ!!-
「んん…!?」
無理やり上半身の服を破かれ、彼女の下着が露わになる。
「うっへぇ~、結構な上玉じゃねぇか」
「よし、下も破いちまうか」
男達は興奮し、今度は彼女のスカートに手を伸ばす。
「やめて、エイミィさんに手を出さないで!!」
すずかが叫ぶが、男達はやめようとしない。
「ほ~ら、どんどん破けちゃうぜ~?」
「涙流しちゃって、可愛い奴だな~」
「んん、んんん…ッ!?」
男達は大笑いし、今度はエイミィのスカートも破こうとする。
「お願い、やめて!!」
すずかが叫んだその時…
「ごはぁぁぁぁぁっ!?」
-ガッシャァァァァァァンッ!!-
「「「「!?」」」」
突然、工場跡地の入り口を見張っていた部下が吹き飛ばされて来た。
「な、何だ…!?」
男達は入り口の方を振り向く。
「あらら。もう少し遅れてたら、凄くヤバい事になってたかもな」
入り口から、アヴェルが部下二人を引き摺りながら姿を現した。
「な、何だテメェ!!」
「答える義理は無い」
そう言って、引き摺っていた部下達をその場に放り捨てる。
「アヴェルさん!!」
「おぅ、ちょっと待ってろ。先にこいつ等を潰す」
アヴェルは両手をパキポキ鳴らす。
「ふざけやがって、殺れ!!」
「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」
リーダーの命令に、男達が駆け出す。
「らぁっ!!」
「よっと」
-パシィッ-
「な!?」
一人の男が鉄パイプを振るうも、アヴェルはそれを右手で簡単に受け止める。
「さて」
アヴェルは鉄パイプを掴んだまま、首をポリポリ掻く。
「武器を持ったんだという事は、構わないんだな?」
「あぁ!? 何言ってんだテメ―――」
「消される覚悟は出来てんのかって事だよ、屑共が」
「「「「ッ…!!?」」」」
アヴェルの放つ強大な威圧感に、男達が圧倒される。
-ボォォォォォッ!!-
「な…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
アヴェルの鉄パイプを掴んでいた右手が黒い炎を纏い、男の両腕を鉄パイプごと焼き焦がす。
「腕が、腕がぁぁぁぁぁ!?」
腕を焼かれた男は、想像を絶する苦痛にのた打ち回る。
「ほらどうした? 来ないのか?」
「う、うわぁぁぁぁぁ!?」
別の男がアヴェルの背後から殴りかかる。
「遅い」
「ごぶぅ!?」
アヴェルは難なく回避してから、男を地面に薙ぎ倒し…
-グシャアッ!!-
「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
そして倒れた男の右腕を踏みつけ、骨を粉砕する。
「次」
アヴェルは男達を睨みつける。
「や、殺れ!! この人数にかなう訳が無ぇ!!」
「「「う、うぉぉぉぉぉぉ!!」」」
男達は引き下がらず、一斉にアヴェルに襲い掛かる。
「……」
アヴェルも無言で迎え撃つ。
数分後…
「あ、あぁぁ…」
リーダーの男がその場にへたり込む。
「この程度か、つまらん」
アヴェルは手についた返り血を払う。彼の周りには一方的に半殺しにされた男達が倒れており、顔面を焼かれた者や手足の骨をへし折られた者、血を吐いている者もいたりとかなり無惨な事になってしまっている。
すずかとエイミィは既に救出されており、別の場所に避難している。服を破かれたエイミィは、マントに擬態したノースによって上手く隠して貰っている。
「ま、待ってくれ!! 俺が悪かった!! 許し―――」
「うるさい」
-ボギィッ!!-
「あがぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
命乞いをする男の右手をアヴェルが踏み潰し、骨の砕ける音が鳴る。
「今更、命乞いで許されるとでも思ってんのか? 大した覚悟も無い癖に、誘拐なんて馬鹿な真似をするからこうなるんだよ」
-ドゴォッ!!-
「ほがぁっ!?」
アヴェルはのた打ち回る男を蹴り飛ばす。
「悪いが、俺は敵と認識した奴は徹底的に潰す主義でね。俺に出くわした事を後悔するんだな」
アヴェルは男の前に立ち、男を見下ろす。男は震えが止まらず完全に失禁してしまっており、まるで蛇に睨まれた蛙のようだった。
「か、怪物…」
「怪物? 大いに結構。何せ俺は…」
アヴェルは右足を振り上げる。
「怪刃のアヴェル、そう呼ばれているのだからな」
数秒後、肉を潰す音が工場跡地に響き渡った。
アヴェルは敵対した者には一切容赦はしません。殺すとまではいかなくとも、半殺しはほぼ確実にやらかします。命乞いすらさせてくれません。
それでは感想、お待ちしてます。