ホテル・アグスタ編、それではど~ぞ~。
派遣任務から数日後…
「改めて、今回の任務についておさらいしておくで」
機動六課の下で、新たな任務が言い渡されていた。
今回の任務は、ホテル・アグスタにて行われるオークションの警備。このオークションでは取引許可の出ているロストロギアも出されているが、中には許可の出ていないロストロギアが密輸品として紛れている可能性がある上に、ロストロギアに引き寄せられてガジェットやモンスターも出現するかもしれないのだ。
それ等の事も考え、今回は機動六課が出動する事になったのである。
「今まで謎だったガジェット・ドローンの製作者、及びレリックの収集者。現時点では、違法研究で広域指名手配されている次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティの線で調査を進めていく」
「これについては私達を中心に進めてるけど、皆も一応覚えていてね」
「「「「はい!」」」」
「そして、今回の任務会場はここ。ホテル・アグスタや!」
「骨董美術品オークションの会場警備と、人員警護。それが今回の私達の仕事だよ」
(…暇だなぁ)
フォワードメンバーがはやて達の任務説明を受けている中、アヴェルも一応聞いてはいるもののかなり退屈そうにしている。
アヴェルはシグナムやヴィータと共に、万が一の保険として警備につく事になった。相手がガジェットのみなら緊急事態の起こりえない布陣である上に、モンスターが出た場合はアヴェルが迅速に対処に出る事になっている。
「アヴェルさん。もしもの時のサポート、よろしくお願いします」
「お~ぅ」
「キキィ~」
「クワァ~」
アヴェルは間の抜けた返事を返し、ノースとヴァルもそれに釣られて鳴く。
「(モンスターが出現してる辺り、確実に前線に出ないといけないんだろうな…)やれやれ、どの世界でも平和じゃないな……ふぁぁ」
アヴェルは欠伸をしつつ、自分の持ち場に向かおうとしたその時…
「あれ、シャマルさん。その箱は?」
シャマルが持つ箱について問いかけるキャロの声が聞こえてきた。
「あぁこれ? 隊長達と、アヴェルさんのお仕事着よ♪」
聞こえた直後にアヴェルは逃亡を謀ったが、すぐシグナムに捕獲されたのでそれは叶わなかった。
ホテル・アグスタから、少し離れた場所にある森の中。
「あれがそうか…」
その森の中から、スタルフォスは遠くのホテル・アグスタを眺めていた。その後ろから、右手にカンテラを持った大型の亡霊モンスター“ビッグポウ”が姿を現す。
『スタルフォス様、新たに呼び寄せた魔物達を掻き集めました』
「よし。ダークリンク様の指令通り、レリックもしくは役に立ちそうなロストロギアがあれば、速やかに回収しろ。その間、俺達は奴等の足止めに専念する」
『かしこまりました、ケケケケケケ…』
ビッグポウは姿を消し、スタルフォスの背後の魔法陣から複数のモンスター達が出現する。
「俺達の邪魔はさせねぇぜ、ゴミ屑共め。フォッフォッフォッフォッフォッ…」
スタルフォスは目をギラリと光らせ、不気味な笑い声を上げた。
「何で俺は、いつもいつもこうなるのかねぇ…」
会場にて、アヴェルは窮屈そうにしながらはやて達を待っていた。
結局、アヴェルは再びタキシード姿に着替えさせられる羽目となった。現在の彼は、黒のタキシードに紫色の蝶ネクタイという服装。普段のボサボサ髪も、上手い具合にオールバックでセットされてしまっている。
「こんな服装と髪型で待機しなきゃならんとは、どうにも世知辛い。なぁお前等」
「キキッ!」
「クワ?」
ノースは同意するかのように頷き、ヴァルはよく分かってないので首を傾げる。
「おぉ~、やっぱりタキシードも似合っとるやん」
アヴェルの前に、綺麗にドレスアップしたはやて達三人娘がやって来た。
「…馬子にも衣装?」
「「「最初の一言から既に酷い!?」」」
アヴェルの毒舌に、三人の同時突っ込みが炸裂する。
「いやいや。待機してるとは言っても、綺麗になり過ぎだろ。何処まで気合い入れてんだお前等」
「ん、何や? 私等のドレス姿に一目惚れでもしたんか?」
「あ、それは断じて無いから」
はやてがウィンクするも、アヴェルはキッパリと断言する。
「むぅ~、少しは褒めてくれても良ぇやんか~」
「残念だが、俺には女心ってのがよく分からんのでね。褒め言葉が何も思いつかん」
「キィキィ…」
「女泣かせな事を言わんといてやぁ~…それからそこの蝙蝠!! いい加減人を馬鹿にするかのような目で見るんやない!!」
「まぁまぁ、落ち着いて」
今にもノースに向かって飛び掛かろうとするはやてをフェイトが宥める。ヴァルは相変わらず何の話をしているのか理解しておらず、アヴェルの頭の上でグースカと寝始める始末である。
「ところで、他のメンバーはもう配置についてんのか?」
「はい。スバル達も配置についてますし、現場指揮はシャマルが取ります。シグナム達も、万が一の事も考えて待機しています」
「ふぅん。なら、さっさと向かうとしましょうかね……ッ!」
歩き始めたその時、アヴェルは何かを感じ取りすぐに歩を止める。
「アヴェルさん?」
なのはの声を余所に、アヴェルはとある通路の先を睨み付ける。
「…いきなり出やがったか」
アヴェルの一言で、はやて達もすぐに理解する。
モンスターの出現だ。
「さて、そっちは任せる」
「え、ちょ、アヴェルさん!?」
アヴェルはノースとヴァルを連れて、そのまま通路を走り去ってしまった。
その一方で、フォワードメンバーも配置について警戒態勢を張っていた。
スバルとティアナは配置につきながらも、念話で会話する。
『今日は八神部隊長の守護騎士達が全員集合かぁ~』
『そういえば、あんたって結構詳しかったわよね? 八神部隊長や副隊長達の事』
『うん。でもまぁ父さんやギン姉の話を何度か耳にしたくらいで、隊長達の詳しい出自とかは全く知らないけど』
『そう…』
『ティア、どうかしたの?』
『別に』
『そう、じゃあまた後で』
念話が終わる。
ティアナは内心、疑問が尽きないでいた。
明らかに普通とは言えない戦力を保有する機動六課。加えて、次元漂流者としてミッドチルダにやって来た、異常な強さを誇る一人の傭兵。その傭兵を除いても、隊長達に副隊長達、ライトニングの二名、そして自身のパートナー。
結局、この部隊で“凡人”は私だけ。
そう結論に至り、ハァと溜め息をつく。
(それでも、私は証明するだけ。ランスターの弾丸は、何でも貫けるんだって…!!)
ティアナはクロスミラージュを強く握り、心の中でそう誓うのだった。
ホテル・アグスタ、オークション会場の裏にある倉庫…
「んん、むにゃむにゃ…」
一人の女性が、積んである荷物に寄り添って居眠りをしていた。
またしても着替えさせられたアヴェル、今回はタキシード姿で髪型もオールバックに。
そんなアヴェルですが、三人娘のドレス姿に対する一言がやっぱり酷過ぎる…ww
ちょっとは褒めてやれよって言いたくなりますが、彼は俗に言う“鈍感”なので結局それも無理な注文だったという(ぇ
さて、『時オカ』プレイ済みの人なら知っているであろう“みんなのトラウマ”に属するモンスターが、次回登場します。
取り敢えず言うと、作者はあいつ等が大の苦手です。
ん?
最後に出てきた女性は誰なんだって?
いや、それは…
あのね…
えぇっと…
その…
さぁ、誰でしょうねぇ?←