それではどうぞ。
アヴェルがリーデットを退治するのと同時刻、ホテル・アグスタの周りにも複数のガジェットが出現していた。
「来ました! ガジェット・ドローン陸戦I型、機動30、35…」
「陸戦Ⅲ型、2,3,4!」
配置についていたフォワードが迎え撃つ。
「!? 何あれ…!?」
しかし、現れたのはガジェットだけではなかった。
「「「「カカカカカカ…」」」」
地面から複数の骨の手が飛び出し、骸骨モンスター“スタルベビー”が出現。次々と地中から姿を現し、ホテル・アグスタまで進行を開始する。
「が、骸骨!?」
「びびってる場合じゃないわ!! ホテル前に防衛ラインを張って、全部倒すわよ!!」
「「「はい!!」」」
フォワードメンバーがガジェットやスタルベビーと対峙する中、先行しているシグナム達守護騎士メンバーもスタルベビーに囲まれていた。
「全員ぶっ潰す……おらぁぁぁぁぁっ!!」
ヴィータは自身のデバイス“グラーフアイゼン”でスタルベビーを一体ずつ粉砕する。
「はぁぁぁぁっ!!」
「むん…!!」
レヴァンテインを構えるシグナムと人間態になっているザフィーラの二人も、襲い掛かってくるスタルベビーを撃破していく。スタルベビーは一体一体の戦闘力は低い為、苦戦する程ではない。
「でりゃぁぁぁっ!!」
ヴィータが最後の一体を破壊し、スタルベビーを全滅させる。
「この程度か。大した事のない…」
「俺達が相手ならどうだ!!」
「!?」
シグナムの真上から、剣と盾を装備したスタルフォスが出現。シグナムに斬り掛かる。
「ぐっ!!」
シグナムはレヴァンテインで防御し、スタルフォスと鍔迫り合いになる。
「シグナム!?」
「ヴィータ、後ろだ!!」
「な…うぉっ!?」
「「フォッフォッフォッ!!」」
ヴィータの背後からも二体のスタルフォスが現れ、彼女に向かって剣を振るう。
「させん!!」
「グォ!?」
不意打ちに気付いたザフィーラが横から殴り飛ばし、盾での防御が遅れたスタルフォスは吹き飛ばされてバラバラになる。
「はっ!!」
「フンッ!!」
鍔迫り合いになっていたシグナムとスタルフォスは互いに後ろへ下がり、再び構える。
「貴様等もモンスターか。目的は何だ、何故ロストロギアを狙う?」
「馬鹿め。そんな事……俺達が教えるとでも思うか!!」
「ッ!!」
スタルフォスはジャンプ斬りをかまし、シグナムもそれを回避する。
(幸い、動きはそれ程早くはない。隙を突く事さえ出来れば、何とか…!!)
互いにジリジリと構え、何とか隙を突こうとシグナムとスタルフォス。
しかし…
「フォッフォッフォ…」
「!?」
先程ザフィーラに粉砕されたスタルフォスの残骸が一箇所に集まり、そのまま元通りに復活してしまった。
「馬鹿な、復活しただと!?」
「残念だったな。テメェ等ごときに、俺達は倒せん!!」
驚くシグナムに、二体のスタルフォスが同時に攻撃を仕掛ける。
「「フォッフォッフォッフォッ!!」」
「くぅっ!!」
倒された筈のスタルフォスが復活した事で、シグナムも若干冷静さを失い、少しずつ押され出す。
「オラァッ!!」
「ッ!?」
スタルフォスの攻撃がシグナムの右腕に命中、右腕の痛みでシグナムの動きが一瞬だけ鈍る。
「ハッハァ!!」
「うぁっ!?」
更に右足も斬りつけられ、シグナムはその場で膝を付いてしまう。
「死ねぇ!!」
シグナムの顔面に向かって、スタルフォスが突きを繰り出そうとする。
「シュワルベフリーゲン!!」
「ヌッ!?」
そこへ、空中に飛んでいたヴィータが鉄球状の魔力弾を複数放ち、それに気付いたスタルフォス達は辛うじて回避する。
「おぉぉぉぉっ!!」
「な、グォワァァァァッ!?」
ザフィーラのパンチが再び炸裂、またしてもスタルフォスが一体バラバラにされる。
「チィィ…!!」
残りの二体はシグナム達から離れ、一定の距離を保つ。
「大丈夫か、シグナム」
「あぁ、すまない」
ザフィーラに支えられながら、シグナムもどうにか立ち上がる。
「ふん、小賢しい真似を…」
一体のスタルフォスが、空中から降りて来るヴィータを睨みつける。
「だが、無駄な抵抗だ」
スタルフォスはニヤリと邪悪な笑みを浮かべる。それと同時に、バラバラになっていた残骸も再び集まり出し、倒されたスタルフォスが復活する。
「これで分かっただろ、お前等は俺達には勝てん。いい加減諦めろ」
「ふざけんな!! てめぇ等にここを突破される訳にはいかねぇんだ!!」
ヴィータは鉄球型の魔力弾を生成、もう一度スタルフォス達に向けて放とうとする。
「…ハンッ」
そんなヴィータを、スタルフォスは鼻で笑う。
「何が可笑しい!!」
「可笑しくて堪らねぇからさ。俺達はあくまで、お前等を引き寄せる為の陽動に過ぎないってのに」
「「「!?」」」
スタルフォスの言葉に、三人は驚愕の表情を見せる。
「今頃、仲間のモンスターが中に潜入済みかもなぁ」
「な、嘘だろ!?」
予想外の言葉に、ヴィータが思わずホテルの方を向く。
それが、罠だと気付かずに。
「今だ、やれ!!」
「な…うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
スタルフォスの合図で、地面から電流を纏った芋虫モンスター“テールパサラン”が出現。ヴィータに触れて感電させる。
「ヴィータ……がぁぁぁぁっ!?」
「ぐぅぅぅ…!?」
地面からの奇襲にシグナムとザフィーラの二人も対応が遅れ、複数のテールパサランによる強力な電流で感電してしまう。
「グハハハハハハハッ!! 馬鹿共め、まんまと引っ掛かったな!!」
「「フォッフォッフォッフォッ!!」」
電流に痺れて倒れた三人を見下ろしながら、スタルフォス達が高笑いする。
実はスタルベビーと戦っている最中から、既にテールパサランの群れは地中に潜っていた。それからはスタルフォスの合図があるまで、ずっと地中で待機していたのだ。
「きさ、ま…!!」
「一瞬でも余所見をした、自分を恨むんだな」
「くっ!?」
膝をつくシグナムが睨むも、スタルフォスは涼しい顔で彼女を蹴り倒し、腹部を踏みつける。
「どの道なぁ、お前等が俺達を倒す事自体が不可能だったんだよ!!」
-ドガッメギッゴスッ!!-
「あぐ、がはっ!?」
スタルフォスに何度も腹部を踏みつけられ、シグナムは口から血を吐く。
「がふ…」
「さぁ、とっとと………地獄に落ちなぁっ!!!」
そしてスタルフォスが剣を振り上げ、弱りきったシグナムにめがけて振り下ろす。
「「シグナム!!」」
ヴィータとザフィーラが叫ぶも、電流の所為で上手く動けない。
(ここまで、か…)
シグナムは目を瞑る。
(すみません、主…)
スタルフォスの剣が、シグナムの体を斬り裂く―――
「キッキィィィィィィィッ!!」
―――事は無かった。
「何、ヌォォォォッ!?」
ジェット機並のスピードで飛来したノースが、剣を振り下ろそうとしていたスタルフォスに突撃。翼による一撃で、スタルフォスを弾き飛ばす。
ノースの登場に、他のスタルフォス二体も驚きを見せる。
「後ろがガラ空きだ」
「「ヌ、グワァァァァァァァァッ!?」」
声がすると同時に、いつの間にか背後まで接近していたアヴェルが二体同時に剣で斬り裂き、バラバラに粉砕する。
「ギュワァーッ!!!」
更にヴァルも登場し、口から繰り出した火炎放射でテールパサランを一匹残さず焼き尽くす。
「アヴェル、か…?」
「間一髪だったな、シグナム」
怪刃と呼ばれし傭兵が、守護騎士達の下に駆けつけたのだった。
今回の相手は、スタルフォス×3です。
『時オカ』でもスタルフォスは大抵の場合二体一組で襲って来るのですが、二体目を倒すのに時間がかかると、倒した一体目が復活して再び襲って来るという面倒な中ボスでした。
こいつ等は作者も倒すのに苦労しています。
ゴーマみたいな雑魚ボスを倒す事なんかよりもよっぽど苦労します←