なんか最初に予定してたのより、アヴェルの介入が少ねぇ…。
まぁ良いや、取り敢えずどうぞ。
例の模擬戦から時間が経ち…
「―――ん、ん」
医務室にて、気絶したティアナが目を覚ます。
「ここは…」
「あ、起きた?」
シャマルが覗き込む。
「シャマル先生…」
「私もびっくりしたわよ。いきなりここまで運ばれて来たんだもの………模擬戦で撃墜された事、覚えてるかしら?」
「…はい」
ティアナの暗い表情は晴れない。
「なのはちゃんの訓練用魔力弾だから、ダメージは残ってないわ。でもだからって、また無茶をしないようにね」
「…分かりました」
ティアナは制服に着替え終え、ベッドから立ち上がる。
「あ、それから」
「え?」
医務室を出ようとしたティアナをシャマルが呼び止める。
「模擬戦の後、アヴェルさんがあなたをここまで運んで来たの。アヴェルさんにもちゃんと、お礼を言いに行きなさいね」
「…はい」
ティアナはシャマルに一礼した後、医務室を出ていった。
一方、男子寮…
「あ~、美味い…」
現在、アヴェルはベッドに座ってコーヒーを飲んでいるところだった。ノースは天井にぶら下がりながら、ヴァルはアヴェルの隣で丸まって眠っている。
『私達……一体、どうしたら良かったんですか?』
「…あんな顔を俺にされてもねぇ」
ティアナを運ぶ際に見たスバルの泣き顔が、アヴェルの脳裏に思い浮かぶ。
(正直、俺にはどうしようも無いんだよな)
アヴェルがコーヒーを一気に飲み干したその時…
-ビィィィィ! ビィィィィ!-
「!?」
突如、警報が鳴り響く。
「…やれやれ。ノース、ヴァル、起きろ!」
「キキッ?」
「クワァ~…?」
ノースは蝙蝠である為なのかすぐに起きるも、ヴァルは眠たそうに起き上がる。
アヴェルはノースが擬態したマントを纏い、ヴァルを頭に乗せて部屋を出るのだった。
ミッドチルダ海上にてモンスターの出現を察知した一同は、ヘリポートへと集まる。
「今回は私とフェイト隊長、ヴィータ副隊長、そしてアヴェルさんの四人で出るから」
「フォワードの皆は、シグナム副隊長と一緒にロビーで待機ね」
「「「はい!!」」」
「…はい」
スバル、エリオ、キャロの三人は返事を返すが、ティアナだけは低い声で返す。
「それから……ティアナは、出動待機から外れとこうか」
「…ッ!!」
なのはがそう言い渡すも、ティアナは納得がいかない様子を見せる。
「まだ、体力も魔力もベストじゃないだろうし…」
「言う事を聞かない奴は使えないって事ですか」
なのはの言葉をティアナが遮る。
ティアナの反抗するかのような言い方に、なのはも溜め息をつく。
「自分で言ってて分からない? 当たり前の事だよ、それ」
「現場での指示や命令はちゃんと聞いてます。訓練だってサボらずにやってます。なのに……それ以外での努力だって、言われた通りじゃないと駄目なんですか…?」
それを聞いたヴィータが前に出ようとするが、なのはが手で制する。
「私はなのはさん達みたいにエリートじゃないし、アヴェルさんみたいに強くもない!! スバルやエリオみたいな才能も無いし、キャロみたいなレアスキルだって無い!! 少しくらい無茶しなくちゃ、死ぬ気でやらなくちゃ、強くなんてなれないじゃないですか!!!」
ティアナがそう言った直後…
-バキィッ!!-
「ッ!?」
シグナムがティアナの胸倉を掴み、彼女の頬を思いきり殴った。殴られたティアナはその場に倒れる。
「ティアッ!!」
「安心しろ。加減はしてるっぽいから」
アヴェルにはシグナムが加減してる事が分かったらしい。
倒れたティアナをスバルが抱え起こす。
「駄々を捏ねるだけの馬鹿は、付き合ってやるからなまじ付け上がる……ヴァイス、出られるな?」
「乗り込んでくれりゃ、いつでも!」
ヘリのコックピットに乗り込むヴァイス。それに続いてフェイトとヴィータも乗り込む。
「ティアナ! 思いつめちゃってるけど、あとでゆっくり話そうね!」
「だから付き合うなっての!!」
ティアナに声をかけるなのはを、ヴィータが無理やりヘリまで引っ張り込む。
「やれやれ……ヴァル」
「クワ?」
アヴェルは呆れ顔になりながらも、頭の上に乗ってるヴァルに呼びかける。
「ティアナ達についててやれ。お前がいる方が、あいつ等にとっても慰めになるかもしれんしな」
「…クワッ!」
ヴァルは「了解!」とでも言うかのように前足で敬礼のポーズを取り、アヴェルの頭から降りてフォワードメンバーの方へ走っていく。
「…さて、行くとするかね。ノース!」
「キキィッ!」
マントに擬態しているノースが翼を出現させ、アヴェルは上空へと飛び立つ。
「…さて。目障りだ、いつまでも甘ったれてないで、さっさと部屋へ戻れ」
アヴェル達が飛び立つのを見送った後、シグナムはティアナを睨みつける。
「シグナム副隊長、その辺にした方が…」
「スバルさん、取り敢えずロビーに…」
「シグナム副隊長」
エリオとキャロがフォローに回ろうとするが、スバルが立ち上がってシグナムと向き合う。
「確かに、命令違反は駄目だし、さっきのティアナの言い方や、それを止められなかった私も駄目だったと思います。だけど……自分なりに強くなろうとする事や、きつくても何とか頑張ろうとする事って、そんなにいけないんでしょうか!?」
シグナムの睨む目が更に強くなる。
「自分なりの努力って、そんなにやってはいけない事なんでしょうか!?」
「自主練は良い事だし、強くなろうとするのも良い事だと思うよ」
スバル達の前に、ロングアーチ通信士のシャリオ・フィニーノ(以下シャーリー)がやって来た。
「シャーリーさん…?」
「なんかもう、皆が不器用過ぎるのが見てられなくて……ちょっと、ロビーに集まって。私から、色々説明してあげるから」
一方、出動したアヴェル達は…
「おうおう、何か色々と揃いやがって…」
「「「「グワワワワワッ!!」」」」
『フハハハハハハハ…!!』
海上にて、赤い炎を纏った複数の“赤バブル”や、人の姿をした炎のモンスター“フレアダンサー”と対峙していた。
「何だ、あの数…!?」
ヘリから見ていたヴィータ達は、かなりの数に思わず息を呑む。
「一体一体、確実に落とそう!! 私が後方から火砲支援を…」
「いや、必要無い。俺が一人で全部潰す」
「「「…へ?」」」
アヴェルの一言に、三人は呆気に取られる。
「いやオイッ!? いくら何でも無茶だろ、一人でこの数じゃ!!」
「そ、そうですよ!! せめてサポートくらいは…」
「この中で、あいつ等の対処法を詳しく知ってるのは俺だけだ。安心しろ、ちゃっちゃと終わらせてやるから」
「だけど…!!」
「ナノハ」
アヴェルはなのはの方に振り向く。
「ティアナと話、しなくちゃいけないんだろ?」
「え…」
「だから待ってろ。俺が速効で、ケリつけて来てやる」
そう言って、アヴェルはモンスター達の下へと滑空する。
『フハハハハハ…!!』
「「「「グワワワワワワワッ!!」」」」
フレアダンサーは高速で回転して巨大な炎の竜巻を出現させ、赤バブルの集団はアヴェルに向かって突撃する。
「俺には、あいつ等の喧嘩に割って入るような偉い権限はありはしない……だが」
アヴェルは空中で止まり、左手で剣を構える。
「さっさとお前等を仕留める事で……あいつ等の話す時間を、長く作る事くらいは出来る」
アヴェルは右手の指で、三の数字を示す。
「三分だ。一気にカタをつける」
三分。
アヴェルにとって、モンスターを仕留めるのには充分な時間だった。
「さぁ…弾けろ!!!」
アヴェルの剣が、黒い炎に包まれた。
さて、多分次回くらいで仲直り出来るでしょう。
次回もお楽しみに。