ではど~ぞ。
「グワワァッ!?」
赤バブルが一刀両断される。
「獄炎“飛鳥”!!」
「「「ガガガァ…!?」」」
更に複数の黒炎の鳥を飛来させ、赤バブル達に命中。次々と撃墜していく。
「どうした、この程度か?」
「「「…グワワワァッ!!!」」」
アヴェルが指で挑発し、数体の赤バブルが怒って突撃する。
「…馬鹿が」
そう言って、アヴェルの右手から放り出されたのは…
爆発寸前のボムチュウだった。
「グワッ!?」
一体の赤バブルがそれに気付くが、もう遅い。
-ドゴォォォォォォンッ!!!-
「「「グワワワワァァァァァァッ!!?」」」
赤バブルが炎を纏っていたのもあって、大爆発が引き起こされる。
「こういう使い方もあるって事だ」
『フハハハハハッ!!!』
バラバラに崩れ落ちていくバブルの残骸を見て、フレアダンサーも更に回転のスピードを上げ、炎の竜巻を強大化させる。
「回るだけとは……能の無い奴が」
アヴェルの剣が、黒色に染まる。
「獄炎……“烈風”!!!」
-ゴォォォォォォォォォォォォォッ!!-
『ヌワァァァァァッ!!?』
「「「ガガガァァァァァッ!?」」」
アヴェルが剣を振るう事で巨大な突風が発生し、フレアダンサーや赤バブル達の炎が全て吹き飛ばされる。
「「「カカカカカカッ」」」
『ヌ…ヌワァッ!?』
炎が消えた事でバブル達は何も出来ずに飛び回り、フレアダンサーは黒い体の本体が出現、下へと落下していく。
「弾けろ」
アヴェルの右手にクロスボウが構えられ、矢先に魔力が集中する。
「黒夜叉ッ!!」
-ドドドォンッ!!-
「「「グワァァァッ!!?」」」
三連続で黒炎の矢が発射され、赤バブル達が撃ち抜かれ全滅する。
『ヌワァ…!!』
フレアダンサーの本体は海面を走り、その場から逃げ出そうとする。
「逃がすか」
『ヌワッ!?』
しかしアヴェルに先回りされ、それも叶わなくなる。
「黒夜叉」
クロスボウが向けられる。
フレアダンサーの本体がそれを見てUターンしようとするのと…
「―――極楽鳥ッ!!!」
-ズドォォォォォォンッ!!!-
『ヌワァァァァァァァァァァッ!!?』
黒い炎の鳥がゼロ距離で発射されるのは、ほぼ同時だった。
「…一丁上がり」
アヴェルのホルスターに、クロスボウが納められた。
「嘘だろ…」
「す、凄い…」
「本当に一人で倒しちゃった…」
なのは達三人は、アヴェルが一人でモンスターを全滅させた事に驚愕する。
「ま、マジかよ…!?」
「ん、どうしたヴァイス?」
「い、いや、実は………本当に三分でケリつくかどうか、タイマーで計ってみたんすけど…」
ヴァイスは手に持っているタイマーを三人に見せる。
「…本当に三分で終わっちゃいやした」
「「「……」」」
これにはもう、三人は言葉を放つ事すら出来なかった。
「普通、宣言通りにいくもんすか? 何秒かは確実にズレている筈すけど…」
「…それ、あたし等に聞かれても困るんだが」
「にゃははは…」
「うん、もう驚く事しか出来ないや」
というより、これで驚かなかったらそれもそれで不思議である。
「お~い、どうした? さっさと戻ろうぜ」
そんな事は露知らず、アヴェルは呑気になのは達に帰るよう呼びかける。
「「「あ、はい、そうしましょう…」」」
「…?」
何故か敬語で返ってきた事に、アヴェルは首を傾げるのだった。
「これって…」
「そう……どれもかつて、なのはさんが関わってきた事件」
六課のロビーでは、フォワードメンバーがシャーリーによっていくつかの映像を見せられていた。
幼き頃のなのはとフェイトが、あるロストロギアを巡って対立したPS事件。はやてが危険なロストロギアの主となった、闇の書事件。それ等の事件で無茶を続けた事を原因に引き起こされた、なのはの撃墜事故。全身に包帯を巻かれた状態で、ベッドに横たわるなのは。
それ等の映像を見て、フォワードメンバーは思わず息を呑む。
そして理解する。
自分達がどれだけ、安全な環境にいたのか。
自分達がどれだけ、なのは達から心配されていたのか。
「確かに、必死で挑まなければならない時や、死ぬ気で挑まなければならない時だってある。だがティアナ、お前がホテルでやった誤射や、模擬戦でやった時の攻撃は、本当にその時にしなければならない攻撃だったか?」
「…!!」
シグナムに問いかけられ、ティアナもようやく自身の過ちに気付く。
「どうだ、ティアナ」
「わ、私は…」
ティアナの目から一筋の涙が流れる。
「クワァ~…」
それを心配そうに見たヴァルは、彼女の頬を伝う涙をペロリと舐める。
「…分かったようなら、それで問題は無い」
ティアナがようやく理解した事を察したからか、シグナムもそれ以上問う事は無かった。
「ま~たしんみりした空気になってんな、お前等」
「「「「「!?」」」」」
帰還したアヴェル達が、ロビーへと戻って来た。
「えぇ!? 四人共、さっき出動したばかりじゃ!?」
「あぁ、俺が速攻で終わらせた」
さっき出動したばかりの四人がすぐ戻って来た事に、シャーリーは驚きを隠せない。
「うん、今回出てきたモンスターなんだけど…」
「…アヴェルさんが一人で全部倒しちゃったんだ」
「それも、たった三分でな」
「「「「「嘘ぉっ!!?」」」」」
「何、だと…!?」
それにはシャーリーやフォワードメンバーだけでなく、シグナムですら驚きの表情を見せる。
「それは別にどうでも良い事だ……で、お前等はここで何してんだ?」
「あ、えぇっと、その…」
シャーリーはアヴェル達が出動している間に、フォワードメンバーになのはの過去について明かしていた事を説明する。
「もう、駄目だよシャーリー。勝手に話しちゃ」
「す、すいません! でも、どうしても見てられなかったものだから…」
「…こりゃまた凄惨な」
なのはがシャーリーに注意し、アヴェルは映像を見た感想を言ってのける。
「なのはさん…」
「! ティアナ…」
なのはの前にティアナが歩み寄る。
「…少し、外で話そうか?」
そう言って、なのははティアナを連れて外へ歩き出す。
「ふぅ~…」
それからアヴェルは、隊舎の外を散歩しながらキセルで一服する。ノースは珍しく自分の足でアヴェルについて歩き、ヴァルも同じようにアヴェルについて歩く。
「少しはあいつ等も、話す時間は延びたかねぇ……なぁ、お前等」
「キッ」
「クワッ」
ノースとヴァルは鳴き声で返事を返す。
「時にヴァル……お前、少しはあいつ等を慰める役は務まったのか?」
「クワッ!? …ガゥ」
「…キキィ」
あまり役に立てなかった事を理解してるのか、ヴァルはシュンと落ち込み、ノースが翼で落ち込むヴァルの頭を撫でる。
「まぁ気にするな。時にはそういう事もあるし、前向きにやっていけ」
「…クワッ!」
言葉を何となく理解してるのか、ヴァルも立ち直ってから鳴き声を上げる。
「よしよし……ふぅ~」
アヴェルは岩の上に胡坐を掻いて座り、キセルの煙を吸う。
「アヴェルさん」
「!」
後ろから呼びかけてくる声にアヴェルが振り向くと、なのはとティアナが立っていた。ティアナの目が若干赤くなってる辺り、ついさっきまで泣いていた事が分かる。
「お二人さん、仲直りはちゃんと出来たのか?」
「あ、はい。お蔭様で」
「ありがとうございました」
「…礼を言われるような事したっけ、俺」
アヴェルは頭にクエスチョンマークを浮かべる。
「アヴェルさんが早くモンスターを退治したおかげで、ティアナと話す時間がたっぷり出来ましたし」
「私が気絶した時、アヴェルさんが医務室まで運んでくれたと聞いたので」
「…あぁ~、その二つね。俺は別に、大層な事はしちゃいない」
アヴェルは吸っていた煙を吹き、キセルの灰を地面に捨てる。
「…ところでだ」
アヴェルは小石を拾って立ち上がり、後ろを振り返る。
「さっさと出て来い、そこの馬鹿共」
-ガァンッ!!-
「痛ぁっ!?」
「え、ちょ…うわっ!?」
「きゃあっ!?」
「三人共…うわわわわわっ!?」
「キュクルゥ~ッ!?」
アヴェルの投げた小石が、茂みに隠れていたスバルの額にクリーンヒット。その拍子に、スバル、エリオ、キャロ、フリード、そしてフェイトが倒れる形で出て来た。
「み、皆っ!? ついて来てたの!?」
「え、えぇっと…」
「「「あははははは…」」」
「全く、盗み聞きなんぞせずに直接来れば良いものを…」
盗み聞きしていた一同は苦笑、これにはアヴェルも呆れ顔になる。
その後も、何だかんだで他愛の無い会話が続くのだった。
「さて…」
それからアヴェルは、なのは達と別れて男子寮へと戻ろうとしていた。
その時…
「!」
アヴェルは僅かな魔力を感じ取り、街の方を睨みつける。
「今の魔力……まさかとは思うが…」
ノースの翼が展開され、アヴェルは街へと飛来するのだった。
なのはとティアナは無事に仲直りしました。
しかしこの後、アヴェルは街中で…?