リリカルなのは ~駆ける怪刃~   作:ロンギヌス

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二十五話目です。

ほんじゃどうぞ。


第二十五話 黒い影

アヴェルが六課から街へ移動する数分前…

 

 

 

 

「キッ」

 

路地裏にて、一匹のキースがダークリンクに報告をしていた。

 

「キキ、キィキィッ」

 

『…そうか。引き続き、監視を続けろ』

 

「キキッ!」

 

キースが飛び立ち、その場にはダークリンクだけが残る。

 

(フレアダンサーでは足止めにもならんか……もっと、強力なモンスターを呼ぶ必要があるな…)

 

ダークリンクは左手をかざし、正面に魔法陣を出現させようとする。

 

その時…

 

 

「それでよ~、その時ボコした男がさぁ~」

 

「そりゃ笑えるなぁ~!」

 

「「「ギャハハハハハハハッ!!」」」

 

 

『…!』

 

路地裏の奥から、不良達の笑い声が聞こえてきた。ダークリンクもそれに気付き、すぐに魔法陣を掻き消す。

 

「ハハハ…お? 何かいるぞ」

 

「あ?」

 

不良達もダークリンクの存在に気付く。

 

「おいおい、何だ兄ちゃん」

 

「どうしたんだ? 全身真っ黒でよぉ」

 

「ペンキでもかけられたのかぁ?」

 

ギャハハハと笑いながらダークリンクにちょっかいをかける。不良達は目の前にいるダークリンクが本物の魔物である事は知らない為、黒色のペンキで真っ黒になってるだけだと思っているようだ。

 

『……』

 

「お、何だよ」

 

ダークリンクの赤い目が、不良達を見る。

 

『……』

 

しかし、すぐに不良達から目を逸らす。

 

「おい、何だよ今の目は!」

 

「てめぇ…喧嘩売ってんのか!」

 

一人の不良がダークリンクの胸倉を掴む。

 

『―――ろ』

 

ダークリンクが小さく呟く。

 

「あぁ? 何だって?」

 

 

 

『消えろ、目障りだ』

 

 

 

-ザシュッ!!-

 

「―――へ?」

 

刃物で斬れる音。

 

その直後…

 

-ブシャァァァァッ!!-

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

ダークリンクの胸倉を掴んでいた不良が突如斬り伏せられ、鮮血が迸る。ダークリンクの手には黒い剣が握られており、その場に返り血が振り払わられる。

 

「く、くそ、やりやがった!?」

 

「こいつ、正気じゃねぇ!!」

 

『ふん…』

 

ダークリンクが不良達を睨みつける。

 

「く、来るな!!」

 

「ひぃぃぃぃぃぃっ!!」

 

さっきまでの威勢がまるで無くなり、不良達はその場から逃走。ダークリンクは特に追う事も無く、剣を背中の鞘に納める。

 

『雑魚共が―――』

 

 

 

 

「獄炎“飛鳥”!!」

 

 

 

 

『!』

 

突如、ダークリンクに向かって複数の黒炎の鳥が飛来。ダークリンクはそれ等をバック宙でかわし、後方へと下がる。

 

『……』

 

「僅かに感じた魔力を辿ってみりゃ、こりゃ予想外な奴と出くわしたな」

 

ダークリンクの前に、六課から飛んで来たアヴェルが着地。ノースの翼がマントへと戻る。

 

『まさか、お前がここへ来るとはな…』

 

「こちとら、ちょっとした魔力にも敏感でな。場所もある程度は分かっちまうんだよ」

 

『…ほぅ』

 

「とは言っても、今はそんな事はどうでも良い。何でこの世界にいるのか、色々教えて貰おうか。ダークリンク」

 

「グルルルルル…!!」

 

アヴェルは右手に黒炎を纏わせる。ヴァルも目の前にいるのが自身の友の偽者だと気付いてるからか、敵意を剥き出しにして威嚇する。

 

『俺がそれを、貴様に話すとでも?』

 

「…ま、だよなぁ。ヴァル、何処か隠れてろ」

 

「クワッ!」

 

ヴァルがアヴェルから離れた後、アヴェルの右手から放つ黒炎が複数の火炎弾を生成する。

 

「ならいつも通り……潰すだけだ」

 

『…良いだろう、来い』

 

ダークリンクも背中に担いでいた盾を右手に装備し、姿勢を低くして構える。

 

 

 

「……」

 

 

 

『……』

 

 

 

一瞬の静寂。

 

 

 

「―――はぁっ!!」

 

先に動いたのはアヴェルだった。

 

ダークリンクに向かって、火炎弾が次々と発射される。

 

『フッ!』

 

それに対してダークリンクも後方へジャンプする事で火炎弾をかわし、自身に命中しそうな火炎弾だけを盾で防ぐ。防いだ直後に左手には数個の小型の爆弾を持ち、アヴェルに向かって投げつける。

 

「ノース、飛べ!!」

 

「キキィッ!!」

 

ノースの翼が展開され、アヴェルは壁沿いを飛んで爆弾を回避。爆弾が連続で爆発する勢いを利用して壁を蹴り、一気にダークリンクへと接近する。

 

「獄炎“鬼弾”!!」

 

『ッ…!!』

 

アヴェルが黒炎を纏った右手で殴りかかり、ダークリンクは盾で防御。しかし攻撃はこれだけでは終わらない。

 

「まだだ!!」

 

右手だけでなく、左手も黒炎に包まれる。

 

「獄炎…“鬼弾乱掌”!!」

 

『グ、ヌゥ…ッ!!』

 

両手での連続パンチに、盾で防御していたダークリンクも少しずつ押され出す。

 

「ぜりゃぁぁぁぁぁっ!!」

 

-ドゴォンッ!!-

 

『グッ!!』

 

アヴェルの一撃を防いだダークリンクが後方へ吹き飛ばされる。しかし吹き飛ばされたダークリンクも空中で体勢を立て直し、すかさず弓を構えてアヴェルを狙う。

 

『ハッ!!』

 

「うぉわ!?」

 

発射された矢を、アヴェルは擦れ擦れで回避。その間にダークリンクは地面に着地し、再びアヴェルに向かって複数の爆弾を投げつける。

 

『爆ぜろ』

 

「何…どぁぁぁぁぁっ!?」

 

そしてダークリンクの弓から発射された矢が、投げられた爆弾の一つに命中。それを引き金に他の爆弾も連鎖で爆発し、爆風がアヴェルを吹き飛ばす。

 

『フッ!!』

 

「チィ…!!」

 

爆風の中から飛び出したダークリンクが、左手に持った剣を振り下ろす。アヴェルも鞘から剣を抜き、攻撃を受け止める。

 

『どうした、この程度か?』

 

「はん、こんなんで俺に…!!」

 

アヴェルは力ずくでダークリンクを押し返し、剣に黒炎を纏わせる。

 

「勝ったつもりになるな!!」

 

『!!』

 

アヴェルの剣から黒炎の斬撃が飛ばされる。しかしダークリンクは体を反らして回避すると同時に再び弓を構え、矢先に赤い炎を纏わせる。

 

「何…!?」

 

『燃えろ』

 

炎の矢が発射され、高速でアヴェルに迫った…

 

その時だ。

 

 

 

 

「凍て付け、スノウマン」

 

 

 

 

『「!?」』

 

アヴェルの目の前に、青色の魔法陣が出現。魔法陣を通過した矢が炎ごと凍り付き、アヴェルに命中せずに地面に落ちる。

 

「これは…」

 

「珍しいものだな、お前が苦戦するなど」

 

「!」

 

後ろから呼びかけられる声にアヴェルが振り返る。

 

そこには、群青色の髪を靡かせたノースリーブの女性が、右手に白い冷気を纏わせた状態で立っていた。

 

「…なるほど、やっぱりお前だったか」

 

アヴェルは女性の姿を見て溜め息をつく。

 

 

「久しぶりだな。ミスティア」

 

 

「あぁ、随分と久しぶりだ。アヴェル」

 

 

女性―――“ミスティア”は口元をニヤつかせながら、アヴェルの名前を呼んでみせた。

 

 




今回は街中でダークリンクとの戦闘、そして謎の女性ミスティアとの遭遇です。

ミスティアの詳細については、次回以降で。
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