リリカルなのは ~駆ける怪刃~   作:ロンギヌス

29 / 32
二十七話目、更新しました。

…取り敢えずどうぞ。


第二十七話 久しぶりに

ダークリンクとの戦闘が終わってから、数分後…

 

 

 

 

「何年も前からこの世界に?」

 

「あぁそうだ」

 

アヴェルとミスティアの二人は、とある噴水広場のベンチに座って情報交換をしていた。ミスティアがアヴェルの隣に座っている為、少し離れた場所からノースが「アヴェルに近付く女豹め」という感じで彼女を睨みつけている。ちなみにヴァルにとってそれはどうでも良いらしく、アヴェルの足下で丸まってくつろいでいる。

 

「アヴェルと同じさ。おかしな宝石を拾った結果、気付いたらこの世界に飛んでしまっていた。思っていたよりも面白い世界だ、今ではこの世界での生活にもすっかり慣れてしまっている」

 

「お前のその適応力が羨ましいな。俺はこの世界については不慣れなまんまだ……で、お前は何処かに住んでたりするのか? 俺は六課に滞在してるが」

 

「いや、特にこれと言った拠点は無い。色々な場所を巡って休んだりしている。この前はホテルの倉庫にこっそり侵入させて貰ったな」

 

「ホテル……という事は、あの時のフリザドも…」

 

「私が召喚した。骸骨共が鬱陶しかったものでな」

 

「…やっぱりな」

 

ホテル・アグスタ近くの森で出没していた複数のフリザドは、ミスティアの放つ冷気によって生み出されたらしい。しかも襲って来たスタルベビー達が鬱陶しいという理由だけで。

 

合点がいったアヴェルは呆れ果てる。

 

「そんな理由でフリザドを出すとか……お前のそういうところは全く変わっちゃいねぇよな」

 

「変わってないのは、アヴェルだってそうだろう? 相変わらず傭兵なんか続けておいて」

 

「…他にする事が無ぇしな。俺達には戦い以外に何にもありゃしない。それはお前だって分かり切ってる事だろうに」

 

「…それもそうか」

 

アヴェルがベンチの背もたれに頭を置き、そんな彼にミスティアが寄り添う。

 

「なぁ、アヴェル」

 

「ん?」

 

「久しぶりに会う事が出来て、私はとても嬉しいぞ」

 

「まぁ確かに、昔の馴染みに会えたらな」

 

「馴染みなんてものじゃない……私にとっては、お前が一番なんだ。あの時からずっと…」

 

「…ミスティア?」

 

「あぁそうだ……私は昔から、いつもお前の事を求めている…」

 

(…あ、嫌な予感)

 

ミスティアの台詞に疑問を抱くアヴェルだが、途中からある事に気付き、冷や汗を掻き始める。

 

「さて、俺はそろそろ帰らせ…」

 

「逃がすと思うか」

 

「ぬぉうっ!?」

 

逃げようとしたアヴェルだが、彼女によって思い切りベンチの上に押し倒され、そこにミスティアが乗り掛かる。

 

「せっかく会えたんだ、久しぶりにまた付き合って貰うぞ」

 

「おい待て、まさか…」

 

「そのまさかだ……んっ♪」

 

「んむっ!?」

 

「キキィィィィィィィィッ!!?」

 

いきなり押し倒してきた理由を聞こうとしたアヴェルだが、その直後にミスティアが彼の唇にキスをし始めた。この光景を見たノースは、絶叫に近い鳴き声を上げる。

 

「ん、ちゅ、れろ…」

 

「ッ!? んん、んんん…!!」

 

引き離そうとするアヴェルだが、ミスティアのキスは止まらない。自身の舌を無理やり彼の口の中へと入れ込み、貪るように彼の涎を舐め取っていく。

 

(そうだ……こいつ、たまにこうしてキスしてきやがるんだった…!!)

 

完全に逃げ遅れたアヴェルは、何故すぐにそれを思い出せなかったのか後悔する。

 

しかし…

 

「んちゅ、あむ……ん、ちゅ…♪」

 

(…もう良いや、窒息だけしないようにしよう)

 

ミスティアが幸せそうにキスしてくるのを見て、アヴェルは完全に抵抗の気が失せる。

 

その後も、自分の口の中が彼女の舌で蹂躙されていくのを感じながら、大人しくキスが終わるのを待つ事にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ぷはっ」

 

ようやくキスが終わり、唇が離れる。

 

「ふぅ……ご馳走様だ…♪」

 

「…はぁ、お前という奴は」

 

満足したかのように微笑むミスティアに対し、アヴェルはゲッソリした表情になる。

 

「キキキィィィィィィィィィィィッ!!!」

 

「おっと」

 

完全にキレたノースが猛スピードで突撃するが、ミスティアは身体を反らして再び回避。攻撃は空振りに終わる。

 

「何だ、嫉妬か?」

 

「キィィィィィィィィ…!!」

 

「よせ、ノース。というか、せめてやってる途中で止めて欲しかったな」

 

ニヤついた表情で挑発するミスティアに、ノースが再び攻撃を仕掛けようとするが、アヴェルが手で制する。

 

「全く……キスされるこっちの身にもなれっての」

 

「お前に対する、私の愛情表現だ。今に始まった事じゃないのは、お前も知っているだろう?」

 

「…それもそうだがよ」

 

アヴェルはこれ以上言っても無駄と悟ったのか、諦めたような表情になる。

 

「…と、そろそろ時間だな」

 

柱時計の時間を見て、アヴェルが立ち上がる。

 

「む、もう帰るつもりか?」

 

「最初に言っただろ。俺は六課に保護されてる状況なんだ、流石に夜遅くまで外出は出来んよ」

 

「ふぅん…」

 

それを聞いた途端、ミスティアの表情が不機嫌な物になる。

 

「お前の事だ。どうせ自由がなくなるのが嫌で、六課に来る気はないんだろ? だったら、次に俺が会いに来るのを大人しく待て」

 

「…分かった」

 

「?」

 

納得のいかない様子を見せるミスティアだが、渋々了承した後にアヴェルに近付き…

 

-チュッ-

 

「ッ!?」

 

再び、アヴェルの口にキスをする。

 

「今日はこれで勘弁してやる。ありがたく思え」

 

「…はいはい、そういう事にするよ」

 

「ふふ…♪」

 

ミスティアは「してやったり」と笑顔になり、アヴェルはもう溜め息すらつけなくなった。

 

「ノース、ヴァル、帰るぞ」

 

「キィ…!!」

 

「クワッ」

 

ノースはミスティアをもう一度キッと睨みつけてからマントに擬態し、ヴァルはアヴェルの肩に乗る。

 

「次にあった時は、キスの時間をもっと長くしてやる」

 

「勘弁しろ。俺が窒息するわ」

 

最後に突っ込みを入れてから、アヴェルはその場を飛び立つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、森の中の小さなテント…

 

「~♪」

 

その中で、ミスティアはルンルン気分で寝転がっていた。

 

「何だか随分と機嫌が良いッピね、お嬢さん」

 

「ん、そうか? ふふふ…♪」

 

テントの中に、手足の生えた植物モンスターが入って来る。

 

「例の傭兵さんに会えたのがそんなに嬉しかったッピ?」

 

「ほぅ、そんなに聞きたいのか? アホナッツ」

 

「アキンドナッツだッピ!! いい加減ちゃんと呼んで欲しいッピ!!」

 

「~♪」

 

「…自分で聞いといて無視かッピ」

 

アキンドナッツはプンスカ怒るが、ミスティアは完全に上の空である。

 

(…そういえば、傭兵さんなら色々武器も持ってるだろうし、上手くいけば商売になるッピか…?)

 

アキンドナッツはそう思いながらも、手に持っていた複数の矢を順番に磨き始める。

 

その時…

 

-ガシッ-

 

「ピッ?」

 

突如、ミスティアに背後から抱きつかれる。

 

「お嬢さん、何を!?」

 

「今の私は気分が良い。今日一日、お前を抱き枕にしてやる」

 

「ちょ、嫌だッピよ!? お嬢さんの抱き枕になったら、間違い無く氷付けにされるッピ!!」

 

「う~ん……今日は何だかよく眠れそうだ…」

 

「下手したらオイラが永遠の眠りについちゃうッピ!! お願いだから離し…」

 

「すぅ、すぅ…」

 

「もう寝ちゃってるッピよ!? ちょ、オラばっかり理不尽だッピ!! ちょ、誰か!! 例の傭兵さんでも誰でも良いから、オイラを助けてくれッピィィィィィィィィィィッ!!!」

 

アキンドナッツが必死に叫ぶが、残念ながら誰もそれに答えてくれる者はいない訳である。

 

哀れ、アキンドナッツ。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっくしゅん!!」

 

一方、六課に戻ったアヴェルはくしゃみをしていたという。

 

 




…取り敢えず言いたい。




どうしてこうなった?

あとアヴェル、そこ代われ←

書いている内に、気付いたらディープキスが始まっていたいう…www

あと、アキンドナッツは哀れ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。