それではどうぞ。
「んん…」
「やれやれ、何処までも昼寝好きな」
ミスティアをおぶったまま、公園までやって来たアヴェル。ベンチにミスティアを寝かせ、疲れたかのような反応を見せる。
「…さて」
アヴェルは横目でチラッと、近くの草叢の方を向く。
そして懐から二枚のルピーを取り出し…
「ほっ」
-ビシッ!!-
「ギャッ!?」
-ガンッ!!-
「アゥッ!?」
草叢に隠れていた、スバルとティアナの顔面に炸裂させる。
「痛ぅ~…!!」
「け、結局バレてたのね…!!」
「さぁ二人共」
「「はぃぃっ!?」」
アヴェルのドスが利いた声に、スバルとティアナは思わず敬礼する。
「ちょっと、こっちに来い…♪」
アヴェルは普段は絶対に見せないような綺麗な笑顔で、二人を手招きする。
しかしその目に、殺意のようなものが込もっていたのも明らかだった。
「「あ、あははははは…」」
数秒後、二人分の断末魔が公園に響き渡ったのは言うまでもない。
「―――で、こっそり後をつけていたと?」
「「ハイ、スミマセンデシタ」」
「んん……ぅにゃぁ…」
それからスバルとティアナは、後頭部に大きめのたんこぶを作った状態でアヴェルの前に正座させられていた。こんな状況にも関わらず、ミスティアは気持ち良さそうな寝顔でベンチに横たわっている。
「何故か、物凄い仲良く接してるように見えたものだから…」
「てっきり、アヴェルさんに彼女でも出来ていたのかと…」
「…あのなぁ」
アヴェルは思わず頭を抱える。
「別に彼女って訳じゃねぇ。元いた世界での、ただの昔の馴染みだ」
「あぁ、そういう事だったんですか………」
「「―――って、昔の馴染みぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!?」」
「大声で言うな、騒がしい」
-ガァンッ!!-
「「あだっ!?」」
アヴェルの説明に驚く二人だったが、うるさいと感じたアヴェルによって同時に拳骨を食らい、また一つたんこぶが出来上がる。
「俺が来るかなり前から、俺と同じ経緯でこの世界にやって来ていたってだけの話だ。今ではこの世界での生活にも、すっかり慣れちまってるんだと」
「えぇ!? そうだったんですか!?」
「だったら、六課まで連れて行かないといけないんじゃ…」
「あぁ、その事なんだが………こいつ、昔から自由がなくなる事を何よりも嫌ってるからな。俺やお前等から説明して六課まで保護しようとしたところで、了承してはくれないだろうな」
「いやでも、だからって放っておく訳には…」
「…そうなんだよなぁ」
アヴェルが困ったように首を掻く。
「この際だ。六課の皆に直接バレるまでの間は、この事については二人も黙っておいてくれ。こいつも別に、何か悪さを企んでる訳じゃないんだし」
「でも、私達も立場上そういう訳には…」
「分かったな?」
「いや、だから…」
「分かったな?」
「あの…」
「分かったな?」
「…ハイ、ワカリマシタ」
「あれ!? ティアが押し負けた!?」
アヴェルの笑顔から放たれる謎の黒いオーラにティアナは少しずつ表情が青ざめていき、片言口調で了承する。
「お前もだスバル、分かってるな?」
「…ハイ、ゼッタイニイイマセン」
「よし。分かってくれりゃそれで良い」
そしてその黒いオーラはスバルにも当てられ、スバルも顔を青ざめて了承する。
(あれ…? 何で私達、アヴェルさんに押し負けてるんだろう…?)
何も反論出来ずに了承してしまったティアナは、顔を逸らして涙目になる。
「…俺以外のほとんどは不自由を嫌ってるからな」
「「え?」」
アヴェルが小声で呟くが、スバルとティアナの耳には聞こえなかった。
「アヴェルさん、今何か…」
「いや、何でもない」
「「?」」
スバルとティアナが首を傾げたその時…
『こちら、ライトニング4! 緊急事態につき、現場状況を報告します!』
「「!?」」
突如、キャロから緊急通信が入るのだった。
その後、エリオとキャロがいる路地裏に六課の前線メンバーとアヴェルが到着する。
話によると、近くの路地裏のマンホールから幼い少女が出てきて、しかもその少女はレリックの入ったケースを抱えていたらしい。
現在、シャマルがその少女の容体を見ている。
「…うん、大丈夫。バイタルも安定してるし、命に別状は無いわ」
「良かったぁ~…」
それを聞いたスバルが安心する。しかし、それと同時に疑問が残る。
「でも、何でこんな場所から?」
「それに、ケースに鎖がついてるという事は……まだ他にもケースが…?」
「何にせよ、確認しないと分かる物も分からんだろ。ただ…」
アヴェルがマンホールの中を覗き込む。
「中から感じる気配から、モンスターが絡んでいる事だけは確定してる」
「「「「!」」」」
今回もモンスターが関わっている事が分かり、一同はまた更に疑問が残る。
「…とにかく、一度この子を運ぶ必要があるわ。なのはちゃん、少し手伝って」
「はい!」
レリックのケースを持っていた少女はシャマルとなのはによってヘリまで運ばれ、残ったメンバーで調査を開始する。
「鎖が先へと繋がっている以上、調べない訳にはいかないけど…」
「モンスターがいるとなれば、まずは俺が向かった方が良いだろうな。ノース、ヴァル」
「キキッ!」
「クワッ!」
真上から飛んで来たノースが足にぶら下げていた剣を落とし、アヴェルはそれをキャッチ。ノースが擬態したマントをその身に纏った後、ヴァルを左肩に乗せる。
「お前等は後から続け」
「「「「はい!」」」」
そう言って、アヴェルはマンホールから地下水路へと潜入する。
(あ、そういえばミスティアを放置したままだったな……まぁ良いや。あいつなら一人でも別に問題は無いだろ)
そう思いつつ、アヴェルは地下水路を突き進むのだった。
「機動六課……それに怪刃……またしても、我々の邪魔をするか…!!」
ある部屋では一人の男が、スタルフォスの報告で六課メンバーやアヴェルが地下水路の調査に動き出した事を知り、苛立ちを感じていた。
「今回は、ダークリンク様も直々に向かっております。失敗は無いかと…」
「ふん、それだけで安心など出来るか………仕方ない」
スタルフォスの言葉を一蹴し、男は通信によって映像を出現させる。
「メービス、聞こえるか」
『あら、親方さん。私に何か用かしら』
映像には、右目に義眼を持った金髪の女性の顔が映る。
「機動六課の連中が、レリックを回収しようとしている。お前も地下水路に潜って、ダークリンクと共に奴等の妨害に回れ。それと、怪刃との戦闘は出来る限り避けろ。お前の実力で敵う相手じゃない」
『そんな事? だったらお安い御用ね。任せて頂戴』
「次元犯罪者として拘置所に捕らえられていたお前を、出してやったのはこの俺だ。裏切ればどうなるか、分かっているな」
『今更そんな事はしないわ。後が怖いもの』
「…そうか。なら、しっかりやれ」
『了解』
男はメービスと呼ばれた女性との通信を切り、一つの椅子にドカッと座り足を組む。
「よろしいのですか? あの女に任せて」
「それなりに、役には立つだろう。万が一裏切った場合はスタルフォス、お前が消してやれば良いだけの事だ」
「ハッ……その時は、この私にお任せ下さい」
スタルフォスがその場で平伏す。
「さぁ…お前は果たしてどう動くのだろうな、怪刃よ。フッフッフッフ…」
椅子に座る男は静かに、そして不気味に笑って見せるのだった。
アヴェルに口封じさせられたスターズ二名、本当にご苦労様です←
そして結局、公園に置いてけぼりにされたミスティアェ…ww
六課が調査を開始した一方で、黒幕はオリジナルの次元犯罪者キャラを利用して六課メンバーを全力で妨害。
果たしてどうなる…?