第七話だけでなく、あるちょっとした番外編も更新しました。
それでは、二話続けてどうぞ。
模擬戦終了後。
ボロボロ状態のシグナムが医務室に運ばれた後、一同は食堂へと向かった。
そして…
「「「ガツガツガツガツムシャムシャムシャムシャ」」」
アヴェル、スバル、エリオの三人は、目の前に置かれている料理を次々と平らげていっていた。
「お、大食いが増えちゃったね…」
「にゃははは…」
「むぐ…はにはひいはひは(うん…何か言いました)?」
「食いながら喋るな!!」
「ひはぁ(痛ぁ)!?」
「むぐむぐ……お~い、水も貰えるか~?」
「アヴェルさん、水ならここに」
「おぉ、悪いな…」
「もぐもぐ……んぐ、ぅ…!?」
「…すまん、俺は良いからそいつに与えてやれ」
「エリオ君、大丈夫!?」
「ごく、ごく……ぷはぁっ!! うん、何とか…」
フェイトとなのはは苦笑、口に食べ物を含んだスバルがティアナの拳骨を食らい、アヴェルはまた一つ料理を平らげた後にキャロから水を貰おうとしたが、エリオが途中で喉を詰まらせてしまったので代わりに彼に水を飲ませる。
かなり騒がしい状況になっていた。
「いやぁ、皆して楽しそうにしとるなぁ」
「三人程、食欲が旺盛過ぎるのもいるけどな…」
「まぁまぁ、楽しいのは良い事よ」
はやては面白そうに、赤髪の少女“ヴィータ”は呆れながらこの光景を見ている。
「まぁ、食べながらで良ぇ。取り敢えず皆、アヴェルさんに自己紹介してぇな」
「むぐむぐ、ごくん………はい、スターズ3のスバル・ナカジマです!」
まず最初に、アヴェルと同じように料理を食べていたスバルが元気良く名乗り上げる。
「スターズ4、ティアナ・ランスターです。怪物の件についてはありがとうございました」
「あぁ、どうも」
次にティアナが名乗って頭を下げ、アヴェルも釣られて頭を下げる。
「ライトニング3、エリオ・モンディアルです。よろしくお願いします」
「ライトニング4、キャロ・ル・ルシエです。こっちはフリードリヒです」
「キュルクゥ~」
次にエリオとキャロが名乗り、小さな飛竜フリードリヒ(以下フリード)が鳴き声を上げる。
「ほぅ、竜がこの世界にもいるとは…」
「キュル~♪」
アヴェルはフリードの顔に指を近付け、フリードは指を舌で舐める。
「あたしはスターズ副隊長のヴィータだ。まぁよろしくな」
次にヴィータが名乗る。
「リインフォース・ツヴァイです、よろしくですぅ~♪」
最後にはやての肩に乗っていた手の平サイズの銀髪少女“リインフォース・ツヴァイ(以下リイン)が飛びながら名乗り上げる。
「…妖精?」
「むぅ~、リインは妖精じゃないですぅ~!」
アヴェルはリインを見て妖精と勘違いし、リインはプンスカ怒る。しかし威厳は全く無く、何処か可愛らしい。
「シグナムは療養中やし、今ここにいないメンバーは追々紹介するという事にして……それじゃあ皆、ここからはアヴェルさんに対して質問タイムや」
「はい、はい!」
早速スバルが手を上げる。
「えぇっと、アヴェルさんが自己紹介した時、自分の事“怪刃”って名乗ってましたよね。あれってどういう事ですか?」
「あぁ、あれは俺の二つ名だ」
「「「「「二つ名?」」」」」
「あぁ。戦っている時の俺の姿が、周りからは怪物みたいに見えるらしくてな。いつからか、そう呼ばれるようになった」
「「おぉ〜…!!」」
それを聞いて、スバルとエリオはまた目を輝かせる。
「まぁ確かに、さっきの模擬戦なんて凄かったしね」
「ホントだぜ、あのバトルマニアに勝つなんてよ」
「まぁ、俺も色んな奴等と戦ってきたしな。正々堂々戦いを挑んで来る奴もいれば、卑怯な手段を使う奴もいたし、あと…」
アヴェルはコップの水を飲み干してから、ボソリと呟く。
「…色んな意味で、不思議な奴ともな」
「え?」
「いや、何でもない。それより…」
アヴェルは自分が纏っているマントを掴む。
「…全く、お前はいつまで寝ているつもりなんだ?」
「「「「「へ?」」」」」
アヴェルが自分のマントに語りかけているのを見て、一同は首を傾げる。
その時…
「―――キィッ!」
-バサァッ-
「「「「「!?」」」」」
突如、アヴェルの纏っているマントが大きな蝙蝠の翼へと変わり、一同は驚愕する。
「さっさと起きろ、ノース」
「キキィッ!」
そしてアヴェルから分離し、巨大な黒い蝙蝠へと姿を変える。
「これって…!?」
「蝙蝠…!?」
「“ノスフェラトゥス”という、蝙蝠型モンスターの一種だ。俺はノースって名付けてる」
「キッ」
ノースは右の翼で敬礼のようなポーズを取る。
「へぇ、可愛い蝙蝠さんやないか」
はやてがノースの頭を撫でようと右手を近付ける。
「―――キキィッ!!」
「へ?」
-バチィィィィンッ!!-
「みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
「「「「「!?」」」」」
ノースが素早く振り向き、翼ではやてに思いっきりビンタをかました。あまりに強烈な一撃に、はやては壁まで吹き飛ぶ。
「きゅうぅぅ~…」
「…言い忘れてた。こいつ警戒心強いから、軽い気持ちで触れようとすると攻撃されるぞ」
「「「「「それ早めに言うべきじゃ!?」」」」」
アヴェルの遅過ぎる忠告に、なのは達が同時に突っ込みを入れる。はやては頭の上でヒヨコがピヨピヨ回っている。
「ず、随分と凶暴な蝙蝠だね…」
なのはが小声で言ったその時…
「キッ!」
「え?」
-バッチィィィィンッ!!-
「みにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
「「なのはぁぁぁぁぁぁっ!?」」
「「「「なのはさぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」」」」
ノースが素早く振り向き、今度はなのはがビンタされてしまった。
「そして、えらい地獄耳でもあるから気をつけろ」
「「「「「だからそれ早く言うべき!?」」」」」
またしても遅過ぎたアヴェルの忠告に、再び一同の突っ込みが炸裂する。
「ムッキィィィィィッ!! 蝙蝠にやられたままなんて屈辱やぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
いつの間にか復活していたはやてが、ノースに向かって飛び掛かる。
「そして最後の忠告だが」
「キキキィィィィィィッ!!!」
-ガブリッ!!-
「「「「「…あ」」」」」
ノースは華麗に飛び掛かりを回避し、はやての頭に噛み付く。
「…普通に血も吸うから、それも気をつけろよ?」
「「「「「だから忠告ぅぅぅぅぅぅぅっ!!?」」」」」
「あ、あれぇ~…何か綺麗な花畑が見えるでぇ~…」
「はやて、死ぬなぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
「死なないで下さぁぁぁぁぁい!!」
「きゅぅぅぅぅ~…」
「キッ」
またしても遅過ぎたアヴェルの忠告。三度目の華麗な突っ込みを入れるフェイトとフォワード一同。超えてはいけない線を越えてしまいそうなはやてを、必死に呼び戻すヴィータとリイン。そしてなのはは未だに気絶したまま。そっぽを向くノース。
このカオスとも呼べる状況を止められる者は、少なくともこの食堂にはいなかった訳である。
それからしばらく経ち、時間帯は夜…
『『『『ケケケケケェ~♪』』』』
ある森の中にて、赤、青、緑、紫の四体の幽霊が、大きめのスーツケースを運んでいた。
『ご苦労だった』
そんな幽霊達の前に、ダークリンクが姿を現した。