かつて、ハイラル全土を支配していた魔王。
その魔王を討ち取った時の勇者。
その勇者には、パートナーである妖精の他に、ある“友”がいた。勇者がまだ少年だった頃に出会った、小さな“友”。最初は喧嘩する事もあったが、次第に彼等は固い絆で結ばれるようになった。勇者と“友”は、いつかまた何処かで再会する事を約束。
そして七年後、勇者は再び“友”に会える事を望んでいた。
そして彼等は再会した。
敵同士という、望まぬ形で。
「止せ、もうやめるんだ!!」
巨大火山、デスマウンテン。
足場の周りが炎に包まれる中、勇者は目の前の“友”に呼びかける。
しかしこの時、既に“友”はかつての“友”ではなくなっていた。
緑色に輝く鋭い目が、目の前の勇者を捉える。
「俺だ、リンクだ!!」
“友”は勇者を睨み付けたまま、攻撃態勢に入る。
「思い出せ!!!」
しかし、“友”は止まらない。目の前の勇者を排除すべく、口から灼熱の炎を吹く。
「ッ…!!」
もう、声は届かない。このままでは火山が噴火し、ハイラル全体に被害が及ぶ。
“友”を止める方法はただ一つ。
殺す事。
もう、それ以外に手段は無かった。
「ッ…!!」
苦渋の決断を下した勇者は弓を構え、“友”の右目に向かって矢を放つ。
“友”が苦しむところへ、勇者は聖剣マスターソードを構えて大きく跳び上がり…
「―――あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
-ザシュウッ!!-
“友”の首を、斬り落とすのだった。
首を斬り落とされた“友”の目が、勇者を見つめる。
その目からは、敵意は完全に消え失せていた。
“友”は一筋の涙を流す。
「リン、ク―――」
勇者の名前を呟き、“友”の亡骸は青白い炎に燃えながら消滅していく。
「ごめん」
謝罪の言葉。
今の勇者は、ただそれを呟く事しか出来なかった。
「ごめんな…!!」
勇者の目からも、涙の粒が零れ落ちるのだった。
こうして、悲しき最期を遂げてしまった“友”。
そんな“友”を、運命はある世界へと導いていく事となる。
当然、それを知る者はいない―――
地球、海鳴市。
午前七時。
「んん~…良い天気」
とある屋敷の中庭にて、紫髪の女性が背伸びをしていた。一見大人しそうな雰囲気を持ち、着ているパジャマも猫の絵柄が描かれているなど中々可愛らしい。
「ふぅ……あれ?」
そんな彼女だが、視線の先にあるものを見つける。
朝日で輝く緑色の芝生。その芝生の上に、何やら赤い体の小さな生物が倒れていた。
「何だろう…?」
女性はその小さな生物に近付いてみる。
「…蜥蜴?」
よく見ると、黒い角の生えた赤い蜥蜴らしき生物である事が分かる。しかしこの蜥蜴、全身傷だらけで死にかけている状態だった。
「大変、早く治療してあげないと…!」
女性は蜥蜴を両手で抱え、屋敷へと運ぶ。
その時だった。
「―――リン、ク…」
蜥蜴が、女性に聞こえないくらいの声で呟いたのは。
これは『時のオカリナ』の漫画版を呼んだ事がある人なら分かると思います。
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