「はっ!はっ!!」
椎奈がキノコの世界に来てから既に一週間が過ぎようとしている。
朝日を浴びながら、椎奈は一人剣の素振りをしていた。
剣を手に入れてから椎奈は連日鍛錬を積んでいた、少しでも力になれるように。
そんな椎名の元へ、一人の女性が近寄る。
赤髪赤目のやや長身の女性、簡易的だが鎧を纏い、剣を腰に備えている。
「木山、一人か?」
そう呼ぶ女性は敵・・・ではない、むしろ味方。
椎奈は声を掛けられてようやく気づき、素振りを中断した。
「おう、そうだが・・・将軍さんはこんなところに何か用が?」
将軍、この女性は200余名の防衛軍一部隊の長だった。
国王は椎奈に剣を託し、説明を終えたその日から、来るべき戦への防衛策を椎奈の助言などを得ながら、次々と行動を起こした。
防衛軍はその一つであり、元からあった軍をより戦闘特化にしたものである。
防衛軍自体も三つの部隊に分かれ、それぞれに将軍がつき、この女性はその内の一人だった。
女性は気恥ずかしそうに頭を掻く仕草をする。
「その・・・将軍と呼ぶのは止めてくれ。まだ慣れてないんだ。出来れば、サクラと呼んでほしい」
「サクラ・・・か、了解。んで、何かあったの?」
椎奈の問いにサクラは首を横に振る。
「いや、何も無いさ。木山が鍛錬を積んでいるところが見えたから来ただけだ」
「お、そうだったのか。・・・なあ、サクラ、まだ時間に余裕はあるか?」
「朝食までなら私は大丈夫だ、だが、それがどうかしたのか?」
「ちょっと付き合って貰えないかな。と。実戦形式でやらないと、強くはなれないし」
「ふむ、確かにな・・・良いだろう、それなら木刀で良いな?」
椎奈はああ、と軽く答えた。
木刀を持ち、サクラと相対した椎奈は独特の緊張感を得ていた。
(国王と話している時とは違う、試合の緊張感だ、懐かしい)
剣道の型を重視する椎奈に対しての、サクラの剣士的な少し余裕のある構え。
「木山は独特な構えなんだな」
「こうやって教えられたからな。さ、合図よろしく」
「はい・・・では、始めっ」
そこら辺に居た一兵士の声とともに二人は動き出した。
「はあぁぁぁ!!!」
最初に攻めたのはサクラ、しなやかな動作からの激烈な攻撃が繰り広げられていく。
椎奈はそれを一撃一撃正確に受け流していく。
何撃目かは分からなかいが、サクラの上段切を受け止める形で鍔迫り合いが起きた。
「今度は俺の番だ」
強く押し込み、サクラの体を離れさせる、その一瞬、サクラの体は無防備になった。
隙を見逃さず、精神を研ぎ澄ませた一撃を椎奈は奮う。
「はあぁっ!!!」
ビシィィィ、と言う激音が場に流れる。
椎奈がサクラを打った音ではない、サクラの木刀が椎奈の一撃を防いだ音。
(・・・なにっ!?)
「あま・・・いぞ、木山ぁっ!!!」
サクラは椎奈の木刀の勢いを殺すことなく、上の方へ受け流した。
「ぐうぅっ!!!」
バシイィィィ!!!!
まだ動けぬ椎奈へサクラの一撃が響いた。
「いつつ・・・」
椎奈は打たれた腹をさすっていた。
「すまない、手加減できなかったんだ」
顔をしかめるサクラに、椎奈は笑いかけた。
「いや、大丈夫だよ。俺も本気だったしな」
「確かに、あの一撃は重かったな、受け流していなければ、木刀が折れていたところだ」
(そうだ、アレは俺の渾身の一撃だった。例え受け止められたとしても、相手の行動を抑え、次の一手へと繋げる意味を持っている。あんな回避の仕方があったとはな・・・)
「よく受け流したな」
(受け流しは高等テクニックだ、中々出来ることじゃない)
「考えての行動ではなかったな、強いて言うならば直感だったよ」
「直感ね、サクラは多くの実戦経験を積んできたんだな」
「私は娯楽としての闘技場からのスカウトだからな、そういう経験は多い。だが、椎奈こそよく何発も受け切っていたな」
「俺のやる剣道は攻めではなく、むしろ受けと言うか、相手の出方を待つ構えだからな。隙を見せたら、絶対の一撃を喰らわせる・・・みたいな」
「ああ、なるほどな。確かに、そんな感じだった」
サクラは納得したように頷いた。
「さ、そろそろ飯だな」
椎奈の言葉にサクラは頷き、二人は食堂へと向かった。
了
どうも、皆笠です。
予約投稿の設定忘れてて、こんな時間になりました。
まあ、今日中だからセーフよね?
・・・よね?
今回から第二部です。
椎奈君が、そして国が戦に向けての準備期間を描いていく予定です。
そして、第二部第一回では、新キャラクターのサクラを登場させました。
キノコから離れたと思った貴方、実はキノコの種類であるんですよ。
まあ、一般生活では必要の無い知識なので、調べるまで私も知りませんでしたけどね。
さて、私事になるのですが、今日風邪を引きました。
関節がズキズキと痛み、鼻水がだらっだらです。
幸い咳はないのですが、それでも結構きついっす。
みなさんは風邪には気を付けてくださいね。
それでは。