The great kinoko kingdom   作:皆笠

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第十一話『模擬戦』

「どれ、試させてもらおうかね、椎奈」

食堂での約束から二日経った夜、タモギと椎奈の模擬戦は行われることとなった。

タモギはグッと伸びをしながら、椎奈に語り掛けた。

その様は自信に満ちている。

戦闘に於いて必要なものは勿論技量もあるだろう。

しかし、絶対に負けない、もしくは絶対に勝つ、その気持ちは技量以上に必要な物である。

いくら実力があろうと、負けると思ってしまえば、実力を発揮できず、敗れることもある。

肉体の鍛錬は勿論のこと、タモギはそういう精神面でも強さを発揮していた。

「ああ、よろしく頼む」

椎奈も正面からタモギに臨んでいた。

タモギの外へと発する見せる自信に対しての、内に秘めた魅せる自信の椎奈。

椎奈は冷静に木刀を握っていた。

「ルールは木刀での打ち合い、死なないくらいの加減をしろ、だったな?」

「ああ、そうだ。時間は・・・まあ、あまり長引かん程度で」

そう答えたのは椎奈ではなくサクラ。

サクラの隣にスッと男が現れた。

「勇者殿の剣術がどれほどのものなのか・・・見極めさせて頂こう」

そう告げる男は戦士の着る鎧ではなく、ローブの様な物を纏っている。

その男の名はヒラ。サクラやタモギと同格の将軍の位を持っている。だが、その風貌から

見て取れるように、ヒラは戦士では無い。むしろ魔導士である。あらゆる魔術を修めた者。単なる研究家として国に過ごしていたが、その能力の高さから平民から一気に格上げされた人物でもある。年齢は国王をも越える老人ではあるが、その頭脳は全く衰えてはいない。タモギの行う近距離を専門とする部隊に対しての魔術や弓術での遠距離を専門としている部隊を率いている。

「ヒラ将軍も来たんですか?」

少しばかり驚くサクラの問いに、ヒラは何気ないようにあっさりと返した。

「勇者殿と武勇一を誇るタモギ殿の一騎打ちだ、どのようなものか気になっても仕方なかろう。それに・・・」

ヒラはチラリと周りを見る。

「これだけの騒ぎになっておれば、気づかぬわけもあるまい」

ネズミ講ではないが、人が人を呼び寄せ、辺りには多くの兵士が乱立していた。

だが、しっかりと境界は引いてあるのか、メインの二人からはしっかりと離れている。

サクラはその様子を確認してから溜息を一つ吐く。

「・・・ええ、そうでうね」

それから、笑みを浮かべて二人を見た。

「準備は良いな?木山、タモギ将軍」

二人はああ、と答える。

サクラはそれを聞いてから、開戦の合図をした。

 

「ハアァァァァァァァァ!!!!」

最初に動いたのはタモギ、愛刀の大剣ではないことを全くの問題としないかの様に力強く剣を奮った。

ビシィッ、と音が響く、そして、風が吹いた。

土煙が舞い、辺りはシンと静まった。

一撃で終わったと誰もが思った。

・・・だが。

「まだ終わっちゃいねぇよ」

当の本人であるタモギはそう言った。

サクラとヒラもそれに頷いた。

「・・・ふう」

煙が去った後、そこには椎奈が平然と立っていた。

(・・・重いな)

タモギの一撃を受けた椎奈だったが、それをサクラの見様見真似から受け流しを行った。

サクラの様な相手の隙を生むためではない、単に避けるためだけの行為。

(今の一合で理解した。タモギの一撃は受け切れない。破壊力が桁違いだ)

椎奈はそれから受けの姿勢を少し変える、攻撃を待つのは変わらない。

(受けれないなら簡単だ・・・避け切ってしまえばいい)

椎奈の考えはタモギの剣筋と似ている安直すぎる発想だ。

(だが、単純には単純で返せばいいんだ)

 

それからの椎奈はギリギリの回避を続け、タモギの隙を狙っていた。

豪快で隙だらけの様なタモギも、流石は将軍と言うだけあり隙は中々見つからなかった。

「オラオラ、勇者様ってのは逃げてばかりの仕事なのかい?」

タモギの挑発、椎奈はそこからようやく攻めへと転換した。

(タモギのパターンは大体見切った。あとは・・・こっちの番だ)

椎奈は剣を握る力を強くした。

 

サクラは安堵の息を漏らす。

「おや、どうかしたのかな、サクラ殿」

ヒラにサクラは何気なく返した。

「これからが木山の番ですよ」

 

 




久々です。
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