The great kinoko kingdom   作:皆笠

14 / 16
第十三話『医務室』

椎奈は医務室の白いベッドの上で目を覚ました。

「お、起きたようだな」

寝起きに言葉を掛けたのはヒラ。

「えと、どのくらい寝てました?」

「大体半日くらいだな・・・氣功術は疲れるものだ、仕方ないだろう」

(半日・・・思ったよりも少なかったな)

椎奈はそんなことを考えたが、先読みしたかの様にヒラは告げた。

「思ったよりも寝ていた時間が少ない、そう思っているだろう?」

ヒラの白い目に椎奈は少し肩を震わせた。

「達人は更に長時間の使用を可能にしているし、その後倒れて半日寝込んだりもしないらしい。勇者殿はまだ経験と実力が足りていない、その事実は正確に受け止めておくべきだ」

ヒラの厳しい言葉に、椎奈は了解、と返した。

「さて、次は俺の番だぜ?椎奈」

ヒラとの話が終わると、隣のベッドとの間を仕切るカーテンが開け放たれ、タモギが姿を現した。

「いやぁ、負けた負けた。椎奈はスゲェ力を隠してたんだな」

ガハハと笑ってさえいるタモギに椎奈は答えた。

「本当はもっと精度を高めてからにしたかったんだが、使わなきゃ勝てそうになかったからなぁ。本当はもっと凄い力なんだぞ?アレは」

「あー、そうそう。そんで、それってもしかしたら俺も使えんのか?」

「それって・・・氣のことだよな?」

タモギは頷く。

それに答えたのは椎奈ではなく、まだ残っていたヒラだった。

「それは難しいかもしれないな。タモギ殿程の者であれば使える筈だが、氣は多大な集中力を必要とする。極短時間の解放なら出来ても、恐らく模擬戦で椎奈が見せた時間ほども維持は出来んだろう。それに・・・そもそも必要とする機会は少ないだろう。コツならば教えるが、無理に習得することでもない」

タモギの問いはそんな形でヒラは結論付けた。

「ん~、なら、時間があったら教えてくれ。極短時間であっても、覚えておいて悪いもんじゃねぇしな。ってか、氣ってのを教えたのはヒラ将軍だったんだな」

「ああ、勇者殿が必要としていたようだったからな。それで、氣功術についてだが、まぁ、極短時間であるのもあるだろうが、タモギ殿であれば少しの疲労感も持たないだろうしな。よかろう、時間を作って私のところに来い」

ヒラはそう言うと、タモギの返事を背中で聞きながら部屋を去って行った。

去る背中を見て、さてと、とタモギは言った。

「俺もそろそろ行かないとな」

「将軍ってのも大変だな」

椎奈の言葉に、タモギは笑って答えた。

「おう、そりゃ大変よ。だが・・・まぁ、俺には力があるし、それが国に役立つんだからな。文句はねぇよ、むしろありがてぇくらいだ」

タモギの言葉は純粋に嘘偽りがなく語られる。

だからこそ椎奈は一言で返すしかなかった。

「そうか」

「おう、そうだ。椎奈も勇者なりに頑張ってくれや。あと、もし良かったらまた模擬戦やろうぜ?」

椎奈は笑顔で親指を立てて見せてくるタモギに親指を立てて返す。

「ああ、また頼む」

(今回は意表を突き続けたから勝てたようなもの、サクラの話じゃないが、次はそんなことは無いだろうし、今度は負けるかもな・・・)

椎奈がそんなことを考えているうちに、タモギは部屋を去って行った。

 

入れ替わりに元気な姿が入ってきた。

「おはよう、しいなっ」

「おう、おはよう、ラフレ」

片手だけ挙げての挨拶、ラフ過ぎる流れだった。

「しいなっ、みててっ」

無邪気にはしゃぐラフレに何事かと思った椎奈だったが、一瞬後には剣を抜いていた。

「ふぁいあぼーるっ!!」

気の抜けるような声から放たれたのは下級魔術の火球。

しかし、それも術者の能力に応じて威力が変わる。ヒラ程の術師ならばコントロールも出来るだろう、しかし、ラフレはコントロールが出来ない。そして、魔力もずば抜けて高い。

そこから導き出される答えはとても簡単だった。

椎奈が模擬戦で見せた火球は豪炎球となって椎奈に襲い掛かった。

「ぬうっ!!」

椎奈が剣を抜いたのにはそういう経緯があり、放たれた剣は刀身に白い光を纏わせ、豪炎を切り裂いた。魔法をある程度無効化させる氣功術の応用で生み出した技。

「ラフレ・・・?魔術を使えるようになってはしゃいでるのは分かるが、加減はしてくれ」

「しいな・・・ごめんなさい。あぶなかったよね?」

ラフレの反省した様子に、椎奈も少し悪い気持ちになり、

「ま、成長したのは良いことだと思うぞ。もっと力を付けて行ってくれ」

いつも通りに椎奈はラフレを甘やかしてしまうのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。