The great kinoko kingdom   作:皆笠

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第三話『暗黙のルール』

「キノコの国って言っても、それほど変わらないんだな」

(まだ少ししか見ていないが、想像とはまるっきり違う)

想像の中では、ジメジメとした、あからさまにキノコの好むような場所だと思っていた。

しかし、流石に現代の日本、とまではいかないが、中世のヨーロッパ辺りの建設技術くらいはあるらしい。

目覚めた草原から歩いていると、ちらほらレンガ造りの家々が見受けられた。

都会の少し煙くさい空気にも慣れてはいたが、自然に包まれた今の状態は、新鮮な空気が肺に充満し、心地よかった。

「そうかな~そうかも~」

ラフレは伸びやかな声を返す。

(んで・・・)

ここに来て色々なことを感じた。

だが、それを感じた上で敢えて思ったことを言う。

「この世界のどこがピンチなんだ?」

むしろ平和にすら思える。

どこにも危機なんて見受けられなかった。

「うん、じゃあ、まずはぼくのくにまできてもらおうか~」

ラフレは歩を少し速くした。

・・・それでもずっと遅いのだが。

 

しばらく歩くと、日が沈みかけ、空は清々しい青から茜色に変わった。

この世界と椎奈の世界の時間経過はそれほど変わらないらしい。

「まだ着かないのか?」

傍らを歩くラフレに問う。

「う~ん、もうすこしじゃないかな~」

(さっきそう言ってから既に一時間は経っているんだが?)

苦言を呈したい気持ちに駆られながら、どうにか椎奈は抑えた。

 

もう、しばらく歩いた、既に日は沈み、暗い中を進む。

「・・・なあ?」

「・・・ん?」

呆れと憂いを混じらせながら、ラフレを見た。

ラフレはのんびりと歩き続ける。

「まだなのか?」

「そうみたいだね~」

足が疲れてきて、腹も減ってきた。

「少し休まないか?」

「そうだね~」

ラフレはようやく進みを止めた。

延々と歩いていた中、その疲労感はちっとも窺えない。

ラフレは周りを見渡してから、ゴソゴソと肩掛けの鞄から荷物を取り出した。

「やどやでもあればよかったんだけどね~ないからしかたないや~」

取り出した荷物を野に放ち、ゴソゴソと何やらいじると、その荷物は急に膨らみだした。

(ふむ・・・材質は布みたいなもの、膨らんだ時の大きさはどうにか四人程度が入れそう、形は三角錐、色は黄色をベースになっている・・・うん、これ完璧にテントだ)

膨らみきったソレにラフレは入り、内部を明るく灯した。

それから、椎奈を内部に誘う。

「おいで~」

色々突っ込みたいポイントはあったが、まずは一つだけ言わせていただくことにした。

「明かりあったのかよっ」

何故暗い夜道を歩かなければならなかったのか、ひたすら疑問になった。

 

夕飯としてラフレが用意したものは、意外にも普通の料理。

「へえ、美味いじゃん」

ラフレはにへら~と微笑んだ。

「いがいかもしれないけど、ぼくたちだってきのこはたべるからね?」

「確かに意外だな。同族を食うなんて真似はしないものだとばかり思ってた」

「うん。でも、いきてるきのこをたべたりはしないよ。なくなったきのこをとむらうきもちでしみじみとたべるの」

少し悲しそうな顔でラフレは語る。

「きのこはしんだらほんらいのすがたにもどるんだよ。ほんらいのきのことしてのすがたに・・・」

(だから、食べられる、人間にはありえないが、キノコらしい習慣だ)

それにね、とラフレは続ける。

「とむらうきもちもだいじだけど、あじわうのもだいじなんだ~。おいしいんだよ?」

ラフレはいつもの笑顔で言った。

「だからね、もしぼくがしんだら・・・」

「無いだろうが、もしあったら美味しく食ってやるよ」

ラフレは驚いたような顔を浮かべるが、すぐにいつもの気の抜けた笑顔を浮かべて言う。

「・・・うん、ありがとね~」

(今日はキノコの独自の習性を学んだ、あと同じテントで寝た。)

 




どうも、皆笠です。
個人的に書いてて楽しいのですが、一話の様なカオスが出来ず、単なるシリアスになってきていることが、なんとなく心残りだったりします。
(;´・ω・)
しかし、カオスって難しいんですよね。
今後もシリアス寄りになりますが、それでも良ければよろしくお願いします。
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