闇。
それが周囲に広がる景色。
見渡す限り続く暗黒。音も無く、そして光すらも無い。
それはきっと自分の、彼女自身の心をも写しているのかもしれない。
愛する者のため、でもそれはきっと余りに盲目的すぎて。身も心も粉にして、ただ一人のために進んできた、純粋で、それでいて悲しい思い。その向こうに笑顔があると信じて。
(それでも…どうにも出来ずにいた。私のしたことは…徒労だった。)
願いを叶える宝石。地球と呼ばれる惑星に散ったロストロギア『ジュエルシード』。それを…集めさせて…。
(…バカな子…、こんなひどい女を…母だなんて…。私なんかのために…。)
どんなに突き放しても。どんなに罵倒しても。それでも私を母と、手を伸ばしてきた。
…愛した娘の代わり。
代替品。
慰み物。
でも…
(アリシアが欲しかった…妹になったかもしれなかったのに…)
誕生日に妹がほしい!そうすればお留守番も寂しくないもん!
純粋な…ワガママ。でも叶えたくても叶えられない願い。
だが結果として生まれた、アリシアと似ている、でも違う。そんな活発なアリシアとは違い、大人しくて、でも頑固で一途。
本当は解っていた。記憶転写したクローンを生み出すFATE計画。いかなアルハザードの知識を持つかの男の力を持ってして、生まれたクローンが見目形が瓜二つではあっても、同一人物は生み出せないことを。それでも一縷の望みにすがって、悪魔に魂を売ったとしても、それでも取り戻したい過去と、精算したい後悔の念があった。
そして、アリシアとは違うことが受け入れられず、計画の名から取って付けたクローンの『フェイト』。
『そう…やっぱり私は…いつも気付くのが遅すぎた…。アリシアのこと……そして、あの子のこと…。』
『まだ…間に合いますよ。プレシア。』
懐かしい声が頭に響いた。もう消えたはずの自分の半身…。山猫の使い魔…。
『…何で…貴女が…?』
『貴女のこと、見ていられないからですよ!ほんっっっっっっっっっっっっとに手間の掛かるご主人です!』
腰に手を当て、尻尾と耳を立ててぷりぷり怒る彼女が容易に思い浮かぶ。
『今更出て来てどうだというの?…ここは虚数空間の奥底…。離すまいとしていたアリシアも居ないし…感じない…。もう何も…』
『貴女はそれで良いのですか?…何も、後悔はありませんか?』
『あるわよ!アリシアにもあの子にも!…でも気付いたときには…もう叶わない願いになっていたの。…ほんっと…母親失格、ね。』
今まで狂気めいた笑いはあったが、自嘲染みた笑みは久しく感じた。もう戻るすべは無い。諦観にも似た思いを募らせる一人の母。
『なら…願ってください。貴女の望む、幸せな未来を…。願う思いも無ければ、掴む幸せも無いですよ。』
『望む、幸せな未来…。』
望むなら…願うなら…叶うなら、彼女の思いに答えるかの如く、ともに落ちてきた『宝石の種』は胎動を始める。
青い光。
ドクン…ドクン…
その願いを叶える宝石は、歪んだ願いでは無く…ただ純粋なる願いを受け入れるかのように、神々しく、それでいて引き込まれるような輝きに満ちるが、誰もソレを知ることは無く、そしていつしかその結晶体に亀裂が走る。
強すぎる願い、それはロストロギアの力をも越えていく…。
『私の望む…それは…!』
魔力結合の一切を断ち切る虚数空間、その最深とも言うべき奥底で。しかして魔を拒絶するそれに、一縷の稲光が走ったのを、誰も知ることは無く。
目の前に光が現れたのを最後に、プレシア・テスタロッサの意識も光に包まれた。
鹿威し
畳
唐傘
戦艦、と言う巨大且つハイテクな人工建造物の一室に相応しくない空間。
和風のワビサビというのか、その癒やし空間はやはり無機質にも感じる戦艦内では不釣り合いな物で。
しかして、その畳の設けてある部屋の中央。
向かい合うようにして二人の管理局員と四人の時間渡航者と思われる人物が、やはり畳の上だけあって正座して座っている。しかし、件の四人はバリアジャケットを解かずなので、物々しいことこの上ない。曰く、最小限の干渉に抑えるため、素の姿は控えよう、というものだった。特にヴィヴィオとアインハルト、若干トーマも姿が変わるので、何らかの影響が出ないように努めているのである。
「やはり、にわかには信じがたいですね。…時間渡航、ですか。」
重々しく口を開いたのはクロノだった。話を聞くと言うことで、実質的にアースラのNO.2の権限を持つ彼の意見も聞いてみよう、という事で家でなのは達との交信・指示をしていたところを、こういった事情でここにいるわけである。
「それはまぁ…未来の、なんて事を話してもそりゃまあ信じられないでしょうね。…予言者とか、占い師とか、そう言った類いの物と変わりないですから。」
「でも本当なんです!私達、確かに未来から来ました!それはまぁ…信じろと言えば…レオン君の言うように未来を伝えたら良いんだけど…。でもそれを信じちゃったら未来も変わっちゃうかもしれないし…」
「ですが、話し合った結果、私達は未来に帰る方法を探して戻ります。この時間で荒波を立てる前に。」
「俺はまぁ…帰っても厳しい訓練しか無いだろうけど…、でもあの時代にしか帰る場所はありません。だから…。」
「クロノ執務官?未来から云々は今のところ問題では無いのよ?まずは時空を歪めてトラベラーを生み出してしまった原因、それが海鳴市に有るかもしれないのよ。もしそんな物を放置しておいても問題ないのかしら?いやあるわ。」
「しかし、その観点から言えば、彼女達の未来にその根源が無いとも言い切れないのでは?」
「それは低いでしょうね。各々元居た時間軸が違うんだもの。レオンさんは今から13年後の5月。ヴィヴィオさんとアインハルトさんは同年7月。トーマさんは更に二年後、と…。それぞれが違う時間から飛ばされているのに、一つ一つにそのファクターとなる物があるとは考えにくいわ。それに、私の憶測だけれど…、闇の書の闇…ナハトヴァールの破壊からくる影響の残滓。それが原因かもしれないと思うのよ。」
ナハトヴァール
夜天の書を闇の書たらしめる根源にして、その驚異的な転生と再生の源。凶悪且つ強力な力を有し、闇の書事件においての最大級の脅威となったシステム。
度重なる偶然が功を奏し、破壊に至ったものの、その強大な力の残滓の影響が出るであろう、と言う見解は恐らく誰もが思ったことだろう。
しかし、事件から既に4か月。そろそろ経過観察に見切りを付けよう、と思った瞬間にこれだ。
「でも、なんでこのメンバーなんだろう?魔力…で言えば俺達より高いランクの人はそこらかしこに居る。選ばれた理由が分からない。」
「その辺は…まぁ元凶たる物に改めて聞くしか無いだろう。案外と単純な理由かもしれないしな。」
(ねぇねぇ、レオン君。)
(…なんだ?)
トーマとクロノが意見交換し合う中、ヴィヴィオが念話で話し掛けてくる。
(…こんな事件、ママやヒカリさんから聞いたことある?話の欠片すら無かったような。)
(いや…全くと言って良いほど…。)
(だよね。闇の書やフェイトママとの出会いとかは聞くけど、…もし私達がママ達と出会っていたら、大人モードを見た瞬間に思い出したりするはずだよ。)
こうなってしまっては鳥が先か卵が先かになってくる。
未来から飛んできたなら、過去のなのは達が自分のことを知っている。
となれば、未来で出会うなのはは自分について知っている。
どちらが先に起きた事象なのか。こればっかりは押し問答になりそうなので割愛しておこう。
「なんにせよ、何らかのロストロギアやその他未知の技術、それらの可能性の影響とも考えられます。その原因の究明と魔力反応の解析、それを当初の目的としてアースラチームは動くことにします。クロノ執務官も、それで?」
「僕は艦長の指示に従いますよ。それに、異常事態には変わりないし、闇の書事件の後始末と考えればいいだけです。…もっとも、僕はリハビリ中ですし戦闘では無く、艦長とともに指揮へ回りますが。」
「結構。それでは皆さん、よろしくお願いしますね。」
ところ変わりアースラ医務室。
未来の四人の説明が終わった同時刻。
その一角にゴテゴテと、そしてメカメカとした白銀のソレは意識を取り戻す。
見開かれた蒼眼。寝ていた、と言わんばかりに半開きで虚を見つめるようにボーッとしている。
未だ現状把握が出来ない寝惚けた頭で、目だけを動かして周囲を見渡す。
白を基調とした、清潔感溢れる壁や天井。鼻につくアルコールにも似た匂い。ベッドと、ソレを囲うように天井からレールが吊されているカーテン。
「Hospital?」
普通に考えて出て来るのはこういう結論だろう。
ここに運び込まれるまでの記憶を遡ってみる。
たしかユーリの欠片を集めてて…
転校生さんと鬼ごっこして…
それでピンクのお姉さんと……
戦った。
「はっ!?そうだ!ユーリは…!?」
思考が覚醒し、立ち上がろうとすると、身体にとてつもなく重い錘を乗せられたかの如く動かない。まるで拘束されているかのようにも感じる重量感が四肢を支配する。
「…と、そうだ。ヴァルキリー?」
『お目覚めですかサージェント。ご気分の程は?』
帰ってきた機械音声。インカムから発せられているのか、先程のようなオープン回線では無く、ほぼヒカリにのみ聞こえるようなものだ。身体が重く感じるのは、ヴァルキリーの各種パーツが駆動状態では無く、スリープモードであったことに気付く。
「少し身体がだるいけど…他は特にない、かな。」
『ソレは何よりです。』
「ところでここはどこなの?…確かボクは海鳴市の上空にいたはず…。ハッ!?もしかしてあの女の人に負けて落下して、表現するのもはばかられるような無残なタンパク質の塊に…!?」
『落ち着いてください。ここは次元航空艦の医務室です。先の戦闘で気を失ったまでは間違いありません。しかし、落下の前に魔導師によって救出されたのです。』
「マド…ウシ?」
理解に苦しむ単語が飛び出してきたところで、医務室の入り口である自動ドアが、スライド音とともに開放される。咄嗟に身構えてる…つもりだったが、身体が思うように動かないために、視線だけが警戒して入り口を見つめている。
「ふむ、ようやく気付いたな。」
そこに立っていたのは、先の鬼ごっこの鬼役にして転校生であるハルであった。服装は制服から着替えたのか、しかしその先の服装も見慣れない物だった。
上下茶色の制服で、中には白のブラウスに青のネクタイ。下はスリットの入ったタイトスカートに、膝下までの黒いミリタリーブーツ、である。
「アイエエエ!!エルトリアさん!?コスプレ!?コスプレナンデ!?」
「コスプレだと!?これは我らが陸士隊の勤務における制服だ!断じてコスプレなどでは無いぞ!」
「そーいう設定なの!?そう言うのはまだ早いよ!?四年くらい!」
「そう言う貴様はどうなのだ!?自分の身体をよく見て見ろ!!」
「こ、これはボクの意思じゃ無いもん!」
顔を合わせた瞬間これである。ヒカリにとっては管理局陸士隊の制服など見たこともないし、ましてや自分と同い年の少女がそんな服を着込むこと、というのは、コスプレと捉える以外何もないのも無理は無い。
「…そもそも、早いところその物騒なデバイスを解除したらどうなんだ?身動きがとれないのだろう?…もっとも、縛られるのが好きなのなら構わんが?」
「ぐぬぬ…!ヴァルキリー、解除お願い!」
『了解しましたサージェント。モードリリース。』
起動したときと同じように白銀の粒子に包まれたヒカリの身体は、瞬く間に元の聖祥大附小学校男子制服に更衣していた。
ハルを庇って倒れた際に付着した泥などの染みが、純白の制服には目立つ。
「うぇ……まだ二週間なのに…」
やはり編入なだけあって新品の制服が支給されたので、早くも泥にまみれたことに若干ショックを受ける。
「あー…その、だ。その件に関しては済まないと思ってはいる。私もこういう生活には慣れてなくてな。…その、同年代を説き伏せる、ということのやり方が解らんのだ。相手取ってきたのは上司か部下、それに犯罪者だったからな。だからその…許して欲しい。」
深々と頭を下げ謝罪する。ヒカリもここでようやく理解した。
追い掛けられたときはどうなるかと思ったけど…。
「ぷっ…あっはははは!」
「なっ!人が真面目に謝罪しているのに笑い飛ばすなど…!?」
弾けたような笑い声が医務室を支配する。カラカラと笑い続けるヒカリに対し、ムッとむくれるハル。
ハルの言うことも最もだ。謝罪を笑い飛ばされて良い思いをする人間なぞ、余程特殊な性癖を持たない限りは居ないだろう。
「あ、あ~、ゴメンゴメン!いや…追い掛けられたときは恐かったし、今日出会ったばかりだからエルトリアさんの事はよく知らないけどね?…でも誠実で、真面目なんだって事が分かったよ。そして、なんとなく…信用できる人って事も、ね。」
大笑いして、目から溢れた涙を拭いながら。
「でもね?」
「…なんだ?」
未だに笑われたことを根に持ちつつ、少々不機嫌な返事を返す。
「やっぱりコスプr…」
「だからこれはコスプレではない!」
「あ!ヒカリちゃん!」
ハルの否定が響いた後に、二人もよく知る明るい声が耳に入ってくる。
なのはである。
普段着の赤く袖の長いシャツの上に、薄く淡いピンクの袖の短いシャツ、紫のプリーツスカートと言った出で立ちで、彼女の魅力を引き出す組み合わせだ。
てててっとヒカリに駆け寄ると、ひしっと抱き付く。
「目が覚めたんだね!よかったぁ…!しかも軽い!」
抱き付くまでは良かったが、身体を持ち上げられてヒカリは目を見開いた。
「な、なのは!?か、軽いってどういうことなの!?ボク、急激に痩せた!?前はそんなに太ってたかな!?というか、服が汚れてるから、なのはの服も汚れちゃうよ!?」
「高町、一応ここは医務室だ。騒ぐのは感心しないな。」
「ご、ごめんなさい…。」
ゆっくりと困惑するヒカリを降ろす。片やぷりぷりと怒り、片やずばりと嗜めてくるので、なのはも流石に謝り倒すしか無い。
遅れてフェイトがひょっこりと顔を出す。
「あ、目を覚ましたんだ?」
「フェイト~、なのはが、なのはがぁ~!」
「ダメだよなのは、ヒカリを虐めたら…」
「えぇっ!?私何もしてないよ、ホントだよ!?」
フェイトに泣きつくヒカリ。なのはも窘められる程では無いと反論する。段々収拾が付かなくなってきていることにハルは頭を抱え、
「…医務室で騒ぐなと言ったばかりなのだがな…。」
誰に聞こえるとも無く溜息とともに口を吐き出すのだった。
場所を食堂に移し、食事を交えての事情説明をする事にした。魔法と関わってしまい、さらには見たことも無い型とは言え、デバイスを所持してしまったからには話さないわけにはいかない。
四人は軍用食にも似た保存性のあるレトルトパウチから戻されたものを盛り付けたプレートを並べていると、食堂入り口の陰から、ウェーブの掛かった特徴的な髪が、揺れて顔を覗かせる。怖ず怖ずと顔を出そうか、出すまいか、迷っていると…、
「ほら、ユーリ。ヒカリちゃんもおるんやから、遠慮せんと!」
「あぅっ!」
ぽん、と背中を押されて顔どころか全体が見えた少女があたふたしていた。一瞬何事か、と思ったら、心配していた件の少女。気になっていたからか、少し浮かない表情だったヒカリの顔に、喜色が浮かび上がる。
「ユ、ユーリ!」
「ヒカリィッ!」
まるで数年ぶりの再会を果たした恋人か親友のようだった。ひしっとどちらかともなく駆け寄って抱き合う。カメラアングルがあるなら、周囲を程よい速度で回っているだろう。
「よかったぁ…無事だったんだね!ボク、何処に行ったんだろうって…心配で…!」
「私もヒカリが落とされたって聞いて、心配してたんですよぉ…!ホントに…無事で良かった…!」
なんだか食堂の中で、二人の居る場所だけが別空間に見える。ユーリを知らないなのはとフェイトは顔を見合わせ、ハルはやれやれ、と少し呆れ、はやては普通に再会を祝っていた。
…
……
………
「いつまで抱き合ってんねん。」
「あいたー!!」
すぱーん!と、ヒカリの頭を目掛けて振り下ろされたハリセンが快音を響かせた。
いつまでも百合百合しているのが悪い。ギャグみたいに腫れ上がったタンコブを摩りつつ、ユーリの食事の用意に取りかかることにした。
「所でユーリ、どうしてはやてと一緒だったの?」
ヒカリがふと気になって尋ねてみる。ユーリの食事を机に置いて、各々の席に着いたのと同時だった。
「あ~…そやね。順番に説明していこか。まずはここは次元航空艦アースラ。時空管理局執行隊の…」
はやてに始まり、フェイト、なのは、そしてハル。それぞれが魔法に関することをヒカリとユーリに説明していく。去年に起こったPT事件、半年前の闇の書事件も掻い摘まんでだが説明を済ませる。
「まあ、そんな感じで私達は管理局に民間協力者として事件に関わってきていた訳なんだ。」
「私やアルフは嘱託。ヴォルケンの皆は過去の贖罪という形で任務に従事してるの。」
魔力に関しての知識はある程度ユーリから聞いては居たが、数多ある次元世界の存在なんてSF映画もかくやと言わんばかりでは無いか。
「つ、つまり…なのは達は魔法…使いで、沢山の世界を護るために…戦ってる…?」
「うん、まぁそれが一番わかりやすい、かな?それでこれが…」
なのはは自分の首にかけている赤いビー玉が付いたネックレスを掌で包むと一念。桃色の光が発したかと思うと、それは長細く形を固定していく。
白と金、そして青を基調とした杖の先端に、10㎝ほどの赤い球体がはめ込まれている。
魔導杖レイジングハート・エクセリオン
なのはの一年来の相棒である。
「デバイス…って言う…?」
「そうだよ。…多分だけど、ヒカリちゃんが纏っていた…あの白い鎧みたいなの。あれもたぶんデバイスだと思うの。私達の使うのとは少しタイプが違うみたいだけどね。」
基本的にデバイス、と言うのはその名の通り端末。それだけに携行性がある者が多く、手持ち式のものが多い。
長杖然り、戦斧然り、長剣然り、鉄槌然り…
身に着けるもののと言っても、全身を覆うものは無く、あるとすれば右腕だけや、脚にのみ装着等々、身体の一部になる物がある。
しかし、ヒカリのヴァルキリー。これは全身を纏う、それ自体がバリアジャケットと呼んでも問題ないくらいに重厚かつ堅牢さが備えられているのが印象的だろう。
「その辺りに対しては、一旦本局に向かうのが手っ取り早いだろう。…無論、今この現場の監督であるハラオウン提督の意向にもよるがな。」
「あとな、面白い人らがおるんよ。なんでも未来から来たって言う人らなんやけど…。」
「けど…?」
なにやら言葉を濁すはやてに、皆は首を傾げる。
「なんや15歳くらいの男の人に、えらい怖がられとるんよ。…もし未来から来た言うんが本当やったら、何をやらかしとるんやろな、未来の私…。」
どこか遠くを見るはやては未来への自分の不安を拭いきれない、それでいて末恐ろしく感じているようだった。