管理局の本局第5研究室
非常事態の警報は止んだものの、一縷の不安な空気が研究室を支配していた。
デバイス単体の転移。その先を割り出して、偶々取り外してなかったセンサーで、ヴァルキリーの戦闘状況をモニターしていた。
結果として、予想通り、いやそれ以上の動きを見せていた。ウェイト自体は予定より数キロ軽くはなった。…と言うのも、駆動や慣性制御のシステムを向上させるという新素材を知り合いの研究者が回してくれたお陰で、それを組み込む周辺機器の要領に余裕が出来ていた。しかも加工がしやすいので、いっそのこと基礎フレームに組み込んでみたところ、恐ろしいまでの敏感な反応を持つまでに至ったときは驚喜したものだ。
加えてAI自体も、起動時間がいまだ短いとは言え、初心者たる術者のフォローと出力などの管制を的確にこなしていたのも良かった。
しかし、調整は済ませていたとは言え、マスター登録を行っていないデバイスが独りでに転移した、と言う事実が何とも納得がいかない。結果としてたいした怪我も無く、無事に管理局の艦艇に収容された、と言うのも悪くはない。下手な解析が出来ないようにメインシステムに高度なブロックをかけているので、余程のことが無い限りはそのデータが流出することはないので、心配する必要性は無いはずなのだが…。
「しかし…起動と同時に事件に巻き込まれるとは、予想だにしなかったな。」
デバイスとそれを使役する魔導師のバイタルチェックを行いつつ、先の戦闘データを纏めていく。まさかのマキシマムまで発動させるなどとは良い意味で予想外だった。これは次に細かな調整を行う議題が出来たと言うもの。
「本当に、デバイスと魔導師の融和、というか、調整がお上手ですね。挙げ句にはユニゾンデバイスまで開発しそうで怖いですよ。」
「それも中々興味深いところだが、生憎とそのタイプのデバイスのデータが不足、と言うよりも存在自体がロストロギアに近いものさ。それだけに夜天の書官制人格が持つデータは喉から手が出るくらい欲しい物がある。しかし、聞くところによれば、ナハトヴァール切り離しの際、力の殆どを持って行かれたそうじゃ無いか。しかも、構成データも再生せず劣化の一途。…時の流れで遠からず朽ちると聞く。…そんな彼女をようやく手に入れた『家族と過ごす貴重な時間』を、たかだかデータ採取に裂かせることが出来ようか?…いや、出来んな。…だったら一から作り出してやろうという気概を持つくらいが、私としてはやりがいがあるよ。」
研究者、と言う物は、未知の技術や能力に興味をそそられる。性と言うべきか、知的探究心というものを刺激され、満たされることはほぼ無い。
彼の次元犯罪者ジェイル・スカリエッティ
彼も同じ穴のムジナなのだろう。彼と同じになるつもりは無いが、根元は同じなのだろうとどこかで納得してしまう。
「さて、遠からず彼女とデバイスをここに招待する事になるんだ。出来るだけ、更なる機能向上の調整が出来るよう、データを解析しておくとしようか。」
「さて、と。本来の質問に戻ろか。私とユーリが一緒やった理由。それは、彼女が闇の書の防衛システム、ナハトヴァールに関係ある人物かもしれへんからや。」
「ナハトヴァールって…あのリインフォースさんの腕に付いてた…取っ付きみたいな武器?」
「そそっ。流石なのはちゃん、よう覚えてるな。」
「そりゃあ…あんな闘い二度と御免だし…。」
二つの意味で、である。
悲しく、泣きそうな表情で向かってくるリインフォースと。
そしてあんな圧倒的な相手と戦う。
その二つの意味合いで、だ。
「詳しいことはわからへんけど、エグザミアの中に断片的にナハトヴァール関連のデータが見つかったんや。」
「「エグザミア?」」
なのはとフェイトが異口同音に首を傾げる。
「エグザミアっていうんは…そやね。ここは当事者のユーリから…。」
「ふえぇっ!?わ、私…ですか…?」
まさかまさか話が飛んでくるとは思いもしなかったユーリは、あたふたと顔を赤らめている。その光景は微笑ましく、見るものを和ませる。
「わ、わかり…ました。…まだ欠片も集まりきっていないので…その、断片的なことしか説明出来ないですけど…。」
ユーリは説明を始めた。
永遠結晶『エグザミア』。それはかつて夜天の書から闇の書へと変貌する過程で組み込まれ、夜天の書を制御下に置くためにその奥底で眠っていたが、ナハトヴァールによってプログラムを上書きされ、隠蔽されていた。
そして前日の『闇の書事件』の終息。それによりナハトヴァールと夜天の書官制人格との切り離しの際、ナハトヴァール側へと取り込まれ、そのままアルカンシェルで破壊された…。
しかし、エグザミアは砕けはしたものの完全破壊はされておらず、欠片となり地球に降り注いだ、と言うわけである。
「その官制人格が私で、欠片と一緒に本来の力や術式、記憶も全部分かれちゃったんです。」
「で、ボクはたまたまユーリの欠片を拾って、事情を聞いて欠片を集めてた…って言うのが理由、かな?」
これでおおよその事情説明は終わったのか、ヒカリの言葉を皮切りに食堂に静寂が訪れる。
当の二人は情報共有の安堵感からか表情の硬さは抜けているに対し、ハルはというと仏頂面にくわえて眉間にシワを寄せている状態である。
「事情はわかった。…しかし、だ。闇の書の残滓に近いエグザミアを、魔法の知識を持たない民間人が回収している、というのはやはり得心がいないな。」
「ちょっ…ハル!?」
「まぁハルちゃんの言うことにも一理ある。言い方を変えたら、見付けた爆発物と思しき不審物を私らが開封しようとしとるのに近いからな。」
「はやてちゃんまで!?」
自分達の側と思っていたはやてがハルの意見に賛同したことに、なのはとフェイトは驚きを禁じ得ない。
「私って…爆発するんですか?」
「ぼ、ボクに聞かれても…。」
だが当の爆弾認定されたユーリはと言うと、まるで他人事と言わんばかりにヒカリに尋ねる。
「んっん!まぁとにかく、だ。如月がエグザミアを一人で管理する、というのは些か言い方が悪いかもしれんが…だが、だからといって一個人でロストロギアとなり得る可能性のあるものを持たせるのは心許ない。」
「…あ、成る程ねぇ…。」
隣って座るなのはが、察したと言わんばかりにニコリと、それこそ友人に向ける満面のような笑みで頷く。
「…ど、どうしたの?なのは…。」
「ハルちゃんの言い方が回りくどいんだよ~。素直に『ヒカリち…君が心配だから、自分達も手伝う』って言えば良いのに~。」
「なっ!?わ、私はだな…!」
「まぁリンディさん達の指示も無いと決定は出来ないけど、私はそれに賛成だよ?…それに何だか一年前のこと、思い出しちゃって…。」
「一年前って言うと…あっ…!」
フェイトも思い出したのか、なのはと視線が合う。当事者とか、最大の功労者と言っても過言では無い二人には、感慨深い出来事であるPT事件。出会いの切っ掛けとなった件の事件の過程で、なのはとフェイトはジュエルシード収集という同じ目的がありながらも対立してしまっていた。あの時は殆ど話し合う機会もない状況で、本当に協力できたのは終盤も終盤だった。そんな経緯を知る二人だからこそ、こうやって互いの内情を知ること、そしてそのうえで協力できることは大切な機会なのだと自然に思ってしまう。
「ヒカリちゃんもハルちゃんも、勿論私達も。皆で協力し合えば早く解決すると思う。ユーリだって、記憶や力が無いままじゃ不安だと思うし。」
「だから、一緒にユーリの…エグザミアの欠片を探そうよ。何か問題があっても、一人じゃ難しくたって、皆で協力したら乗り越えれるよ。」
「やれやれ、私が言わんとすることを全部言われてもたな~。ま、そゆことや、お二人さん。二人で抱え込むことも無い。友達のためやったら、私らも友達の為に一肌脱ぐんが流れって言う物やで?…まぁハルちゃんもそやけど。」
「なっ…私も、だと…?」
まさか話を振られるとは思いもしなかったので、仏頂面を崩して目を丸くしてしまう。
「そそ、特別捜査官?らしいけど、土地勘とかそう言った諸々については現地の私らが詳しいんや。せやから、一人でどうこうしよう、なんて思うとるかも知らんけど、これも一つの合同捜査やと思て協力せん?」
「くっ…!そこまで私は顔に出やすいのか…!?お前達といい、あの二人といい…どうしてこうも私の考えを看破する…!?」
「あの二人…?」
ハルの人間関係と言う物に若干興味を湧かせている現在の同居人であるなのはは首をかしげる。108陸士隊所属の特別捜査官で准尉階級であることくらいしか昨日の今日では情報は無い。こういう食いつきやすい話題が出て来た以上、積極性が前面に出て来ていた。
「…いや、特筆すべき事では無い、な。忘れてくれ。」
「う、うん…わかったよ…。」
あっさりと切られた話題。本人にとって知られたくないことなのかどうかはわからないが、それでも先程一瞬だけだが…表情に陰りが見えたことをなのはは見逃さなかった。
「話を戻そう。つまり如月。お前の意見はどうなんだ?…私自身は独自に捜査を続けるつもりではあったが、手数は多い方がいいし、何より彼女…ユーリが欠片を探知できるのであれば、その力が大いに早期解決に役立つことは請け合いだ。…なんにせよ、力が不完全で、それでいてエグザミアの欠片が街に何らかの影響を及ぼすならば、回収を急ぐに越したことは無いのが私の意見だがな。」
「ボクは…。」
言葉を詰まらせる。正直、別世界の警察組織が関わってくるなどとは思いもしなかった。どういった組織なのかは端的にさっきの話で理解は出来たが、それ自体を自分が信じるかはまた理解することとは別の話。
…でも目の前にいる四人。彼女達は、ハルもそうだが、一人でユーリの為に頑張っているヒカリをひたすらに心配しているのだろう。若干一名回りくどいが。
「…わかった。ボクは皆を信じる。協力して集めよう。…その、魔法に関しては…イマイチなんだけど、さ。」
「その辺に関しては、クロノ君やヴォルケンの皆が教えてくれるんやない?…あ、でも見とったら、ヒカリちゃんはミッド式っぽいし、クロノ君が適任かな?なのはちゃんやフェイトちゃんも教えれることあるやろし…。」
「そうだね。デバイスを持っている以上、戦わなければならないわけじゃ無いけど、…それでも飛び方とか基本的なことは学んでいった方が損は無いと思うよ。」
「お、押忍、頑張ります。」
「にゃはっ!頑張ろうね、ヒカリちゃん!」
盛り上がるミッド式組と相対し、ベルカ組であるハルとはやて、そしてユーリはその光景を微笑ましく見ていた。
「やれやれ、緊張感のない。正式な辞令が下れば、これもれっきとした任務になるのだがな。」
「まあまあ、…でもこれでしっかりと協力してあたれるんや。戦いは無いやろうけど、その時はユーリとヒカリ…ちゃんは後ろで待機やな。…ユーリはともかく、ヒカリちゃんは今日に魔法を知ったんやから…。」
「あう…すいません…。」
しょぼくれるユーリを見るに今日のキリエとの戦い振りを気にしているようだ。意気込んで飛び出したのに、結局はナニも出来ず仕舞いだったのだ。それは気にするなという方が無理な話である。
「まぁなんや…、欠片が集まれば戦い方思い出すんやろ?もう少しの辛抱や。その時に名誉挽回する。それで充分やと思うよ。…かく言う私も、未だに力を持て余しとる感がある。実際、魔導師4ヶ月生やから、飛び方とか、制御とか、そう言ったことはまだまだ先輩諸氏に及ばへんし。」
「だから…シュベルトクロイツと夜天の書、それに夜天の書官制人格によるユニゾンでの制御が…。」
「そうや。…って、ユーリ。シュベルトクロイツのことは知ってるん?」
「えっと…はい。闇の書となる前に、夜天の主が使用していた騎士杖だったような…。」
ベルカ式金十字の先端をした、はやてのデバイスの一つであるシュベルトクロイツ。その名を先の事件の説明の際に出してはいない。となるとユーリ自身の記憶にその名が刻まれており、その記憶の欠片を内包していることになる。
「となれば、欠片を集めれば夜天の書のデータ諸々も、もしかすれば手には入るかもしれんな。」
「そか!せやったら…リインフォースのことも…!」
夜天の書官制人格、現在の名を『リインフォース』。かつて夜天の書を闇の書たらしめたナハトヴァールにより、望まぬ破壊と主の死を体験してきた女性。はやてと、様々な偶然の重なりによりナハトヴァールから切り離され、ようやく自由を手に入れた。
しかし、切り離しの際、自身のデータの大半も持って行かれたため、その身体を構築するデータも劣化の一途を辿り、余命幾ばくも無い状態だ。
「集めてみないとわからないけど…私も夜天の官制人格を助けられたら…良いな。」
「まぁ…無理なら…仕方ないと思うぞ八神。デバイスも人も、朽ちるときは朽ちる。その事を…」
「うん、分かってる。…あの子は…長いこと悲しい思いしてきたんや。…せやったらいつまでか分からんけど…、その日まで、精一杯幸せにしてあげなあかんな。」
はにかむはやてはどこか物悲しそうで、でも気丈で。とてももうすぐ10歳と思えないほどに。
「さっ!そうと決まれば、リンディさんやクロノ君に相談や!って何してんねん!?」
「へ?」
ようやく話が纏まったところでミッド式組を見れば、目がチカチカしそうな位大量に浮かんだ白銀の魔力のスフィアが食堂の一部分を支配していた。その数20を超えるほどで、目を疑うほどに暴走することも霧散することも無く、その場を浮いているほどに制御が行き届いている。
「えっと…なのはに魔力弾の作り方を教わって、実際にやってみたら一杯出来て…。」
「スゴいんだよ!デバイス無しの制御でこんなに展開できるんだ!」
確かにスフィアの座標固定にも多少なりとも制御が必要となる。実際にこれを戦闘に、それも複雑な機動制御を行うともなれば話は別なのだろうが、それでも教えて間もなくでここまで展開できるとなれば、一種のセンスなのだろうと思ってしまう。
「アカンて!艦内での無許可の魔法使用なんてアカンに決まってるやん!」
「そ、そうなの?」
「外が宇宙空間、暴発して壁に穴が開いてもたら…どうなるかわかるやろ?」
…つまり、空気が漏れて大惨事、である。いかな魔法技術が発展していようとも、大宇宙の神秘には抗えない。見る見るうちにヒカリとなのはの表情が青ざめる。
「早いとこ、クロノ君らが来る前に消しといた方が…。」
「そ、そうする。」
「…残念だけど、手遅れだ。」
ヒカリがスフィアを消したのと、クロノが腰に手を当てて食堂の入り口で仁王立ちして、静かながらも怒気を含んだ一声を放ったのが奇しくも当時。その後、なのはとヒカリは、目の前で見ていて止めなかったフェイト共々、クロノからのお小言を喰らった。
「結論から言おう。」
たっぷり20の目盛りほど時計の長針が進むくらいにくどくどとお説教タイムが終わった先。クロノは話を切り返した。というのも端から見ていたベルカ式組が、食堂入り口で申し訳なさそうにしている四人への居たたまれない気持ちが大きくなってしまったから、と言うのが理由である。一応、自分もいい加減目の前の説教に終止符を打ちたかったのもあるが。
「ヒカリ、君に対して協力を仰ぎたい…と言うのは山々だ。しかし、今日魔法に関しての情報を知り得、デバイスを起動させた。そんな君に、もしかしたら先程のキリエと名乗る女性からの襲撃があるかもしれない危険な任務に、協力をさせるのは僕としては些か抵抗があるのが現状だ。」
「う……。で、でも…!」
「話は最後まで聞け。…もちろん、その危険を冒してまでやるというなら反対はしない。…そうなれば僕達としても協力は惜しまない算段だ。…それに、協力者はまだいる。入ってきてくれ。」
クロノの合図を皮切りに、四人の男女が足並みを揃えて食堂に踏み入ってきた。
左から順に、長い金髪をサイドポニーテールに、そして翠と紅のオッドアイが目を惹く少女。
次いで2人目は碧銀の長髪をツインテールにし、これまた青と紫の虹彩異色。
そして、3人目は銀髪に赤い目。頬や露出した腕に同じく赤い色の入れ墨のような模様に黒い装束が特徴。
最後は…他の3人に比べて特徴という特徴は無く、肩口辺りでざんばらに切られた金髪と、サファイアを思わせる蒼の瞳くらい。服装もジャージ姿で、他の3人がいかにもバリアジャケットと思える服装なのに対して、普段着かトレーニングウェアと思わせる服装だ。
若干物々しいメンバーに見えるが、その内2人は表情に驚きと歓喜を浮かべ、1人は無表情。そしてもう1人は畏怖の表情に支配されていた。
(レオン君レオン君!なのはママとフェイトママ!それにヒカリさんとハルさんだよっ!ちっちゃいよ!可愛いよ!!)
(…みたいだな。…でも嬉しいのは分かるけど抑えとけよ?)
(…レオンさん、顔、少しニヤついてます。)
(あわわわわわ!やややや八神司令!?)
(八神司令、ちっちゃいよ!可愛いよ!!)
見ていてコミカルで、そして退屈しない各々に、現代組は首を傾げる者もいれば、奇怪そうに見る者もいた。
「既に情報は行き渡っているとは思うが、彼、彼女達は十数年後の未来から来たと言う協力者だ。その上で仲良くするのは構わないが、…念の為深入りはしないようにしてくれ。未来改変が起こりうるかもしれないからな。…以上!」
クロノの簡潔でザックリした説明。未来云々、そしてその影響を考え、できるだけ接さない方が良い。そう危惧するクロノだったが…
「私、高町なのはっていいます!よろしくお願いします!」
「フ、フェイト・T・ハラオウンです。」
「あ、え~っと、ヴィヴィオっていいます。」
「アインハルト…と申します。」
「なぁなぁ、なんで君は私のこと避けるん?八神はやて、言うんやけど…」
「ぞぞぞぞぞぞ存じております!えぇ!嫌と言うほどに…じゃなくって、お噂はかねがね!ハイ!」
言った矢先にこれだ。まぁなのはからしてみれば、
『無視したり、そうやって蔑ろには出来ないよ!』
とか言うのだろうな、と自分に言い聞かせてクロノは納得させる。
しかして残る3人は…
「…私はハル・エルトリア。…まぁ程ほどに宜しく頼む。」
「ボクはヒカリ・如月って言います!君の名前は?」
「…俺はレオン。一応歳は11だが、暦の上ではそっちが年上なんだから、畏まらないで欲しい。…むしろ畏まられるとむず痒い。」
自分と同じく金髪と蒼の瞳。共通の特徴を持つレオンと名乗る少年に少なくない興味を持ったヒカリは、真っ先に彼の方へと駆けていたのだ。一方でハルは、クロノが言うように、過度の接触は控えておくべきと考えているのか、少し素っ気ない挨拶になっていた。
「…やれやれ、挨拶も済んだところで今回の事件、宜しく頼むぞ。」
「了解した。」
そのクロノの一声は、ハル以外の耳には届くことなく、彼女の敬礼の掛け声だけが喧騒に消えていった。