魔法少女リリカルなのは 未来への系譜   作:ロシアよ永遠に

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祝!メインストーリー30話!
遅いのか早いのか解らない…

紫天の書についての解釈が難しい。
独自解釈に近いかな…。


Mission30『交わる者達、そして…』

いくら斬っただろう。

どれだけ撃ち抜いただろう。

自身の力は枯渇寸前ながら、気力のみでの戦いで息も絶え絶え、少々視界もぼやけ始める。

しかし目の前には未だ耐えることのない敵の集団。

 

「ち、ちょっち、甘く見すぎたかな…?」

 

キリエは自分の認識の甘さに嫌気がさす。昔からこうだ。何かしら詰めが甘いことが多くて、その度にアミタ達がフォローしてくれることが多々あった。それだけに成長と共に、後詰めを怠らないように気を付けては居たのだが、目の前の現実はそれを否定する。よもやここまで数が多くなろうなどと予想できなかった。

 

「ホント…嫌になるわね。」

 

こうなっては自嘲すら出来てしまう。未だ襲い来る敵を切り捨て、目の前の小さな欠片を手中に収める。

でもここで止めるわけにはいかない。

自分で蒔いた種だからこそ、最後までケジメを付けないといけない。

 

「キリエーッ!!」

 

「…あら?おかしいわ。こんな時にお姉ちゃんの幻聴が聞こえるなんて…、ふふ…、お迎えが近いのかしら?」

 

「人を、サンズ・リバーの向こうで呼んでるみたいに言わないで下さい!!…全く、こんなにボロボロになって!」

 

目の前には自分に背を向け、敵から仁王立ちして立ち塞がる姉。その背からは『私、怒ってます』と言うのがひしひしと伝わってくる。

 

「な、何しに来たのよ…」

 

「勿論、妹を助けに、ですよ。」

 

迷うことなく言い切った。2丁の青いヴァリアントザッパーで弾幕を張り、巧みに迫り来る敵を撃ち抜いていく。

 

「だ、誰も頼んでない!」

 

「頼まれなくても、妹が困っているだけで、お姉ちゃんが助けるのに理由は要りませんよ。」

 

「バカアミタ!お節介よ!大きなお世話!」

 

「はい、お節介と言われようと、大きなお世話だろうと、鬱陶しいと言われようと助けます。それが…

 

 

 

家族なんです。」

 

振り返った姉の顔は、自分がよく知る、幼い頃からとても頼もしく。そして優しい姉の笑顔。

 

「博士に生み出して貰って、家族として育って。私は及ばずながらも貴女の姉として接してきました。頼りないかも知れません。でも私はお姉ちゃんです。どう思われていようと、妹が困っていれば助けます!」

 

構えたザッパーの先端にエネルギーが集束し始める。ウイルスで空っぽになったエネルギーも、二日も経てば大分戻ってきた。栄養のある食事を食べさせ、寝床を与えてくれたあの少女のお陰もある。だから、この事態を収束して街の危険を排除する。それこそが恩返しになるはずだ。

エネルギーチャージもはち切れんばかりに膨れ上がり、文字通り絶好調!

 

「新技!行きますよ!」

 

放たれた一対の砲撃。見たところ何ら変哲のない直射砲だ。

しかしそれは、木の幹のように枝分かれし、幾つも分離していく。

 

「マルチショット…レイド!!」

 

幾度となく分かれた砲撃は、目の前に群がる敵を何十体と撃ち貫いていく。まるで流星の如く、夜空と敵を引き裂き、数多の欠片と化していく。

ギラギラと血走る眼光はまるで…

 

「お姉ちゃんパワー!全開です!!さぁ!魑魅魍魎ののっぺらぼう!このエルトリアのGEARS、アミティエ・フローリアンが、相手になって見せます!暴れるどころか暴れまくりますよ!!」

 

今朝見た戦隊もののヒーローのそれであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く…切りが無いな。」

 

「ボクは、まだまだ行けるよ!目指せ千人斬り!三国一の強者!さぁ!次から次へと、かかってこぉい!」

 

「強がりなのか何なのか解らんが…この状況でそれだけの強気は、頼もしいとさえ思えるぞ。」

 

もはや斬り伏せた敵の数すら数えるのも面倒だ。カートリッジも残りわずか。レヴィのバルニフィカスもカートリッジ使用を控えているようにも感じる。

 

(攻撃こそ直線的だ…、しかし被弾すれば致命的なソニックフォームに似たコンセプトの…スプライト、だったか。一撃も当てられずにあそこまで戦えるとは…、戦闘能力はテスタロッサにも劣らんな。)

 

戦い方こそ近接戦に重視したものだが、速さに物を言わせた切り抜けは舌を巻く。

水色の魔力を噴かせ、一体、また一体と、大剣へと変えたバルニフィカスで斬り捨てていく。

 

「強靭!無敵!ボク最強!」

 

「お、おい、余り突出は…」

 

「シグナム!」

 

どんどん前に出るレヴィを引き留めようとする矢先、よく知る声で待ったが掛かった。周囲を取り巻く敵を金と茜の槍が貫き霧散させる。

 

「テスタロッサか?」

 

「はい!」

 

白のマントをはためかせ、シグナムの傍らへと飛行する、自身の友人にして好敵手(ライバル)であるフェイト。

 

「待ち兼ねたぞ。…流石に私もうんざりしていたところだ。」

 

「珍しいねぇ、アンタがそんな風に言うなんてさ。」

 

「私とて並の感性は持ち合わせている。目の前の状況にはウンザリもするさ。」

 

烈火の将として気弱な台詞は吐けないのが事実だが、ここまでの数を目の前にしてはそうなるのも無理はない。フェイトに随伴したアルフも、流石のこの状況には同意せざるを得ず、苦笑しか飛び出ない。

 

「それで、さっきの子は?」

 

「あぁ…確かレヴィとか言う、成り行きで協力することになった奴だ。彼女ら…3人居るわけだが、エグザミアを手に入れんとしているらしい。が、どうにも猪突猛進でな。先程一人で斬り込んでいった。」

 

「…この状況でそんなことが出来るのかい?ハルって奴もそうだけど、あの子は…まぁ引き付けるって考えあって突っ込んでいったみたいだし。」

 

「…そうだな。レヴィにはそんな考え無しで単に敵が居るからってだけなのだろう。」

 

「私、追ってみる。アルフ、シグナムのことお願い。」

 

「任されたよ!」

 

恐らくレヴィが開けたであろう敵の穴が塞がらない内に、フェイトは飛んだ。

周囲に敵はいる物の、多少距離もあるのでフェイトの飛行速度を持ってすれば振り切ることは容易い。敵のトンネルとも言うべき道を通っていけば、水色の魔力と同色の髪を靡かせ敵を切り刻む彼女の姿は容易に見付けられた。その表情は苦悶よりもむしろ愉しんで居るように見える。

 

「吹っ飛べぇ!!」

 

バルディッシュのザンバーフォームに似た形態で、群がる敵を斬る。そして時々その剣の横っ腹をバットに見立て、フルスイング。快音が響くかのような幻聴が聞こえそうなほどに見事な当たりで、吹き飛んだ相手は見事な軌道を描き、道中の仲間を巻き込んでビルに突っ込む。

 

「ザンバーにもあぁ言う使い方もあるんだね。斬る以外にも吹っ飛ばすって言う。」

 

『魔力刃の無駄遣いにも見えます。余りお勧めできません。』

 

「…それもそうだね。」

 

だったらバルディッシュの柄で殴打すれば良いはずだ。合理的な判断をする相棒に、フェイトは考えを改める。しかし彼女もバルディッシュも知らない…。10年後にあんな使い方をされようものなどと…。

 

「よっし!二人巻き込んでスリーラン!!虎の四番はこのボクだ!」

 

『サー、トラというのは?』

 

「ん~、多分だけど、日本のプロ野球チームの一つのことだと思うよ。最近リーグが開幕して、私もちょっと興味沸いてきてるけど。」

 

なぜレヴィが日本の野球に対しての知識があるのかはさておき、フェイトはどこまでも冷静だった。しかも目の前を派手に大立ち回りする光景に、敵は引き付けられてどんどん集まってきている。

 

「…と、あの子を追い掛けてきたんだった。バルディッシュ!」

 

『イエス、サー。』

 

バルディッシュをゆらりと振りかざすと、周囲に帯電したスフィアを展開。その周りを術式を刻んだリングが渦巻く。

 

「プラズマランサー!!」

 

『ファイア。』

 

その声を引き金に、レヴィを取り巻く敵に吸い込まれていき、そして貫く。それぞれ相手が霧散したのを確認し、再度敵をロック。

 

「ターン!!」

 

再び放たれたのは、プラズマランサーの軌道変更のトリガーヴォイス。一旦、ランサーが停止し、その矛先を新たな敵に向け、再びその鋭利な魔力の弾丸で貫いていく。

 

「おぉっ!?いきなりビックリするじゃんか!」

 

「えっ!?あ、ご、ごめんね?」

 

振り返ったのは自身にそっくりの少女、レヴィ。バリアジャケットから髪型、さらにはデバイスまで瓜二つである。違うのは色と、目つきが若干勝ち気そうなところ位だ。

 

「ふんふん。」

 

「な、何かな?」

 

フェイトの周りを、まるで品定めするかのように嗅ぎ回るレヴィ。スプライトフォームの速さも相まって、正直不気味である。だって残像が…。

 

「うんうん、やっぱりボクのオリジナルだけあって、なかなか強そう。まぁボク程じゃないけど!」

 

「そ、そうかな?…ってオリジナルって、その姿からやっぱり…。」

 

「お?なんだか…美味しそうな匂いがする!」

 

聞いちゃ居ない。鼻をスンスン鳴らして、まるでアルフみたいに臭いを嗅ぎ回る。

 

「あ、…そういえば…。」

 

バルディッシュの格納領域に入っていたものを思い出す。量子化して収納されていたもの。それを見て、レヴィは目を輝かせてそれを見つめる。

 

「な、何それ!?そのまん丸なの、何なの!?」

 

細い棒の先に、平べったい水色の渦巻き。ほのかに香る甘酸っぱい香りが、レヴィの興味を更に誘う。

 

「えっと…アメ…なんだけど、食べる?」

 

「アメ…?た、食べる!」

 

「じゃあ…はい。」

 

アメを受け取るや否や、

 

ガリッ!

 

「か、噛んだ…!?」

 

ボリボリと物凄い音を立てて咀嚼する。普通は舐めるものなのだが、レヴィは喜んでいるのか、次々に噛み砕いていく。

 

「むむっ!悪くない…決して悪くないぞ!?」

 

口に広がるソーダの甘酸っぱく、そしてほのかな炭酸の風味がツボにはまったのか一心不乱にアメを小さくしていく。

アメを貰って屈託なく喜んでいる彼女は、フェイトにとって愛らしさを感じられる物だった。

 

「…ふふっ、何だかアリシア…お姉ちゃんに似ている。」

 

「むぉ?あひひはっへ、はへは?」

 

口いっぱいにアメの欠片を頬張るレヴィはまともに言葉を発せられない。リスか何かのように頬を膨らませている。

 

「アリシアっていうのは…私のお姉ちゃん。」

 

「んぐっ!…ん~?オリジナルのお姉ちゃん?」

 

「オリジナル、じゃないよ。私はフェイトって言う名前があるんだ。レヴィって呼んだら良いかな?」

 

「いいぞ!じゃあボクもへいとって呼んでやってもいいからな!」

 

「へいとって……私はフェイトだよ?」

 

「ん~?へいと?」

 

「フェイト!フ ェ イ ト!」

 

「へ い と?」

 

「…もう、へいとでもオリジナルでも良いよ…。」

 

舌っ足らずなのか、自分の名前を上手く呼んでくれないレヴィに、少なからずのショックを受ける。そんなフェイトを見て彼女は、不思議そうに首をかしげるだけだった。

 

「うん、中々美味しかったぞ!」

 

「じゃあレヴィ、少し話を聞きたいんだけど…砕け得ぬ闇…について何か知ってることある?」

 

「ん?砕け得ぬ闇?そんなこと聞いてどうすんの?」

 

「今、辺りに居るこの沢山の敵…、その原因かも知れないんだ。もし、情報があるのなら、解決の糸口になるかも知れないんだ。」

 

「ん~ボクの知ってることなら構わないぞ?…そもそも砕け得ぬ闇って言うのは、それ単体のことを指すんじゃないんだよね。」

 

「複数を指すってこと、なの?」

 

「そうでもない。ボクは力の、シュテルんは理の、王様は王の構築体(マテリアル)。それに紫天の盟主。四人合わさって紫天の書であり、自律稼働プログラム。ぶっちゃけた話し、紫天の盟主が小鴉ちん、クロハネが王様、ボクとシュテルんが騎士みたいなものなのかな。」

 

「紫天の盟主って…?」

 

「それはボクも誰かは解らない。…ん~、解らないって言うのか、思い出そうとしても、もやもやして…変な感じなんだ。でもボクらは長年、会おうとして探していた、そんな感じがする。」

 

ここに来て現れた、新たなキーワード『紫天の盟主』。ただ、レヴィ達3人も砕け得ぬ闇を求めていたにも関わらず、今のこの周囲の状況には把握できていないようだ。

 

「…レヴィ達が紫天の盟主と呼んでいる人…砕け得ぬ闇……それにこのエグザミアの欠片とユーリ…、まさか…とは思うけど…。」

 

フェイトの脳裏にある一つの推測。そして予感。

外れているのならそれで良い。しかし、繫がりつつある欠片(ピース)が、それを否定しようとしている。

遥か遠方、海上に浮かぶ球体。それが何なのか。その答えが…見えてしまった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、

 

破壊の始まりは、刻一刻とその鼓動を刻み始める。

 

それは皮肉にも、彼女等の戦いによる物であると、

 

今はまだ誰も気付かない。

 




オリジナルの魔法?説明

『マルチショットレイド』
アミタが編み出した、バルカンレイドやファイネストカノンのように、弾幕、威力に重きを置いたものではなく、一斉掃討を目的とした射撃。射出時は一本のレーザーだが、ロックした敵数に応じて枝分かれして、複数の敵を撃ち抜く。
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