魔法少女リリカルなのは 未来への系譜   作:ロシアよ永遠に

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Mission2『引っ越し一日目は二度の外食』

なのはとフェイトの申し出で、引っ越しの後片づけをし始めた三人。細々としたモノはまだ片付けていなかったのだが、三人は要領よく、ものの一時間もしないうちに終わってしまった。

 

「Thanks。正直、こんなに早く片付くとは、思わなかったよ。」

 

「お役に立てたなら何よりだよ~。それはそうと、ちょうどお昼だね。」

 

部屋の入り口付近に飾られた掛け時計は、十二時三十分を指していた。ちょうどお昼時でもあるし、買い物に片付けと、そこそこに動いたので三人ともお腹が空いてきたようで。

なのはは携帯電話を取り出すと、翠屋に電話を入れた。

 

「あ、お母さん?………うん、買い物の後フェイトちゃんと、ヒカリちゃんの…うん、さっきの女の子のお手伝いしてて……うん、今終わったの。だから……うん、お願いしま~す。…うん、今から出るから、…20分くらいかかるかな。うん…それじゃ。」

 

ピッ…と電源ボタンを押してパタンと携帯を閉じた。フェイトとヒカリは、目をぱちぱちしながら顔を見合わせた。

 

「お母さんが、お昼ごはん用意しておくから来なさいって。」

 

「えっ?そんな…悪いよ、なのは…」

 

「そ、そーだよ。ボクなんか今日会ったばかりだし…。launchなら、ボクが作って……」

 

遠慮がちなブロンド二人。フェイトはともかく、付き合いが一日にも満たないヒカリにとって、お昼ごはんをご馳走すると言われても、両手を挙げて喜んで、お言葉に甘えると言うには至らなかった。もちろんこういった好意自体は、ヒカリにとって嬉しいことには変わりは無いのだが。

 

「もう、二人とも遠慮しなくていいのに…。フェイトちゃんはもうちょっと甘えてもいいと思います。私はヒカリちゃんと仲良くなりたいんだから、もっとお話しする機会が欲しいんだ。」

 

「え?わ、私、そうなの、かな?」

 

「ぼ、ボクに聞かれても…。」

 

困惑するフェイトがヒカリに尋ね、そして次は彼女が困惑していく。

そんな連鎖反応は、如月宅に響いたインターホンによって止められた。

 

「こんちは~、如月さん、宅配便で~す。」

 

「宅配…?あぁ、elementary schoolのuniformが来るって言ってたカラ、たぶんそれカナ。」

 

パタパタとスリッパが床を鳴らす軽快な音と共に、ヒカリは玄関に駆けていく。宅配業者のおじさんの説明を受けて、受取用紙に如月、とサインを記す。

 

「小学校の制服?」

 

「Yes、やっぱり明日から通う、elementary schoolからみたいだよ。」

 

そっと自室の机の上に置くと、クローゼットを開いて上着を探す。無難なモノをチョイスするために、吟味したところ、シンプルな青いジャケットを選んだ。ソレを羽織って自室より出てくる。

 

「なのは、今回ボクは君と君のお母サンの言葉に甘えるよ。ヨロシク。」

 

 

 

 

 

 

 

 

今日二回目の翠屋を訪れたヒカリ。フェイトも高町母子の好意に甘えることにした。店内は朝に来た時よりも更に賑わい、アルバイトの店員もシフトに入ったのか、引っ切り無しに店内を駆け回っていた。外のテラス席も大方埋まっており、多忙なのが一目瞭然だった。

 

「あ、なのは、お帰り~。」

 

忙しく注文の品を運んでいたなのはの姉、高町美由希が出迎えてくれた。長い三つ編みを揺らしながら、こちらに視線を送りつつも的確に料理を運んでいく。

 

「た、ただいまお姉ちゃん。手伝おうか?」

 

「あぁ、大丈~夫。もう少ししたら恭ちゃんも入ってくるし。それに、お客さんがお待ちだよ、なのは。」

 

「お客さん…?」

 

キョロキョロと店内を見回すなのは。見つかるように促す美由希は窓際の最奥にあたるテーブル席を背面越しに親指で差した。これまたブロンドの少女と、紫の髪の少女が相席で並んで座って、こちらに手をひらひらと振っていた。そして、その対面の席には、バッテンの髪留めを付けたショートヘアの少女が座ってこちらを見ている。そして座席には松葉杖が立て掛けられていた。

 

「ようやく帰ってきたわね~、お邪魔してるわよ。」

 

「こんにちは、なのはちゃん、フェイトちゃん。それと…ヒカリちゃん…かな?」

 

「アリサちゃん、すずかちゃん、はやてちゃんも。来てたんだね。いらっしゃい。」

 

足早に三人の席に駆けつけるなのは。それに続くフェイトと、その影に少し隠れるようにヒカリも足を運ぶ。さすがに、なのはとフェイトと打ち解けたとはいえ、三人も彼女らの友達に出くわすとは思わなかったから、若干ビビっているのかもしれない。

 

「そんなに怯えんでも、取って食べたりせぇへんよ?」

 

「ほら、ヒカリ。…大丈夫。みんな優しくていい人だから、君も仲良くなれるよ、きっと。」

 

「お、OK…。」

 

ようやくおずおずとフェイトの影から出てきたヒカリ。ワンピースのスカートをつまんで少々赤面している彼女は、中々にいじらしくも感じられる。

すずかが名前を知っていたのは、桃子があらかじめ新しい友達を連れてくるであろうと言う情報を、電話の後にやってきた三人に伝えていたからだと、ここで説明しておく。ちなみにこの三人も、どうせなら、と言う桃子の好意で昼食をご馳走して貰うことになっていた。

 

「ヒカリ・如月…です。よ、ヨロシク…」

 

照れているのか、若干崩れかけた表情で自己紹介する彼女は、やはり遠目に見ても微笑ましいもので。カウンターの向こうから桃子の生暖かい視線が送られていた。

 

「私はアリサ・バニングス。こちらこそよろしくね。」

 

「月村すずかです。よろしくね、ヒカリちゃん。」

 

「八神はやて言います。よろしゅうな~。」

 

各々の自己紹介が終わったところで、桃子と士郎が人数分のオムライスを配膳してきた。フンワリと黄色い卵がホクホクのチキンライスを包み込み、その上にはキノコをふんだんに使ったデミグラスソースがたっぷり掛けられていた。彩りのパセリも添えられ、形も見事の楕円形で、作り手の腕前とプロ意識がうかがえる逸品だ。

 

「ほぇ~…相変わらず桃子さんの料理には舌を巻くわぁ~。めっちゃめちゃ綺麗やし、美味しそうや~。」

 

「私もはやてちゃんの和食の腕前にあやかりたいと思ってるわよ~。はやてちゃんの料理は…何というか、優しい味だもの。」

 

片やプロ級のパティシエで、料理、特に洋食もそつなくこなす主婦、高町桃子。

片や八神家の大黒柱にして、ご近所の奥様方も絶賛する家庭料理を生み出す、料理、洗濯、家事は何でも御座れな小学生、八神はやて。

二人の間に奇妙な絆が生まれたのは、ある意味必然といえる。

 

「と、とりあえず食べよっか?」

 

「そ、そうだね、冷めちゃったら勿体ないし…。」

 

「「「「「「頂きます!」」」」」」

 

卵にスプーンを入れると、中から半熟の卵があふれ出してくる。やはり桃子ほどの腕があれば、こういった技術はお手の物なのか、見るモノを楽しませる作りとなっているあたりがすごいと思う6人。

 

「ん~、美味しい~!」

 

「くっ…相変わらずの味や…、やっぱり小学生と主婦の差やな…」

 

何やら対抗意識を燃やす人物がいるが、この際気にしないでも問題は無いようで。各々顔をほころばせながら、桃子特製のオムライスを堪能する。

そうして箸を…いやスプーンを勧めながらも、ヒカリに対する質問が飛び交っていた。

 

「へぇ、じゃあ、ヒカリちゃんは一人で日本にやってきたんだ?」

 

「Yes、モチロン、パパやママの許可はあるよ。」

 

パクパクと皆が絶賛するオムライスを口に入れながら、しっかりと質問に対しては怪しい日本語で応対する。間違ってはいないけど、日本語を聞き慣れた一部の人にとっては変に聞こえるし、アメリカ人がこうであるのと同じくして、大抵の中国の人が「~アル。」とか言ってるとか、そんな間違った先入観も焼き付いていた。

 

「あ、そういえばヒカリちゃんは小学校はどこなん?もしかしたら、私らと同じトコかもしれへんなぁ~。」

 

「はやて、四年生から復学だけど、もう足は大丈夫なの?」

 

「まぁご覧の通り、絶賛リハビリ中や。車イスばっかりにも頼ってられんから、背伸びして松葉杖にしてみたんよ。疲れるけど、ある程度立って歩くのに近いモノがあるから、楽しいわ。」

 

ある程度の足の回復はあるものの、未だ一人歩きは難しいのが現状で。少しでも早い回復が出来ればと、はやては頑張っていた。

 

「…??はやて、ケガしてたの?」

 

首をかしげるヒカリ。はやての足のことに関して知らないのは彼女だけ。

普通にリハビリと聞けば、骨折とかそういったモノを想像する。だが、はやての事情は少し特殊で。そういった意味合いでは少し当事者として回答に困惑していた。

 

「ケガ…というか、神経の麻痺?になるんかな?生まれつきやったけど、年末辺りに治ったんよ。」

 

「シンケイ…マヒ…?」

 

また難しい日本語だ。

そんな思いがヒカリの脳裏をよぎる。懐から手帳を取り出して、見開く。達筆?な英語と、その隣にはミミズが走ったようなカタカナ?のような文字が羅列していた。察するに、ヒカリなりの英和辞典なのだろう。シンケイ、マヒ、と言う字が最新のページに追加される。

 

「神経はnerves。麻痺はparalysisね。nervesは、神経質って言う意味で、日本でも使われているわよ。」

 

「オォ…ナルホド…アリサ、Thanks!助かったよ。」

 

流石、と言う表情で他の四人はアリサに頬笑んでいた。学年でもトップクラスの才女は違った。加えて理数系においては、なのはやフェイトも肩を並べており、以前の彼女は納得いかない、と疑問に思ったものだ。

 

「と言うことは…はやては生まれて初めて歩く、ということ?」

 

「そうなんよ。治ったからには自分で歩かな。せっかくの足なんやからね。」

 

オムライスを平らげたはやては、お冷やを口に運んだ。続いて他のメンバーも食べ終えていく。皆のその表情は、満たされた様に笑顔が溢れていた。

そして、手を合わせて、食材となった動植物、そして食べるまでの過程に携わった人々に感謝の意を込めて、

 

「「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高町家の方々にお礼を言った六人組は、店の外へと出てきた。時刻は14時。外は小春日和、と言うのが相応しい暖かさになっていた。

食べ終わった後、しばらく話し込んでいたので少し体が鈍ったのか、ヒカリはぐっ…と背伸びする。腕の筋肉は程よく解され、心地良い感覚が体を巡っていく。

 

「さて、これからどうしよっか?」

 

皆と少しだけ遅れて出てきたはやてがこれからの予定を尋ねた。彼女自身としては特に予定も無いし、夕飯の準備はまだ早い。買い物も昨日に行ったばかりだ。他の家族はと言うと仕事で、夕方まで帰ってこないので、一人だけ家にいる、と言うのも退屈なのだ。

もうすぐ春休みも終わる。そうしたら、学校も再開される。慌ただしくも楽しい日々がまた始まるのだろう。習い事もある。こうやってみんなで遊べる機会は大事にしたいモノだ。

 

「そういうわけで、今日は夕方まで遊び倒しましょ!」

 

「「「「おーっ!」」」」

 

「お、おー…?」

 

一行は繁華街へと繰り出した。洋服屋とか、ファンシーな縫いぐるみの店でウィンドウショッピング。本屋でヒカリは日本語の羅列に目眩を覚え、すずかとはやては目の色を変えていた。

そして…、

「友達と出かけるって言ったら、これをやんなきゃ始まらないわね!」

 

ゲームセンターに足を踏み入れ、とある筐体の前にやってきていた。形は人が数人すっぽり入れそうな箱型のもの。入り口はカーテンで隠れており、中が見えないようになっている。筐体には、今時のアイドルだかモデルだかが描かれており、結構目につくデザインとなっている。

 

「そうだねぇ、ヒカリちゃんとの友達記念で撮ろうよ。」

 

「そうと決まれば善は急げ、っていうし、早速入ろか。」

 

「そういえば、フェイトちゃんともまだ撮ってなかったよね、みんなで撮っておこうよ。」

 

「「へ?へ??」」

 

困惑するヒカリとフェイトを引っ張って、6人は筐体『プリクラ』へと入った。中は薄暗かったが、中に入ったみんなの顔が見えるくらいには明るかった。

実を言うとはやても足の都合でプリクラは初めての経験だったりもする。雑誌とかでも情報としては知っていたが、憧れだけで、治るまでは諦観していた。しかし、治った今の彼女はノリノリである。流石に松葉杖を持って入るのはかさばるので、筐体に立て掛けておくことを忘れない。

他の経験者3人は慣れた手つきで端末を操作していく。

フレームを合わせ、人数に合わせて枚数を設定。

 

「ほら、今日はアンタ達3人がメインなんだから、センターに入りなさい。」

 

アリサの采配で前面左からフェイト、ヒカリ、はやて。それを囲うように、なのは、アリサ、すずかが配置する。

 

『はーい、撮るよ~!笑ってね~!』

 

案内の電子音が撮影のタイミングを告知する。

ヒカリ、フェイト、スマイルよ、スマイル、とアリサが表情の硬い2人に促す。

2人は出来る限りの笑顔で、カメラと思しき場所に顔を向ける。

 

『はい、チーズッ!』

 

パシャッ!




もう少しグダグダと日常編が続きます。
戦闘描写、難しいネ
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