リインフォースのアレが、文字通りに飛び出します
9月21日 ユーリの技名を修正
フェニックスダイブ→クリムゾンダイブでした
「次は私か。」
銀の髪が、荒れ狂う潮風に靡き、宙を舞う。
真紅の眼はしっかりと
「夜天の書…官制人格…リインフォース…さん。」
「その名で呼んでくれるか、喜ばしい限りだよ。」
「貴女も…私を…?」
「あぁ。救うために、な。」
「そんな…朽ちかけの躰で…?」
「この躰は、私の罪だ。我が躰を差し引いても有り余るほどの罪と哀しみを広げてきた。こうして…破壊を振りまくことなく主と空を飛べるなどと、夢にも思いはしなかったさ。」
有り余る魔力の為に、あらゆる魔導師から魔力を奪い去り、時にはその命をも奪う。そして完成の暁には主の肉体を喰らい、その防衛プログラムであるナハトヴァールの暴走のまま、破壊と殺戮を行い、そして繰り返す転生…。
どれ程絶望したか。
どれ程望まぬ破壊を行ったか。
そしてその果てに、己が力と寿命を代償としてリインフォースは自由を手に入れた。心優しき主や守護騎士、そして小さな勇者達によって。
「…それに、朽ちかけだからこそだよ。」
「え…?」
「朽ちかけなればこそ、望まぬ破壊と悲しみを振りまこうとしているお前を助けたいんだ。私が…助けられたように。」
「でも…、本来の貴女ならともかく…今の力で私を止めることは…出来ない。」
「あぁ…。確かに私の力は、殆どナハトヴァールと、そして我が主に溶け込んで要る。今の私は、本来の力の半分もないさ。否定はしない。だからこそ…使うべき物もある。」
ぎりっと、拳に力を込めた。融合機能もない。内部はボロボロで、何時朽ちるとも解らぬ躰。だからこそ、今できること、やるべき事をしっかりと。今のリインフォースには、迷いも、そして気弱さもない。
そして…
「はぁっ!!」
魔力を込めた拳を穿つ。力を失ったとは言え、戦技は未だ残るだけに、その動きは俊敏だ。
本来、彼女の戦闘スタイルは、どちらかと言えばはやてと同じく後方広域殲滅型であり、近接格闘戦はフェイルセーフ的な意味合いが強い。それは、ヴォルケンリッター達が前線で戦闘、補助を行う中での戦闘スタイルだ。だが、今回のように単独で戦闘を行うことも少なくはない。それだけに本来最も主の傍らで戦うであろう彼女には、主への最後の盾としての役割もある為に、近接格闘戦の技術も高めていた。
だが、負けじとユーリも魄翼を振るう。魔力を込めた拳同士がぶつかり合う。その威力を示すかの如く、周囲に衝撃が走る。
「さすがに…硬いな。」
以前はなのはに拳で戦ってはいたが、魔力が落ちたとは言えど並の格闘能力を上回る威力はある。にもかかわらず、ヒビ1つ入らないその魄翼。そして鈍い痛みが走る自身の拳に少し身を退く。シグナムとの戦いで、アンチプログラムの効力がでているとは言え、その力は未だ健在だ。この強固な守りを突破するには、文字通り骨を折ることになるだろう。
「てゃぁっ!!」
拳から炎へと姿を変える魄翼。この揺らぎ方は、リインフォースも見たことがあった。
まずい…!
あの弾幕が来る…!
中途半端に距離を開けてしまったが為に、この攻撃に最も有利な中距離に身を置いてしまった。
赤と黒の弾幕が、その閃光を放つ。
まるで、豪雨の如く。先の戦闘でその恐ろしさを知るだけに、全力で距離をとる。
拡散型の射撃魔法だけに、その狙いはそこまで正確ではない。それだけに距離をとればとるほど、集弾率は低下すると共に、弾丸の見切りも出来る。そしてそれは狙いの質よりも数で押し込むスタイル。文字通りに数を撃てば当たるを体現したものだ。勿論、一対一のみならず、一対多でも十分な弾幕と牽制と、そして命中すれば殲滅に繫がるであろうものだが。
撃墜されてしまったヒカリのように、この弾幕をかいくぐれるほどの機動力と反射神経もないが、それでも距離を置いて見切る分には問題は無い。
だが以前のように一対多ではないだけに、全方位である必要も無い。それだけにその弾幕をリインフォースに集中して向けるだけに、濃度はかなり跳ね上がっていた。
しかし、リインフォースは何処までも冷静でいた。
自身にインストールプログラムを搭載できないほどにまで朽ちた躰。アンチプログラムを撃ち込めない自身に何が出来るかと葛藤し、自身の中にあるあらゆるデータと向きあった。
あらゆる魔法に目を通し、
あらゆる戦闘記録を確認して、
その中で自身がユーリの防御を突破できる、唯一無二の
そして、それを使用するチャンス、それを見計らう。
恐らくは一度きりのチャンスになるだろう。
悲しいかな、図らずもアンチプログラムを使用したときのように、一発勝負となってしまったシチュエーションに、リインフォースは当時苦笑してしまった。
だから…
弾幕を目眩ましにして、魄翼を瞬時に羽のように形を変え、突撃してくるユーリを見据え、リインフォースは決意する。
(タイミングが命だ…!)
彼女が、まるで隼の如く空を切って滑空してくる。
(まだだ。)
しかし、絶好のタイミングと位置になる段階。そのポジションに迫る、フェニックスフェザーの弾丸。
ここで避ければ、絶妙なカウンターとならない。
ならば、選択肢は決まっていた。
「うけ…切る…!!」
敢えてその弾丸。身で受け止めた。
散弾とは思えないほどの一撃に、リインフォースは顔をしかめる。だが、やるべき事は一つだけ。
文字通りに、
「肉を切らせて…骨を断つ…!!」
右手の甲に、淡い紫の魔力が集う。
そして…紫の魔力はその形を成す。
それは黒。
まるで蠍の如く、多脚のそれは、リインフォースの腕に巻き付き固定する。腕その物を包み込む巨大な
そして…一際目を惹くのが、装甲を串刺しにするかのように収納された真紅の槍だ。
これは、リインフォースが忌むべき記憶の物。だが、この武装はリインフォース自身同様に、ほぼ
「ナハトヴァール!!」
白銀の手甲が、迫り来るユーリの腹部に吸い込まれていった。