魔法少女リリカルなのは 未来への系譜   作:ロシアよ永遠に

46 / 48
今回短めです。切りの良いところで終わらせようと思ったら…ね。
リインフォースのアレが、文字通りに飛び出します


9月21日 ユーリの技名を修正
フェニックスダイブ→クリムゾンダイブでした


Mission39『最終決戦(祝福の風1)』

「次は私か。」

 

銀の髪が、荒れ狂う潮風に靡き、宙を舞う。

真紅の眼はしっかりと彼女(ユーリ)を捉え、そして離さない。

 

「夜天の書…官制人格…リインフォース…さん。」

 

「その名で呼んでくれるか、喜ばしい限りだよ。」

 

「貴女も…私を…?」

 

「あぁ。救うために、な。」

 

「そんな…朽ちかけの躰で…?」

 

「この躰は、私の罪だ。我が躰を差し引いても有り余るほどの罪と哀しみを広げてきた。こうして…破壊を振りまくことなく主と空を飛べるなどと、夢にも思いはしなかったさ。」

 

有り余る魔力の為に、あらゆる魔導師から魔力を奪い去り、時にはその命をも奪う。そして完成の暁には主の肉体を喰らい、その防衛プログラムであるナハトヴァールの暴走のまま、破壊と殺戮を行い、そして繰り返す転生…。

どれ程絶望したか。

どれ程望まぬ破壊を行ったか。

そしてその果てに、己が力と寿命を代償としてリインフォースは自由を手に入れた。心優しき主や守護騎士、そして小さな勇者達によって。

 

「…それに、朽ちかけだからこそだよ。」

 

「え…?」

 

「朽ちかけなればこそ、望まぬ破壊と悲しみを振りまこうとしているお前を助けたいんだ。私が…助けられたように。」

 

「でも…、本来の貴女ならともかく…今の力で私を止めることは…出来ない。」

 

「あぁ…。確かに私の力は、殆どナハトヴァールと、そして我が主に溶け込んで要る。今の私は、本来の力の半分もないさ。否定はしない。だからこそ…使うべき物もある。」

 

ぎりっと、拳に力を込めた。融合機能もない。内部はボロボロで、何時朽ちるとも解らぬ躰。だからこそ、今できること、やるべき事をしっかりと。今のリインフォースには、迷いも、そして気弱さもない。

 

そして…

 

「はぁっ!!」

 

魔力を込めた拳を穿つ。力を失ったとは言え、戦技は未だ残るだけに、その動きは俊敏だ。

本来、彼女の戦闘スタイルは、どちらかと言えばはやてと同じく後方広域殲滅型であり、近接格闘戦はフェイルセーフ的な意味合いが強い。それは、ヴォルケンリッター達が前線で戦闘、補助を行う中での戦闘スタイルだ。だが、今回のように単独で戦闘を行うことも少なくはない。それだけに本来最も主の傍らで戦うであろう彼女には、主への最後の盾としての役割もある為に、近接格闘戦の技術も高めていた。

だが、負けじとユーリも魄翼を振るう。魔力を込めた拳同士がぶつかり合う。その威力を示すかの如く、周囲に衝撃が走る。

 

「さすがに…硬いな。」

 

以前はなのはに拳で戦ってはいたが、魔力が落ちたとは言えど並の格闘能力を上回る威力はある。にもかかわらず、ヒビ1つ入らないその魄翼。そして鈍い痛みが走る自身の拳に少し身を退く。シグナムとの戦いで、アンチプログラムの効力がでているとは言え、その力は未だ健在だ。この強固な守りを突破するには、文字通り骨を折ることになるだろう。

 

「てゃぁっ!!」

 

拳から炎へと姿を変える魄翼。この揺らぎ方は、リインフォースも見たことがあった。

まずい…!

あの弾幕が来る…!

 

中途半端に距離を開けてしまったが為に、この攻撃に最も有利な中距離に身を置いてしまった。

 

赤と黒の弾幕が、その閃光を放つ。

 

まるで、豪雨の如く。先の戦闘でその恐ろしさを知るだけに、全力で距離をとる。

拡散型の射撃魔法だけに、その狙いはそこまで正確ではない。それだけに距離をとればとるほど、集弾率は低下すると共に、弾丸の見切りも出来る。そしてそれは狙いの質よりも数で押し込むスタイル。文字通りに数を撃てば当たるを体現したものだ。勿論、一対一のみならず、一対多でも十分な弾幕と牽制と、そして命中すれば殲滅に繫がるであろうものだが。

撃墜されてしまったヒカリのように、この弾幕をかいくぐれるほどの機動力と反射神経もないが、それでも距離を置いて見切る分には問題は無い。

だが以前のように一対多ではないだけに、全方位である必要も無い。それだけにその弾幕をリインフォースに集中して向けるだけに、濃度はかなり跳ね上がっていた。

しかし、リインフォースは何処までも冷静でいた。

自身にインストールプログラムを搭載できないほどにまで朽ちた躰。アンチプログラムを撃ち込めない自身に何が出来るかと葛藤し、自身の中にあるあらゆるデータと向きあった。

あらゆる魔法に目を通し、

あらゆる戦闘記録を確認して、

その中で自身がユーリの防御を突破できる、唯一無二の()()を発見した。

そして、それを使用するチャンス、それを見計らう。

恐らくは一度きりのチャンスになるだろう。

悲しいかな、図らずもアンチプログラムを使用したときのように、一発勝負となってしまったシチュエーションに、リインフォースは当時苦笑してしまった。

だから…

 

弾幕を目眩ましにして、魄翼を瞬時に羽のように形を変え、突撃してくるユーリを見据え、リインフォースは決意する。

 

(タイミングが命だ…!)

 

彼女が、まるで隼の如く空を切って滑空してくる。

 

(まだだ。)

 

しかし、絶好のタイミングと位置になる段階。そのポジションに迫る、フェニックスフェザーの弾丸。

ここで避ければ、絶妙なカウンターとならない。

ならば、選択肢は決まっていた。

 

「うけ…切る…!!」

 

敢えてその弾丸。身で受け止めた。

散弾とは思えないほどの一撃に、リインフォースは顔をしかめる。だが、やるべき事は一つだけ。

文字通りに、

 

「肉を切らせて…骨を断つ…!!」

 

右手の甲に、淡い紫の魔力が集う。

突撃魔法(クリムゾンダイブ)にて距離を詰めるユーリの目にそれは映るが、直線高速機動の中での急停止が間に合わないほどに速度を高めてしまった彼女には、自身をウカツと後悔する暇も無い。

 

そして…紫の魔力はその形を成す。

それは黒。

まるで蠍の如く、多脚のそれは、リインフォースの腕に巻き付き固定する。腕その物を包み込む巨大な手甲(ガントレット)に、白銀の鋭利な刃が収納されている。同色の装飾が、基調とする黒の装甲にも施され、禍々しさながらも、装飾品を思わせるような美しさも感じられる。

そして…一際目を惹くのが、装甲を串刺しにするかのように収納された真紅の槍だ。

これは、リインフォースが忌むべき記憶の物。だが、この武装はリインフォース自身同様に、ほぼ()()()であり、本来の能力の殆どは破壊されている。ここにあるのは、ただ一つの武装であり、強固な守りを貫き通す《盾殺し(シールド・ピアース)

 

「ナハトヴァール!!」

 

白銀の手甲が、迫り来るユーリの腹部に吸い込まれていった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。