ゼロディア荘へようこそ 作:ゼロディア
魔界の王、略して魔王様のディアボロ様が住んでいる魔界城ディアボロ城の城下町ボロディアス。
活気に溢れているこの街の少し外れにひっそりと建っているアパート。
木造で作られていているそのアパートの名前は「ゼロディア荘」といいます。
木造建築で年季の入った二階建てアパートで1階には共同リビングとキッチン、そして2階に居室用の部屋がある、意外と大きくしっかりとしている内装のアパートです。
そこのアパートの管理人がこの私、ゼロディア・ガルガシアなんです。
いやぁ、大きくてしっかりとした建て付けもしていて自分でいうのもなんですがいい物件だと思いますよ。
しかも三食まかない付きにして月56000ギルですよ。
あ、ギルというのは魔界でのお金みたいなものです。
人間界ではガルドと呼んでいましたね。
天界ではなんて呼んでるんでしょう?
少し興味があります。
あ、勘違いしないで欲しいのですが。ガルドとギルは互いにお金ですけど材質は全然違います。
モンスターを倒したりすると出てくるのは一緒ですけどね。
ちなみに、今私が何をしているのかというとキッチンで朝食を作っているんです。
今日はアックスバードの卵でつくったスクランブルエッグとトーストにしようと思っています。
「よし......こんな感じでいいかな。」
人数分の朝食を作り終えました。
実はもうあらかたできていてあとはお皿に移すだけだったんです。
ちゃんと5人分盛りつけも完了しています!
言い忘れてましたが今ゼロディア荘には4人の入居者の方々がいるんです。
しかもその内のなんと2人が魔界軍に仕える方なんです。
とはいえ貴族とかそういった上級の階級の方ではないのでお金もなく、魔界軍の寮に泊まれないのでここに来たそうです。
寮に泊めるくらいタダでもいいでしょうに。
意外にケチ臭いですね、魔界軍。
とはいえ魔界軍に入る程のエリートさんがいるなんて管理人としてちょっと鼻が高いです。
私は何もしてませんがね。
凄く難しいんですよ魔界軍の兵士になるのは。
人間が逆立ちして海の上を走れ、と言われるくらい難しいです。
例えが下手ですね、すいません。
さて、とりあえず朝食が冷めてしまう前に皆さんを起こしに行きましょう。
ゼロディア荘のルール
その一!朝食、夕食は可能な限りリビングで!です。
やっぱり1人で食べるよりみんなで食べた方がおいしいですよ。
最初の時の1人寂しいご飯ほどまずかった飯はなかったです。
そんな悲しい思い出を思い出しつつ階段を上る。
そして二階の廊下を歩いて一番最初に着く部屋の前に立って、数回程ノックをする。
部屋の扉には『ミーシャ』という可愛らしくデコレーションされた表札があります。
もちろん、表札の通りミーシャさんの部屋です。
「ミーシャさーん、朝ですよー。ミーシャさーん」
段々と音を大きくしてノックを続けてみましたが返事がありません。
ミーシャさんは朝に弱いせいかいつもこの時間はまだ起きてはいません。
しかし、このまま寝かせていては彼女の仕事に間に合わなくなります。
魔界軍の兵士だというのに仕事に遅刻なんてしてしまったら何されるかわかったもんじゃありませんし。
なので、いつも通り一言声をかけてドアノブに手を掛ける。
「ミーシャさーん、入りますよー!」
そういってドアを開けると、やっぱりそこには静かに寝息を立ててベッドに寝ているミーシャさんがいました。
本名はミーシャ・ロイナ
整った顔に腰まで伸びている金の長髪が特徴的なとても綺麗な方です。
ちなみにスレンダーさんです。
どこがとかは言いません。
ただ!......スレンダーです。
しかし普通の女性とは比べ物にならないくらい綺麗な方なのは間違いありません。
一体何度この人の寝顔をみて見とれてしまったことか。
しかし、慣れとは恐ろしい物で、今ではまた起きていないのかとうんざりしてしまいます。
昔はこの寝顔とネグリジェでドギマギしていたのに......。
そんな事を思いつつミーシャさんを揺すり起こす。
「ミーシャさん。朝ですよ、起きてください。朝食もできてますよー。」
「んー......。あともう5分だけぇー。」
「それが本当だったら私も起こしにきたりなんてしませんよミーシャさん...」
そういって少しだけ頭をかく。
(しょうがないなぁー、いつものあれをやるかー。)
そして、これまたいつものようにミーシャさんがくるまっている毛布を思い切り引っペがした。
毛布をひっぺがされ若干もぞもぞと動いたミーシャさんに向かって大きな声を上げる。
幸いご近所さんはいないので迷惑にはなりませんからね。
「早く起きてくださぁぁぁあい!!!」
「うひゃあぁ!?」
私の大声にびっくりして跳ね起きるミーシャさん。
そして、
「ふぎゅぅ!?」
勢い余ってベッドからすってんころりんと落ちてしまいました。
これで完璧に目が覚めたはずです。
よかったよかった。
「いててて...。もぉー!ゼロディアさんってばいつもいつも起こし方が優しくないですよー。毎朝この痛みを受ける私の身にもなってください!」
頬を膨らませて怒るミーシャさん。
「だったら自力で早く起きるようにしてください。」
「無理!私、朝にはとことん弱いので!」
「.........」
とても良い笑顔で即答されてしまいました。
呆れて物が言えないとはこのことを言うんでしょうね。
もう大人なのに自己の管理がおろそかなのはいけませんよ、ミーシャさん。
「なので!今度からはスマートな起こし方でお願いします!」
「...例えばどんなのですか。」
「窓のカーテンをあけ、日差しを部屋の中にいれて、その日の光でわずかに寝返りをうつ私の耳元で静かに『朝ですよ...起きてください、お嬢様。』ってかっこいい声で囁いてください!」
「ここに日差しなんて入らないし、カーテンだってとりつけていないじゃないですか。出来ない事言わないでください。」
「え!じゃあ日差しとカーテンの二つをクリアできていればやってくれるんですか?」
「ええ、別に構いませんよ。ただし耳元で話す音量は先程と全く同じにさせてもらいますけど。」
「私の鼓膜に何か恨みでもあるんですか......」
「ええ、それはもうたっぷりと」
「あるんですか!?」
「はい。」
いつもいつも、起こしても起こしても無視する耳ですからね。
引きちぎってやりましょうか?まったく。
そんなことを思っていると、後ろから声が聞こえてきた。
「まったく毎度毎度朝から大音量の目覚まししてくれるわね」
「あ!ライラちゃん」
振り返って見てみると、ドアの柱に寄りかかってこちらをあきれ顔をして見ているライラ・ローレンさん。
これまた長い深紅の髪が特徴的な方です。
ミーシャさんとは違ってきっちりとしている真面目な方です。
もちろん朝もちゃんと起きてくれます。
そしてミーシャさんの同僚でもあります。
ライラさんの方がこれぞ魔界軍って感じがしますね。
ちなみに彼女はミーシャさんとは違います。
何が違うとは言いませんが......違います。
そこまでではありません、普通と言ったところですね。
それにしてもミーシャさんもライラさんも髪が長いですよね。
戦いの時に邪魔にならないんでしょうか?
きっとならないから長くしてるんでしょうね。
戦う時は結んでるのかな?
そんなことを考えているとライラさんは大きくため息を吐いた。
「ミーシャ、あんたいい加減自分で起きれるようになんなさいよ。朝からあんな大声がここで響いたらこっちも迷惑なのよ。」
「えー!だって私起きれないんだもん。ゼロディアさんだってすきでやってくれてるんだから大丈夫だよ!」
「私は別に好きでやっているわけではありません。起こしにこなくてもいいんですよ?」
「それは勘弁してください!そんなことされたら困りますよ!私が!」
「......あんたそんなんでよく魔界軍に入れたわね。」
「魔界軍では真面目ですから!」
「ここでも真面目に生活してくださいよ...」
肩を落とす私をみてチロりと舌をだしてウインクするミーシャさん。
......可愛いですけど何故かまったくうれしくないです。
するとライラさんがこちらに申し訳なさそうな顔をむけてきた。
「ごめんなさいね、うちのバカが迷惑かけて。あんなんでも私の同僚だから。」
「いえ、もう慣れましたよ。これも仕事の一つだと思ってやってますから。」
「...本当にごめんなさい。」
いえいえ、もう割り切っていますよー。
だからライラさん、そんな哀れみの視線を向けんでください。
本当に大丈夫ですから。
さて、ここにいつまでもいるとミーシャさんが着替えられませんね。
はやくリビングに戻らないと。
「それじゃミーシャさんにライラさん。リビングに朝食がありますから着替えが終わったら来てくださいね。」
「わかったわ。いつもありがとうゼロディアさん。」
「ありがとうございますゼロディアさん。なんなら着替えも見てきますか?いつものお礼ってことで。」
可愛い小悪魔のように舌を出してこちらを見るミーシャさん。
ネグリジェの胸元もちらりとめくっている。
確かに仕草は正直に言ってものすごい可愛いですが......。
「もう少し......いえなんでもないです。それじゃはやく降りてきてくださいね!今日はスクランブルエッグですよ!」
「...............」
そういって急いで部屋を出てドアを閉める。
そして1階へと戻るため階段を降りていく。
危ない危ない。あやうく本音を言ってしまう所でした。
私だって男性ですからね。
性欲がないといったら嘘になりますから..。
そりゃ普通の人よりは少しだけ枯れてるかもしれませんけどね。
やっぱり男性ならスレンダーより......ですよね。
「............ミーシャ、あんた」
「言わないで、その先は言わないで。」
「......はやくいくわよ。そろそろ食べに行かないと本当に遅刻するから。」
「......牛乳毎日飲もうかなぁ。」
女性の悩みに深く突っ込むのはやめましょう。
心の傷を大きくえぐる可能性がありますからね。
男性は紳士であれ!ですよ。
by.ゼロディア・ガルガシア