魔法で撃ち出されたいくつもの氷の塊が亜音速で目の前に迫ってくる。
全てを振動魔法で砕くとその後ろからナイフを持った敵が迫ってきているのが見える。
手にしているナイフは『高周波ブレード』によって長剣と化している。
もう一人は後ろで追撃のためか氷の塊が生成しており、突撃してくる敵をやり過ごしたとしてもその後すぐに氷塊が迫ってくるだろう。
それらすべてを避けるのは難しいため、そうなる前に敵を倒そうと先ほど砕いた氷塊を導体として利用し敵二人とその間の空間に電気を流す。
放電の音と目の眩むほどの光が発生し、迫ってきていた敵もその後ろで魔法の準備をしていた敵も感電し床に倒れ伏した。
これで何人目だろうか。
何人殺したのか、いやもう何人倒してきたのかすらも数えていない。
頭は冴えわたっておりどれだけ強そうな敵、どれだけ大量の敵が現れてもいとも容易く、それこそ赤子の手を捻るよりも簡単に一瞬で敵を倒していける。
片隅では何かを訴えるような痛みが走ってはいるが次々と敵が現れるためそれを考える暇がなく、その考えを遮断して敵と交戦していく。
苦戦どころかほとんど傷を負うことすらなく敵をなぐ倒すようにしながら進んでいく。
銃を撃ってきた敵にはベクトル反転術式と加速魔法を使って元の銃弾よりも速いスピードで弾を返し敵を貫く。そこに魔法師が加わり弾への情報強化や俺への直接的な攻撃などで邪魔してくるようであれば障壁魔法で銃弾を防ぎ、ベクトル反転術式によって敵の血液を逆流させたりなどして殺す。
接近戦を仕掛けてくる敵であれば道中で敵の一人から奪ったナイフを使って斬り殺していく。
銃以外の武器であれば、日本にいたころ九ノ瀬家で多種多様な武器を習ったため形に差はあれど十全に扱うことができる。
時には『高周波ブレード』でナイフを変形させたりなどして使用していく。
挟み撃ちしてくるようであれば俺を中心として相対する敵を覆うように領域を設定し、俺の周囲以外の酸素分子の密度を操る。
片側は酸素分子を排除して酸素以外の気体を集めることで酸欠による窒息を引き起こさせる。
もう片側には酸素分子だけを集めて酸素濃度100%の空気にすることで酸素中毒を引き起こさせる。
そうして一度に多数の敵を殺していく。
敵を紙切れのように蹴散らしていくたびに身体に付き纏う倦怠感が増していくが、体はとどまることを知らず次々と敵を葬っていく。
氷漬けにし、灼熱の炎で焼き、感電させ、毒に冒し、斬り、刺し、圧し潰し、撃ち、殺していく。
そうして進んでいき、もうすぐリーナのいるところに到着するといった所でもう何十人目かもわからない敵と遭遇する。
たった一人でいるが今までと違いあまり侮れない相手だということがわかる。
両手にはナイフではなく短剣を持っており、防具の類は見た限り着けていない。
体格はがっしりとしているが必要以上に筋肉は着けていないようで、パワーだけでなくスピードもありそうだ。
こちらを見るなり自己加速術式を使って襲ってきたため迎撃に、と『ドライブリザード』を発動する。
ーーーだが魔法は不発に終わる。
迎撃がなかったために全く減速していない敵の斬撃をなんとか躱すも完璧には避けられなかったようで頬から血が流れる。
敵は接近したまま離れることなく攻撃してくる。
最初の一撃を避けるときに体勢を崩してしまったため一度離れて立て直そうと試みるも振りほどけない。
繰り出される攻撃を何とか躱していくも、すべては躱すことができず浅い傷ができていく。
致命傷ではないものの数が多くなっていくためこのままでは危険だろう。
止まることのない攻撃の嵐の僅かな隙を見つけて移動魔法で無理矢理離れる。
重力制御魔法などを使わなかったため急に吹っ飛ばされた衝撃と固い床に叩き付けられた衝撃が走るが痛がる暇もなく起き上がり敵が接近してこないか警戒する。
だが俺を追ってくる様子はなくその場で立ち尽くしているだけだ。
そして深呼吸をしており顔には余裕の表情が浮かんでいる。
何を考えているかは知らないが大方、侮りといった所だろうか。
しかしそれよりもまずさっきの魔法が使えなかったことに関してだ。
確認してもCADに異常は見当たらないため今考えられるのは一つ、想子の枯渇だろう。
試しにもう一度ドライブリザードを使ってみる。
起動式は読み込まれている、だが次の展開のプロセスで起動式は砕け散る。
やはり想子の枯渇のようだ。
しかしさっき移動魔法をつかえたことから完全には無くなっていないらしい。
この目の前にいる敵なら難なく殺して進めるだろうが、問題はその先だ。
眼を使い見たがまだ敵は控えており残りすべてを倒すのは不可能だ。
ーーーーはぁ……
あまり力を借りたくなかったがこの際仕方ない。レンの力を借りようか。
呼びかけると返事はすぐに返ってくる。
「(やっとお呼びだね。オレ的にはちょっと遅かったとも思うんだけど。
本当ギリギリすぎない?
普通ならとっくに限界を迎えていたのは分かってるよな。)」
いつも通りの茶化すような声にいいから力を貸せ、と応えると呆れたような声が返ってくる。
「(せっかちだなあ。
……ほら、俺の想子を渡したよ。これでオレのCADに入っている魔法も使えるようになった。
だけど注意が必要だ。CADはお前の想子に合わせてチューニングされてないだろうし、それよりもまずオレの想子では大抵の魔法が碌なものにならないからな。
唯一威力を発揮できるのはオレのCADに入っている魔法の一つだけだ。
どんなものかは前に説明したから知ってるだろ。
……考えて使えよ。)」
そう言って聞こえなくなったレンの声に返事をすることなく俺は腰に差していたCADを持って、銃口を敵に向けた。
零ピーンチ!と思ったらすぐに終わっちゃいました。
零無双です。まあ、敵もあまり強くないですしね。
魔法師としての能力が高ければこういった組織にはいないはず。
そして今回は零の魔法力の高さが垣間見れたはず!
文才がないのでうまく表現できたかは分かりませんが。
次回は久しぶりに蓮玉の魔法が見れます。
あのたった一話しか登場していない魔法が、です。
お楽しみにー!
感想批評・誤字脱字などお待ちしています。
お読みいただきありがとうございました。