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九ノ瀬家編1
周りを森に囲まれた純和風の屋敷。そこに蓮玉そっくりの少年がいた。
「それじゃあ零、後片付けはよろしくね。」
「はーい。いってらっしゃい母さん。」
零と呼ばれた少年は母親であろう人物が去ると
(じゃあお願いしていいかな?)
(…はぁ、またかい?別にいいけどさ。)
零はここにはいない誰かに言うように頭で念じると返事がこれまた頭の中から返ってくる。
そして彼が目を開けると彼の瞳の色と纏っている雰囲気が変化した。
◇◆◇◆◇◆◇
お久しぶり、蓮玉だよ!
とりあえず今の俺の状況を説明させてもらおう。
前回俺は最後神様に転生させてもらったのだが何故だか一度目は失敗してしまったらしく俺が転生することはなかった。
だが転生したという事実と俺の願いはこの世界に反映されてしまったらしくこの身体と一つの人格が生まれてしまっていた。
しかも新しい身体に転生することができなかったらしく神様が俺をもう一度転生させるために調べ物をしている間俺は実に二年間もの間転生の間に閉じ込められてしまった。
それは何故か俺はこの身体と俺の魂がリンクしてしまっていて時間の流れ方が現実と同じだったかららしいのだが。
それはともかくとして二年も待った末俺はこの『大葉 零』として生まれ変わった。しかし、すでに人格が入っていたため二つ目の人格としてだが。
ちなみに大葉家は原作にはない家系らしく元は四葉元造の兄妹の一人に魔法の才能が無く、追い出す名目で分家として作られたらしいのだ。
そして俺が今いるここは九ノ瀬家。
俺の両親はどちらも死んでしまっていて俺は母親の姉が嫁いだこの家に引き取られたのだ。しかも叔父さんと叔母さんは俺を本当の息子のように可愛がってくれており零も彼らのことは父さん母さんと呼んでいる。
ちなみに九ノ瀬家は由緒正しき古式魔法の家系らしく古くは平安時代以前より続いているらしく古式魔法の家系の中で神格化されている五つの家系の内の一つだそうだ。
とまあ今俺の置かれている状況はこんなものだ。
ついでだが俺は今廊下の掃除をしている。
これは修行の一環らしいのだが元の人格である零がいつもめんどくさがってしないため任せられているのだが俺はこれを完璧にこなす。
それもそのはずで転生の間にいた二年間俺は神様の世話をずっとしていてあそこに建っていた家の家事は全て俺がやっていたのだ。
そこらのHARには絶対に負けない。
まあそれはそれとして俺はこの二度目の転生を満喫している。
基本的に身体を動かしているのは零だがそれを眺めているのも面白いのだ。
おっと、そろそろ掃除に戻らなければ。
◇◆◇◆◇◆◇
蓮玉に任せた掃除が終わり一人自室で暇をしていた零に声が掛かる。
「零、今日の修行を始めるぞー」
「わかった、今行く!」
『修行』という言葉が出た瞬間零はバッと起き上がり着替え始める。
そして着替え終えるとすぐに部屋を飛び出して道場に向かって走っていく。
道場と言っても屋敷の部屋の一つで修行ができるようにとても広くなっているだけだが。
途中走っていることを叱る声がしたが興奮していた零には聞こえなかったようだ。
道場の前に着くと先程までと打って変わって真剣な表情になり襖の前で正座になる。
「失礼します」
そう言って襖を開けると部屋にはすでに二人の人物がいた。
部屋の奥で襖の方に向かって座っている男性が『九ノ瀬 優』
この家の主で零を引き取った人でもある。
手前の方でこちらに背を向け座っている少女が『九ノ瀬 葵』
優とその妻である玲奈の子供で、零の従兄妹にあたる。
零より一歳年上で、一応であるが九ノ瀬家の次期当主候補の一人である。
零は魔法の才能に恵まれている葵を心から尊敬している。
「よし来たね。それじゃあ今日の修行を始めようか。」
零が座ったのを確認した優はそう言って懐から今日教える呪符取り出し扱い方を二人に説明していった。
◇◆◇◆◇◆◇
それから約一年が過ぎた頃。
零は一人森の中を彷徨い歩いていた。
最近修行が思うようにいかず、落ち込んでいたため飛び出してきたというわけだ。
もうかれこれ三十分ほど歩いており帰り道など覚えていなかった。
しかし精霊に力を借りれば帰り道も簡単に分かるため零はそのまま足を進めていく。
さらに三十分ほど歩くと零は小さな川を見つけた。
その場所はとても美しく、零はその景色にしばし見惚ていた。。
そして何かに惹かれたように川の上流へ上っていくと小さな滝のある開けた場所に出た。
その景色は先程と比べ物にならないほど美しく、零は思わずため息をもらした。
さらにここには精霊が充満しており、生気が満たされていくようであった。
そのまま近くの岩場に腰掛けその景色を眺めていると離れた場所から声が聞こえてきた。
「きれい…」
声のしたところを見ると零と同い年ぐらいの少女が立っていた。
歳はわからないが身に着けている服などから裕福な家庭の子だとは分かる。
そして彼女の左腕にはブレスレット型のCADが巻かれており、魔法師であることも分かる。
少女も零に気付いたようで零の方に向く。
二人は目が合うとすぐに逸らしてしまったが少女は零のことが気になったようですぐに視線を戻して澪へ駆け寄っていく。
「私の名前は真由美。あなたのお名前は?」
近寄ってくるなり名乗ってきて自分の名前を聞いてくる彼女に多少驚きはしたものの零はすぐに答えを返す。
「僕の名前は零だよ。」
「よろしくね、零君。」
名乗り返した零に真由美はにっこりと笑って手を差し伸べる。
最初は何をすればいいのか分からなかったが真由美の言葉から察して零も手をだし握手をした。
「よろしくね、真由美ちゃん。」
それから一・二時間二人はずっとおしゃべりをしていた。
どちらも魔法を使えたため好きな魔法や得意・不得意な魔法などの共通の話から零は修行に行き詰まって家を飛び出してしまった事、真由美は家族旅行でこの辺りに来ているが大人達の会話に息苦しさを感じて逃げ出した事などのお互いのプライベートな話まで様々な事を話していた。
零はこのままずっと話していたいと思っていたのだがすでに夕陽も沈みかけており、家を飛び出す事は時々あり九ノ瀬家の人々もあまり心配はしていないが日が暮れてから帰るとそれはもうものすごく怒られてしまうため帰る決心をつけた。
「日も沈みかけてきたし僕はもう帰るよ。
真由美ちゃんは一人で帰れる?」
「え、ええ。この端末があるから一人で大丈夫よ。」
そう言って真由美はポケットから情報端末を取り出す。
「それじゃあバイバイ。
今日は楽しかったよ。」
真由美を送る必要が無いと判断した零は帰ろうと歩き出す。
しかしそれを真由美が引き止めた。
「待って、明日もここで会える?
明日もお話ししましょう?」
「うん大丈夫だよ。じゃあまた明日同じ時間に。
いっぱいお話ししようね。」
明日の修行は午前中の予定だったため今日と同じ時間に約束する零に真由美はどこかホッとした顔を浮かべる。
「分かったわ、また明日同じ時間にここでね。」
そう言うと帰る方向が逆だったようで真由美は零の反対側に歩き出す。
真由美の背中が見えなくなるまで見送ると零は家に向かって全速力で走り出した。
もちろん魔法を使って凄まじいほどのスピードで。
半分ぐらい事情説明でしたね。
でも説明が足りないところもかなり多い…
それはまた追い追い書いていきます!
そしてまた一人原作キャラが出てきましたね。
さてどうなっていくのやら(笑)
お読みいただきありがとうございました。