明久side
僕は前に出て対戦相手……姫路さんと相対する。
「吉井君……なんでさっき気安く女の子に触ってたんですか?オシオキ……してほしいんですか?」
しかしなぜか姫路さんは釘バットを構えている。
これじゃあ試召戦争じゃなくて死傷戦争になりそうなんだけど……
「はぁ……姫路、やめんか」
「あれ?西村先生どうしたんですか?」
しかしそんな姫路さんをとめる教師……鉄人がそこにいた。
立ち会いの先生は高橋先生だけだったはずだけど……
「ん?俺はただの付き添いだ」
付き添い?一体誰の……
「お、まだ始まってなかったようだね」
「まったく……いきなり『Aクラス対Fクラスの試召戦争を見に行こう』なんて言わないで下さいよ」
「うるさいさね。データとるのが目的だよ」
「付き添いって教頭先生とババ……学園長のなんですか?」
続いて教室に入ってきたのは教頭先生である竹原先生と学園長であるババア長である。
「おい吉井、今なんて言おうとした」
「え?ババア長」
「誰がババア長さね!!」
「事実じゃないですか」
「事実だな」
僕の言ってくれたことに竹原先生が同意してくれる。
竹原先生とはババア長の召喚獣実験でよく巻き込まれているので気が合うのである。
「で、何しに来たんですか?今日は実験には付き合えませんよ」
「安心しな。今日はあんたの召喚獣のデータをとるのが目的だからね」
「そうですか……じゃあさっさと始めますか。姫路さん、科目指定してくれる?」
「分かりました、総合科目でお願いします」
「分かりました、承認します」
「
「
そしてお互いの召喚獣が姿を現わす。
総合科目
『2ーF 姫路瑞希 4409点』
『ま、まじか!?』
『いつのまにこんな点数を……』
『この点数、霧島翔子に匹敵するぞ!』
表示された姫路さんの点数に驚きの声が両クラスから聞こえる。
「試合開始」
「吉井君……これは正当なオシオキなんですからねっ!!」
試合開始と同時に姫路さんは飛びかかり、武器である大剣を僕の召喚獣に振り下ろしてきた。
確かにその点数で繰り出される一撃は脅威的なものである。
だけど……
「……軽いね」
僕の召喚獣はその一撃を軽く受け止め、逆に弾き飛ばす。
それと同時に僕の点数も表示される。
『2ーA 吉井明久 4826点』
『『『『なにいいいいいいっ!?』』』』
その点数に驚きの声が両クラスから湧き出てくる。
さっきの姫路さんのとき以上だろう。
『馬鹿な!あの吉井がこれほどまで取れてるだと!?』
『カンニングか?カンニングなんだな!』
『きっとそれだ!そうに決まってる!』
いや、一応実力なんだけど……
「吉井君……カンニングはいけないことなんですからねっ!」
「残念だけどカンニングなんてしてないよ。一応僕が学年次席だし」
多分雄二は僕がAクラスでも下位の点数だと思ってたから僕を指名したんだけど、どうやらあてが外れたようだね。
「嘘を言わないでください!」
そう言って再び大剣を振り下ろしてくるが今度は身体を少しずらさせるだけでかわす。
「嘘じゃないさ。これでも結構がんばったんだよ?」
先生たちにも妹紅たちにも結構迷惑かけたからね……
結果を出せて心から良かったと思ってる。
「吉井君がそんなこと出来るわけが無いんです!」
はぁ……
「……君は僕をなんだと思ってるんだい?」
一応僕にだって変わろうと思う心はあったわけだし、実際に変わることができた。
自分の短所を素直に認め、変わりたいと思ったからだ
「吉井君ですか?吉井君はどうしようもない人ですね」
なんで……この人は即答できるんだろうね……
人の特徴を短所としてしか見えてないのではないのだろうか?
「だからおとなしくオシオキを受けてくださいっ!」
「なめるな」
装覇流剣術 一の型〈
姫路さんの召喚獣の顎に掌底をくらわせて空中に跳ねあげさせ、そのまま空中の無防備な状態なところにさらに強力な一撃をお見舞いする。
「さっきから黙って聞いてれば僕に努力は無理だの何だの……、そんなこと君に……他人には決められないだろ?」
「でもっ!」
自分がやることを最終的に決めるのは自分。
だから僕は自分の意思で努力した。
そして僕の周りにいる人たちはそれを見守り、助けてくれた。
姫路さんが言ったのはそれに対する冒涜だ、侮蔑だ。
僕だけでなく僕の周りの人のことまでもバカにするのは許さない!
「……さっきから黙って聞いてたら……吉井君はいつから私にお説教できる立場になったんですか!?」
すると姫路さんは召喚獣を突撃させてくる。
おそらく最後の勝負に出るつもりだろう。
ならば……
「さあ?でもね……」
ここで、終わらせるっ!
「今の君よりも、僕の方が正しいと思っているよ」
そして僕も姫路さんと同様に、召喚獣を突っ込ませる。
装覇流剣術 三の型〈
姫路さんの召喚獣が僕の召喚獣の間合いに入ろうとする瞬間、鋭い突きを喉に向けて放ち、入った瞬間にヒットする。
『2ーF 姫路瑞希 DEAD』
「勝者、Aクラス!」
その宣言に、クラスは今日一番の歓声に包まれた。
雄二side
クソッ……まさか明久が次席だったとはな……してやられた。
「それでは最終戦、お互いのクラス代表は出てきてください」
さて、俺の出番だがどうするかな……
勝ちにもってくか、引き分けにもってくか……
一応『小学生レベルの算数のテスト』とかなら間違いなく引き分けに持ち込める。だが勝てはしない。
引き分けた場合は2勝4敗1引き分けでAクラス側からの命令権は2つ
勝った場合は3勝4敗で命令権は1つ
いや、引き分けにもっていっても命令権を行使すれば俺が今回使う予定だった策がバレる可能性がある。ならいっそのこと……
「それでは科目を指定してください」
……よし
「小学生レベルの日本史のテスト、上限ありの100点満点だ」
しゃあねえ、ここで勝ちにいって命令権を減らすか。
もしバレなくても命令権を2つとられるよりはマシだしな。
「分かりましたそれで「ちょっと待ってください」は……どうしました、吉井君?」
明久のやろう……ここで何をするつもりだ?この場じゃ何もできねえぞ?
この勝負はちゃんと試召戦争のルールにのっとっているからな。
そう思いながらも俺は明久の一挙一動を観察することにした。
明久side
「分かりましたそれで「ちょっと待ってください」は……どうしました、吉井君?」
僕は高橋先生いや、教師全員に異議があり、少し中断させてもらう。
流石にこれに気づかないのはどうかと思うし……
「ここにいる先生全員に聞きますけど、その勝負って大丈夫なんですか?」
「試召戦争のルールでは『テスト』の『点数』を使用すると書いてあるので問題ありません」
高橋先生の答えに雄二がそれ見ろって顔をしているが、今回は僕の質問が悪く、意図をちゃんと理解してもらえなかった。
「いえ、『ルール』では大丈夫でも『趣旨』にあってないと思うんですけど……」
「趣旨……ですか?」
「はい、試召戦争の趣旨って『学習意欲の向上』でしたよね?」
「その通りさ。それがどうかしたのかい?」
そこで学園長が会話に入ってくる。
え、まさかこの人まだわかってないの?
隣の竹原先生は既にわかってるみたいなんだけど……
「学園長、吉井が言いたいのは『小学生レベルの問題を高校生が解いてはたして学習意欲の向上に繋がるのか?』ということですよ」
そうだろ?、と竹原先生が聞いてくるのでそれに頷いて答える。
「ええ、この勝負内容じゃあ試召戦争の意味って無いですよね?」
小学生レベルの問題を解いたところで満点を取れるに決まってる。
でもそれだと試召戦争の趣旨である『学習意欲の向上』に繋がらない。
「あー……確かにそうだね……。よし、じゃあ小・中レベルの問題を使用するのは禁止だよ」
「なっ!?」
雄二が目に見えて驚き、焦っている。
「何を驚いてるんだい坂本。小学生のテストがやりたいんなら小学校でやりな。ここは高校なんだよ」
「いや、だが……」
「言っとくけど試召戦争は遊びじゃないんだよ。どうしてもっていうならここにいる教師全員を納得させてみな。それができたら許可してやるよ」
ここにいる教師は学園長、竹原先生、西村先生、高橋先生の4人。この条件でこの4人を納得させるなんて無理だ。
「ぐっ……分かりました。化学でお願いします」
「分かりました承認します」
「……
「
そして改め科目が選択され、2人は召喚獣を呼び出す。
化学
『2ーA 霧島翔子 411点』
VS
『2ーF 坂本雄二 98点』
この点数差では二度の試召戦争を経験してようが覆せるはずもなく、結果は言うまでもなかった。
「5対2でAクラスの勝利です」
そしてFクラスとの試召戦争は終結した