ちなみに順番は妹紅、アリス、咲夜の順番です
過去編:妹紅
妹紅side
「あきひさー、あそぼー」
私は学校が終わり、家に帰るとすぐに友達の明久の家に遊びに行く。
私たちの家は近く、気が合い、同じ歳ということもあってよく一緒に遊んでいる。
「うんいいよ。今日はなにして遊ぶ?」
「えっとね、父さんがね、新しいゲーム買ってくれたの。これで一緒にあそぼ」
「いいなー。僕のうちはそんなの全然買ってくれないからなー」
「いいでしょー。ねえねえ、さっそく遊ぼうよ!」
そしてさっそくゲームを取り出し、始めるが……
「ううー…なんで一回も勝てないの……」
「えっと……ごめんね、なんか」
私は明久に一回も勝てずにいた。
これは体を動かしてやるゲームで、私は結構運動神経には自信がある。
でも明久はもっとすごいのだ。
なんでも小学校に入る前から明久のお母さんの家に伝わる武術を習ってるとかで運動神経が同世代の子に比べて頭一つ飛びぬけている。
「むー、もう一回、もう一回!」
「何度だって受けて立つ!さあ行くよ!」
「そのくらいにしておきなさい」
「ぐふぅ!」
しかしそこで明久の頭にチョップを振り下ろす女の人…明久のお母さんの明美さんがいた。
「もうあんたは……そろそろ玲も部活から帰ってくるし晩御飯よ。そろそろゲームも終わりにしなさい」
「は、はーい……」
その言葉に反応して時計を見ると時間は6時半頃、うちもそろそろ父さんが帰ってきて晩御飯の時間だ。早く帰らなきゃ……
「じゃあ私もそろそろ帰るね。明久また明日学校で」
「うん、また明日ね妹紅」
プルルルル、プルルルル
「あら、電話ね…って玲から?一体どうしたのかしら?…もしもし、玲どうし……えっ!?……うん、うん分かったわ……」
どうやら玲さんから電話がかかってきたようで、明美さんはかなり焦っているようだ。
「…妹紅ちゃん、落ち着いて聞いてね」
そして電話が終わると明美さんは玄関にいた私の肩を正面から掴み、真剣そうな表情でこちらを見つめている。
「さっき玲から電話があって…妹紅ちゃんの家が……火事になっていたそうなの」
え?え?え?うちの家が……火事?
「しかも、あの火の大きさだと……もう……家の中にいる人は助かる見込みは無いって……」
私はその話を聞くと、頭の中が真っ白になり、たまらず自分の家へと走り出した。
『ちょっと妹紅ちゃん!?』
『母さん!僕が追いかけるよ!』
うそだ…うそだ…うそだ…
私はひたすらそう思いながら家へと向かって走り出す。
だけど現実は……無情だった……
私の家は炎に包まれていた。
それに、父さんがいつも仕事に行くときに乗っている車もあった•••
そして近くに父さんと母さんの姿は•••ない
「うわ……」
「妹紅……」
何やら息を切らしている明久の声が耳に入るが、頭にまでは入らない
「うわああああああああああああああああああああああああああっっっっっっ!!!」
私はただ悲しみに任せて力の限り叫び、そして意識を失った。
次に目を覚ますと私は病院の中にいた。どうやら3日間寝てしまっていたらしい。
そして火事の原因だが、母さんが揚げ物を作っているときに油に引火し、そのまま火事になってしまったらしい。それに運悪く何やら有害な気体を吸ってしまったらしくそのまま倒れてしまい、そして母さんを助けに来た父さんは母さんと一緒に倒れてきた柱の下敷きになりそのまま死んでしまったらしい。
私はどうやら父さんと母さんの死のショックのあまり、髪が黒から白へと変わってしまった。自分でも思う、汚い色だと…
確か親戚はほとんど死んでしまっているらしいし、遠くの親戚はこんな見た目になってしまった私なんか引き取ってくれないだろう
私は児童養護施設に行くことになるのかな…
1人病院のベットで、枕を濡らしながらそう考えていた…
結果として私は明久の家に引き取られることとなったらしい。
なんでも児童養護施設に行かせるのはかわいそうだし、どうやら明久が必死になって頼み込んでくれたそうだ。
そして明久の家に引き取られてから数日後、私は与えられた部屋の中で縮こまっている。
数日前、明美さんが料理で火を使ってるのを見て途端に何かが心を支配してその場にへたり込んでしまった。医者が言うには火事のショックで火に異常なまでの恐怖心を抱いてしまったらしい。
ただでさえ迷惑をかけているのにこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。そう思い私は極力自分の部屋でおとなしくしている。
「妹紅ー、入るよ」
「……ノックくらいしてよ」
「あ、ごめん」
部屋に入ってきたのは明久だ。明久はなぜか時々私のことを気にかけて話に来てくれる。
「…で、どうしたの今日は?」
「んー…特にないかな」
「じゃあ出てってよ」
「それは無理だね」
明久はそう言うとなぜか私の隣に腰を下ろす。
「ねえ妹紅…今、つらい?」
不意に明久が話しかけてくる。
「…」
「うん、きっとつらいよね」
「…」
「多分、僕なんかじゃわからないほどつらいんだと思う」
「…そうだよ」
私は重い口を開き、その言葉を放つ。
「僕がこれから背負う苦しみ•••それ全部積み重ねてもまだ足りないと思う」
「…だろうな」
「そんな僕が言う資格はないけど、妹紅はこの辛さを乗り越えるべきだと思う」
「…なんでそんなことを…」
「だって…今のままじゃ良くないに決まってるよ」
「…私はこのままでもいいよ、べつに」
「よくない!」
珍しく声を荒げる明久に思わずビクリと驚いてしまう。
「よくないよ!妹紅の今の姿、天国のおじさんとおばさんに見せたら悲しむよきっと!」
「父さんと…母さんに?」
「そうだよ!だって分かるもん!」
「…なんでそんなことわかるんだよ」
「だって大切な人が傷ついてたら悲しいよ!おじさんとおばさんは妹紅のこと大切にしてたんでしょ!?だったら僕と同じ気持ちのはずだよ!僕だって妹紅のことを大切におもってるもん!」
そう言って明久は急に抱きついてくる。
そしてその体温が、生きてる人が近くにいるって私に教えてくれる。
「…なあ、明久」
「なに?」
「私…またおかしくなるかもしれないよ?」
「その時は僕がどうにかするよ」
「…途中で嫌になっちゃうかもしれないよ?」
「その時は僕がまた頑張れるようはげますよ」
「…私一人じゃどうにもならないときがあるかもしれないよ?」
「その時は僕に、母さんに、姉さんに、父さんに助けを求めなよ。少なくとも僕は妹紅のとなりにいるよ」
明久の言葉を聞くと不思議と胸があったかくなってくる。
気づくと私も明久のことを抱きしめていた。
「私…乗り越えられるかな?」
「うん…きっと乗り越えられるさ」
「じゃ…手伝って…くれるか?」
その言葉を聞くと明久は嬉しそうに答えてくれる。
「もちろん!」
「…ありがとう、明久」
「うん…夢か…」
そこで私は目を覚ます。
目に見えるのはいつもと同じ天井だ。
「またずいぶんと懐かしい夢を見たもんだな…」
多分あの時明久がいなかったら私は今の私とはかけ離れた私だっただろう。
そんなことを考えながら私はあいつのことを考える。
「あれから10年近くたつんだよな…」
あれからいろいろなことがあり、今では私と同じように明久のことを好きになったやつが増えた
言うまでもなくアリスと咲夜だ
「あいつの鈍感さには呆れるよな…ほんと」
そして私はついさっきまで見ていた夢のことを思い浮かべながら瞳を閉じ、自分の気持ちがあいつに届くように願う。
なあ明久……
私はあの時から……
お前のことが……
ずっと大好きだよ
この想いがいつか彼に届き、そして結ばれますように、と……
時系列は多分小学3年生くらい