時系列は中学1年の春休みです
ちなみに「」は日本語、『』は英語になってます
明久side
僕は姉さんが今度ハーバード大学に進学することのお祝いで、春休みを利用してイギリスに旅行に来ていた。
だけど…
「どうしよう…迷った」
僕は年甲斐もなく迷子になってしまっていた。
迷子になってからかれこれもう3時間、日は沈み始めている。
「流石に母さんたちも探してくれてるだろうしなぁ…」
そう言いながらも僕は見知らぬ土地の路地裏を歩く。
だがしかし、そこには人の気配というものが全く感じられない。
「やっぱり表通りとかに出るほうがいいよね……。でもどっちにあるかわからないし…」
しかしあちらこちらから様々な音が聞こえるし、たまにある看板も英語で書かれてるから読むことなんてできない。
というかさっきからずっと同じところをグルグルまわってるだけのような気がする…
「はあ……、どうしようかな……」
そう僕が最悪野宿すればいいかと考えてると…
『キャーーーッッ!!』
あたりに悲鳴が響き渡った。
アリスside
私はいきなり地元の不良の少年……といっても私よりは年齢が上の高校生くらいの男3人に囲まれていた。
近くには車もあるしここは人通りも少ない、おそらく誘拐だろう。
『ちょっと、離してよ!』
『うるせえ!さっさと車に乗りやがれ!』
『暴れなきゃ手荒なマネはしねえよ』
『それとも何か?そのキレイな顔に傷でも付けられたいのか?』
そう言って1人の男がナイフを取り出し、私に近づけてくる。
私はたったそれだけのことで怯み、萎縮してしまい抵抗する気がなくなってしまう。
『へへ…わかりゃあいいんだよ。おい!車に詰め込むぞ!』
そうして1人が私の手を掴み、車に乗せようとしてくる。
いったいこれからどうなるのだろう?それだけが私の頭の中を支配していた。
ああ…誰でもいいから助けて…!
「ねえ、ちょっと」
そしてそこに日本語だろうか?少年らしき声がかけられる。
その少年は見たところわりと容姿も整っているし無駄な筋肉もついていない。それに若い、私と同い年くらいだろう。
彼は私を助けてくれるのだろうか…?
『おい、てめえはなんなんだよ!』
『さっさと答えやがれ!』
その不良たちの問いかけに対してその少年は…
「
そう答えた。
やっぱりだめかもしれない…
私はそう思わずにはいられなかった
明久side
「
僕は悲鳴を聞いて、聞こえてきた方向に走り出したら金髪の可愛らしい女の子と高校生くらいの男3人がいた。
少なくとも良い雰囲気ではなさそうだ。
そこでとりあえず母さんたちから死にものぐるいで覚えさせられた英語を言ったんだけど…
おかしいな…母さんたちは「これさえ言えればどうにかなる」とか言ってたのに全然だめじゃないか。
みんな呆れているし
『おい、こいつどうする?』
『ちょっと脅かして何もなかったとか言わせりゃいいんだよ』
『それもそうだな』
そう言って男たちのうちの2人が近づいてくる。
『だめ!逃げて!』
そして女の子が何か言ってるが正直英語なのでわからない。
『ちょっとばかし痛いが我慢しろよジャパニーズ!』
そう言ってる間にも1人が殴りかかってくるが僕はその拳を片手で受け止める。
母さんや姉さんのパンチに比べればあまりにも軽い。あの2人の拳骨は頭蓋骨がへこむレベルだからね……
「まあ事情は良くわからないけど……とりあえずこれはお返しね」
『ぶげっ!?』
そして空いてる片手で殴りかかってきた男の顎を撃ち抜くように殴り、昏倒させる。
「んー…明らかに友好的な雰囲気じゃないし…」
『てめえっ!』
後ろからもう1人の男が殴りかかってくる。
声出したらバレバレなんだけどな…
「ちょっとばかし、眠っていてもらおうかな!」
僕は殴りかかってきた手を掴んで、その勢いを利用して一本背負いの要領で地面に叩きつける。
地面は石畳なのでかなりのダメージのはずだ。
『ジョニー!?ボブ!?』
そう残り1人の男…女の子を捕まえてるやつが叫ぶ。
ここまでのことでわかったけどこれは多分…というか間違いなく誘拐だろう。
普通にナンパとかだったら殴りかかってこようとしないだろうから見られたらまずいもの…すなわち誘拐だと思う。
『てんめえ!』
そう叫ぶと男はナイフを取り出してくる。
まずいな…相手はさっきまでの2人とは違って明らかにケンカ慣れしてそうだしナイフ持ち、さらに人質までいるときた。
最低でも女の子を助けるかナイフをどうにかしないと厳しいな…
「はあ…気が進まないけど…やるか」
そう言うと僕は不良との距離を詰める。
『なめんじゃねえぞ!』
そう言って振ってきたナイフをバックステップで避ける。
「しっ!」
そしてそのままナイフに向かって蹴りを放つがあえなくかわされてしまう。
「まだまだ!」
今度は相手の背後を取ろうと回り込み続け、時には軽い蹴りなどを放つ。
『てんめえ…!上等だこら!』
すると不良は女の子を自分の後ろに投げ捨てるように放るとそのまま僕に突っ込んでくる。
「ふっ…これを待ってたんだよ!」
『なっ…!?』
『すごい…』
そう言うと僕は壁を蹴り、壁の上を走る。そしてそのまま不良と女の子の間に入る。
「もう大丈夫だからね」
そう言って僕は女の子に向かって笑いかける。心なしか女の子の顔は少し赤かった。
『くっそぉ…、死ねえっ!』
ヤケクソになったのか不良はナイフをむちゃくちゃに振ってくる。
「くっ…」
僕もなんとかかわそうとするも2回ほどナイフが頬をかすめる。
「ふんっ!」
しかしそこで隙ができ、鼻に軽く拳を叩き込む。
『グアッ!』
そしてそこでさらに追撃とばかりに手刀を振り下ろす。
『うおっ!』
そう言って不良は体を仰け反らせて僕の攻撃をかわす。
だが…
『ぐおっ!?』
装覇流剣術 六の型〈
振り下ろす途中で手刀から抜き手へと間髪入れずに移行させ、攻撃を喉に当てることに成功する。
本来は刀などでやる技だけど手刀でも可能なのである。
「まあこれで…終わりだっ!!」
そう言って喉を抑えてる不良の顔を思い切り蹴り飛ばす。
これで不良は3人とも気絶、一件落着だろう、多分。
「ふう…終わった」
そして僕は未だ座り込んでいる女の子に膝をつけて手を差し伸べる。
「大丈夫?」
『……!え、ええ、大丈夫よ』
そう言って女の子は僕の手を掴んでくる。
たださっきからこの子の僕を見つめる目が若干熱っぽいものが混じってる気がする。
そう思いながらも女の子を立たせて、その手を放す。
しかし女の子は足に力が入らないのか倒れてしまいそうになる。
『キャッ!』
「危ない!」
そう言って僕は女の子の腰を抱き寄せる。
しかしそうすると顔が近づいてしまい顔と顔の距離が10センチもない、超至近距離になる。
『ーーーーーッ!!』
女の子の方も恥ずかしかったようで顔が赤くなっている。
だけどこれはまずいな…。
不良がいつ起きるかわからないのにまた立てるのに時間がかかるのを待つのは時間がかかるだろう。
「しょうがないか…ちょっと我慢してね」
『!?!?!!?!?!?!!?』
そう言って僕は女の子を抱える。いわゆるお姫様抱っことかいうやつだ。
「とりあえずどっか行こうか」
僕はそう言うと不良たちが起き上がる前にそのまま走り出した。
走り出したのはいいけど道がわからない。この女の子に聞こうにも英語が話せないしな…
『•••
ワッチュユーアーネーム?…名前…なのかな?
そういえばお互いの名前も知らないし答えておいていいかな?
「吉井、明久」
『アキヒサ…私はアリス・マーガトロイドよ』
アリスというのがこの子の名前らしい。
「そういえば顔、赤いけど大丈夫なの?…って言っても通じないか」
『???』
さっきから女の子…アリスの顔が真っ赤なのだ。それはもう耳まで
「さて、○○○ホテルはどこかな?」
『○○○ホテル?それならあっちよ?』
そう言ってアリスは右を指差す。
そういえばホテルの名前だけで通じるかもしれないの忘れてた…。こんなことなら早く聞いておけばよかった…
その後、ホテルのロビーには父さんと妹紅がいて2人にはものすごく怒られた。そして事情を話すとさらに怒られた。
さらに合流してきた母さんと姉さんにおもいきり殴られて頭が陥没するかと思ったよ…
そしてそのまま警察で少し取り調べを受けて次の日のほとんどを潰してしまった…
その後、アリスのご両親がお礼を言いに来て、なにやらうちの両親と意気投合していた。
うん…どうしてこうなってるんだろう。
それ以後は偶然休暇をとっていたマーガトロイド夫妻たちにイギリスを案内してもらうこととなったのであった。
ただその間は妹紅とアリスにずっと腕を掴まれっぱなしだったけど…
アリスside
『明久…いっちゃうの?』
時が経つのは早く、もう明久たちは日本に帰ることとなった。
「うん。しょうがないよ、こればっかりは」
そう言って明久は初めて会ったときのように私に笑いかけてくる。
ちなみに通訳は明久のお父さんの和久さんがしている。
『明久…私、明久と離れたくない!ずっと一緒にいたい!』
「大丈夫だよ、きっと」
そう言って明久は肩に軽く手をのせてくれる。
なんとなくだけど通訳が無くても明久の言ってる言葉が分かる気がする。
そう、本当になんとなくだけど…
「別にこれが永遠の別れってわけじゃないんだし、きっと会えるよ」
『明久…』
「だからさ、お互いに笑って別れようよ。そしてまた、笑って再開しようよ」
彼のその言葉、その表情に胸がギュッと締め付けられるような感覚がした。
ああ、そうか…
私はこの少年のことが好きになってしまってたんだ…
『明久…』
「え、ちょ、アリス!?どうしたの急に!?」
私は明久におもいきり抱きついた。離れないように力強く。
そして彼の耳もとで誰にも聞こえないような声で囁く。
『明久…今度は、私から会いに行くからね。だから、その時は……』
その後の言葉は、あまりにも小さすぎて私の耳にも入ってこなかった。
でも、なにを言ったかは分かってる。
『ロンドン発、東京行きの飛行機がーーーー』
そこで明久たちが乗る飛行機のアナウンスが流れてくる。
さみしいけどここで本当のお別れだ。
『じゃあね、明久。これは、私からの助けてくれたお礼よ』
私は明久の頬に軽く触れるようなキスをして、少し距離をとる。
自分でも随分大胆な行動だと思う。
「ほへ……………って、ええっ!?」
明久も一瞬なにが起こったか分からなかったが、理解すると思いきり慌てふためいている。
そして私は真っ赤な顔で明久に手を振りながら、さっきこそっと言った言葉を思い返す。
その時は……
私のこの気持ち……
ちゃんとあなたに……
届けてみせるわね
絶対に、絶対に会いに行くからね……
過去編で一番読みにくいであろう話(文章力的な意味で)