明久side
学園祭1日目が終わった夜、僕たちは家でみんなと夜ご飯中である。
ちなみに今日の献立は白米とオニオンスープ、ロールキャベツにサラダとブイヨンという洋食だったりする。
ちなみに作ったのは咲夜であり、学園祭後の疲れをほとんど見せずに作れたのはすごいと思う。
「そういえば明久、帰る前に学園長室に呼び出されてたよな。何かあったのか?」
「いや、大したことじゃなかったよ」
夕食中、妹紅がいきなりそう聞いてくる。
「明久、また何か面倒ごとでも引き受けたの?」
「ん?別に何も」
「でも学園長室に呼び出されたわけですよね?なにがあったんですか?」
続いてアリス、咲夜も聞き出そうとしてくる。
「えっと実は……」
コンコンコン
「失礼します、吉井明久です」
「入りな」
今回は一応ノックをして、返事を待ってから学園長室に入る。
スポンサーの方々がいて、ババア長呼びがばれたらまずいもんね。
「学園長、緊急の呼び出しってなんですか?」
部屋にいたのは学園長と竹原先生といういつも通りの組み合わせ。
この時期に実験なんてするはず無いんだけどな……
「まあ待ちな、そろそろ来るはずだからね……」
まだ誰か来るのだろうか……?
そう思いながら待っていると…
「「失礼します」」
いきなりドアが開けられてどこかで見たようなボウズとモヒカンの先輩が入ってくる。
なんだっけ名前……?
しかも入ってくるなり僕をむちゃくちゃ睨んできて気持ち悪い……
ん?気持ち悪い?
「ああ!あの時の!」
よかった、思い出せて。
あの時のクレーマーまがいのことしてた先輩たちじゃないか!
でも名前は思い出せない
「なんだい?面識があったのかい?」
「ええ、少し。それよりも学園長、呼び出した理由を」
「それは私から話させてもらおう」
そう言うと竹原先生が一歩前に出て話し出す。
「実は召喚大会の準決勝、第1試合は吉井が勝利したが、第2試合はこの二人……常村と夏川の引き分けになったんだ」
引き分け?珍しいこともあるんだな……
「そこで本来は再戦してからちゃんと決勝を行うはずたったのだが、この二人からの要望で三つ巴の決勝戦にしないか?という提案になったのだ」
なるほどね……
「もちろんこれは三人の了承……といっても常村と夏川は既に了承してるためあとは吉井が了承すれば三つ巴の決勝戦となる。しかし、吉井が拒否したら再戦してからの決勝戦になる」
あまりにも魂胆が見え見え過ぎていて呆れるな、これ……
「まあ怖かったら拒否してもいいんだぜ?」
「おいおい夏川、あんまり後輩をいじめるなよ。かわいそうなことにビビってるだろ?」
そう言って常……先輩と夏……先輩がケラケラと下品に笑う。
うっわ〜、やっすい挑発、正直乗る気すら無くなるな……
「はあ……、いいですよ別に。三つ巴の決勝戦、受けますよ」
「おーおー、いいのかな?観察処分者くんよぉ?」
「どうしてもって言うならハンデをつけさせやってもいいぜ?」
そう言って、えっと……名前名前、なんだっけ?もう常夏コンビでいいなこれ。
常夏コンビがケラケラと笑ってくる。
勘違いされやすいんだけど僕は観察処分者じゃなくて特別処遇者なんだよね……
ちなみにその違いは教師から任命されてフィードバックがあるのが『観察処分者』、自ら立候補してフィードバックが無いのが『特別処遇者』である。
だけど特別処遇者のメリットなんてほとんど無いからなる人がいないし有名じゃないので、観察処分者に間違われやすいのだ。
「おいおい、何か言ってみろよ」
「それとも怖くてなにも言えねえのか?」
「ご心配なく。これでもあなたたちに負けない自信くらいはありますから」
「言うじゃねえか……」
「上等だよ……」
そう言うと僕と常夏コンビが睨み合い始める。
「はあ……、それでは明日は三つ巴の決勝戦でいいな?」
「はい」
「「おう」」
しかし竹原先生がマズイと思ったのか止めにくる。
「では今日はこれで解散だ。各自気をつけて帰るように」
そしてその言葉で僕たちはそれぞれ学園長室から出ることとなった……
「……ってことがあった」
僕が話を終えるとみんなが黙り込んで何かを考えているようだ。
「なあ明久、その先輩って……」
「うん、今日来ていたクレーマーの先輩だよ」
「やっぱりか……。じゃあ目的は」
「まず間違いなく僕への仕返しだろうね」
「そしてその方法は三つ巴の勝負に見せかけた二対一の戦いですか……」
「うん、その試合を見ていたクラスメイトが言うには明らかに手抜きだったらしいからね。最初から引き分け狙いだったんだろうね……」
ちなみにそのクラスメイトは彼女と見ていたらしい。
彼女がいるのが羨ましいと思ったのは秘密だ。
「考えることがほんと狡いわね」
「まったくですね」
「三流の悪役のやりそうなことだな」
三人は少し怒ってるような呆れたような反応をする。
「まあ、どっちにしたってなにが来ても勝てると思うしさ。心配しなくてもいいからね?」
「へえ、随分自信たっぷりじゃないの。何か根拠でもあるの?」
「あるよ。本当に強い奴はこんな手を使わずに正々堂々と戦うからね。こんな事する奴が強いはずがない。それにああいう奴らに限って自分の作戦に自信を持ってそこが隙になるんだよ」
事実、母さんや姉さんみたいな化け物じみた強者は敢えて賭けに近い作戦をして自分を追い込むことによって自身の感覚を研ぎ澄まして勝利を呼び込もうとする。僕だってFクラス戦の時や今日の霧島さん相手にも賭けに近い作戦を遂行して勝利をもぎ取った。
あんなことをする奴らが強いわけない、そう確信できるのはそういった裏付けがあるからだ。
「ふーん……。明久もいろいろと考えてるのね」
「あたりまえさ」
そう言いつつロールキャベツの最後の一口を食べ終える。
僕はかなり話していたため、どうやら食べ終えるのが最後になってしまったみたいだ。
「ん、明久も食べ終えたのか。じゃあそろそろいいかな」
「え、ちょっと妹紅!?」
そう言って妹紅がいきなり右腕に抱きついてくる。
なんか女子特有の柔らかい感触がしてそこに神経が集中してしまう。
「そうね、そろそろいいわね」
「アリスまで!?どうしたのさ二人とも……」
続いてアリスが左腕に抱きついてくる。
右腕に抱きついている妹紅よりも女性特有の部位が柔らかくて大きくてなんかもう本気で理性がヤバイような……
「明久様……」
そう言って今度は咲夜が立ち上がり、正面から肩を掴んでくる。
どうしよう、この状態で咲夜にまで抱きつかれたら本気で理性が吹き飛んでしまう……ッ!
「明久様……今からお説教の時間ですよ」
そう咲夜が鬼のようなオーラを出してきて煩悩が全て吹き飛ぶ。
そういやお説教するって言ってたけどまさかここで来るとは……
「忘れたとは言わせませんよ?妹紅、アリス連行してください」
「「了解!」」
逃げようと思えば逃げれるんだけどそうしたほうが咲夜は怒るしな……
(ま、いいか。これでも僕のこと心配してくれてるんだし)
そう自分に言い訳すると静かに連行されるのだった……
新たな