明久side
「いらっしゃいマセ!如月ハイランドへようこそ!」
そして僕たちは如月ハイランドの前に来ていた。
受付の人は日本人じゃないのか若干日本語があやしい。
「今日ハプレオープンなノですが、チケットはお持チですカ?」
「持ってますよ」
そう言って僕はチケットを差し出すと係員の人の表情が固まる。
どうしたんだろうか……?
「スイマせん、少々お待チください」
そう言うと係員の人は後ろを向いて何やら怪しげな通信機器を取り出す。
「私だ、例の連中が来た。先に来たこちらをαと置く。ウエディングシフトの用意を始めろ。確実に仕留めるぞ」
なんかそんな会話が聞こえてくる……
それよりもウエディングシフトって……?
「スイマせーん、そのチケットちょっと特別なサービスあるので連絡シテました」
「特別なサービスですか……、何か得した気分ですね」
「え、うん、そうだね」
さっきの会話が聞こえてなかったのか、咲夜は素直にサービスを喜んでいる。
「デハまず最初にサイコーにお似合いのオフたりの記念写真とらせていただきマーす」
「明久と……お似合い……」
咲夜が頬を赤らめて何か呟いた気がしたんだけどなんだろうか?
「カメラも来まシタし、それでは撮りマスよ?」
「……たまには、いいですよね」
そう呟いて咲夜が腕に抱きついてくる。
「え、ちょ、咲夜!?恥ずかしいんだけど!?」
「オーウ、そのママでケッコーでース。じゃあ撮りますヨ?」
「だ、そうですよ?」
「だからって……」
「ハイ、チーズ」
パシャリ
そしてそんな会話も無視され、写真は撮られてしまった。
「では現像スルのでチョットお待ちくだサーイ」
そしてしばらくすると写真を持ってくる
「お待たセシました。コチらが写真でース」
「「なっ!?」」
そしてその写真を見て僕たちは驚愕の表情を浮かべる。
「えっと……なにこれ?」
「チョット加工シテみました」
「ちょっとってレベルじゃないでしょこれ!?」
写っていた写真には腕を組んでいる僕と咲夜、そしてそれを囲むハートと天使たち。『私たち結婚します』という文字もある。
「この写真を写真館ニ飾ってモよろしイデスか?」
「いや、それは「飾ってもいいですよ」って咲夜!?」
「ただ、その加工は恥ずかしいのでちょっと……」
「オーウ、分かりマシた」
「あとその写真は私が処分しますので預からせていただきます」
そう言って写真をバックに丁寧にしまう咲夜……
処分する気ってあるんだよね?
それにしてもこれは妙だな……
一回ババア長に連絡とるか……
「咲夜、ちょっと悪いけど電話させてもらっていい?」
「はい、別に構いませんが……」
そして一度断りをいれてからババア長に電話する。
僕の勘が正しければ何か知ってるはずだ
「もしもし、ババア長。吉井です」
『なんだい、クソジャリ。休日の朝っぱらから』
「いえ、学園祭の召喚大会の景品の如月ハイランドのチケットについてですが……」
『ああ、あれかい?……それよりもあんたは如月ハイランド内にいるのかい?』
「え?まあそうですけど……」
『そうかいそうかい、実はね、そのチケットで入場したカップルは如月グループの力で強制的に結婚させられるんだよ。ありとあらゆる手を使ってね』
…………は?
『ジンクス作りにうちを選んだらしいよ。ちなみに如月グループはうちの大スポンサーの一つだから断れなかった』
こんのババア……
「ババア長、それって断ることは……」
『無理だね』
即答だった。
それはもう清々しいくらいキッパリと言われた。
「じゃあどちらか片方だけにするってのは……」
『それならまあ……』
よし、雄二を生け贄にしよう。
僕はともかく咲夜はかわいそうだからね
「じゃあ僕たちとは別のグループだけにしてもらえるようしておいてください」
『分かったさね。でも多分お前らもサービスは受けないといけないよ』
「了解でーす」
『ほんじゃこれできるよ』
「はいはい」
そう言って僕は電話をきる。
多分もう片方は霧島さんと雄二だろうから、これは霧島さんのためになっただろう。
うん、いいことした後は気持ちがいいな……
「ゴメン、待った?」
「いえ特に。それよりもあそこを見てください」
そう言って咲夜は入り口の方を指さす。
あ、雄二と霧島さんだ。
「……なんでアイアンクローしながら写真撮ってるの?」
「……さあ?」
そしてなぜか霧島さんが雄二にアイアンクローしながら写真を撮ってる。
あの写真にあの加工がされたと思うとかなりシュールだな……
「あ、雄二がこっちに気づいた」
「こっちに向かってきますね……」
なんとかアイアンクローの拘束から逃げ出した雄二は僕に気づいたようでダッシュでこっちに向かってくる。
「よう明久……。てめえよくも翔子に余計なもん渡してくれたな……」
「ははは、やだなー雄二。ただの遊園地のチケットじゃないか。そんなに気にすることないよ」
「ほほう?じゃあウエディングシフトとやらについては知っているか?」
「ウエディングシフト?何それ?咲夜は知ってる?」
「私も知りませんよ」
咲夜はさっきの会話が聞こえていなかったようなので本気で知らないようだ。
「きっとただのキャンペーンか何かだよ。そんなの気にすることないよ」
「何か嘘くさいな……」
ヤバイ、バレかけてる……!?
「……雄二、何してるの?」
「げ、翔子!?」
「……吉井に咲夜?」
しかしそこで運良く霧島さんが登場する。
「あ、霧島さんこんにちは。さっそくチケット使ったんだね」
「……うん、チケットありがとう吉井」
「いいさ、別に。どうせ二枚あっても使い道はないんだし」
「……でもそれでもありがとう」
「どういたしまして。それじゃあ霧島さんも雄二とのデート楽しんでね」
「……うん、吉井も咲夜とのデート楽しんで」
「じゃあまたね」
「……うん、じゃあ雄二、そろそろ写真できたみたいだから」
「グッ!?離せ翔子!まだ俺は明久から聞かなきゃいけないことが……」
そういいながら雄二は霧島さんに引きずられていった。
「じゃあさっそく僕たちも行こうか」
「はい」
そう言って咲夜が僕の腕に抱きついてくる。
「……だから恥ずかしいんだけど?」
「いいじゃないですか。……デートなんですから」
「まあいいけどさ……。それよりも最後なんか言った?」
「…………わざとじゃ、ないんですよね?」
「ほえ?何が?」
何言ってるか本気で分かんないんだけど……
「はあ、いいですよもう……。それよりも最初はどこに行きます?」
「そうだね……」
そう言うと僕は地図を取り出して広げるのだった……