明久side
翌日の朝、、僕たちは全員が揃って合宿所を後にした。
ちなみに雄二たちやAクラスメンバー以外は全員教師の監視付きのバスで帰ることとなった。
「今年の合宿は大変だったな……」
「脅迫に始まって盗撮、果ては試召戦争の大規模な模擬戦ときてたわよね……」
「本当に大変でしたよ……」
「先生たちも今年は類を見ないほど大変だったって愚痴ってたよ」
ちなみに僕は行きと同じメンバーでリムジンに乗っている。
「それにしても何する?トランプやUNOとかあらかたやり尽くしたからな……」
「合宿所には将棋とかオセロとかチェスとかあったんだけどね……」
「こんなことなら小説とかいろいろ持って来ればよかったわね……」
「まあいいじゃないですか。暇なら『ピリリリリ、ピリリリリ』何かって電話ですか?」
「あ、僕のだね。相手は……母さんか……」
携帯の液晶画面に映し出された文字を見て憂鬱な気分になる。
僕の母さん、吉井明美ははっきり言ったら人外だ。
頭脳明晰で十ヶ国語以上はペラペラに喋り、身体能力も水面を余裕で走れたり、嘘を言おうものならすぐさま見抜き、付き合いの長い相手なら簡単に相手の心を読み、そしてそんな能力をいやらしい面で発揮させる腹黒い策略家だ。
そんな母さんからの電話には嫌な予感しかない
「まあ出るしかないか。もしもし、母さん?」
『あ、明久?久しぶり』
「久しぶりだね。どうしたの?」
『まあ大したことじゃないんだけどね』
この時点で分かった。
まず間違いなく厄介ごとだと
『そっちに同居人増えるから』
「ちょっと待てえええいっ!!」
いきなりの母さんの通達に思わず声を荒げて叫んでしまい、みんなが驚いているが構ったもんじゃない。
これ以上増やす気かあの人は……
確かに無駄に高級で広いマンションだからまだ余裕はあるけどさ……
『まったくもう……昔っから落ち着きが無いわね、あんたわ』
「今回のは間違いなくあなたのせいです。で、どんな人なの?」
『ああ、そうだったわね。私の高校時代の親友の娘さんでね。火事で住んでる神社がなくなっちゃってね、再建費用を出そうとしたんだけど断られちゃったからそれなら娘さんをしばらく預かりますってことで』
「なんで預かるって考えに至ったんだよ……。てか再建費用なんて出せるの?」
『ポケットマネーで充分ね』
職業不明の母さんであるが、神社の再建費用をポンと出せるなんて異常だと思う
『サービスで全面金箔張りにしてあげようと思ったんだけど断られちゃったしね』
そして母さんの思考も色々と異常だと思う
『失礼ね、どこが異常なのよ』
「金箔張りにしようとするところ!それにナチュラルに心読まないでよ!」
相変わらず人外じみてる人だな……
『明久、私は人外じゃないわよ?』
うん、もうやだ
気にしちゃ負けだよこれ
『ちなみにその娘さんはあんたらと同い年で文月学園に通うことになるはずよ』
いよいよ我が家が女子寮と化してきたな……
全員が文月学園に通ってるんだし
「はあ……。で、ちなみにその子はいつ来るの?一週間後?一ケ月後?」
『明日よ』
「いきなりすぎるわっ!」
もっと前から言っておいてよ……
『ちょっとしたサプライズよ』
「いらないからね、そんなサプライズ」
『じゃあ仲良くやるのよ。あ、詳細はファックスで送っとくからね』
「あっちょっと待って母さ(ツーツーツー)んってきられた……」
しかし無慈悲にも電話はきられる
うん、こうなることは予想できてたさ
「なあ明久、明美さんなんて?」
そう妹紅が心配そうに聞いてくる。
話を切り出しづらい……
「うん、実はね……」
「はあっ!?」
「新しい同居人が増えるの!?」
「しかも来るのが明日ですか……」
「うん、しかも母さんの命令には拒否権なんてないようなもんだし……」
これは吉井家の常識である
母さんには逆らえない。いや、逆らったら死あるのみである。
「確かに明日は休みですけど……」
ちなみに明日は合宿の疲れを取るために休み、さらに土日と続く三連休なのである。
「どうなるんだろうかね……」
「ほんとだよ……」
「疲れるわよね……」
「そうですよね……」
そう言うと四人全員のため息が重なった。
処分通知
文月学園第2学年B、C、D、Eクラスに所属する全生徒及び坂本、土屋、木下を除くFクラス生徒
総勢247名
上記の者たちは偽盗撮犯に騙され、なおかつ事実を通達されながらも被害者である人物を疑い傷つけようとした罰として一週間の停学処分とする。
また下記の者たちは停学期間を二週間とし、停学後は一週間の特別更生プログラムを実施する。
2年Dクラス 清水美春
2年Fクラス 島田美波
2年Fクラス 姫路瑞希
文月学園学園長 藤堂カヲル
はい。それでは次回からは皆様おたのしみ?の転校生編となります。
とは言っても、薄く、短いですけどね