雄二side
「クソッ……、明久のバカはまだ来ないのか。まさか初日から遅刻か?」
新学期初日、俺は教壇の上に立ちながらクラス全員を見渡してそう呟く。
2年になった俺たちはこの学校独自のシステムである『試召戦争』を行うことができ、俺はそれを仕掛けていきたいと思っているのだ。
「まさかあいつ初日から遅刻か?」
俺は、教卓に肘をつきながら呟いていた。
そして俺があくびをすると、ドアが開いて一人の人物が入ってきた。
おそらく明久だろうと思い、俺はヤツに挨拶代わりの罵倒をする。
「遅いぞ、この蛆虫やr・・・・」
しかし、そこには明久じゃなく、メガネをかけヨレヨレのスーツを着た中年の男性が居た。
「坂本くん、席に座ってください、出席を取るので」
「は、はい」
俺は促されたので、自分の席に座った。
「それでは……私は2年Fクラスの担任の……福原慎です」
先生は一度黒板の方を向き、黒板にチョークで名前を書いて振り向く。
「まずは設備の説明をしましょう、卓袱台と座布団。えー不備があったら言ってください」
先生は教室を見回しながら言った。
俺も自分の卓袱台と座布団を確認するが、特にこれといって不備などはない。
「それでは廊下側の生徒から自己紹介をしてください」
そう言ってクラスの連中の自己紹介が始まる。
「木下秀吉じゃ。一年間よろしく頼むぞい」
あの翁言葉は秀吉か。
「……土屋康太」
次はムッツリーニか……、相変わらず無口なやつだな
「ーーです。ドイツ育ちで日本語の読み書きは苦手です。趣味は……」
ん?女の声か……
「吉井明久を殴ることです☆」
明久も運が無いな、島田と同じクラスとはな。
だが殴るのを止める気はさらさら無いけどな。
そんなことを考えながらも自己紹介はどんどん進んでいくが、明久のやつはまだ来ない。
ガラっ!
お? ようやく来たのか……って、ん?
「あの……遅れて……すいま……せん」
おいおい、まさかあれは……
「ちょうど良かった、今自己紹介をしているところなので、あなたもお願いします」
「は、はい」
そいつは返事をすると、教卓の前まで歩いて自己紹介を始める
「あの、姫路瑞希と言います、よろしくお願いします……」
驚いた、まさか姫路がこのクラスに来るとはな……。
だが好都合だ……
『はいっ! 質問です!』
「はっ、はい! なんですか?」
『なんでここに居るんですか?』
そう言ってクラスメイトの一人がそんな質問をする。
『姫路さんって、入学最初のテストで学年2位だったろ?』
『それに、いつも上位1桁内だったじゃないか、……あとかわいいし……』
「そ、その試験の最中に高熱を出してしまいまして……」
そういやぁ途中退席は0点扱いだったな……
『あぁ、なるほど、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに……』
『あぁ、化学だろ? あれは難しかった』
『俺は弟が事故に遭ったと聞いてそれどころじゃなくてな……』
『黙れ一人っ子!』
『俺は前の晩彼女が寝かせてくれなくてさぁ』
『今年一番の大嘘をありがとう』
流石はFクラスだ。バカなやつしかいねえな……
「はいはい、皆さん静かに……」
そう先生が教卓をたたいてざわつく生徒たちを落ち着かせる。
「お待たせしました、坂本くん君で最後です、自己紹介をお願いします」
おっと、俺か
俺は立ち上がり教卓の前まで歩いた。
「俺の名前は坂本雄二だ。代表とでも、坂本でも好きに呼んでくれ」
俺はそう言った後、軽く教室を見回して
「さて、これがFクラスの設備だが、不満は無いか?」
「「「「「大ありじゃあぁーーーっ!」」」」」
Fクラスの魂の叫びだな。
「Aクラスはシステムデスクにリクライニングシート、個人パソコン、更には冷蔵庫完備だ」
『いくら安い学費とはいえ、酷すぎる!』
『Aクラスだって同じ学費だろ!? 改善を要求する!!』
よし、士気は上々のようだな……
「そうだろう!だから我々Fクラスは、Aクラスに対して試験召喚戦争を仕掛けようと思う!!」
シーーン
『いや、無理だろ』
『勝てるはずがない』
『これ以上設備を落とされてたまるか』
『姫路さんが居ればなにも要らない!!』
最後の奴黙れ
まぁ、そう言うのも無理はない
文月学園のテストは上限がない、1時間以内に解ければ何問でも解いていいからな。
必然的にAクラスとFクラスでは点数差が激しい。
だがしかし!!
決して勝機が無いわけでは無い!
「そんなことない、勝てる、いや、俺が勝たせてみせる」
『無理に決まってんじゃん』
『そう言われても、なんの根拠もないしなぁ……』
弱気だな
「根拠ならある、このクラスには勝てる要因が揃ってる、それを今から説明してやる」
俺はとある男を見る
「おい、康太。いつまで姫路のスカートを覗いている」
「……!(ブンブン)」
俺が指摘すると、康太は慌てて体を起こして首を高速で左右に振る
「は、はわわ!?」
今更か……
「紹介しよう、この男こそかの有名な、寡黙なる性職者……ムッツリーニだ!」
『なに!?馬鹿な……奴がそうだというのか?』
『見ろ!まだ証拠を隠そうとしているぞ……』
『ああ、ムッツリの名に恥じない姿だ……』
「??」
姫路はわからないか
土屋康太、別名ムッツリーニ
本名はあまり知られてないが、この名前は全学年の全生徒は知っているだろう
男子からは畏敬と畏怖の念を込めて、女子からは侮蔑の念を込めて呼ばれている。
まぁ、名前の由来はムッツリスケベなんだがな。
「姫路の事は皆その実力をよく知っているはずだ」
「え? わ、私ですか?」
「ああ、ウチの主戦力だ、期待している」
『ああ、俺たちには姫路さんが居る!』
『彼女ならばAクラスにも引けをとらない!』
『彼女さえ居れば、何もいらない!』
最後の奴黙れ
「それに、木下秀吉だって居る」
「ワシもか?」
『演劇部のホープ!』
『あぁ、確か双子の姉が・・・』
『Aクラスの木下優子だっけ?』
「当然、俺も全力を尽くす」
『そういえば、坂本って小学生の時は神童と呼ばれてなかったか?』
『これならイケるんじゃないか!?』
『よっし!やってやろーぜ!!』
「それにここにはいないが吉井明久だっている!!」
シーーーン……
しかし明久の名前を出したところで教室の空気が一気に冷え込んだように落ち着く。
『誰だそれ?』
『そんなやついんのか?』
『坂本、そいつはどんなやつなんだ?』
そうクラスメイトの一人が質問をしてきて、それに俺はあらかじめ用意していた答えを告げる。
「ああ、明久はただのネタ、オチ扱いだな。大して気にすることは無い。………というのは冗談であいつは《観察処分者》だ」
『観察処分者?それってたしかバカの代名詞だろ?』
『そんなやつが役に立つのか?』
「ああ、あいつは教師の雑用で召喚獣を操作してきたから操作技術は学年一位だ。敵の足止めにあいつほど向いてるやつはいない」
『おお……それならいけるんじゃねえのか?』
『ああ!Aクラスにだって勝てるかもしれねえ!』
クラスメイトたちも納得してくれたようで何よりだ。
「よし!それならば野郎共、
「「「「「そうだーー!」」」」」
「よしいくぞてめえら!」
「「「「「おおーーっ!」」」」」
そうして俺たちはまずDクラスに試召戦争を仕掛けることとなった。
この小説のFクラスの設備はまともです
理由:竹原がまともだから