僕と同居人と召喚獣   作:迷単底

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第41話:よく分からない気持ち

明久side

 

「あ、これなんてどう?」

 

「んー……デザインは悪くないけど値段がちょっとね………」

 

「別に気にしなくていいのに。お金は母さんが出すんだから」

 

「でもちょっと引け目を感じるというか……」

 

あれから特に何もなく一週間が過ぎていき、僕と霊夢はあるショッピングモールで買い物をしている。霊夢は火事で日用品や服なども全て燃えて無くしてしまい、家ではジャージ、日用品はお客さん用の物を使っていたので霊夢用の物を買いに来たのである。

妹紅たちも付いて来たがってたが、大人数で行っても困るし、みんなはお留守番だ。

 

「値段は本当に気にしなくていいからね?母さんからはかなり多めに貰ってるし」

 

「……ちなみにいくら貰ってるの?」

 

「30万」

 

「いや、おかしいでしょ!?なんでそんなに貰ってんのよ!!」

 

「『女の子にはこれくらい必要なのよ。服とか色々ね』ってさ。まあ母さんのお金なんだ。気にすることないよ」

 

あの人本当に仕事何してんだろうな……

 

「なんでもロンダリングは済ませてるらしいよ?」

 

「危ないお金じゃないの!」

 

「冗談冗談。さすがに正当な手段で得たお金のはずだよ。多分」

 

「でも……」

 

そう言って口ごもる霊夢。

ちょっともどかしいし、いい加減背中押してあげようかな?

 

「気にしない気にしない。遠慮なんかしてたら人生損だよ?ましてやうちの母さんだもの」

 

「……そう。じゃあ遠慮はしないわよ?」

 

「ふふっ、一応予算内であればいいよ?」

 

そう言って次々と品物に目を向けながら言ってくる霊夢に、笑いながらそう答えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー……本当に遠慮しなかったね」

 

「悪い?」

 

「いや、別に」

 

あの後、霊夢が遠慮無しに買いまくった結果、半分近い13万円を使った。

将来金遣いが荒そうになるな、これ……

 

「ま、使いすぎたとはいえまだ予算内だからね。気にしなくてもいいよ」

 

ただし母さんのお金じゃなかったら、ちょっとは怒ってたかもね

 

「じゃあ次いきましょうか?」

 

「まだ買うの!?」

 

「当然よ」

 

本当に遠慮しないな……

 

「でもちょっと荷物預けてきていい?さすがにこれは歩きにくいしさ」

 

「いいわよ。じゃああのお店にいるから」

 

そう言ってしばらくの間、別行動をとることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや〜……まさか貸しロッカーを4つも使うとはね……」

 

さすがに買いすぎでしょ、とは思ったものの、霊夢が望んで買ったものなら僕は文句を言わないし、不満とかも言わない。

 

「さて、霊夢は……何やってんのあいつ?」

 

そして元のお店に戻って霊夢を見つけたもののなんかガラの悪いチンピラ2人に絡まれていた。

 

「おうねえちゃん。ようもわいのアロハシャツ、汚してくれたな?高かったんやで、これ?」

 

「そうやで!アニキのアロハシャツ、時価10万もするんやで?」

 

裾のところからユニ○ロのタグ見えてますよ?あと値引きシールもついてるし……

 

「言いがかりつけないでもらえるかしら?第一それ、明らかに安物じゃないの」

 

「ん黙れやあっ!!10万払えやコラ!!」

 

「まあ、払えんかったら姉ちゃんが遊んでくれるだけでええで?」

 

そう言ってケラケラと笑う二人組

 

「何やってんの、霊夢?」

 

「あ、明久」

 

「なんや?にいちゃんこのねえちゃんのツレか?」

 

「ええ、まあ」

 

「聞いてえな。あのねえちゃんな、わいのアロハシャツ汚してくれたんや。ほら、ここや」

 

そう言って指差したのは明らかにジュースとかで汚したようなあと。ここは洋服店なのでそんな汚れ、付くはずがないんだけど……

 

「んでな?ねえちゃん金払えんとか言うねん。どないする?にいちゃんが払うか?」

 

「15万やぞ!15万!払えんのか!?おお!?」

 

そう言って睨んでくるチンピラ二人組。正直言って全くもって怖くない。

 

「ちょっと、さっきは10万とか言ってたじゃない!それに安物でしょ、それ!」

 

「あん?時価やからな、すぐ値段変わるんや」

 

「こいつ……っ!」

 

そう言ってチンピラを睨む霊夢。

そしてそんな霊夢と僕を見てニヤニヤと笑う二人組。

 

「どうすんやにいちゃん?まあわいらも鬼やない。金払えんかったらそのねえちゃん置いてくだけでいいで?」

 

「安心しい、たあっぷり可愛がってあげるさかいのう」

 

そう言ってケラケラ笑ってくるチンピラ。

そんな二人を見て僕はスッと財布を取り出して開く。

 

「お?なんや?金払えんのか?」

 

「分割とかはあかんでえ?」

 

「ちょっと明久、そんな奴らに払わなくても……」

 

そう三者三様の言葉を向けてくる。しかし僕は黙って財布からお金を取り出してチンピラのアニキとか言われてた方の眼前に出す。

 

「はい、10円」

 

「「「…………」」」

 

あれ?どうしたんだろうか?

 

「おい、にいちゃん……舐めとんのか?」

 

「シバいたろか?ああ?」

 

そう言って睨んでくるチンピラ2人の眼前に十円玉を持っていく。そして……

 

 

グニャリ

 

 

指でその十円玉を折り曲げた。

 

「「「……は?」」」

 

その光景に呆れたような声をあげる三人。

しかし僕はそんな三人の声を無視してチンピラ(アニキ)に折れ曲がった十円玉を押し付け、握手するように手を握る。

 

「はい、お詫びのお金です。不慮の事故でちょっとばかし形が歪んでしまってますけど許してください」

 

「ぐっ!がっ!?」

 

そしてそのまま万力のような握力で手を握り潰そうとする。よく見ると額に脂汗がにじみ出ているようだ。

 

「お兄さん方、別に僕はことを荒立てたいわけじゃないんですよ?だからですね……」

 

そう僕は平和的なセリフを、全くもって感情のこもってない声で告げる。

 

 

 

 

「……ここは引いてくれませんか?」

 

「なっ!?ぐっ!?」

 

「僕たちはお金を払った。お兄さんたちはそれで満足した。それでいいじゃないですか?」

 

そう言いながらより一層強く握り潰そうと力を込める。

 

「ぐっ!ぐああっ!!」

 

「あ、アニキィッ!?てめ、よくもアニキを……」

 

そう言って殴りかかってきたチンピラ(弟分)のアゴを軽く殴って軽い脳震盪を起こす。

 

「え、あ、な、何を……」

 

その一撃にチンピラ(弟分)は崩れ落ちて、倒れてしまう。

 

「それともなんですか?」

 

そう言いつつ、二人と目を合わせると、少しだけ脅すように睨みつけながら続きの言葉を言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケンカ…………したいんですか?」

 

その言葉にビクリと震え上がるチンピラ2人。それを見た僕は握り締めていた手を離す。

 

「な、う、あ……」

 

「しないんですか?じゃ、僕たちはこれで」

 

そう言って僕は震えているチンピラ2人を放っておき、霊夢の手を優しく握り締めると、そのお店を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「明久、あんたあんなことできたのね……」

 

あの店を出て、気分が乗らないので食事にしようということでどこか美味しい物が食べれそうなお店を探してる時に霊夢がふとそう言ってくる。

 

「ん?何が?」

 

「何ってさっきのチンピラ2人を追い払った時のことよ」

 

ああ、あれか……

単に脅して引かせただけだ。正直言って母さんなら睨むだけで気絶させられるレベルのやつだったんだけど……

 

「あれくらい普通にできるよ?」

 

「でもさすがに十円玉は潰せないと思うわよ?」

 

「そんなことないし、母さんなら足の指でも潰せるよ」

 

「あんたの家系ってどうなってるのよ……」

 

妹紅、アリス、咲夜曰く人外集団らしいですが何か?

 

「ま、気にしないで美味しい物食べてあんなの忘れようか。ほら、折角だから霊夢の好きな物でいいよ?」

 

「それもそうね。じゃ、何にしようかしら……」

 

そう言って霊夢はレストランや喫茶店などが並ぶフロアをキョロキョロと眺める。

 

「あ、あそこにしましょうよ」

 

「え?あそこ?まあ僕はいいけどさ……」

 

霊夢が指差した店、それはなんと焼肉屋であった。昼間から焼き肉か……。ま、いいかたまには

 

「んじゃ行こうか」

 

「ええ」

 

そう言うと僕たちは焼肉屋に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なかなか美味しかったわね」

 

「そうだね。たまには昼間から焼肉ってのもいいかもね」

 

焼肉屋から出ると、口々に感想を言いながら歩き出す。

 

「じゃあ次何買いに行くの?」

 

「そうね……もうあらかた買ったし、洋服ももうあれでいいわね」

 

「じゃあどうする?帰る?」

 

「えー……折角だから遊びたいんだけど」

 

まあそれもそうか。先週は色々と大変だったし、霊夢も慣れない環境で大変だったであろう。

休息を取るのもいいかもしれない。

 

「じゃあこのままどっか行く?映画とかゲーセンとか」

 

「いいの?」

 

「いいも何も霊夢から言ったことでしょ?」

 

そう言うと霊夢は黙り込んでしまう。

え?僕なんか変なこと言った?

 

「……明久って周りからは甘いとか言われない?」

 

「んー……どうだろう?」

 

霊夢の突然の質問にちょっと考えてからそう言う。

 

「僕は身内(大切な人)にはとことん優しく、甘いけど、敵対とかしてくる人には逆にとことん厳しく、冷たくなれるからね」

 

「極端ね」

 

「でも身内(大切な人)が悪いことをしたと思った時はむちゃくちゃ怒るけどね」

 

「へえ……妹紅たちを叱ったことってあるの?」

 

「あるさ。三人ともかなりお説教したこともあるよ」

 

でもあの時はやりすぎたかな?三人とも泣かせちゃったからね……。あの後落ち着いたら三人とも『慰めて』とか言ってきて大変だったんだよね……

 

「何やったのか気になるわね……」

 

「ま、その話は別の機会に」

 

そう言うと映画館の前に着く。結構歩いてたみたいだな

 

「どうする?映画にする?」

 

「そうしましょうか。でも面白いやつとかわかんないわよ?」

 

「僕もわからないからね……。適当に選んで見ようか」

 

そう言って選ばれた映画は……

 

「『魔法少女戦士☆マリナ 銃と拳でゾンビと宇宙人をぶっとばせ☆』か……」

 

「なんかごちゃ混ぜすぎて訳がわからないわね……」

 

「タイトルに魔法少女とかあるのに魔法の要素がなさそうだしね」

 

銃と拳って……明らかに魔法関係なくない?しかもゾンビと宇宙人が敵って……

 

「……どうする?これにする?」

 

「いいんじゃないの?」

 

「……正気?」

 

「案外面白いかもしれないわよ?」

 

「そ、そう……」

 

そうして結局この映画を見ることとなったのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、案外面白かったわね」

 

「そうだね。そしてそこが逆にムカついたけどね」

 

でも主人公の使う魔法が『射殺魔法』とか『殴殺魔法』とか『撲殺魔法』ってアニメとしてどうなの?あの魔法放つ時の主人公の顔すっごい冷たい顔してたよ?

あれは必殺だけど、あれは夢も欠片もないよね?

 

「どうする?もう帰る?」

 

「そうね、ちょっと物足りない気がするけど帰りましょうか」

 

「そうだね。あとはついでに妹紅たちにお土産にケーキでも買って帰ろうか」

 

さて、たしか妹紅はモンブラン、アリスはチョコレートケーキ、咲夜はフルーツケーキが好きだったっけ?

あ、そもそもケーキ屋ってどこにあったっけ?

 

「……あんたがモテるのも分かるわ」

 

「え?何急に?てか僕そこまでモテてないよ?」

 

だって今まで告白されたことなんて生涯一度も無いし。

 

「いや、あんたね……。いや、いいわ。何言っても無駄だろうし」

 

「え、なんで急にそんなこと言うの?」

 

なぜかひどく傷ついた気がする。

でもまあいいや。ケーキ買ってさっさと帰ろ。あんまり遅いと妹紅たちによる取り調べ(尋問)が待ってるしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢side

 

「今日は疲れたわね……」

 

買い物から帰り、荷物を自分の部屋に置くとそのままベットの上に突っ伏してそう言う。

これまでも友達とかと買い物に行ったことはあったけど、これほどまでに疲れたのは初めてだ。以前はもっともっと振り回されたときがあったけど、どうしてかその時よりも疲れてしまった。

 

「明久の……せいなの?」

 

しかし自分でそう言った言葉を心の中で静かに否定する。

確かにあいつと一緒に歩くと胸が高鳴った。

つい手が触れてしまった時には内心すごくドキドキした。

チンピラから助けてくれた時にはあいつがすごくかっこよく見えた。

その後手を握られると離されるまでもう何も考えられなくなった。

わがままもなんだかんだで聞いてくれるとすごく嬉しかった。

お昼に食べた焼肉の味なんてほとんどわからなかった。

 

「え?まさかこれって……恋?」

 

今日あった出来事を思い直すとついそんな感じの答えが出てくる。私は恋とかそういうのには縁がなかったから、『恋をする』という感情がよくわからない。

 

「でも……きっと違うわね」

 

だって身近にいる恋する乙女三人に『明久といるとどんな感じがする?』って以前聞いてみたら三人とも『どことなく落ち着く』って感じの答えを返されたのだ。

私は今日、明久といたらずっと落ち着かなかった。あの三人の答えとは逆だ。

そう。だから明久といてどんなに胸が高鳴ろうと、嬉しくなろうと、ドキドキしようと、頬が熱くなろうと私が抱いてる感情はきっと恋なんかじゃない。

 

だけどそうして出した自分の答えを自分で否定すると、少し胸が苦しくなる。

どうしてか分からないけど、締め付けられるように辛いのだ。

 

「ま、忘れちゃいましょ」

 

そう言って私は起き上がると自分の部屋の扉を開け、リビングへと向かった。




さて、中途半端と思う人がいるかと思いますがこれで転校生編は終了して、次回からは期末試験編です。

え、ここで終わりにする理由?ネタが思いつかない、それだけさ……
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