雄二side
〜Fクラス〜
『Dクラス代表、平賀源二討死』
その報告を聞いたとき俺は落ち着きながらも内心ではガッツポーズをとっていた。
十中八九勝てると思っていた勝負であったが、勝てたとなるとやはり嬉しい。
だがしかし……
(明久のバカは来ねえな……。初日から休みか?)
そう、放課後になっても明久は一向に姿を見せないのだ。
「……雄二、大変だ」
「んあ?どうしたムッツリーニ?」
試召戦争中にDクラスはもちろんのことながら他クラスの情報収集をさせていたムッツリーニが何らやら焦った様子で現れる。
「……明久がAクラスにいる」
「はぁ?あいつめ……初日から試召戦争をさぼって何やってんだ?」
こりゃあ明日には制裁が必要だな……
「……違う!明久の所属クラスがFクラスじゃなくてAクラスなんだ!」
「……………………はぁ?何をバカなことを……」
馬鹿な!明久がAクラスだと!?そんなのが信じれるか!!
ダッ!
俺はたまらず教室を飛び出してAクラスに向かう。
「坂本?なに慌ててるのよ?」
「坂本君、廊下を走るのは危ないですよ?」
「島田に姫路か。ムッツリーニのやつが明久がAクラスにいるって言ってるんだ!ちょうどいいからお前たちも来てくれ!」
俺はたまたま通りかかった島田と姫路にそう声をかける。
「はあ?なに言ってんのよ坂本。バカの吉井がAクラスにいるわけないじゃない」
「そうですよ坂本君。吉井君がFクラスじゃないなんてありえませんよ」
「ああ、俺も信じられねえよ。だから確かめに行くんだよ」
そう言って俺は再びAクラスに向かって走りだす。
「どうする、瑞樹?ウチは行こうと思ってるんだけど……」
「私も行きます。もし本当に吉井君がAクラスだったらオシオキの必要がありますからね……」
「そうよね、オシオキが必要よね……」
「「待っていてくださいね(いなさいよ)、吉井君(吉井)……!」」
明久side
〜Aクラス〜
「さてと、そろそろ帰ろうか」
僕はそう言って荷物を片付け始める。
時計の針は5時頃を指しており、そろそろ下校時刻である。
「あ、もうこんな時間か」
「そうね、そろそろ帰りましょうか」
「できればもうちょっと早く帰りたかったんだけど……まあ、いいかしら」
そう言って僕たち帰る準備を始める。
クラスに残ってるのは僕たちくらいしかいない。
僕は帰る準備をいち早く済ませたので、他のみんなの準備が終わるのを待っている。
ドンッ!
しかしそこで突然教室のドアが乱暴に開けられ、数人の見知った生徒が入ってくる。
「明久てめえ……!」
「吉井、どういう事?」
「吉井君、なんでFクラスじゃないんですか?」
「え、ちょ、こんな時間にどうしたの?」
入って来たのは雄二、姫路さん、島田さんの3人だ。
「明久どんな魔法を使ったんだ!」
え?
「そうよ、アキがまともにAクラスに入れるわけがないわ」
は?
「明久君、カンニングはいけない事なんですよ」
……ごめん、意味がわからない。
「えっと……何が何だか分からないんだけど」
「ほら、さっさと帰るぞ」
そう言って雄二が腕を掴んで引っ張ってくる。
「ちょっと待って雄二!僕はAクラスでFクラスじゃないんだよ!」
「吉井、オシオキをしたら話はたっぷり聞くから」
「吉井君、覚悟してくださいね……」
島田さんと姫路さんまで僕の肩を掴んで無理やり連行しようとしてくる。
「ちょっと待ちなさい。あなたたちは明久をどうするつもりなのかしら?」
そこで咲夜が止めに入ってくれる。妹紅やアリスも言葉は発しないが気持ちは同じなようでキッと3人を睨むように見ている。
「Fクラスに連れ戻すだけだが?」
「そんな事はさせないわよ。明久はAクラスの一員なのよ。勝手にFクラスに連れて行くなんて私たちが許さないわ」
咲夜がそう力強く宣言し、妹紅とアリスもそれに同調する。
「吉井、どうしてAクラスの女子と仲がいいのかしら?しかも下の名前で呼ばれているし」
「吉井君、他の女の子と仲良くしてはいけませんよ?」
そう言って2人が肩に入れる力がだんだんと強くなっていく。
「さぁ死になさい」
「これはオシオキですからね?」
そして二人が同時に腕を捻り上げて肩関節を外そうとしてくる。
「はぁ……ちょっと手荒なことになるけどしょうがないか」
そう言って僕は力任せに拘束を振り払い、3人から少し距離をとる。
「ちょっとなに勝手に逃げてるのよ!あんたへのお仕置きはまだ終わってないんだから‼」
「そうですよ……むしろこれから始めるんですよ」
そう言って2人は僕に詰め寄ろうと迫ってくる。
「あなたたち、いい加減にしなさい」
しかしそこで咲夜がおそろしく低い声を発し、その声の迫力に押されて2人は若干後ずさる。
「な、なによあんた!吉井にオシオキするんだからじゃましないでよ!」
「そうです!吉井君にはオシオキが必要なんです!」
「咲夜の言うとおりだ。いい加減にしろお前ら」
「そうね、いきなりやってきて無理やり暴力をふるおうなんて……。あなたたちはなにがしたいの?」
そこに妹紅とアリスも加勢して、暴力をふるおうとしてくる2人を止めてくれる。
「な、何するのよ!吉井へのオシオキを邪魔しないで‼」
「そうです!これは吉井君に必要なことなんです!」
「ふざけるな!お前たちが明久にそんなことをする権利や資格なんてない!」
妹紅がそう強く言い返し、2人はさらに後ずさる。
「ああ、もう!うるさいわねあんたら!あんたたちはいったい吉井のなんなのよ!」
「何かって?私たちは明久の友人だ!私たちはな……少なくともお前たちなんかよりもずっと明久のことを思っている友人だよ!」
僕はそんな妹紅の言葉に少し心が温かくなるのを感じる。
「上等よ……そこまで言うならどうなるか思い知らせてやるわ!」
「勝手に吉井君に手を出したことを後悔させてあげますよ……!」
「お、おいお前ら!流石にそれはマズイぞ!」
そしてどこからともなく釘バットを取り出す2人
それを今更ながら止めようとする雄二
そして姫路さんと島田さんを睨みつける3人
まさに一触即発という空気である
そして僕も流石にこれ以上はマズイと思い、止めるために前に出ようとする。
「うるさいぞお前ら!もうすぐ下校時刻なんだから静かにせんか!」
「「「「「「「ッ!?」」」」」」」
しかしそこで筋骨隆々の教師……鉄人こと西村先生がやってきた。
「まったく騒がしいと思ったらお前たちは……。何があった、説明しろ」
「えっと……帰ろうと思ったら姫路さんたちが急に来て僕に暴力を振るいかかろうとしてきて、それを防ごうとした妹紅たちと喧嘩になりそうなところに先生が来た、というところです」
僕は簡単に説明をする。
「なるほど……、藤原、十六夜、マーガトロイド、反論はあるか?」
それに対して3人は首を横に振って否定の意を示す。
「ならば次だ。姫路に島田、お前たちはなぜ吉井に暴力をふるおうとした?あとさっき話しに上がらなかった坂本はなぜここにいる?」
「俺は明久がAクラスというのが信じられなかったから確かめに来ただけだ」
さっきFクラスに連れて行こうとしたのは黙っておくか……
それよりも今は姫路さんと島田さんだ
「ウチは吉井がAクラスに行けたのはきっとカンニングしたからだと思ったからその制裁をしようとしただけです」
「私も同じです。吉井君がカンニングも無しにAクラスに行けるはずがありません」
え?僕ってそこまで信用無いの?
確かに1年のころは成績悪かったけどさ……、これでもきちんと勉強したんだよ?
「まったくお前らは……。言っておくが吉井はカンニングなんてして無いからな?1年の中ごろから教師に教えてもらうなどして努力を積み重ねた結果だからな?」
「「でも……!」」
「でもではない!と に か くだ!今後は吉井に意味もなく暴力をふるうことを禁止する!これ以後やるというならば補習だからな!」
「「ぐ……!」」
「とにかく今日はもう遅いから帰れ!解散だ!」
そしてその日は鉄人のその言葉で解散となったのであった。